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2017年、2018年、2019年のニュース

頭部の形がわかる最古の四足動物の化石が発見されました。

 古生代デボン紀後期(約3億8300万年前〜約3億5900万年前)の地層からは、初期の四足動物の化石がいくつも発見されています。しかしそのほとんどは断片的なもので、姿や生態が復元できる種はほとんど発見されていません。これまでに発見されている最古の復元可能な四足動物は、約3億6500万年前〜約3億5900万年前のアカントステガとイクチオステガです。そして同じ時代の地層から部分的に復元可能な種として、ヴェンタステガとチュレルペトンが発見されています。
 今回、ロシアの約3億7200万年前の地層から、新属新種の四足動物の化石が発見され、Parmastega aelidaeと名付けられました。肩の一部は軟骨でできており、ほぼ水中で過ごしていたと、研究者は考えています。またParmastegaの化石では特に頭骨が多く発見されており、頭部の形が復元されています。
 Parmastegaの眼は頭部の上に突き出ていました。現在のワニ類のように体を水の中に沈めながら水上を見ることができたと考えられています。しかし鼻の穴が上を向き、鼻で呼吸をしながら水上を見ることができるワニ類とは異なり、Parmastegaの鼻の穴は上顎の下のほうに付いています。鼻の穴から空気ではなく水を取り込んで鰓に送ることで呼吸をしていたのではないかと、研究者は考えています。Parmastegaの後頭部にはspiracleと呼ばれる大きな穴が開いています。この穴は現生の空気呼吸をする魚に見られるもので、Parmastegaは鰓呼吸とともにここから空気を取り込んで呼吸をしていたと考えられています。
 Parmastegaは体長1m以上と推測されています。浅い潟に棲み、水面近くで眼だけを出して獲物となる節足動物または陸に打ち上げられた魚の死骸を探していたのではないかと、研究者は考えています。

10/24 University of LincolnEarly tetrapods had an eye on the land. Nature, 574, 494-495Morphology of the earliest reconstructable tetrapod Parmastega aelidae. Nature, 574, 527-531

2019/10/27

三葉虫が列になって移動する行動が報告されました。

 現在の節足動物では、同種が群れとなって集団で移動する行動が多く見られます。三葉虫でも、同種が列になって並んでいたり、何体もが同じ方向を向いたりした状態の化石が発見されています。
 今回、モロッコの約4億8000万年前(古生代オルドビス紀前期)の地層から産出した、何体ものAmpyx priscusが1列に並んだ状態の化石が報告されました。Ampyxは、長いトゲを3本持つ三葉虫です。頭鞍部から前に1本、頭部の両脇から後ろに2本、長いトゲが伸びています。
 Ampyxが列になって並んだ標本は21点報告されています。この標本に含まれているAmpyxのほとんどが、前後の個体とトゲがつくくらいに密集して並び、前後の個体と同じような方向を向いているとのことです。
 この標本が産出した地層を調べた結果、周期的に嵐が起こっていたことがわかったそうです。Ampyxが列になって並んでいたのは、嵐の時に水流の静かな水深の深い場所に移動するためか、あるいは繁殖期に産卵場所に移動するためではないかと、研究者は考えています。長いトゲや触角、あるいはフェロモンのような化学物質を使って前後の個体との位置関係を把握し、列を作っていたと、研究者は考えています。

10/17 CNRSCollective behaviour in 480-million-year-old trilobite arthropods from Morocco. Scientific Reports

2019/10/20

新属新種のラディオドンタ類が発見されました。

 古生代カンブリア紀、頭部に1対の大きな付属肢(大付属肢)と軸の付いた眼をもち、口は板が円形に並んだ構造をしており、体の左右には何枚ものヒレが並んだラディオドンタ類という無脊椎動物がいました。ラディオドンタ類には、アノマロカリスやフルディアなどが含まれます。今回、カナダの約5億600万年前の地層バージェス頁岩から、新属新種のラディオドンタ類が発見されました。
 今回発見されたラディオドンタ類は、Cambroraster falcatusと名付けられました。全長約30cm、頭部は体全体の半分以上を占め、その上はカブトガニのような形をした大きな甲皮で覆われています。そして大付属肢には多くの細かいトゲが櫛のように並んでいるとのことです。この大付属肢を使って海底の堆積物をかき分け、中に潜っていた獲物を捕まえていたのだろうと、研究者は考えています。大付属肢のトゲの間隔は1mmに満たないため、Cambrorasterはとても小さい動物も捕まえることができただろうと、みられています。

