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| ・歯化石 | 2010年 7/18(日) サルと類人猿が枝分かれする直前の種の化石が発見されました。 サウジアラビアの新生代新第三紀漸新世前期(約2800万年前~約2900万年前)の地層から,霊長類の化石が発見されました。これはサルと類人猿が枝分かれする直前の霊長類の化石だと考えられています。 サルと類人猿が共通の祖先から枝分かれして進化したことは知られています。この共通祖先は狭鼻猿類だと考えられています。しかしいつ枝分かれしたのか,そして枝分かれする直前の共通祖先がどのような顔をしていたかはわかっていませんでした。 今回発見された霊長類は,Saadanius hijazensisと名づけられました。この鼓室小骨は筒状に飛び出しているそうです。これは原始的な狭鼻猿類ではなく,サルと類人猿と共通した特徴です。しかしS. hijazensisはサルにも類人猿にも見られない特徴ももつことから,サルと類人猿が枝分かれする直前の種だと研究者は考えています。(7/15 ScienceDaily,New Oligocene primate from Saudi Arabia and the divergence of apes and Old World monkeys, Nature, 466(7304), 360-364) 7/4(日) これまで知られている中で最大の,獲物を噛んで食べる捕食者の化石が発見されました。 現生のマッコウクジラは,体長約12~18m,上顎の歯は退化し,イカなどの頭足類を吸い込んで食べています。これに対し,絶滅したマッコウクジラ類は体長は現生のマッコウクジラには及びませんが,現生のシャチのように獲物を捕まえて食べていたと考えられています。 今回,ペルーの新生代新第三紀中新世中期(約1300万年前~約1200万年前)の地層から,新種の巨大なマッコウクジラの化石が発見されました。長さ約3mの頭骨に,長さ最大36cm,直径最大12cmの巨大な歯が並んでいたそうです。Leviathan melvilleiと名づけられたこのマッコウクジラは,これまで知られている中で最大の,獲物を噛んで食べる捕食者だと考えられています。(The giant bite of a new raptorial sperm whale from the Miocene epoch of Peru, Nature, 466(7302), 105-108) 6/20(日) 恐竜の骨に,哺乳類の最古の歯形がついているのが発見されました。 中生代白亜紀後期(約7500万年前)の地層から採取された複数の骨に,齧られた痕があるのが発見されました。歯形があるのが見つかったのは,アルバータ大学やロイヤルティレル博物館に展示されている標本,そしてカナダ,アルバータ州でのフィールド調査の間に発見された標本などです。 水棲の爬虫類チャンプソサウルスの大たい骨,ハドロサウルス類または角竜類と思われる恐竜の肋骨,鳥盤類とおもられる恐竜の肋骨,そして有袋類の下顎骨などに歯形が見られたそうです。 上の歯で齧られた痕と下の歯で齧られた痕が同じ位置についているため,この歯形は哺乳類によって付けられたものだと考えられています。当時,このような特徴の歯をもつ動物は哺乳類だけでした。現在発見されている中で,哺乳類の歯形はこれが最古になります。 この歯形を付けた哺乳類はリスくらいの大きさで,肉を食べるというより,骨に含まれるミネラルを摂取するために骨を齧っていたと研究者は考えています。(6/17 ScienceDaily,Mammalian tooth marks on the bones of dinosaurs and other Late Cretaceous vertebrates, Palaeontology, Early View) 4/17(土) 群馬県で,ヒゲクジラの新属新種の化石が発見されました。 群馬県高崎市の新生代新第三紀中新世後期(約1100万年前)の地層から発見されたクジラの化石が,ヒゲクジラの狭義のケトテリウム科の新属新種であることがわかり,ジョウモウケタス・シミズアイ(Joumocetus shimizui)と名づけられました。 ジョウモウケタスはこれまで太平洋で発見された狭義のケトテリウム科の中で最古の属だそうです。原始的な特徴が多く見られ,狭義のケトテリウム科の根幹的な属だと研究者は考えています。(A New Baleen Whale (Mysticeti: Cetotheriidae) from the Earliest Late Miocene of Japan and a Reconsideration of the Phylogeny of Cetotheres, Journal of Vertebrate Paleontology, 30(2), 577-591) 2/21(日) クジラの多様性は珪藻の多様性と連動して変化してきたらしいということがわかりました。 クジラの化石記録に関する数千の出版物が調べられ,クジラの多様性とほかのさまざまな生物の多様性との関係が調べられました。この結果,約3000万年前から現在まで,植物プランクトンである珪藻の多様性と連動して,クジラの多様性が増減してきたことがわかったそうです。 珪藻は光合成によって栄養分を作り出す一次生産者です。一次生産者の増減が,クジラのように食物連鎖の頂点にいる動物の多様性に影響を与えることが初めてわかったと研究者は述べています。(2/19 ScienceDaily,Climate, Critters, and Cetaceans: Cenozoic Drivers of the Evolution of Modern Whales, Science, 327(5968), 993-996) 2009年 12/27(日) オーストラリアから,原始的なヒゲクジラの化石が発見されました。 オーストラリアのヴィクトリア州で1930年代に発見されたクジラ,Mammalodon colliveriが,まだ歯のある段階の,原始的なヒゲクジラであるらしいということがわかりました。 M. colliveriは,新生代古代三紀漸新世(約2500万年前)の地層から発見されました。舌と短く先端の尖った口先を使って海底の砂や泥の中から獲物を吸い出して食べていたと研究者は考えています。(12/23 ScienceDaily,The morphology and systematics of Mammalodon colliveri (Cetacea: Mysticeti), a toothed mysticete from the Oligocene of Australia, Zoological Journal of the Linnean Society, Early View) クジラが死んでから化石になるまでの過程が明らかにされました。 2006年,スペイン南部の約450万年前(新生代新第三紀鮮新世前期)の地層から,ヒゲクジラの化石が発見されました。この化石に残った傷や,地層に残った,生物によって作られた穴などの化石(生痕化石)から,このクジラが死んでから化石になるまでの過程が調べられました。 この結果,この化石は幼体の化石で,死んで水深30~50mの海底に沈んだらしいということがわかったそうです。そして骨にたくさんのサメの歯が刺さっていることから,死後,サメなどの脊椎動物やまた無脊椎動物によって食べられたらしいとも推測されています。 また,骨には二枚貝Neopycnodonte cochlearがたくさん付いていたそうです。このことから,クジラが沈んだ海底の堆積物の堆積速度は遅く,かなり長い間骨が海底に露出していたと考えられています。