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Phacops speculator  ファコプス・スペキュレーター
三葉虫の代名詞ともいわれる「ファコプス」。おそらく多くの人がこの化石を見て「三葉虫」と言い当てることができるだろう。それくらい典型的な三葉虫の形をしている。
 ファコプスの最大の特徴は,なんといっても「眼」だ。粒々模様がはっきりと見てとれる「複眼」である。複眼とは,現生動物では昆虫などがもつ眼である。小さなレンズが多数集まって一つの眼となっている。私たちヒトのように,目をぎょろぎょろと動かすのではなく,レンズの数を増やすことで視野を確保しているのだ。
 ファコプスの複眼は一つ一つのレンズが大きく,また離れているのが特徴。三葉虫類はすべて複眼をもつ。しかし,このギャラリーのほかの三葉虫をみてもらうとわかるが,レンズが小さすぎて肉眼で複眼と認識できない三葉虫の方が多い。ファコプスの眼は思わず指でさわり,その粒々感を実感したくなる,そんなサイズなのである。
 この標本は全体的によくクリーニングされているが,右下の写真のように頭部の底面が見える点ですばらしい。下向きに凸で見える部分は「ハイポストマ」とよばれる三葉虫の“唇”である。これが後ろ向き(画像では下向き)にパカッと開き,泥中の有機物などをこしとって食べていたとされる。
 ファコプスは比較的数多く産出する化石だが,良質なものとなると決して数は多くない。「たかがファコプス,されどファコプス」とコレクターはよぶ。もし,化石コレクターの道を歩み始める方がいたら,まずは良質のファコプスをもつことをおすすめする。
(体長約55ミリ:モロッコ産:古生代デボン紀)
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