7/31 Royal Ontario MuseumA new hurdiid radiodont from the Burgess Shale evinces the exploitation of Cambrian infaunal food sources. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1908), 20191079

2019/8/11

オーストラリアのカンブリア紀で最大の三葉虫が報告されました。

 オーストラリアには、軟体部まで保存された化石が産出する約5億1400万年前〜約5億900万年前(古生代カンブリア紀前期)の化石鉱脈(Emu Bay Shale)があります。今回、この地層から、新種の三葉虫が報告され、Redlichia rexと名付けられました。
 R. rexの体長は最大で25cm、オーストラリアのカンブリア紀の三葉虫で最大のサイズです。今回発見されたR. rexの付属肢には獲物の殻を砕くのに使われていたと考えられるトゲがあり、この三葉虫が捕食者だったことが示唆されます。ほかの三葉虫を含む動物を食べていたと、研究者は考えています。
 Emu Bay Shaleから産出する三葉虫の化石には、捕食者によって殻を砕かれたと思われる化石が多くあります。R. rexの大きな個体の化石にも、このような傷が見つかっています。また、Emu Bay Shaleからは三葉虫の破片が含まれた糞の化石も見つかっています。このことから、アノマロカリスのような大きな捕食者がR. rexを食べていたか、R. rex同士が共食いをしていた可能性があると、研究者は考えています。

6/13 University of AdelaideThe trilobite Redlichia from the lower Cambrian Emu Bay Shale Konservat-Lagerstätte of South Australia: systematics, ontogeny and soft-part anatomy. Journal of Systematic Palaeontology

2019/6/23

約5000万年前の魚の群れの化石が報告されました。

 魚や鳥や昆虫が群れで行動することは広く知られています。しかしいつからそのような行動がとられるようになったかはよくわかっていません。今回、群れで行動していたと考えられる約5000万年前の魚の化石が報告されました。
 この化石はアメリカ合衆国のコロラド州、ワイオミング州、ユタ州に分布する新生代古第三紀始新世の地層、Green River Formationから産出したと考えられています。259体のErismatopterus levatusが同じ方向を向いて密集した状態で化石になっています。この259体のサイズは10.6mmから23.5mmと、成体で65mmのこの種としては小さなサイズのため、亜成体または幼体だと考えられています。離れた場所で化石化している2体を除いた257体が向いた方向や互いの距離を定量的に分析した結果や、進行方向に長く伸びた群れの形から、このErismatopterusが密集した状態は、死骸が水流に運ばれて集まってできたのではなく、生きていた時の群れの状態のまま死んで化石になったてできたと、研究者は考えています。このことから、始新世にはすでに魚は群れを作っていたと考えられるそうです。
 群れを作る理由の1つに、捕食者に襲われるリスクを減らすというものがあります。Erismatopterusの亜成体または幼体も捕食者に襲われるのを避けるために群れを作っていたと、研究者は考えています。

5/31 NowScienceInferring collective behaviour from a fossilized fish shoal. Proceedings of the Royal Society B

2019/6/2

約10億年前の菌類の化石が発見されました。

 菌類は現在の生態系できわめて重要な役割を果たしています。分子時計では菌類は約7億4000万年前〜約10億6000万年前に出現したと推測されていますが、これまで発見されている最古の菌類は約4億5000万年前のものでした。
 今回、カナダの約10億年前〜約9億年前の地層から発見された化石が、菌類の化石らしいということがわかりました。形、微細構造、成分を分析した結果、菌類だと判断されたとのことです。今回の発見から、菌類とそれに近い原生生物、そして後生動物で構成されるオピストコンカの出現がこれまで考えられていたよりも早かったらしいということがわかりました。

5/23 Smithonian.comEarly fungi from the Proterozoic era in Arctic Canada. Nature

2019/5/27

石炭紀前期のヘビのような形の四足動物が異歯性で硬い殻を砕いて食べていたらしいということがわかりました。

 古生代石炭紀前期(約3億5900万年前〜約3億2300万年前)は、四足動物の多様性が増加した時代です。石炭紀前期の中ごろ(約3億4700万年前〜約3億3100万年前)になると、形も多様になっていきました。しかしこの時代の四足動物の歯の形については、これまであまり調べられてきませんでした。
 今回、約3億3000万年前の四足動物Acherontiscusの化石がマイクロCTスキャンにかけられ、その歯の形が調べられました。Acherontiscusは全長約15cmの小型の初期の四足動物で、ヘビのように体が細長く、四肢はありませんでした。今回の研究の結果、Acherontiscusには大きさも形も異なる数種類の歯が生えていることがわかったそうです。この歯を使って、硬い殻をもつ甲殻類などを食べていたのだろうと、研究者は考えています。Acherontiscusは硬い殻を砕くことができる歯をもつ最古の四足動物とのことです。

