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2017、2018年、2019年のニュース

白亜期末の大量絶滅直後に哺乳類がどのように多様化したかがわかりました。

 約6600万年前、全生物の75%以上の種が絶滅した大量絶滅が起こりました。この大量絶滅後、有胎盤類、鳥類、被子植物など、現在繁栄している生物が多様化しました。しかし、大量絶滅の直後(約6600万年前〜約6500万年前)にどのように生態系が回復していったのかはこれまでよくわかっていませんでした。
 アメリカ合衆国コロラド州にあるDenver Basinには白亜紀から古第三紀暁新世にかけての地層が分布し、層序がよく研究されてきました。そして植物化石が多く発見されてきましたが、これまで脊椎動物の化石はあまり発見されてきませんでした。今回、ノジュールという岩の塊に注目したところ、その中から脊椎動物の化石が多く発見されたとのことです。この発見により、白亜紀末の大量絶滅から100万年間で哺乳類がどのように多様化していったかがわかったそうです。
 この研究によると、大量絶滅を生き抜いた哺乳類の体重は500gにも満たなかったとのことです。それが大量絶滅から10万年後には最大6kgの大きさになり、大量絶滅から30万年後には最大20kgの、70万年後には最大47kgの哺乳類が出現したとのことです。
 さらに、植物化石を調べたことで哺乳類の大型化の原因も推察できるそうです。大量絶滅後に最初に増加した植物は、栄養の多くないシダ植物でした。大量絶滅後から30万年後には温暖化が起こり、同時にクルミ科の花粉も多様化したそうです。さらに、70万年後には再び短期間の温暖化が起こり、この時期にマメ科植物が出現したとのことです。暁新世の温暖化が植物と動物の進化を促したと、研究者は考えています。

10/24 National Geographic NewsExceptional continental record of biotic recovery after the Cretaceous-Paleogene mass extinction. Science

2019/11/3

巨大なヒエノドン科の化石が発見されました。

 ケニアの約2200万年前(新生代新第三紀中新世初期)の地層から、巨大な肉食哺乳類の化石が発見されました。その頭骨はサイの頭部と同じくらいの大きさで、体重は最大で1,500kgと推定されています。
 今回発見された哺乳類は新属新種で、Simbakubwa kutokaafrikaと名付けられました。絶滅哺乳類肉歯類のヒエノドン科に属すると考えられています。ヒエノドン科は古第三紀暁新世前期にユーラシア大陸で出現し、すぐに北米大陸とアフリカ大陸に渡ったと考えられています。ヒエノドン科には頭胴長数mの巨大なサイズの種がいくつかいます。Simbakubwaはその最古の種です。この巨大な体のヒエノドン科は、アフリカ大陸で出現し、ほかの大陸に広がっていったのだろうと、研究者は考えています。

4/18 Ohio UniversitySimbakubwa kutokaafrika, gen. et sp. nov. (Hyainailourinae, Hyaenodonta, ‘Creodonta,’ Mammalia), a gigantic carnivore from the earliest Miocene of Kenya. Journal of Vertebrate Paleontology, 2019; e1570222

2019/4/21

ペルーから半水半陸のクジラ類の化石が発見されました。

 クジラ類は5000万年以上前の新生代古第三紀始新世前期に、インド・パキスタン地域で出現しました。最古のクジラ類であるパキケトゥスはしっかりした四肢と蹄のある指をもち、半水半陸の生活を送っていたと考えられています。クジラ類はその後、西に移動し、アフリカ北部を通ってアメリカ大陸に渡り、約4120万年前(始新世中期)には北米大陸に到達したと考えられています。しかしアメリカ大陸にいつどのようなルートを通って移動していったのか、そしてアメリカ大陸に到達したクジラ類が半水半陸だったのかあるいは完全に水中生活に適応していたかについては、これまでよくわかっていませんでした。
 今回、ペルーの約4260万年前(始新世中期)の地層から、新属新種のクジラ類の化石が発見されました。Peregocetus pacificusと名付けられたこのクジラ類は尾を含めた全長約4mで、しっかりした四肢をもっていたそうです。四肢と腰の形、そして指の先端に蹄があることから、Peregocetusは陸上を歩くことができたと、研究者は考えています。また同時に、尾はビーバーやカワウソの尾に似た形をしており、指は長く水かきがあったと考えられることから、泳ぎも得意だったと、研究者は考えています。
 今回の発見から、クジラ類は南大西洋を渡ってアフリカ大陸から南米大陸に移動したと、研究者は考えています。当時の両大陸の間の距離は現在の半分ほどしかなく、また、西に向かって流れる海流があったと考えられています。そしてクジラ類は南米大陸に到達した後、北に向かって移動して北米大陸に到達したと、研究者は考えています。