(12/22 ScienceDaily,Taphonomy of a Mysticeti whale in the Lower Pliocene Huelva Sands Formation (Southern Spain), Geologica Acta, 7(4), 489-504) 11/8(日) フランスから,最古の有袋類の化石が発見されました。 フランスの中生代白亜紀中期(約9900万年前)の地層から,有袋類の歯の化石が発見されました。Arcantiodelphys marchandiと名付けられたこの有袋類は,これまで発見されている中で最古の有袋類です。 これまで,初期の有袋類のほとんどは北米から発見されていました。今回の発見により,初期の有袋類がヨーロッパにも生息していたこと,そして白亜紀中期に,北米とヨーロッパの動物相につながりがあったことが確かめられたと研究者は考えています。(11/6 ScienceDaily,The oldest modern therian mammal from Europe and its bearing on stem marsupial paleobiogeography, Proceedings of the National Academy of Sciences, Earlt Edittion) 8/13(木) 始新世の間,北米では気温の変化に伴って,動植物の多様性も変化していたらしいということがわかりました。 新生代古第三紀始新世(約5580万年前~約3390万年)の間の北米の気温の変化と,生息していた植物と動物の化石記録が調べられました。この結果,気温が上がると動植物の多様性が増加し,逆に気温が下がると多様性は減少していたらしいということがわかったそうです。 始新世は温暖化が進んだと考えられている時代です。約5300万年前から約5000万年前まで,Early Eocene Climatic Optimum(EECO)と呼ばれる,気候が著しく温暖になったと考えられている時期がありました。今回の研究により,この期間,年平均気温は15℃から23℃に上昇し,新しい植物が出現して植生が変化し,哺乳類は90属から104属に増加したということがわかったそうです。しかしこの後気温は低下し,哺乳類も84属に減少したということもわかったそうです。 北米の脊椎動物を研究している古生物学者の間ではこれまで,暁新世から始新世の間(約6550万年前~約3390万年前),気候の変化は哺乳類の進化をわずかに促進する以外,哺乳類の進化に大きな影響を与えてこなかったと考えられてきました。例外として,寒冷化が進み,南極大陸に氷床ができ始めた始新世末の気候変動で陸上哺乳類の多様性が減少したことが挙げられているだけでした。 しかし今回の研究で,全地球的な気候の変化が,植物や動物に大きな影響を与えることが示されたと,研究者は考えています。(8/10 ScienceDaily,Climate directly influences Eocene mammal faunal dynamics in North America, Proceedings of the National Academy of Sciences) 7/12(日) スペインからケナガマンモスの化石が発見されました。 スペイン・グラナダの約3万6000年前~約2万6000年前(新生代新第三紀更新世後期)の地層から,ケナガマンモスの化石が発見されました。この地域は北緯37度に位置し,今回発見された化石はヨーロッパで最も南で発見されたケナガマンモスの化石になるそうです。 グラナダで発見された複数のケナガマンモスの化石を調べた結果,このケナガマンモスは偶然このような南の地域に来たのではなく,グラナダに生息していたらしいということがわかったそうです。またもっと北の地域で発見されたケナガマンモスとなんら違いは見られないそうです。 ケナガマンモスが北緯37度のような南の地域まで移動したのは,マンモスステップと呼ばれる,ケナガマンモスが好む植生が南の方まで広がっていたからだ研究者は考えています。スペインや地中海の地層からマンモスステップの植物が発見されているそうです。 ケナガマンモスが北緯40度以南で発見されるのは,ヨーロッパだけではないそうです。北米やアジアからも発見されているそうです。これらの地域にケナガマンモスが広がったのはほぼ同時期だと考えられています。これは大西洋北東部と太平洋北西部で連動して起こった気候の変化に関係していると研究者は考えています。(7/9 ScienceDaily,The Padul mammoth finds — On the southernmost record of Mammuthus primigenius in Europe and its southern spread during the Late Pleistocene, Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 278(1-4), 57-70) 6/28(日) 最古のゾウの化石が発見されました。 モロッコの約6000万年前(新生代古第三紀暁新世中期)の地層から,現在へとつながる系統の中で最古級の有蹄類の化石が発見されました。Eritherium azzouzorumと名付けられたこの化石種は,最古の長鼻目(ゾウの仲間)とも考えられています。 E. azzouzorumは体重約4~5kgと小さく,非常に原始的な特徴を備えているそうです。このことは,長鼻目が暁新世から始新世にかけて急激に進化したこと,そしてアフリカの有蹄類が白亜紀末の大量絶滅後にあいたニッチ(生態的地位)に対応して,急激に多様化したことを示唆していると研究者は考えています。(6/26 ScienceDaily,Paleocene emergence of elephant relatives and the rapid radiation of African ungulates, Proceedings of the National Academy of Sciences) 初期の霊長類の脳がどのようになっていたかがわかりました。 約5400万年前(新生代古第三紀始新世前期)の地層から,非常に保存状態の良い霊長類の頭骨の化石が発見されました。Ignacius graybullianusと名付けられたこの種は,ヒトへとつながる霊長類の系統から枝分かれした種類であると考えられています。現生の霊長類と同じように果物を食べ,樹上生活をしていたと考えられていますが,木から木へとと飛び移ることはできなかったと考えられています。 CTスキャンを用いて様々な角度からI. graybullianusの頭骨の断面が撮影され,脳の形が3次元的に復元されました。この結果,I. graybullianusの脳は現生の霊長類の中で最も小さい脳を持つ種の脳の1/2~2/3の大きさしかないことがわかったそうです。またI. graybullianusは嗅覚が発達し,視覚はそれほど発達していなかったということが推測できるそうです。 これまで,霊長類の脳が大きくなった理由について,様々な説が議論されてきました。今回の研究により,脳の小さいI. graybullianusが果物を食べ,樹上生活をしていたと考えられることから,植物食と樹上生活は,脳が大きくなった原因から除外できると研究者は考えています。しかしI. graybullianusでは視覚は未発達であることから,視覚の発達が脳が大きくなった原因である可能性があると研究者は考えています。(6/23 ScienceDaily,Virtual endocast of Ignacius graybullianus (Paromomyidae, Primates) and brain evolution in early primates, Proceedings of the National Academy of Sciences) 6/7(日) 哺乳類が,気候にあわせて食性を変化させていたらしいということがわかりました。 