5/9 University of LincolnAcherontiscus caledoniae: the earliest heterodont and durophagous tetrapod. Royal Society Open Science, 6(5): 182087

2019/5/12

硬いものにくっついて生活していた最古の座ヒトデが発見されました。

 アメリカ合衆国アイダホ州の約5億700万年前(古生代カンブリア紀中期)の地層から発見された座ヒトデが新種ということがわかり、Totiglobus spencensisと名付けられました。T. spencensisはヒオリテス類のハプロフレンティスの殻にくっついた状態で化石化していたそうです。生きていた時からくっついていたと、研究者は考えています。
 カンブリア紀前期から中期、浅海の海底は藻類でおおわれていたと考えられています。初期の座ヒトデは藻類に覆われたやわらかい海底の上で生活していたとみられています。しかしカンブリア紀の間に巻貝などの植物食性の生物が増加すると、海底の藻類が食べられてなっていったと考えられています。海底の藻類が減少したことで、座ヒトデは岩や殻などの硬いものにくっついて生活するようになったようです。T. spencensisはそのような硬いものにくっついていた証拠が発見された最古の座ヒトデです。

5/2 Ohio State UniversityNew edrioasteroid (Echinodermata) from the Spence Shale (Cambrian), Idaho, USA: further evidence of attachment in the early evolutionary history of edrioasteroids. Bulletin of Geosciences

2019/5/6

コロンビアから、変わった形のカニの化石が発見されました。

 コロンビアとアメリカ合衆国の約9500万年前〜約9000万年前(中生代白亜紀の中ごろ)の地層から、新属新種のカニの化石が発見されました。この地層からは、ほかにも保存の良い甲殻類の化石が数百体発見されているそうです。
 今回発見されたカニは、Callichimaera perplexaと名付けられました。背甲の幅が4〜10mmと小型で、眼が大きく、口器が肢のような形をしており、腹部が折りたたまれていないそうです。これは幼体の特徴を維持したまま成体になる幼形進化の結果だと研究者は考えています。またCallichimaeraの第2胸脚と第3胸脚はオールのような形をしているそうです。古生代ペルム紀にウミサソリが絶滅して以来、最古の遊泳に適した節足動物ということになります。

4/24 Yale UniversityExceptional preservation of mid-Cretaceous marine arthropods and the evolution of novel forms via heterochrony. Science Advances, 5(4): eaav3875

2019/4/28

ナマコ類がどのように進化したかがわかりました。

 ウニ類とナマコ類はともに有刺動物類というグループに属しています。しかしウニ類が骨板が融合した殻をもち表面にはトゲが多数生えているのに対し、ナマコ類は骨格をもたない軟体部が発達した体をもっており、両者の形態は大きく異なっています。このため、両者の系統関係とどのように共通祖先から形が変化してきたかはよくわかっていませんでした。
 今回、イギリスの約4億3000万年前(古生代シルル紀中期)の化石鉱脈ヘレフォードシャーから、蛇函類Sollasinaの新種が発見され、S. cthulhuと名付けられました。幅約3cmで、長い管足がたくさん生えているそうです。
 蛇函類はウニ類とナマコ類の特徴を併せもつ棘皮動物です。今回発見された化石をもとに系統を分析した結果、蛇函類は原始的なナマコ類の側系統群である(ナマコ類に最も近いグループである)ということがわかったそうです。これはこれまでの仮説と同じ結果です。ウニ類とナマコ類の共通祖先からナマコ類が進化する過程で骨格が段階的に減少していったのだろうと、研究者は考えています。

4/10 University of OxfordA new ophiocistioid with soft-tissue preservation from the Silurian Herefordshire Lagerstätte, and the evolution of the holothurian body plan. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1900): 20182792

