Inoceramus uajimensis  イノセラムス・ウワジメンシスラムス
アンモナイトと同じ時代,中生代白亜紀の貝の化石である。「な〜んだ,貝か」と思われることなかれ。実はイノセラムス類は研究上,きわめて重要な種類なのだ。
 どんな研究に使われるのかというと,イノセラムス類化石の最も大きな利用先は,地層の時代決定である。今,研究している地層の時代が,いったいいつのものなのか,離れた地域の地層との時代的な前後関係はどうか,などに使用される。いわゆる「示準化石」の代表格で,この化石さえみつければ,その地層の時代が決まる。
 示準化石として有効であるためには,いくつかの条件がある。一つは,特定の時代の地層にしか出現しないということだ(どの時代でも同じ化石が出るのなら,その化石はをつかって時代を特定することはできない)。この条件をクリアするためには,短時間で進化して形態をかえていくか,あるいは短時間で絶滅するしかない。イノセラムス類は前者にあたり,数百万年単位で形態を大きく変えつつ進化した貝である。
 そういうわけで,イノセラムス類には非常に多くの種類がいるが,このイノセラムス・ウワジメンシスはこぶし大のサイズと,あまり強く肋を発達させないなどの特徴がある。この化石からわかる地層の時代は,中生代白亜紀サントニアンというもので,一般にもなじみの深い「紀」よりもさらに一つ深い時代を特定できる。ちなみに,ウワジメンシスという,母音の多い種小名が示すように,日本産である。この標本は,北海道蝦夷層群のもので,下部はまだ母岩の中にかくされている。これは単体で発見したものだが,ウワジメンシスには密集層を形成するという特徴もある。
(体長約70ミリ:北海道産:中生代白亜紀)
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