フロリダの2か所の,氷期(約190万年前)と間氷期(約130万年前)の地層から採集された哺乳類の歯の化石が調べられました。歯の成分を調べることによって,その哺乳類が何を食べていたかを推定することができます。この哺乳類には,シカ,ラマ,ペッカリー,バク,ウマ,マストドン,マンモスなどが含まれているそうです。 この研究の結果,同じ哺乳類でも,氷期の間は主に木を,間氷期には木と草を食べていたらしいということがわかったそうです。 これまで,気候や環境が変わっても哺乳類の食性は変わらないと考えられてきました。しかしこの研究によって,哺乳類が,気候にあわせて食性を変化させていたらしいということがわかりました。(6/3 ScienceDaily,Effects of Global Warming on Ancient Mammalian Communities and Their Environments, PLoS ONE, 4(6)) 5/24(日) 約4700万年前のキツネザルの仲間のほぼ完全な化石が発見されました。 ドイツの約4700万年前(新生代古第三紀始新世中期)の地層から発見された,曲鼻猿亜目(キツネザルなどの仲間)の化石がCTやX線などを用いて調べられました。この標本の保存状態はとてもよく,体の約95%が残り,体の輪郭や消化器官の内容物まで確認できるそうです。新属新種で,Darwinius masillaeと名付けられました。 研究の結果,この化石は生後約9ヶ月の雌で,果物や種子,葉などを食べていたことがわかったそうです。また曲鼻猿亜目に特徴的な歯櫛(くし状の歯)やかぎ爪が見られないことなどから,D. masillaeは直鼻猿亜目(メガネザルやチンパンジーなど)への初期の進化を示す種類だと考えられています。(5/19 ScienceDaily,Complete Primate Skeleton from the Middle Eocene of Messel in Germany: Morphology and Paleobiology, PLoS ONE, 4(5)) 4/26(日) 4本の足をもったアザラシの祖先の化石が発見されました。 カナダ,デボン島の約2300万年前~約2000万年前(新生代新第三紀中新世前期)の地層から,アザラシの最も原始的な祖先の化石が発見されました。Puijila darwiniと名付けられたこの哺乳類は,体長約1.1m,長い尾と頑丈な四肢をもち,指の間には水かきが付いていたそうです。水中と同じように陸上でも自由に動き回ることができたと考えられています。 四肢がヒレに変化し現在では水中生活に適応しているクジラやマナティなどは,4本の足をもった陸棲哺乳類から進化してきたことが化石記録からわかっています。アザラシも同様に,陸棲哺乳類から進化してきたと考えられていましたが,四肢をもつ祖先の化石はこれまで発見されていませんでした。 P. darwiniは,アザラシの陸上生活から水中生活への体の構造の変化を知る上で重要な発見であると研究者は考えています。(4/22 National Geographic News,A semi-aquatic Arctic mammalian carnivore from the Miocene epoch and origin of Pinnipedia, Nature, 458(7241), 1021-1024) 2/13(金) イングランドからの白亜紀の地層から,48種の新種の化石が発見されました。 イングランド・ワイト島の約1億3000万年前(中生代白亜紀前期)の地層から,48種の新種の化石が発見されました。その中には,恐竜,トカゲ,カエル,サンショウウオ,そしてトガリネズミを含む6種の哺乳類が含まれているそうです。 これまで動物化石の採集には,風雨や波によって地層が浸食されて露出した化石を採集するという方法がとられてきました。この方法では,ある程度の大きさのある化石しか採集できません。しかし今回は,約3.5トンの泥岩が採取され,それを洗浄と篩いにかけて砂の粒子のみを残し,その粒子の1つ1つを顕微鏡で観察するという方法がとられました。こうして,従来の方法では見つからなかった小さな骨や歯が発見されたそうです。 これまで,白亜紀前期にワイト島に生息していた大型の動物種についてはたくさんの発見がなされてきましたが,小型の動物種についてはほとんど発見がなされてきませんでした。今回の発見により,恐竜と一緒に生きていた小さな生物について,詳細な情報が得られると研究者は考えています。(2/9 ScienceDaily) 2/5(木) 初期のクジラの胎児の化石が始めて発見されました。 パキスタンで発見された約4750万年前(新生代古第三紀始新世中期)のクジラの化石2体を調べた結果,この2体は同じ種の雄と雌の化石で,雌は妊娠していることがわかったそうです。この種は原鯨亜目の新種で,Maiacetus inuusと名付けられました。 原鯨亜目の胎児の化石が発見されたのは,今回が初めてです。胎児は,出産のときに頭部が最初に出てくる姿勢で化石化していたそうです。これは陸棲哺乳類と同じ姿勢ですが,水中で出産する現生のクジラとは逆です。このことから,M. inuusは陸上で出産していたと考えられています。また,胎児にはすでに立派な歯が備わっており,誕生直後から自分で身を守っていたことが示唆されるそうです。 同時に調べられた雄の化石は雌の化石と同じような体の特徴をもっていましたが,体の大きさは12%,犬歯の大きさは20%,雌よりも大きかったそうです。このようなサイズの違いは,雌の方が大きかったり雄の方が大きかったりという違いはありますが,クジラやその仲間では珍しくないそうです。M. inuusの雌雄間のサイズの違いはそれほど大きいものではなく,雄は縄張りを支配して雌がたくさん集まるハーレムを作っていたわけではないと考えられています。 M. inuusの歯は大きく魚を捕食するのに適した形をしていることから,普段は水中で生活し,休んだり交尾をしたり出産をしたりするときにだけ陸上に上がっていたと考えられています。他の原始的な原鯨類と同じようにM. inuusはまだヒレになっていない4本の肢をもっていますが,陸上で自分の体重を支えることはできても,自由に動き回ることはできなかったと考えられています。M. inuusは沿岸域に生息し,海と陸とを行き来して生活していたと考えられています。 M. inuusは完全に陸上で生活していた段階と完全に水中に適応した段階の中間の段階にある種だと考えられています。このため,生息場所の変化に伴う体の構造や行動の変化について,貴重な新しい情報が得られると期待されています。(2/4 ScienceDaily,New Protocetid Whale from the Middle Eocene of Pakistan: Birth on Land, Precocial Development, and Sexual Dimorphism, PLos One, Feb 4, 2009) 1/3(土) 中国から,新種のチーターの化石が発見されました。 中国の新生代新第三紀鮮新世後期(約250~220万年前)の地層から,チーターの頭蓋骨の化石が発見されました。形と大きさは現生のチーターの頭骨とほぼ同じで,歯が原始的な形をしているそうです。新種と考えられ,Acinonyx kurteniと名付けられました。 現在,チーターはアフリカ以外ではイランにほんのわずかに生息しているのみですが,チーターの仲間の化石は,アフリカ,アジア,ヨーロッパ,インド亜大陸,そして北米と,様々な地域から発見されています。チーターは北米で出現し,ベーリング陸橋を通ってアラスカからシベリアへと渡っていったと考える研究者もいます。 