4/4 ScienceDailyAn Amphibious Whale from the Middle Eocene of Peru Reveals Early South Pacific Dispersal of Quadrupedal Cetaceans. Current Biology

2019/4/7

バシロサウルスがドルドンを食べていた証拠が発見されました。

 エジプトのワディ・アル・ヒタンには、新生代古第三紀始新世の化石を大量に産出する地層があります。2010年に、この地層からムカシクジラ類バシロサウルスの化石が発見されました。このバシロサウルスの化石は全身の67%の骨が残った保存率の高いものですが、骨は関節せずにバラバラの状態で地層に埋まっていたそうです。そしてバシロサウルスの化石とともに、ムカシクジラ類ドルドン、条鰭類ピクノダス、そしてサメ類カルカロクルス・スコロヴィの歯の化石も発見されたそうです。
 骨の散乱の状況から、バシロサウルスは死後、水流の弱い海底に沈み、長い間堆積物に埋もれずに海中に露出していたと、研究者は考えています。そしてドルドンとピクノダスはバシロサウルスが死ぬ前に食べた獲物だったと推測されています。ドルドンは幼体で、頭骨にはバシロサウルスにつけられたと考えられる歯形がついているそうです。これはドルドが生きているときに、バシロサウルスが獲物を効率的に仕留めるためにつけた傷だと、研究者は考えています。
 今回バシロサウルスの化石が発見された地層からは、幼体から亜成体のドルドンの化石が成体のドルドンの化石と同じくらい産出しているそうです。このため、当時この場所はドルドンの繁殖地だったと考えられています。そして幼体のドルドンがたくさんいるこの場所は、バシロサウルスにとって絶好の狩場だったと、研究者は考えています。
 今回歯の化石が発見されたカルカロクルス・スコロヴィはバシロサウルスに食べられた獲物ではなく、バシロサウルスの死骸を食べていたと考えられるそうです。

Stomach contents of the archaeocete Basilosaurus isis: Apex predator in oceans of the late Eocene. PLOS ONE, e0209021

2019/1/20

歯もクジラひげもないヒゲクジラの化石が発見されました。

 アメリカ合衆国オレゴン州の約3300万年前(新生代古第三紀漸新世初期)の地層から1970年代に発見されたクジラの化石が新属新種だということがわかり、Maiabalaena nesbittaeと名付けられました。Maiabalaenaの頭骨を調べた結果、歯がなく、しかもクジラひげがつくには上顎が薄く狭かったらしいということがわかったそうです。Maiabalaenaには歯もクジラひげもなかったと、研究者は考えています。
 クジラ類の進化で大きな変化は2回あったといわれています。1つが陸上から水中への進出、もう一つがクジラひげを獲得しろ過食をするようになったことです。ヒゲクジラは歯をもつ祖先から進化したと考えられています。しかしクジラひげは化石に残りにくいため、クジラひげを獲得したのが歯を消失する前なのか歯を消失した後なのかはわかっていません。
 系統分析の結果、Maiabalaenaは原始的なヒゲクジラという結果が出たそうです。今回の発見から、ヒゲクジラは歯を消失した後にクジラひげを獲得したと、研究者は考えています。
 舌骨の大きさと形から、Maiabalaenaは水を勢いよく吸い込んで魚やイカを食べていたと、研究者は考えています。

11/29 SmithonianTooth Loss Precedes the Origin of Baleen in Whales. Current Biology

