カナダ,バージェス頁岩層から産出した奇妙奇天烈な動物「オパビニア」の精巧なレプリカである。
古生物に関わる者ならば,プロ・アマ,洋の東西を問わず,生きているうちに一度は訪ねてみたいといわせる聖地(化石産地)がいくつかある。その中の代表格が,カナダのバージェス頁岩層だ。
この地層は,動物の進化史上「最大の事件」とよばれるイベントに密接に関わる。それは「カンブリア爆発」ともよばれる。今から約5億4000万年前,古生代カンブリア紀,動物が突然進化・多様化をとげたイベントである。このイベントによって,現在生きる動物の祖がほぼすべて出揃ったと考えられている。バージェス頁岩層からは,多種多様な化石が産出されており,その多様さ・奇妙さから,ここで産出する一群の化石を「奇妙奇天烈動物群」とよんだ研究者もいた。
オパビニアは,まさに「奇妙奇天烈さ」を代表する生物である。五つの眼をもち,ゾウの鼻のようなノズル(吻)をもっていた。1972年にオックスフォード大学でその姿が発表されたときは,爆笑をもってむかえられたという逸話もある。
『バージェス頁岩化石図譜』によると,バージェス頁岩動物群の総個体数に対してオパビニアの占める割合は,わずか0.07%ほど。世界中を探しても十数個体しか確認されていない希少種である。その本物は,まず市場に出回らないといってもよいだろう。このレプリカは,アメリカの化石ディーラーによるものだが,どうつくったのかUSNM 57683という標本番号をもつ有名な個体そのものである。五つ目はもちろん,ノズルの先の小さなトゲまで再現されている逸品だ。おまけに岩石の質感まで似ている。
(体長約80ミリ:オリジナルはカナダ産:古生代カンブリア紀)