2019/4/14

有櫛動物が底生の祖先から進化したらしいということがわかりました。

 有櫛動物は、体の一端に口が開き、体の周りに8本の櫛板と呼ばれる繊毛の束をもつ動物です。貪欲な肉食性で、ほとんどが遊泳性です。有櫛動物の起源についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、中国雲南省の約5億2000万年前(古生代カンブリア紀前期)の地層から、新属新種の澄江生物の化石が発見されました。Daihua sanqiongと名付けられたこの澄江生物はお椀上の体の上に口が開き、その周りから8本の触手が生えた形をしています。そして触手には有櫛動物のものと同じような繊毛が生えていたそうです。
 Daihuaの特徴は、同じく澄江から産出する、柄の先に18本の触手が生えたがくがあるDinomischusや、海底に付着した体の上に16本の触手が生えたXianguangiaと共通し、これら3種はすべて有櫛動物に属すると、研究者は考えています。また、カナダのバージェス頁岩から産出するSiphusauctumも、この研究によると有櫛動物だそうです。
 有櫛動物は、触手が生えた底生の祖先から進化したと、研究者は考えています。口は風船状の形に大きくなって本来の体は小さくなり、口の周りを囲んで生えていた触手は体の周りを取り囲む櫛板になったと、研究者は考えています。

3/21 University of BristolCambrian Sessile, Suspension Feeding Stem-Group Ctenophores and Evolution of the Comb Jelly Body Plan. Current Biology

2019/4/1

約5億年前の地層から、多数の生痕化石が発見されました。

 カナダの北西準州には、約5億500万年前〜約5億100万年前(古生代カンブリア紀前期)に堆積したRockslide Formationが分布しています。この地層からは、バージェス頁岩と同じように軟体部が保存された化石が産出しています。
 今回、顕微鏡観察とスキャナによる画像解析によって、Rockslide Formationの細かい構造が調べられました。この結果、無脊椎動物によって作られた生痕化石がいくつも発見されたそうです。生痕化石は小さいものでは幅0.5mm、大きいものでは幅15mmの大きさがあり、何種類もの生き物によって作られたものだと考えられるとのことです。
 これまで、バージェス頁岩の化石のように、化石に軟体部が保存されるには無酸素または貧酸素の環境が必要と考えられてきました。しかしRockslide Formationからは様々な生物が作った生痕化石が発見されているため、この地層が堆積した海底には当時十分な酸素があったと、研究者は考えています。このため、堆積速度や粘土質の堆積物の組成などが、この地層で軟体部が保存される要因になったのだろうと、研究者は考えています。

2/26 University of SaskatchewanExtensive bioturbation in a middle Cambrian Burgess Shale-type fossil Lagerstätte in northwestern Canada. Geology, 47(3), 231-234

2019/3/3

メガロドンがこれまで考えられていたよりも100万年早く絶滅したらしいということがわかりました。

 メガロドンは体長16〜18mとも推測されている史上最大の巨大ザメです。これまで、新生代新第三紀鮮新世末(約258万年前)に絶滅したと考えられてきました。
 アメリカ合衆国カリフォルニア州とメキシコ・バハ・カリフォルニア州には新生代新第三紀中新世中期から新生代第四紀更新世までの海成層が分布しています。これらの地層は年代が正確にわかっており、また海棲脊椎動物の化石が豊富に産出するため、今回、これらの地層からのメガロドンの化石の産出が詳しく調べられ、メガロドンの絶滅時期が推測されました。
 この結果、メガロドンの化石の正真正銘の産出は鮮新世前期末(約360万年前)までで、それ以降は地層の年代が不正確か、古い地層が侵食されて再堆積したものだということがわかったそうです。メガロドンはこれまで考えられていたよりも100万年ほど早く、鮮新世末に絶滅したと、研究者は考えています。新しく出現したホホジロザメとの競争が絶滅の原因として挙げられています。

2/13 University of Wisconsin OshkoshThe Early Pliocene extinction of the mega-toothed shark Otodus megalodon: a view from the eastern North Pacific. PeerJ, 7, e6088

2019/2/18

日本最古の雌雄差がわかる貝形虫の化石が発見されました。

 貝形虫は、二枚の殻をもった甲殻類です。雌雄によって殻の形に差があります。
 今回、宮崎県の約4億3300万年前〜約4億3100万年前(古生代シルル紀前期)と岐阜県の約4億2700万年前〜約4億2600万年前(シルル紀後期)の地層から採集した貝形虫の化石が調べられました。この結果、新種の貝形虫が3種発見されたそうです(Pauproles supparataHollinella orientaClintiella antifrigga)。このすべてで、雌雄差と思われる殻の形の違いが見られたそうです。
 宮崎県から発見された貝形虫は日本最古の貝形虫の化石になります。また、今回発見された貝形虫の化石は、日本最古の雌雄差がわかる化石です。

