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小さな剣竜類の足跡化石が発見されました。
中国新疆ウイグル自治区の中生代白亜紀前期(約1億4500万年前〜約1億100万年前)の地層から、剣竜類のものと思われる足跡Deltapodusの化石が新たに発見されました。この足跡の長さは約5.7cmです。
(Featuring the Smallest Known Stegosaur Record. PALAIOS, 36(2), 68-76)
これまでに発見されているDeltapodusの多くは長さ30cm〜50cmで、10cm未満の長さのものはほとんど発見されていないとのことです。今回発見された化石は、これまでに発見されているDeltapodusの中で最小とのことです。
2021/4/18
アズダルコ類の頸椎が特殊な構造をしていたらしいということがわかりました。
翼竜のアズダルコ類は、最大で翼開長10mを超える史上最大の飛行動物です。しかしその体の構造などについてはよくわかっていません。
(4/14 ScienceDaily、Helically arranged cross struts in azhdarchid pterosaur cervical vertebrae and their biomechanical implications. iScience)
アズダルコ類はキリンの首以上の長さにもなる長い首をもっていました。これは1個1個の頸椎が長いためです。しかし翼竜の骨の壁は薄いため、長い頸椎を壊さずにどのように獲物を捕まえたり食べたりしていたかは、これまでわかっていませんでした。
今回、モロッコの白亜紀の地層から、アズダルコ類Alanqaの3次元的に保存された頸椎の化石が発見されました。この頸椎をCTにかけたところ、頸椎の中心に神経が入った管が通り、その管から頸椎の薄い壁に向かって、細い棒のような構造がらせん状に向きを変えながら何本も伸びていることがわかったそうです。このような構造は、ほかの脊椎動物では発見されていません。
この構造のおかげで重量をあまり増やすことなく首の強度を上げることができ、重い獲物をくわえてもち上げることもできたと、研究者は考えています。
2021/4/18
中国から、穴を掘っていたと考えられるトリティロドン類と真三錐歯類が発見されました。
中国北東部の約1億2000万年前の熱河生物群から、新属新種のトリティロドン類と真三錐歯類の化石が発見されました。
(American Museum of Natural History、Fossoriality and evolutionary development in two Cretaceous mammaliamorphs. Nature)
トリティロドン類は哺乳類の祖先と考えられているキノドン類に属しています。今回発見されたトリティロドン類は、Fossiomanus sinensisと名付けられました。
真三錐歯類は初期の哺乳類です。今回発見された真三錐歯類はJueconodon cheniと名付けられました。
今回発見された2種には両方とも、短い四肢、がっしりした腕と手、短い尾といった、土を掘っていたと考えられる特徴があるそうです。両種とも、爪で土をひっかいて穴を掘っていたと、研究者は考えています。
熱河層群から穴を掘っていたと考えられる脊椎動物が発見されたのは、今回が初めてです。
2021/4/10
更新世のカンガルーが木に登ることができたらしいということがわかりました。
1989年、オーストラリアの約75000年前〜約44000年前(新生代第四紀更新世)の地層からカンガルーの多断片的な顎の化石が発見され、Wallabia kitcheneriと名付けられました。今回、約260万年前〜約12000年前の地層から、W. kitcheneriの頭骨数点と、ほぼ完全な全身骨格2点の化石が発見されました。
(3/25 Sci News、The skeleton of Congruus kitcheneri, a semiarboreal kangaroo from the Pleistocene of southern Australia. Royal Society Open Science 8(3), 202216)
新しく発見された化石を詳しく調べた結果、W. kitcheneriは1994年に報告されたCongruusに属するということがわかったそうです。このため、今回の研究で、W. kitcheneriからCongruus kitcheneriに名前が変えられました。
C. kitcheneriの腕はがっしりしており、手と足の指が長く、指先には長くカーブした爪がついているそうです。これらの特徴は木の上で生活するキノボリカンガルーに似ているため、C. kitcheneriは木に登ることができたと、研究者は考えています。ただし、キノボリカンガルーほどは木の上での生活に適応しておらず、木の上での動きはゆっくりだったと考えられるそうです。C. kitcheneriの首は長く、柔軟に動かせたとのことです。この首は、さまざまな方向にある葉を食べるのに適していただろうと、研究者は考えています。
2021/4/10
三葉虫の外肢が呼吸に使われていたらしいということがわかりました。
古生代(約5億4100万年前〜約2億5200万年前)に生きていた三葉虫の付属肢は、2つに枝分かれした構造をしています。繊維状の構造をもつ上側の肢(外肢)と、歩行などに使われていた下側の肢(内肢)です。外肢の役割については、繊維状の構造は鰓で、呼吸に使われていたという説がある一方、現生の枝分かれした肢をもつ節足動物の外肢には呼吸の役割はないことから、呼吸に使われていなかったという説もあり、よくわかっていませんでした。
(3/31 University of California - Riverside、The trilobite upper limb branch is a well-developed gill. Science Advances, 7(14), eabe7377)
今回、付属肢の化石が発見されている三葉虫2種、カンブリア紀(約5億4100万年前〜約4億8500万年前)のOlenoides serratusと、オルドビス紀(約4億8500万年前〜約4億4400万年前)のTriarthrus eatoniの付属肢がCTスキャンにかけられて、その構造が調べられました。この結果、外肢の構造は、現生の甲殻類の鰓の構造によく似ていることがわかったそうです。このことから、三葉虫の外肢は呼吸に使われていたと、研究者は考えています。
2021/4/4