2018/12/1

ボリビアから新種の滑距類の化石が発見されました。

 南米大陸は、約1億2000万年前〜約1億年前(中生代白亜紀中ごろ)にアフリカ大陸と離れて以降、約1500万年前〜約1300万年前(新生代新第三紀中新世中期)に北米大陸とつながるまで、ほとんどの期間、島大陸でした。このため、北米大陸とつながる前の南米大陸では独自の哺乳類が進化してきました。
 滑距類は、ウマまたはラクダに似た南米特有の有蹄類です。今回、ボリビアの約1300万年前の地層から、滑距類の新種2種の化石が発見されました。この2種はそれぞれ、Theosodon arozquetaiLlullataruca shockeyiと名付けられました。
 南米大陸の南部では新生代の哺乳類の化石が多く発見されますが、北部ではこれまでほとんど発見されてきませんでした。今回の発見により、アルゼンチンでは約2000万年前に姿を消したと考えられているLlullatarucaの仲間が、ボリビアではそれよりも700万年長く生き残っていたということがわかったそうです。

6/27 Case Western Reserve universityTwo new macraucheniids (Mammalia: Litopterna) from the late middle Miocene (Laventan South American Land Mammal Age) of Quebrada Honda, Bolivia. Journal of Vertebrate Paleontology

2018/7/1

白亜紀前期の地層から哺乳形類ハラミヤ類の化石が発見されました。

 アメリカ合衆国ユタ州の約1億3900万年前〜約1億2400万年前(中生代白亜紀前期)の地層から、新属新種の哺乳形類の化石が発見され、Cifelliodon wahkarmoosuchと名付けられました。発見された頭骨の長さは7cm、体重は0.91〜1.27kgと推定されています。頭骨をCTスキャンで調べた結果、脳が小さく、嗅球が大きいということがわかったそうです。また、眼窩は小さいそうです。Cifelliodonは夜行性で、嗅覚を使って食物を探していたと、研究者は考えています。Cifelliodonの歯の形は、現生の果実食のコウモリの歯の形によく似ているそうです。
 Cifelliodonはその歯の形から、Hahnodontidaeに属すると、研究者は考えています。Hahnodontidaeについては、哺乳類の多丘歯類に属するという説と哺乳形類のハラミヤ類に属するという説がありますが、Cifelliodonの頭骨の特徴から、Hahnodontidaeはハラミヤ類に属すると、研究者は考えています。これまで、確実にハラミヤ類と思われる化石は三畳紀後期からジュラ紀後期の地層からしか発見されていませんでした。Hahnodontidaeがハラミヤ類ならば、ハラミヤ類が白亜紀前期まで生きており、そしてゴンドワナ大陸とローラシア大陸にまたがって広く分布していたことになります。そしてこの両大陸が白亜紀前期までつながっていた証拠になると、研究者は考えています。

5/23 University of Southern CaliforniaLate-surviving stem mammal links the lowermost Cretaceous of North America and Gondwana. Nature

2018/5/27

漸新世後期の地層から、歯をもたないヒゲクジラの化石が発見されました。

 ニュージーランドの約2750万年前(新生代古第三紀漸新世後期)の地層から、新属新種のヒゲクジラ類の化石が発見されました。非常に初期のヒゲクジラの化石になります。今回発見されたヒゲクジラは、Toipahautea waitakiと名付けられました。その顎の形から、Toipahauteaは歯をもたず、クジラひげをもっていたと、研究者は考えています。
 クジラひげの獲得は、クジラの進化で非常に大きな出来事でした。現在発見されている、Toipahauteaより古いヒゲクジラ類は、歯とクジラひげの両方をもっていたと考えられています。漸新世後期のToipahauteaが完全なクジラひげをもっていたことから、ヒゲクジラの歯からクジラひげへの完全な移行は漸新世前期に起こったのではないかと、研究者は考えています。

4/18 University of OtagoA new archaic baleen whale Toipahautea waitaki (early Late Oligocene, New Zealand) and the origins of crown Mysticeti. Royal Society Open Science, 5(4), 172453

2018/4/29

群れで歩いていたコロンビアマンモスの足跡の化石が発見されました。

 アメリカ合衆国オレゴン州の約4万3200年前の地層から、コロンビアマンモスの足跡の化石が発見されました。幅8m、長さ20mの範囲に、4体の成体、1体の1歳の幼体、1体の生まれたばかりの幼体の歩行跡が保存されています。このうち、1体の成体の歩行跡は20mの長さで続いているそうです。
 コロンビアマンモスは、現在のゾウのように雌と幼体で構成された群れで行動していたと、研究者は考えています。また、発見された足跡の中には片足を引きずって歩いていたと考えられる足跡があるそうです。そして、2体の幼体の足跡が、その片足を引きずっていたと思われる足跡に近づいたり遠ざかったりしながら続いているそうです。この2体は、傷ついた成体を気にかけながら歩いていたと研究者は考えています。このような行動は、現在のアフリカゾウでも見られるそうです。

