カルポイド
ちょっとめずらしい動物化石。「カルポイド類」とよばれる棘皮動物グループの一つ。カルポイド類はさらに四つのグループにわけられるが,これはその中でも「ソルータ」とよばれる分類群の,おそらくは「デンドロキストイデス(Dendrocystoides)」と思われる(カルポイドについては,あまりにも資料が少ないので,正確には不明)。
 この標本はオルドビス紀のものだが,ソルータはカンブリア紀からオルドビス紀まで栄えたとされる。見てのとおり珍妙な形をしており,不規則極まりない。この母岩には二つのソルータが残されているがともに大きさは60ミリほど。おそらく全身ではなく,下方にはもう少し“柄”がのびていたのだろう。ソルータは,最大で100ミリをこえるという大型のカルポイド類である。他の3グループは大体数センチという体長であるから,カルポイド類ではずばぬけて大きい。
 右に拡大したのは殻とよばれ,多角形の殻板が不規則にしきつめられているのが,画像からもわかる。この殻板の中には口や水孔,生殖口,肛門,鰓などのさまざまな開口部があるらしいが,残念ながらその識別は研究者でも難しいとされる。
 柄の部分は,上に近づくほど,リング状に太い構造がみられており,一説によればその内部には筋肉がつまっていたのだろうという見方もある。また,柄はウミユリの“茎”のように水中で身体を支持するものだという見方もある。現代にみられない絶滅動物の悲しさ(?)で,どちらの見方が正しいとはいえないようだ。
 蛇足だが,カルポイドを構成する別のグループ(ミトラータ)は,脊索動物の祖先という説もある。「カルシコルダータ説」とよばれるもので,つまるところカルポイドは,私たち脊椎動物を含む全脊索動物のご先祖様ではないか,というものだ。しかし,この説は旗色が悪く,また,近年の澄江動物群などにおける諸々の研究などによって,異端あつかいされているようだ。なお,このカルシコルダータ説については,H.ジー著の『脊椎動物の起源』(培風館:刊)が詳しい。
(体長約60ミリ:モロッコ産:古生代オルドビス紀)
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