しかし,A. kurteniの歯は,アメリカで発見された種の歯よりも原始的な形をしているので,このチーターを記載した研究者は,チーターはアフリカまたはヨーロッパで出現したと考えています。(12/29 National Geographic News,A primitive Late Pliocene cheetah, and evolution of the cheetah lineage, Proceedings of the National Academy of Sciences,Early Eddition ) 2008年 11/12(水) ドイツで,ヨーロッパで最古のケサイの化石が発見されました。 ドイツの約46万年前(新生代新第三紀更新世中期)の地層から発見された化石が,最古のケサイの化石であることがわかりました。当時は氷期に当たり,ヨーロッパには草原(マンモスステップ)が広がっていました。そしてマンモスやトナカイ,ジャコウウシなどの寒冷な気候に適応した動物が生息していました。 ケサイは体を長い毛に覆われた,寒冷気候に適応した哺乳類です。氷期の間ヨーロッパからアジアまで広い範囲に棲息していたと考えられています。今回調べられたC. tologoijensisの化石は,約46万年前に12歳で死んだ個体の化石であると考えられています。内陸にある氷河から流れ出した水によってできた三角州で死んだものと考えられています。 C. tologoijensisの祖先は約250万年前(新生代古第三紀漸新世後期)にヒマラヤ山脈の北部で進化したと考えられています。出現してから200万年間,ケサイ(Coelodonta属)はヒマラヤ山脈北部周辺にのみ棲息していましたが,気候が寒冷化・乾燥化するにしたがって分布を広げ,約46万年前,C. tologoijensisが最初にヨーロッパに進出したと研究者は考えています。最初,ケサイは木の葉など様々な植物を食べていましたが,気候が寒冷化し砂漠化が進むにつれて,草原に生える草だけを食べるように特殊化していったと考えられています。(11/11 ScienceDaily,The earliest immigration of woolly rhinoceros (Coelodonta tologoijensis, Rhinocerotidae, Mammalia) into Europe and its adaptive evolution in Palaearctic cold stage mammal faunas, Quarternary Science Reviews, 27(21-22), 1951-1961) 10/15(水) テキサス州西部で新種の霊長類の化石が発見されました。 アメリカ合衆国テキサス州西部の約4400万年前~約4300万年前(新生代古第三紀始新世中期)の地層から,新種の霊長類の化石が発見されました。Diablomomys dalquestiと名付けられたこの霊長類が棲息していた時代,テキサス州は熱帯林に覆われ,火山活動が活発だったと考えられています。 始新世の初めのころ,北米のほとんどは熱帯林に覆われ,霊長類がたくさん棲息していたと考えられています。しかしその後気候は寒冷化し,北米に棲息していた霊長類の数と多様性は大きく減少しました。始新世の終わり(約3390万年前)には霊長類と他の熱帯に適応した種のほとんどは北米から姿を消したと考えられています。 テキサス州からは,北米の他の地域よりもかなり多様な霊長類が発見されているそうです。テキサス州では温暖な気候が長く続いたため,北米の他の地域よりもかなり長く霊長類が留り続けたのだと研究者は考えています。始新世中期にユタ州やワイオミング州のような地域で霊長類の多様性が激しく減少しているとき,テキサス州西部は温暖で湿潤な気候を維持し,霊長類や他の樹上性の動物の避難所となっていたと考えられています。(10/14 PhysOrg.com,New Uintan Primates from Texas and their Implications for North American Patterns of Species Richness during the Eocene, Journal of Human Evolution, Articles in Press) 9/5(金) 絶滅直前のシベリアのマンモスは,北米起源だった可能性があることがわかりました。 ケナガマンモスはアフリカのマンモスを起源とし,ユーラシア大陸を通って北上していく間に長い毛を発達させて進化していったと考えられています。そしてシベリアから北米へは当時陸地だったベーリング陸橋をわたって移動していったと考えられています。 シベリアと北米のケナガマンモスのDNAが調べられた結果,約70万年前にシベリアから北米へマンモスが入っていき,約30万年前に今度は北米からシベリアにマンモスが入っていったらしいといういことがわかったそうです。その後シベリアにもともといたケナガマンモスは約4万年前に絶滅し,ケナガマンモスが絶滅する約1万年前まで,シベリアには北米起源のケナガマンモスが生息していたらしいということがわかったそうです。 しかしこの結果は,DNAの分析をした個体数が少ないこと,そして母親からのみ遺伝するミトコンドリアDNAだけしか分析していないことから,十分なデータから結論を導き出してはいないとの指摘があります。(9/4 National Geographic News) 8/13(水) 南米で初めて,シミターキャットの化石が発見されました。 南米ベネズエラの約180万年前(新生代新第三紀中新世前期)の地層から,ホモテリウム(Homotherium)の化石が発見されました。 ホモテリウムは約500万年前~約1万年前(新生代古第三紀始新世前期~新生代新第三紀完新世)に生きていたサーベルタイガーの仲間です。サーベルタイガーとして有名なスミロドンよりも小型で,三日月形の犬歯をもっていました。別名シミターキャットと呼ばれています。 これまで,ホモテリウムはアフリカ大陸,ユーラシア大陸,北米大陸にだけ生息していたと考えられてきました。しかし今回の発見により,南米大陸にも生息していたことが明らかになりました。この60年間の南米での発見の中で最も重要な発見であると研究者は述べています。(8/12 PhysOrg.com) 6/13(金) 国内最古級の哺乳類の化石が発見されました。 丹波竜が発見されたのと同じ篠山層群(約1億3900万年前~約1億3600万年前,中生代白亜紀前期)から,哺乳類の新種の化石が発見されました。現在のほとんどの哺乳類の共通祖先に近い種であると考えられています。これまで,石川県白山市の白亜紀前期の地層から発見された哺乳類の化石が最古とされてきましたが,今回の化石はそれより古い可能性があるそうです。 見つかったのは下顎の骨4点で,犬歯,大臼歯,小臼歯など8本の歯がほぼ完全な状態で発見されています。歯の形から,雑食で夜行性だったと考えられています。体長は十数cm,ネズミに近い姿をしていたと考えられています。 白亜紀前期の哺乳類化石は世界でも11例しか発見例が無く,哺乳類の進化を探る上で貴重な発見であると考えられています。(6/13 asahi.com,6/13 YOMIURI ONLINE) 4/15(火) ゾウの祖先は水棲動物だったらしいということがわかりました。 約3700万年前に生息していたゾウの祖先が,水生動物で,カバのような生活をしていたらしいということがわかりました。 約3700万年前にエジプト北部に生息していたゾウの仲間,バリテリウムとメリテリウムの歯の化学分析が行われました。エナメル質に蓄積された炭素や酸素などの同位体を調べた結果,この2属が川や沼などの淡水の沿岸に生える植物を食べていたらしいということがわかったそうです。分析された歯が採取されたエジプト北部は,始新世には亜熱帯雨林や沼で覆われていました。 