2/12 University of OregonLate Pleistocene mammoth trackway from Fossil Lake, Oregon. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology

2018/2/18

ジュラ紀のハラミヤ類が独特の中耳をもっていたらしいということがわかりました。

 ハラミヤ類は中生代に生きていた哺乳形類または哺乳類です。ハラミヤ類のArboroharamiyaは、2013年に中国の約1億6400万年前〜1億5900万年前(中生代ジュラ紀中期〜後期)の地層から発見され、樹上性ではないかと考えられました。今回、Arboroharamiyaの新たな化石が発見されました。この化石には飛膜の痕跡が残っており、Arboroharamiyaは滑空していたらしいということがわかったそうです。今回発見されたArboroharamiyaは新種と考えられ、Arboroharamiya allinhopsoniと名付けられました。ハヤミヤ類の多くが滑空していたのではないかと、研究者は考えています。
 A. allinhopsoniの中耳には、アブミ骨、キヌタ骨、ツチ骨、ectotympanic、上角骨の5つの骨があるそうです。このような中耳の構造はこれまでどの哺乳類、哺乳形類でも発見されていませんでした。

A Jurassic gliding euharamiyidan mammal with an ear of five auditory bones. Nature, 551, 451-456

2017/11/26

カワウソの巨大な絶滅種の噛む力が非常に強かったらしいということがわかりました。

 カワウソ類は水中での生活と狩りに適応した食肉類です。現生のカワウソ類の食性は、魚食、雑食、貝食など多様です。Siamogale melilutraは約600万年前(新生代新第三紀中新世後期)の中国南西部に生きていたカワウソ類です。体重は50kgと推定されており、現生種、化石種を含めて最大級の大きさです。
 今回、コンピューターシミュレーションを用いて、噛むときにSiamogaleの顎にどのように力がかかるか、そして顎がどれくらいゆがむかが調べられました。この結果、Siamogaleの顎は非常にゆがみにくいということが分かったそうです。現生のカワウソ類の場合、顎のゆがみにくさはサイズに比例します。Siamogaleの顎は、現生のカワウソ類のデータと比較すると、6倍もゆがみにくいという結果が出たそうです。このことは、Siamogaleの噛む力が非常に強かったことを意味します。大きな貝や、鳥や小さな哺乳類の骨を噛み砕くくらいの強さがあったのではないかと、研究者は考えています。

11/8 University at BuffaloFeeding capability in the extinct giant Siamogale melilutra and comparative mandibular biomechanics of living Lutrinae. Scientific Reports

2017/11/12

マンモスの化石では雄の割合が高いらしいということがわかりました。

 今回、シベリアを中心に発見されたマンモスの化石の遺伝子が分析され、性別が調べられました。この結果、今回分析された83体と、これまでの研究で分析されていた15体、計98体のうち、66体が雄で29体が雌らしいということがわかったそうです(3体は判別できなかったそうです)。
 雄と雌は同じくらいの割合で生まれていたと考えられています。それに比べて、化石では雄が7割近くと高い割合になっています。現在のゾウと同じように、雌のマンモスは複数の雌と幼体で群れを作り、雄のマンモスは群れを作っていなかったと研究者は考えています。このため、群れにいる雌は経験豊富な雌に率いられて沼、裂け目、湖などの天然の罠を回避できたのに対し、群れに入れない雄は天然の罠にかかって命を落とすことが多かったのではないかとのことです。

11/2 ScienceDailyGenome-Based Sexing Provides Clues about Behavior and Social Structure in the Woolly Mammoth. Current Biology