11/9 金沢大学Japan's earliest ostracods. Island Arc

2018/11/17

謎の節足動物が、プランクトン食のラディオドンタだということがわかりました。

 Pahvantiaは1981年にアメリカ合衆国ユタ州のカンブリア紀の地層から報告された古生物です。節足動物と考えられていますが、詳しい分類はこれまでわかっていませんでした。これまで4点の化石が発見されていますが、1点は別のラディオドンタ(アノマロカリスやフルディア、タミシオカリスなどの仲間)の甲皮と考えられていました。
 今回、大付属肢のついた甲皮が新たに発見されたことで、これまで発見されていた4点がすべてPahvantiaの化石であるということがわかったそうです。化石を詳しく調べた結果、エーギロカシスやフルディアと同じように、Pahvantiaの頭部が3つに分かれた大きな甲皮で覆われていたらしいということがわかったそうです。大付属肢の形から、Pahvantiaがラディオドンタであることは確実とのことです。そしてエーギロカシスやフルディアと同じ科に属すると、研究者は考えています。
 Pahvantiaの付属肢には細長い剛毛が多数生えています。この付属肢は、海水中のプランクトンを口に運ぶのに使われていたと、研究者は考えています。

New suspension-feeding radiodont suggests evolution of microplanktivory in Cambrian macronekton. Nature Communications, 9, 3774

2018/9/16

トリティロドン類が一度にたくさんの子どもを出産していたらしいということがわかりました。

 アメリカ合衆国アリゾナ州の約1億8500万年前(中生代ジュラ紀前期)の地層から産出したトリティロドン類Kayentatheriumの成体の化石の下に、たくさんの幼体の化石が埋まっているのが発見されました。この幼体はおそらく同じ母岩の成体の子どもだろうと、研究者は考えています。
 サイズや骨化の具合に違いは見られなかったため、幼体は同時期に親の胎内にいた兄弟だと、研究者は考えています。幼体の数は38体以上と推測されています。この数は、哺乳類が一度に出産する数の倍以上で、ワニ類の平均やいくつかの有隣類と同じくらいの数です。
 幼体の頭骨のサイズは、親と考えられている成体の頭骨の1/10です。その小ささや、歯にすり減りが見られないこと、成長の程度に違いが見られないことなどから、この幼体は出産(あるいは孵化)前後の段階のものだろうと、研究者は考えています。Kayentatheriumの幼体の頭骨と成体の頭骨とで形に大きな違いは見られないそうです。哺乳類の場合、脳が大きいため、幼体の頭部は前後に短く、上の部分がふくらんでいます。脳はエネルギーを多く消費する器官で、妊娠と子育ても多くのエネルギーを必要とします。
 トリティロドン類は哺乳類の祖先と考えられているキノドン類に属し、キノドン類の中で最も後に進化してきたグループです。哺乳類の進化において、脳が巨大化する代わりに一度に出産する子どもが減少するということが起こったと考えられています。今回、Kayentatheriumが小さい脳をもち、多くの子どもを出産することがわかったことにより、この変化が哺乳類の進化の後の方の段階で起こったのだと、研究者は考えています。

8/29 University of Texas at AustinJurassic stem-mammal perinates and the origin of mammalian reproduction and growth. Nature

2018/9/2

白亜期末の大量絶滅前後のサメの多様性の変化が調べられました。

 白亜期末(約6600万年前)の大量絶滅によって、脊椎動物の構成は大きく変化しました。サメは白亜期末の大量絶滅を生き延びた数少ない大型の捕食者の一つです。サメは軟骨魚類のため骨の化石は残りませんが、歯の化石は大量に発見されています。しかし、大量絶滅の前後でどのようにサメ類の多様性が変化したのか、これまで正確にはわかっていませんでした。
 今回、現在の海で優勢な捕食者であるネズミザメ類とメジロザメ類について、白亜紀末の大量絶滅前後の歯の形の多様性の変化が調べられました。ネズミザメ類は白亜紀の間繁栄し、メジロザメ類は現在最も多様なサメ類です。
 サメ類の種数は白亜紀末に大きく減少したことがこれまでの研究から知られています。しかし、今回の研究の結果、歯の形の多様性は白亜紀末の大量絶滅の前後でほぼ変化しなかったということがわかったそうです。それでも、細かく見ると三角形の低い歯冠をもつネズミザメ類は大きく減少し、同じタイプの歯をもつメジロザメ類が白亜紀末の大量絶滅後に増加したらしいということがわかったそうです。
 白亜紀末の大量絶滅によって海棲爬虫類や多くの頭足類が絶滅し、大量絶滅後に硬骨魚類が増加しました。こうした獲物となる生物の変化と、生態系の頂点に位置する捕食者が絶滅したことが、大量絶滅後のメジロザメ類の多様化に影響を与えたのではないかと研究者は考えています。

