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ジュラ紀の、幹にくっついて海面を漂うというウミユリの生活様式が調べられました。

 中生代(約2億5200万年前〜約6600万年前)の地層からは、木の幹にくっついた状態のウミユリの化石が見つかります。このウミユリは、生きていた時は海面に浮かんでいた幹にくっついて海を漂っていたと、一般的に考えられています。しかし、この説がこれまで定量的に検証されたことはなく、海底に沈んだ幹にくっついていただけという説も唱えられています。
 今回、ドイツのホルツマーデンから産出した、ジュラ紀の幹にくっついた状態のウミユリの群集化石6点について、ウミユリの分布が定量的に調べられ、シミュレーションによって海面に浮いていた期間が計算されました。
 この結果、幹が最も大きい標本では、ウミユリは幹の片方の端に多く、もう片方の端には少ないということがわかったそうです。このような分布の偏りは、底生の群集には見られず、現生のフナムシに見られるそうです。フナムシの場合、水流が弱くなる船尾に多く分布する傾向があるそうです。ウミユリも、浮いた幹の、水の抵抗が少ない端に多くくっついていたのではないかと、研究者は考えています。
 また、最も大きい幹は、最短で2年、最長で20年浮いていたという結果が出たそうです。幹にくっついている化石の状態から、20年近く浮いていた可能性があるのではないかと、研究者は考えています。

Reconstructing the ecology of a Jurassic pseudoplanktonic raft colony. Royal Society Open Science, 7

2020/7/25

バウルスクス類が肉食の捕食者だったらしいということがわかりました。

 白亜紀の大陸において、ほぼすべての地域で生態系の頂点に立つ捕食者は獣脚類でした。しかし、白亜紀後期のブラジルでは獣脚類が少なく、バウルスクス類というワニ形類が生態系の頂点に立っていたと考えられています。バウルスクス類は大きな牙のような歯をもち、頭骨に高さがあるなど、陸上における肉食の捕食者だったと思われる特徴をもっていますが、その生態が定量的に検証されることはこれまでありませんでした。
 今回、バウルスクスの頭骨が生体力学的に調べられました。
 この結果、バウルスクスのかむ力は小さいものの、獲物を噛んだ時の圧力が顎からほかの場所に伝わりにくい構造をしているらしいということがわかったそうです。また、バウルスクスは、肉を引き裂くのに適した、ナイフのように薄い、鋸歯で縁取られた歯ももっています。バウルスクスは陸棲の脊椎動物を食べていたのではないかと、研究者は考えています。

A unique predator in a unique ecosystem: modelling the apex predator within a Late Cretaceous crocodyliform‐dominated fauna from Brazil. Journal of Anatomy

2020/7/25

白亜紀末の大量絶滅後、海の底生生物が急速に回復したらしいということがわかりました。

 約6600万年前の中生代白亜紀末、メキシコのユカタン半島の近くに隕石が衝突し、大量絶滅が起こりました。白亜紀末の大量絶滅と、大量絶滅からの生態系の回復に関する研究はこれまで多くなされてきましたが、海底の堆積物の上や中に棲んでいた生物の変化については、これまでよくわかっていませんでした。
 今回、チチュルブクレーターの海洋底が掘削され、隕石衝突時から隕石衝突後にかけての生痕化石の変化が調べられました。生痕化石を調べることによって、海底に棲んでいた生物が大量絶滅からどのように回復したかを推測することができます。これまでの研究で、隕石衝突の数年後には底生生物の回復が始まっていたらしいということがわかっています。今回の研究で、隕石衝突の約70万年後には、底生生物が完全に回復したらしいということがわかったそうです。
 ペルム紀末には、史上最大の大量絶滅が起こりました。大量絶滅からの回復の仕方には、ペルム紀末の大量絶滅後と白亜紀末の大量絶滅後で似たパターンが見られそうです。しかしそのスピードは、白亜紀末の大量絶滅からの回復の方が圧倒的に速かったことになります。ペルム紀末の大量絶滅後に生態系が回復し始めるのは、大量絶滅が起こってから数万年後で、生態系が完全に回復したのは、大量絶滅後から数百万年後と考えられています。

7/14 Geological Society of AmericaRapid macrobenthic diversification and stabilization after the end-Cretaceous mass extinction event. Geology

2020/7/19

歯の起源が調べられました。

 現生の脊椎動物の多くは歯をもちます。しかし、その並び方や生えかわり方には、種類によって違いが見られます。歯の起源は、4億年以上前にまでさかのぼります。これまで、歯の起源を調べるにあたって、約4億3000万年前から約3億6000万年前(古生代シルル紀〜デボン紀)に生きていた板皮類節頸類に注目されてきました。しかし節頸類の歯の位置や歯が形成される順番などは軟骨魚類や硬骨魚類と大きく異なるため、歯の起源はよくわかっていませんでした。
 今回、節頸類よりもより原始的な板皮類であるacanthothoracidの3属(RadotinaKosoraspisTlamaspis)の化石がCTスキャンにかけられ、顎の構造が3次元的に復元されました。
 この結果、板皮類と同じようにacanthothoracidの歯は顎の骨にくっついており、抜けることはなかったらしいということがわかったそうです。一方、歯が顎の内側に位置する節頸類と違って、acanthothoracidの歯は軟骨魚類や硬骨魚類、四足動物と同じように顎の縁に位置し、また、歯は顎の内側に、古い歯は顎の外側に位置しているらしいということもわかったそうです。
 acanthothoracidは顎口類として節頸類よりも原始的であるにもかかわらず、歯には節頸類よりも進化的な特徴が確認されました。軟骨魚類や硬骨魚類、四足動物のの歯の起源はacanthothoracidにあると、研究者は考えています。

7/9 European Synchrotron Radiation FacilityMarginal dentition and multiple dermal jawbones as the ancestral condition of jawed vertebrates. Science

2020/7/19

マジュンガサウルスの化石に、複数の病変の痕が発見されました。

 化石に遺された病気やけがの痕跡は、古生物の生態を推測するうえで重要です。今回、マダガスカルの約7210万年前〜約6600万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、獣脚類マジュンガサウルスの化石が大量に発見されました。
 そのうちの1体は、後肢の下の方と尾の大部分が欠けているだけの保存率の高いもので、関節もほぼつながった状態で発見されました。この個体には、体の数か所(頭骨、脊椎、前肢、腹肋骨など)に病変やけがの痕が見られるそうです。けがは、1回でできたものでなく、生きている間に複数回にわたってできたものだと、研究者は考えています。
 今回発見されたマジュンガサウルスのうち、最も保存状態の良い個体には病変やけがの痕が見られない一方、複数の病変やけがの痕が見られる個体もあるとのことです。この傾向は、ほかの大型の獣脚類にも見られるそうです。一度病気やけがになると、機能に障害が出たり免疫不全に陥ったりして、病気やけがになる機会が増えるためだと、研究者は考えています。

Paleopathology in a nearly complete skeleton of Majungasaurus crenatissimus (Theropoda: Abelisauridae), Cretaceous Research

2020/7/5