2017/11/3

スミロドンの骨格は生まれつきがっしりしていたらしいということがわかりました。

 スミロドンなどの一部の犬歯虎類の骨格は、ほかのネコ科の動物よりもがっしりしていることが知られています。特にスミロドンの骨は、同じくらいのサイズのネコ科動物のほとんどよりがっしりしており、皮質骨(骨の表面の硬く緻密な部分)が厚くなっています。犬歯虎類はがっしりした前肢を獲物の体を押さえつけるのに使っていたと考えられています。
 しかし、犬歯虎類がどのようにがっしりした骨格を成長させていたかはこれまでわかっていませんでした。今回、アメリカ合衆国カリフォルニア州にある、ランチョ・ラ・ブレアから産出した化石を使って、スミロドンがどのように成長していたかが調べられ、アメリカライオン(Panthera atrox)の結果と比較されました。
 この結果、スミロドンの骨はアメリカライオンと同じように、成長するにつれて太さよりも長さのほうがより大きく増加し、細くなっていくことがわかったそうです。スミロドンの骨は成長するにつれて太くなっていったわけではなく、生まれたときからほかのネコ科動物よりもがっしりしていたと、研究者は考えています。

9/28 ScienceDailyDid saber-tooth kittens grow up musclebound? A study of postnatal limb bone allometry in felids from the Pleistocene of Rancho La Brea. PLOS ONE, 12(9), e0183175

2017/10/1

初期の人類のものと思われる足跡の化石がギリシャから発見されました。

 人類はアフリカで出現し、出現してから数百万年間はアフリカにとどまっていたと考えられています。
 今回、ギリシャ、クレタ島の約570万年前(新生代新第三紀中新世後期)の地層から、足跡の化石が発見されました。2足歩行で踵をつけて歩き、指の本数は5本、そして親指が大きいなど、発見された足跡には人類の後ろ足によく似た特徴がみられるそうです。初期の人類によってつけられた可能性があると研究者は考えています。
 現在のところ、180万年前よりも古い人類の化石は、アフリカからしか発見されていません。今回発見された足跡は最古の人類サヘラントロプスよりも新しいものの、次に古いオロリンと同じくらいの時代のものです。今回の足跡は560万年前に地中海が干上がった時の地層の直前の地層から発見されているうえに、上下の地層から産出した有孔虫の化石も分析しているため、化石が発見された570万年前という年代は確度が高いそうです。
 今回の足跡がつけられた時期にはサハラ砂漠はなく、サバンナのような環境がアフリカ北部から地中海東部まで広がっていたと考えられています。また、クレタ島はギリシャ本土からまだ分離していなかったとみられています。このため、初期の人類がアフリカからヨーロッパを通ってギリシャまでやってきた可能性もあると、研究者は考えています。しかし同時に、収斂進化によって人類のような後ろ足を獲得した未発見の霊長類によってつけられた可能性も考えられるそうです。

8/31 Uppsala UniversityPossible hominin footprints from the late Miocene (c. 5.7 Ma) of Crete? Proceedings of the Geologists' Association

2017/9/10

特殊化した食性をもった初期のハクジラが発見されました。

 アメリカ合衆国カリフォルニア州の新生代古第三紀漸新世前期(約3390万年前〜約2790万年前)の地層から、新属新種のハクジラの化石が発見されました。
 Inermorostrum xenopsと名付けられたこのハクジラは、全長約1mと推定されています。吻部は現生種、化石種含めて現在知られているクジラの中で最も短く、歯をもっていないそうです。海底付近で、魚やイカ、やわらかい無脊椎動物などを吸い込んで食べていたと、研究者は考えています。また吻部の骨の形から、大きな唇やひげをもっていたのではないかとも、考えられています。
 Inermorostrumはハクジラとヒゲクジラが出現してから400万年もしないうちに出現した初期のハクジラにも関わらず、獲物を吸い込んで食べるという特殊化した食性をもっていました。漸新世はクジラが多様化した時代です。漸新世にはInermorostrumのほかにも特殊化した食性をもっていた種がいくつもいたことから、食性の多様化がクジラの多様化の引き金になったのではないかと、研究者は考えています。

8/23 ScienceDailyA toothless dwarf dolphin (Odontoceti: Xenorophidae) points to explosive feeding diversification of modern whales (Neoceti). Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 284(1861), 20170531