バリテリウムとメリテリウムの歯の化学組成は,現生の水棲哺乳類と非常によく似ているそうです。このことから,ゾウは進化の初期には完全に水生か水陸両生だったということが示唆されるそうです。しかし,流線型の体やヒレのような形をした四肢など,完全に水生に適応した哺乳類に見られる構造が,バリテリウムとメリテリウムには見られないため,完全に水生に適応してはいなかったと研究者は考えています。メリテリウムは現生のカバのように半水生の生活をしていたことはほぼ確実だと研究者は述べています。 これまで,ゾウは完全に陸生の動物から進化し,その生態は進化の過程でほとんど変わらなかったと考えられてきました。この研究により,全く異なる生活をしていた祖先から,現在のゾウの生態がどのように形作られていったかが研究されるようになると研究者は述べています。このことにより,現生のゾウの形態と生態の起源についてより多くのことがわかるようになると考えられています。(4/15 BBC News,Proceedings of the National Academy of Sciences, Published online on April 14, 2008) 3/27(水) 南米の「小さなヤマザル」が,オーストラリア最古の有袋類から進化してきたらしいということがわかりました。 コアラ,カンガルーなどのオーストラリアの有袋類は全て,約5500万年前(新生代古第三紀暁新世末)に棲息していたDjarthiaという小さな有袋類から進化してきたと考えられています。今回,オーストラリア・クイーンズランド州から,このDjarthiaの足首と耳の骨が発見されました。この足首と耳の骨の研究から,Djarthiaが南米チリとアルゼンチンに生息する有袋類「Monito del Monte」(小さなヤマザル,Dromiciops gliroides)の祖先でもあるらしいということがわかりました。 オーストラリアの有袋類は,南米,南極,オーストラリアがゴンドワナ大陸としてつながっていたときに,南米から南極を通って渡ってきた有袋類から進化してきたと考えられています。 D. gliroidesは南米の有袋類よりもオーストラリアの有袋類により近いことがわかっています。しかしその起源については明らかになっていませんでした。これまで発見されていたDjarthiaの化石は歯だけだったので,D. gliroidesとどのような関係にあるのかはわかっていませんでした。 Djarthiaの足首と耳の骨の化石から,D. gliroidesがDjarthiaのような祖先から進化してきたことがわかりました。このため,D. gliroidesは約4000万年前にゴンドワナ大陸が分裂する前にオーストラリアから南米に戻ったと考えられます。(3/26 Science Daily,Beck RMD et al.(2008) Australia's Oldest Marsupial Fossils and their Biogeographical Implications. PLoS One, 3(3)) 3/5(水) 約3500万年前のコウモリの新種6種が報告されました。 約3500万年前(新生代古第三紀始新世後期)のエジプトに棲息していたコウモリの新種6種が報告されました。その中の1種は,体重280g弱と推定されており,化石種のコウモリの中では最大級の大きさだそうです。 これまでアフリカで発見された始新世のコウモリの化石は,断片的な化石が数点あるのみでした。発見された地域も,エジプト,モロッコ,タンザニア,チュニジアと限定的です。6種の新種のコウモリが発見されたことで,始新世後期(約3700万年前~約3400万年前)のアフリカにこれまで考えられてきたよりも多様なコウモリが棲息していたことがわかりました。これらの発見によって,コウモリの現代型の科の進化について新しいことがわかりました。 これまで,コウモリの原始的な科のほとんどは北半球で進化し多様化したと考えられてきました。しかし現代型の科の多くはアフリカに進出した後に多様化し放散したということが今回の研究から示唆されています。今回報告されたコウモリの中には,現生のコウモリの中で最も一般的に見られ,世界中に広く生息しているグループが含まれているそうです。現代型のコウモリの科の起源は非常に古く,少なくともいくつかはアフリカで出現したのだろうと研究者は考えています。(3/5 ScienceDaily) 3/3(月) 小アジアが,かつてはアジア,ヨーロッパと陸続きだったらしいということがわかりました。 トルコの大部分を占めるアナトリア半島がかつては海に囲まれていなかったということが,約2500万年前のサイの化石から示唆されているそうです。 アジア大陸から突き出たアナトリア半島は,北は黒海,南は地中海,西はエーゲ海と,三方を海に囲まれています。この地域はアナトリアプレートとアラビアプレートが衝突する位置にあり,長い間,地震活動の影響を受けてきました。これまで,これらのプレートは漸新世(3390万年前~2300万年前)の間,海によって分断されていたと考えられてきました。 漸新世後期(2840万年前~2300万年前)にアナトリアに棲息していたサイ上科のパラケラテリウムの前肢の骨が2002年にトルコ中央部で発見されました。長さ約1.2mのこの骨を調べた結果,パキスタン,中国,モンゴルの同時代の地層から発見された骨と形態的にほぼ同じであることがわかりました。パラケラテリウムは体長約8m,肩高約5mもあったと考えられている史上最大の陸上哺乳類です。アナトリア半島がアジア大陸と海によって分断されていたとしたら,パラケラテリウムのような巨大な動物の骨がアジア大陸とアナトリアでほぼ同じ形態で見つかるはずは無いと研究者は主張しています。アジアとヨーロッパをつなぐ陸橋があったのだろうと述べています。(2/29 PhysOrg.com,Zoological Journal of the Linnean Society, 152(3), 581-592) 2/18(月) 最古のコウモリの化石が発見されました。 これまで発見されている最古のコウモリはイカロニクテリスでした。このイカロニクテリスには飛翔とエコロケーション(反響定位)の両方の能力がすでに備わっており,進化の過程でコウモリがどちらの能力を先に発達させたのかが,長い間議論の的でした。アメリカ合衆国ワイオミング州の始新世前期(約5200万年前)の地層から,イカロニクテリスよりも古いコウモリの化石が発見され,この謎が解明されました。 その骨格の特徴から,この最古のコウモリには飛翔能力はありましたが,エコロケーションの能力はなかったことがわかりました。歯の形状から昆虫を食べていたと考えられています。おそらく昆虫を見つけた後に飛び立っていたのでしょう。この最古のコウモリは5本の指全てに鉤爪があることから,「鉤爪をもつコウモリ」を意味するOnychonycteridae finneyiと名付けられました。(2/13 FOXNews.com,Nature, 451, 774-775) 2/5(火) フクロライオンが,現生のライオンよりも強力な捕食者だったらしいということがわかりました。 新生代鮮新世前期~更新世後期(533万年前~1万年前)にオーストラリアに棲息していたフクロライオンが,現生のライオンよりも強力な捕食者だったらしいということがわかりました フクロライオンの1種であるティラコレオ(Thylacoleo carnifex)の頭部が3D画像で復元され,噛んだ際に頭部にかかる応力の分布などがシミュレーションされ,現生のライオンと比較されました。頭骨にかかる応力の分布は,両種で大きな違いは無かったようです。しかし獲物を噛んだ際にかかる応力に関しては,フクロライオンの方が,比較的大きな獲物を噛んだときにかかるような大きな応力に非常にうまく対応することができたという結果が得られました。 