| Erlathia kingii エルラシア・キングアイ(捕食痕あり) | |||||
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| アメリカで最もポピュラーといっても良い三葉虫「エルラシア・キングアイ」(エルラシア・キンギともよぶ)である。 エルラシアは,体長10ミリ〜20ミリ程度の小型の三葉虫で,この標本のように頭部の両側(“頬”の部分)が欠けているものが多い。比較的大量に産出するために,安価で入手できる三葉虫である。ひょっとしたらみなさんもどこかの博物館のお土産売り場でお目にかかっているかもしれない。 ところが,このエルラシア・キングアイ。「傷物」になると,価格は数倍に跳ね上がる(ときには,無傷の標本の10倍で取引される)。傷とは,この標本の左側葉に見られるようなもので,別の動物の捕食痕とみられている。 捕食痕にもいろいろあるが,エルラシア・キングアイの場合は,相手はあのカンブリア紀最大のモンスター・アノマロカリスである可能性が高いというから驚きである。恐竜時代のティラノサウルスのように,カンブリア紀のアノマロカリスの人気は絶大で,その歯型だけで,なんでもない三葉虫を高価にするから面白い。 なぜ,アノマロカリスによるものとされるかというと,この時代の,こういった傷を残せる捕食性動物となると,アノマロカリスぐらいしかいないからだといわれる。また,アノマロカリスの模型をつくり,その模型に獲物を齧らせたら,似たような歯型ができたからともいわれる。 しかし,実は現実には,その見方を否定する研究者もいる。なるほど,エルラシア・キングアイは,アノマロカリスと同時代のカンブリア紀の三葉虫ではある。しかし,捕食痕のあるエルラシア・キングアイの産出する地層では,肝心のアノマロカリスの化石がいまだ発見されていないのだ。これでは,捕食者がアノマロカリスと断定するには,ちょっと怖そうだからといって証拠もないのに犯人と決めつけるようなものである。アノマロカリスにとってはとんだ濡れ衣なのかもしれない。 もちろん,生態系の論理からいけば,食物連鎖の下位に位置する三葉虫と,おそらく最上位に位置するアノマロカリスでは個体数がちがって当然である。つまり,それだけアノマロカリスの化石が発見される確率も低いことになるので,まだ無実とは言い切れない。 この裁判,結局はアノマロカリスが同じ地層で発見されるか,もしくは新たな大型捕食動物が発見されるかを待たねばならないのだろう。 (体長約17ミリ:アメリカ産:古生代カンブリア紀) |
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