2017/8/27

トルコから、ネコくらいの大きさの肉食の後獣類の化石が発見されました。

 トルコの約4400万年前〜約4300万年前(新生代古第三紀中新世中期)の地層から、新属新種の哺乳類の化石が発見され、Anatoliadelphys maasaeと名付けられました。
 発見された化石では、頭部を含む体の大部分が保存されているそうです。歯と骨の特徴から、Anatoliadelphysは有袋類にとても近い種類であると、研究者は考えています。体重は3〜4kgとイエネコと同じくらいの大きさで、木に登ることができたと考えられています。また臼歯が幅広いことから、骨などの硬いものを噛み砕くことができたとみられています。甲虫、陸棲巻貝、カエル、トカゲ、小さい哺乳類、さらには植物など、いろいろなものを食べていたと研究者は考えています。
 有袋類を含む後獣類は中生代に北半球で出現したと考えられています。しかし白亜紀末の大量絶滅で北半球ではほぼ絶滅し、北米でわずかに生き延びたのみと考えられています。その後、当時陸続きになっていたグリーンランドを通ってヨーロッパに広がっていきましたが、新生代の北半球の後獣類はどれもネズミくらいの大きさで昆虫を食べていたと、これまで考えられてきました。しかし今回のAnatoliadelphysの発見により、新生代の北半球の後獣類の生態がより多様だったらしいということがわかりました。

8/17 University of SalfordSkeleton of an unusual, cat-sized marsupial relative (Metatheria: Marsupialiformes) from the middle Eocene (Lutetian: 44-43 million years ago) of Turkey. PLOS ONE, 12(8), e0181712

2017/8/20

クジラひげの進化の仕方がわかりました。

 シロナガスクジラなどのヒゲクジラは歯をもたず、上顎から生えた繊維状のクジラひげを使って、海水中からプランクトンをこしとって食べています。ヒゲクジラが歯をもつクジラから進化したことはわかっていますが、クジラひげが歯がなくなった後に進化したのか、またはクジラひげが進化した後に歯がなくなったのかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、アメリカ合衆国サウスカロライナ州の新生代古第三紀漸新世(約3310万年前〜約2300万年前)の地層から発見された新属新種のヒゲクジラが報告されました。Coronodon havensteiniと名付けられたこのヒゲクジラには歯があるそうです。前の方の歯は、その形と摩耗の仕方から大きな獲物を捕まえるのに使われていたと考えられるそうです。一方、下顎の臼歯は幅広くとんがりがたくさんあり、小さな獲物を海水からこしとるのに使われていた考えられています。Coronodonは歯をクジラひげと同じように使い始めた段階にある種だと、研究者は考えています。
 その後、歯同士の間隔が広がり、歯ではなくクジラひげが生えるように進化していったと、研究者は考えています。

6/29 ScienceDailyThe Origin of Filter Feeding in Whales. Current Biology

2017/7/1

最古のヒゲクジラ類の化石が発見されました。

 ペルーの約3640万年前(新生代古第三紀始新世後期)の地層から、ヒゲクジラ類の化石が発見されました。これまで発見されていた最古のヒゲクジラ類は約3400万年前のものです。今回発見された化石はヒゲクジラ類としては最古のものになります。
 今回発見されたヒゲクジラ類はMystacodon selenensisと名付けられました。体長は3.8から4mと推定されています。ヒゲクジラ類はより古いクジラ類のバシロサウルス類から進化し、漸新世前期(約3390万年前〜約2810万年前)にヒゲを進化させたと考えられています。Mystacodonは歯をもっているものの、その磨耗の仕方は魚やほかの動物を襲って食べていたと考えられているバシロサウルス類とは違っているそうです。Mystacodonの口は小さな動物を吸い込むのに適しており、バシロサウルス類の肉食と現在のヒゲクジラ類のようなプランクトンを大量に食べる食性との中間の食性をもっていたと、研究者は考えています。また、前ヒレの特徴から、Mystacodonは海底のすぐ上を泳いで獲物をとっていたのではないかとも、考えられています。
 またMystacodonの化石には前ヒレだけではなく後ヒレも残っていたそうです。現在のクジラ類には前ヒレしかありません。これまで、後ヒレはバシロサウルス類で退化して無くなったと考えられてきました。しかし今回、Mystacodonで後ヒレが発見されたことにより、後ヒレはこれまで考えられていたよりも長く残っていたこともわかりました。

5/11 ScienceDailyEarliest Mysticete from the Late Eocene of Peru Sheds New Light on the Origin of Baleen Whales. Current Biology

2017/5/14