また,噛む力に関しては,2Dでシミュレーションされた時よりも3Dでシミュレーションされた時のほうが,フクロライオンと現生のライオンの両方において,かなり大きくなることがわかりました。しかも,フクロライオンの噛む力のほうが大きかったそうです。 フクロライオンは,大きな門歯と強力な噛む力を用いて,喉など,獲物の柔らかい部分を切っていたのだろうと考えられています。獲物は,血管や気管を大きく切られ,すばやく殺されたのでしょう。巨大なカンガルー,ウォンバット,体重が3.3トンもあるディプロドトン科の草食動物が獲物になっていたと考えられています。(2/1 National Geographic News,Journal of Zoology, OnlineEarly Articles) 1/17(木) 体重が1トンもあったと考えられる巨大なげっ歯類の化石が発見されました。 約20年前,ウルグアイの約400万年前の地層から,哺乳類の長さ50cm以上の頭骨の化石が発見されました。最近になってこの化石の研究がなされ,巨大なげっ歯類(ネズミの仲間)の化石であることがわかりました。体長は約3m,体重は800kg~1400kgと推定されるそうです。この化石はJosephoartigasia monesiと名付けられました。 歯の形からJ. monesiは水生植物を食べていたと考えられ,発見された地域の地質から,河口や三角州が近くにある森林地帯に生息していたと考えられています。約400万年前の南米でサイやカバのようなニッチを占めて巨大化したものの,約300万年前に南北アメリカ大陸がつながったときに,北米から侵入してきた哺乳類の影響で絶滅してしまったと考えられています。(1/16 FOXNews.com,Proceedings of the Royal Society B, FirstCite Early Online Publishing) 2007年 12/17(月) 最も初期のグリプトドン科の化石が発見されました。 アンデス山脈の約1800万年前の地層から,グリプトドン科の哺乳類の化石が発見されました。グリプトドン科はアルマジロと共通の祖先から進化した哺乳類で,背中に骨の板でできたヨロイ(背甲)をもったグループです。しかし背甲はカメの甲羅のように可動性が全く無かったため,アルマジロのように体を丸めることはできませんでした。 今回発見された化石はグリプトドン科の新種と考えられ,Parapropalaehoplophorus septentrionalisと名付けられました。体重は約90kgと推定されています。 P. septentrionalisの化石は,高度約4300mというとてつもなく高い高度で発見されました。チリ北部からはこれまで,何百点もの哺乳類の化石が発見されています。同地域から産出した植物の化石とあわせて考えると,チリは約1800万年前,高度900mあまりの開けたサバンナで,木は少なく,主に草を食べる動物が生息していた環境だったと考えられています。 P. septentrionalisは最も初期に分岐したグリプトドン科と考えられています。このため,P. septentrionalisの発見によって,グリプトドン科とその近縁のグループについて新たな進化系統樹が提案されています。(12/14 ScienceDaily) 12/7(金) カンガルーの祖先は,小犬くらいの大きさで四足歩行をしていたことがわかりました。 オーストラリアのクインズランド州で,約2300万年前のカンガルーのほぼ完全な化石が発見されました。この化石は新種ということがわかり,Nambaroo gillespieaeと名付けられました。現生のカンガルーの直接の祖先ではなく,カンガルーの絶滅した科,balbaridaeに属すると考えられています。 N. gillespieaeは,小犬くらいの大きさでイヌと同じような牙をもち,大きくたくましい前肢を持っていました。このことから,N. gillespieaeは四足で走り回り,跳び回っていたと考ええられるそうです。また,指が大きく親指が他の指と向かい合わせにでき,しなやかな足をしていることから,現生のキノボリカンガルーのように木に登れたとも考えられています。森林に棲み,果物やきのこを食べていたと考えられています。 N. gillespieaeの姿は現生のカンガルーと大きく異なります。N. gillespieaeの骨格を調べることにより,気候変動がカンガルーの進化にどのような影響を与えてきたかがより明確にわかるそうです。カンガルーは,1000万年前~1500万年前に乾燥化が進んで草原が現れたときに,現在のようなジャンプをし,草を食べる大型の動物に進化したのだと考えられています。(12/6 PhysOrg.com,Journal of Paleontology, 8(6), 1147-1167) 11/14(水) 島で進化する大型哺乳類は,必ずしも矮小化するわけではないということがわかりました。 島内で生物が進化する際,利用可能な生息域や資源量が制限されるため,ネズミなどの小さな哺乳類は大きく,ゾウなどの大きな哺乳類は小さく進化するという「島嶼化」という学説があります。生物の本来のサイズによって,巨大化するか矮小化するかが決定されると考えられてきました。 しかし最近の研究によって,生物の本来の大きさには関係なく,種によって巨大化・矮小化が起こっている可能性があることがわかってきました。 もし島嶼化が正しければ,島に生息している大きな哺乳類のほとんどは,大陸に棲んでいる近縁種よりも小さくなり,島に生息している小さな哺乳類のほとんどは大陸の近縁種よりも大きくなるはずです。しかし膨大な量のデータを比較したところ,そのような傾向はないことがわかったそうです。そして進化に伴うサイズの変化を調べたところ,体サイズが大きくなるように進化する種が島では矮小化し,体サイズ小さくなるように進化する種が島では巨大化するという傾向は全く見られなかったそうです。 哺乳類のサイズと島で進化したときに巨大化または矮小化するということは弱い相関関係があるように見えるが,それは種特有の傾向を反映したもので,進化全体に当てはまるものではないと研究者は結論付けています。島の自然環境,獲物の量,捕食者や競争相手の存在などの多くの外的要因が,サイズの変化に影響を与えると研究者は考えています。(11/8 ScienceDaily,Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, FirstCite Early Online Publishing) 11/12(月) 有蹄類の起源であると考えられる化石が,インドで発見されました。 インド中央部に堆積した火山噴出物の中から,長さ約2.5mmの哺乳類の下顎右側大臼歯の化石が発見されました。これは,白亜紀後期(9960万年前~6550万年前)に生息していた有蹄類の大臼歯であると考えられています。 この大臼歯のもち主は,原始的な有蹄類(原始有蹄類)の新種,Kharmerungulatum vanvaleniです。 これまで,原始有蹄類の最古の化石は新生代暁新世(6550万年前~5580万年前)最初期の北米から知られており,原始有蹄類と現生の有蹄類の祖先の初期の進化の中心は北米だったと考えられてきました。しかし今回,暁新世以前の原始有蹄類の化石がインドから発見されたことにより,原始有蹄類の起源がインドであった可能性が出てきました。 白亜紀後期の哺乳類の歯は全体的に鋭く先がとがっており,後の時代になるにつれて臼歯のようにすりつぶすのに適した形に変化していったと考えられてきました。しかしK. vanvaleniの歯は平らで広く,肉を切り裂くのではなく草を咀嚼するのに白亜紀後期の時点ですでに適応していたことが示唆されています。 K. vanvaleniが有蹄類へと進化する初期の段階にいた種であったと研究者は考えています。(11/9 FOXNews.com,Science, 318(5852), 937) 10/9(火) 兵庫県で新種の哺乳類の化石が発見され,「三田炭獣」と名付けられました。 兵庫県の約3800万年前(新生代始新世)の地層から,哺乳類の化石が発見されました。右下顎骨と歯を調べたところ新種であることがわかり,ボトリオドン・サンダエンシス(和名:三田炭獣)と名付けられました。 三田炭獣は,カバの祖先と近縁であると考えられているアントラコテリウム科に属しています。この科に属する種としては日本最古だそうです。(10/8 asahi.com,Ialand Arc, 16(3), 479-492) 10/2(火) サーベルタイガーの噛む力は弱かった可能性があることがわかりました。 スミロドンは,約300万年前~1万年前に生息していた,20cm以上の牙をもつ,サーベルタイガーとして有名な捕食者です。この長い牙をどのように使って獲物を殺していたかが,長い間議論の的でした。 オーストラリアの研究者が,Finite Element Analysis(FEA)というコンピュータシミュレーション技術を用いて,スミロドンの噛む力と獲物の捕食の方法を調べました。その結果,現生のライオンと比較すると,スミロドンの噛む力は弱いことがわかりました。同じ体格のライオンと比較すると,約3分の1しかないそうです。 しかしスミロドンの力はとても強く,体の大きな獲物でも簡単に地面に押さえつけられたという結果が出ています。こうして獲物を動けなくしてからのどに噛み付き,獲物を殺したと研究者は考えています。スミロドンは小さな獲物を主に狩る冷酷なハンターだったと研究者は考えています。(10/2 ScienceDaily,10/1 PhysOrg.com) 4/6(金) クジラのほぼ完全な化石がイタリア・トスカナで発見されました。 イタリア・トスカナで体長約10mのクジラの化石が発見されました。ほぼ完全な全身骨格で,保存状態も良いそうです。発見されたクジラはヒゲクジラのrorqual whaleに似ているそうです。このクジラの年代ははっきりとはわかっていませんが,約500万年前(中新世末期)であろうと研究者は考えています。(3/23 National Geographic News) 3/29(木) 恐竜の絶滅は現生の哺乳類へとつながる哺乳類の多様化にほとんど影響を与えなかったとする論文が発表されました。 これまで,哺乳類は6550万年前に恐竜が絶滅した後,その生態的地位を埋めるように爆発的に多様化し,多くの種類が現れたと考えられてきました。しかしNatureに発表された論文では,このときに多様化した哺乳類は,今では絶滅してしまっているかほんのわずかな種しか残っていないグループで,霊長類などの現在繁栄している哺乳類はこの時まだ多様化していなかったと述べられています。 この論文を発表した研究者たちは,現生の哺乳類の99%の種のDNAを分析し,化石のデータとあわせて,哺乳類がいつ,どのように進化したかを表す系統樹をつくりました。この結果,哺乳類の多様化は,9300万年前と5500万年前の2回起こったことを示す結果が得られました。6550万年前の恐竜絶滅後に出現した種はわずかな時間で絶滅していると研究者は述べています。 しかし,この研究で得られた結果は研究が進むにつれて変わっていくだろうとの指摘もあります。実際,この論文を発表した研究者も,今回得られた系統樹は全体的におそらく間違っているだろうと認めています。しかし,哺乳類が互いにどのような関係にあり,いつ進化したかを調べることはこれからの研究の重要な課題になっていくだろうと述べています。(3/28 news@nature.com,3/28 BBC News,3/28 Discovery Channel News,3/28 FOXNews.com,Nature, 446, 507-512) 3/16(金) 哺乳類の耳の進化の仕方を明らかにする化石が発見されました。 中国北部の約1億2500万年前(白亜紀前期)の地層から,体長約13cmの小さな哺乳類の化石が発見されました。Yanocondonと名付けられたこの化石は,胴が細長く,肢が太くて短い,まるでサンショウウオのような体形をしているそうです。Yanocondonは淡水湖の近くの茂みに棲み,夜行性で昆虫を食べていたと考えられています。 この化石には,中耳の骨が非常によく保存されているそうです。この中耳には現生の哺乳類の耳には見られない原始的な特徴が残されており,哺乳類の耳の進化を調べる上で非常に重要な発見であると研究者は話しています。 哺乳類は他の脊椎動物に比べて優れた聴覚をもっています。これはツチ骨,キヌタ骨,アブミ骨,そして鼓膜が哺乳類の耳に備わっているからです。これらの骨は顎の関節が変化してできたと考えられています。Yanocondonにもこれらの骨はありますが,下顎とつながっているそうです。これは現生の哺乳類には見られない構造です。(3/14 topix.net,Nature, 446, 288-293) 1/18(木) 霊長類の起源について新たな事実がわかりました。 plesidapiformと呼ばれる初期の哺乳類が,現生の霊長類の祖先であるという研究結果が,今週,Proceedings of the National Academy of Sciencesのウェブサイトに公開されました。 plesidapiformとは,新生代暁新世から始新世前期(6550万年前~4860万年前)に生きていた初期の霊長類です。しかし現生の霊長類とは異なる特徴を数多くもつことから,現生の霊長類の直接の祖先ではなく,進化の初期の段階で枝分かれしたグループであろうと考えられてきました。plesidapiformが現生の霊長類の祖先かもしれないという説は以前から出されていましたが,これを支持する強力な証拠が出されたのは今回が初めてです。 研究チームは,現生の霊長類,plesidapiformに近いと考えられているツバイ,ヒヨケザルの173の特徴をplesidapiformと比較し,どの種が最も近いかを調べました。そしてplesidapiformが最も原始的な霊長類であるという証拠が得られました。 plesidapiformは,環境の変化,特に花を咲かせる木の変化に対応して,現生の霊長類へとつながる特徴を進化させてきたと研究者は考えています。 この論文は,1月23日に発売されるProceedings of the National Academy of Sciencesに載ります。(1/18 PhysOrg.com,Published online before print, Proc. Natl. Acad. Sci. USA) 2006年 11/16(木) カリフォルニア州で約700万年前のサイの仲間の化石が発見されました。 カリフォルニア州で,約700万年前のテレオケラスの化石が発見されました。テレオケラスとは,中新世(2300万年前~530万年前)に生きていたサイの仲間で,カバのような外見をしています。外見だけではなく生態もカバに似ていて,川辺でカバのような生活をしていたと考えられています。(11/14 topix.net) 11/10(金) ゾウの進化のミッシングリンクとなる化石が発見されました。 アフリカ東部のエリトリアで,約2700万年前の牙を持った動物の化石が発見されました。この動物はブタと同じくらいの大きさで,ゾウの初期の仲間と,ゾウの直接の祖先であるより新しいグループとをつなぐミッシングリンクであると考えられています。この化石は,マストドンやゾウの祖先がアフリカ起源であること,またその出現が従来考えられていたよりも500万年古いことを示唆しているそうです。 3500万年前から2500万年前,ゾウの初期の仲間はアフリカとアラビアだけに棲んでいたと考えられています。この仲間は現生のゾウよりも体が小さく,胴や牙が短いものでした。また,歯も人間の永久歯のように全ての歯が生え変わることなく一生機能し続ける単純なものでした。2500万年前になると,マストドンや現生のゾウの祖先が現れました。これらは現生のゾウと同じくらいの大きさで,牙や胴も長いものでした。歯は成長が遅く,一度に機能しているのは1,2本の歯だけで,一定の期間を経ると新しい歯に生え変わる複雑なものとなりました。 今回発見された化石は,歯の構造がゾウの直接の祖先となる新しいグループのものと似ています。また同時に体が小さく,あごの構造は胴や牙が短いことを示しています。これはゾウの初期の仲間と共通する特徴です。年代と形態から考えて,今回発見された化石は,ゾウの初期の仲間と新しいグループとをつなぐ化石であるだろうと研究者は話しています。(11/1 PhysOrg.com) 10/20(金) マストドンが現生のゾウのように牙を使って戦っていた可能性が指摘されました。 オスのマストドン同士が繁殖期に牙を使って戦っていたということが,今月18日から21日まで開かれている古脊椎動物学会で発表されます。オスの牙に戦いによってできたと考えられる傷跡が残っていたそうです。 この発見は,おとなしく,めったに戦うことが無いというマストドンのイメージを覆すものです。また,マストドンと,毎年繁殖期に戦っている現生のゾウとの関係を強める発見でもあります。 マストドンの牙は上向きに大きく曲がっていることから,激しく牙を押し付けあって戦っていたのではないかと研究者は考えています。こうすると牙の根元は後ろ向きに回転して頭骨に押し付けられ,ひびが入ったと考えられています。牙は根元から成長していきますが,くぼんだ傷跡が牙の曲線の外側に並んでいるのが発見されました。また,マストドンの牙の成長パターンを調べた結果,毎年春の中ごろから初夏にかけて傷ができていたことがわかりました。 またマストドンの脊椎を調べた結果,マストドンの戦いが残忍なものだったということもわかりました。マストドンの牙が脊柱に突き刺さり,一方がすでに地面に横倒しになっていたということを示唆する方向から脊髄が切断された証拠が発見されました。これは一方が倒れた後でさえも攻撃が続いていたということを示唆するものです。 (10/ 19 Discovery Channel News) 10/12(木) 地球の自転と公転に起因する気候変化によって哺乳類が絶滅してきた可能性が指摘されました。 哺乳類が約250万年の周期で絶滅してきたということが古生物学者によって指摘されています。地球の公転軌道はわずかに楕円形で,10万年または40万年周期で変化していると考えられています。また地軸の傾きも4万1000年周期で変化し,さらに21000年周期でぶれているていると考えられています。この公転軌道と地軸の傾きの変化によって太陽から受けるエネルギーの量が変化し,気候が変化してきたと考えられています。 スペインの3ケ所から産出した2450万年前から250万年前までの132種のげっ歯類(哺乳類の1種)の化石が調べられました。そして240万年周期と100万年周期で絶滅が起こってきたことがわかりました。そしてこれが地球の公転軌道と地軸の傾きの変化と一致することがわかりました。 この変化は急激なものではなく,ゆっくり進行していったようです。絶滅のたびに15種ほどが生き残り,5~6種が約10万年で絶滅していったと考えられています。論文ではげっ歯類に起こったこの変化は哺乳類全体,さらには他の生物にも当てはまると述べられています。(10/11 PhysOrg.com,10/11 Nature) 10/11(水) シリアで巨大なラクダの化石が見つかりました。 シリアで約10万年前のヒトコブラクダの化石が見つかりました。このラクダの肩は3mの高さにあり,体高は約4mあったと考えられています。この大きさは,現在のラクダの2倍にあたります。これまでヒトコブラクダが1万年以上前に中東にいたということは知られていなかったそうです。 この場所からは40個以上の巨大なラクダの骨が見つかっていますが,そのほかにも100万年前のラクダの骨が見つかっているそうです。同じ場所からは人の骨も見つかっていますが,ホモ・サピエンスとネアンデルタール人両方の特徴を備えており,どちらのものかはまだわかっていないそうです。(10/10 BBC News,10/10 FOXNews.com) 9/28(木) 北米のマストドンは結核の流行が原因で絶滅したとする説が発表されました。 研究者はアメリカマストドンの113体の骨格を調べ,全体の52%にあたる59体に結核の症状(肢の骨の異常など)があることを発見しました。この症状が見られたマストドンの年齢,サイズはさまざまで,地域(北米中),時代も異なっていました。結核の流行は34000年前から始まり,アメリカマストドンが絶滅するまで(約1万年前)続いていたとみられています。この病気はすぐに死にいたるものではなく,徐々にアメリカマストドンの体を弱らせていったものと考えられています。アメリカマストドンが生きていた時代は氷期で,気候が急速に変化していました。さらにアメリカマストドンは,武器を使うヒトの脅威にもさらされていました。肢の骨の異状によって,気候変化やヒトの攻撃にうまく対処することができず,結果としてアメリカマストドンは絶滅したと研究者は考えています。(9/25 FOXNews,Naturwissenschaften, Online First) 9/12(火) 兵庫県でステゴロフォドンの歯の化石が見つかりました。 兵庫県豊岡市の新生代中新世の地層(1900~1800万年前)から,ステゴロフォドンと思われる長鼻類(ゾウ目)の歯の化石が見つかりました。見つかった化石は,右の第三大臼歯の一部で,縦約6cm,幅約10cm,高さ約10cmあり国内で最大級,最古級の化石だそうです。 ゾウの歯の化石はこれまで,石川県や富山県で発見されてきましたが,福井県以西の日本海側での発見は初めてだそうです。(9/10 中日新聞) 8/21(月) デスモスチルスの化石がコスタリカで発見されました。 Desmostylus hesperusの歯の化石がコスタリカで発見されました。これまで,デスモスチルスの化石は日本やカナダなどで発見されてきましたが,コスタリカのような熱帯地域で発見されることはありませんでした。(8/21 PhysOrg.com) ヒゲクジラの祖先の化石が発見されました。 オーストラリアでヒゲクジラの祖先の化石が発見されました。体長約3.5mで,かみそりのような歯をもっています。小さな魚やサメなどを食べていたのだろうと考えられています。この発見は,巨大でおとなしいヒゲクジラが小さく獰猛な肉食動物から進化してきたことを示すもので,ヒゲクジラの進化を明らかにする発見になると考えられています。(8/16 PhysOrg.com,8/16 Discovery Channel.) 8/9(水) 1300万年前の哺乳類の新種が発見されました。 1300万年前にアンデス山脈に生息していた哺乳類の新種の化石がボリビアで発見されました。この化石は南蹄目という1万年前に絶滅した哺乳類に属する種で,Hemihegetotherium trilobesと名付けられました。この種はイヌとノウサギの中間のような形をし,開けた土地で穴を掘って棲んでいたと考えられています。(8/7 Case Western University News Center) 7/27(木) 非常に保存状態の良い霊長類の頭骨化石がギリシアで発見されました。 500万年前の霊長類(Mesopicthecus pentelicus)の保存状態の良い化石がギリシアで発見されました。特に頭骨は無傷の状態で発見されたそうです。(7/26 FoxNews.com) |
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