8/3 Uppsala UniversityStatic Dental Disparity and Morphological Turnover in Sharks across the End-Cretaceous Mass Extinction. Current Biology

2018/8/5

南アフリカ共和国から、デボン紀の四足動物の化石が発見されました。

 南アフリカ共和国の約3億6000万年前(古生代デボン紀後期)の地層から、2種の新属新種の四足動物の化石が発見されました。発見された四足動物は、Tutusius umlamboUmzantsia amazanaと名付けられました。
 デボン紀後期は、魚から四足動物への進化が起こった時代です。これまで、デボン紀の四足動物の化石のほとんどは、かつてローラシア大陸だった地域(北米、グリーンランド、ヨーロッパ)で発見され、例外はオーストラリアから発見されたMetaxygnathusと足跡化石だけでした。ローラリア大陸で四足動物が発見されている地域はデボン紀当時、北緯30度から南緯30度までの熱帯地域にありました。オーストラリアの四足動物の化石が発見された場所はゴンドワナ大陸の北部、南緯30度くらいに位置していたと考えられています。このため、魚から四足動物への進化、そして四足動物の陸上への進出は熱帯地域で起こったと、これまで考えられてきました。
 しかし今回四足動物の化石が発見された場所は、南緯70度以南の南極圏にあったとみられています。植物化石から、この場所は凍ることはなかったものの、冬には何か月も夜が続いたと考えられています。四足動物の進化と陸上への進出は熱帯地域だけではなく、あらゆる地域で起こっていたのだろうと、研究者は考えています。

6/8 University of the WitwatersrandA tetrapod fauna from within the Devonian Antarctic Circle. Science, 360(6393)

2018/6/10

ディキノドン類と竜脚形類が同じ場所に棲息していた証拠が発見されました。

 約2億6000万年前(古生代ペルム紀後期)、ディキノドン類が陸上脊椎動物の中でもっとも繁栄していました。ディキノドン類は大きな牙とくちばしをもった植物食の単弓類です。一方、約2億2800万年前(三畳紀後期)に恐竜が出現し、約2億2700万年前になると体の大きな植物食恐竜である竜脚形類が出現しました。ディキノドン類は約2億2700万年前までにほぼ姿を消し、2億2700万年前以降に発見されるディキノドン類の化石も竜脚形類の化石と一緒に産出することはないため、ディキノドン類が竜脚形類と同じ場所に棲息することはなかったと、これまで考えられてきました。この例外は、1950年代に南アフリカ共和国の三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)の地層(lower Elliot Formation)から発見された足跡化石です。竜脚形類など複数の恐竜の足跡化石とともに、ディキノドン類がつけたと思われる足跡の化石が発見されました。しかしこの地層からディキノドン類の体化石は発見されていなかったため、ディキノドン類がいた確たる証拠として扱われてきませんでした。
 今回、ウィーン自然史博物館に所蔵されているlower Elliot Formationから産出した化石を調べた結果、ディキノドン類の体化石があることが分かったそうです。これまで、これらの化石はほとんど恐竜の化石であると考えられてきました。lower Elliot Formationからは竜脚形類の体化石も発見されているため、今回の発見は、ディキノドン類と竜脚形類が同じ場所に棲息していたことの初めての確かな証拠になります。

3/14 North Carolina Museum of Natural SciencesThe first skeletal evidence of a dicynodont from the lower Elliot Formation of South Africa. Palaeontologia Africana

2018/3/25

環形動物の頭部の起源がわかりました。

 環形動物は体のつくりと生態の両方において、非常に多様な生物です。しかし原始的な環形動物の保存の良い化石はほとんど発見されていないため、その初期の進化、特に頭部の起源についてこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の約5億800万年前(古生代カンブリア紀中期)の化石産地Marble Canyonから新属新種の環形動物の化石が500体以上発見されました。しかも、発見された化石は非常に保存状態がよく、環形動物の化石としては初めて、神経や血管と思われるものまで保存されているそうです。今回発見された環形動物はKootenayscolex barbarensisと名付けられました。
 Kootenayscolexは体長3cm、環形動物の1種の多毛類と同じように体の左右に毛くらいのサイズの剛毛が生えています。Kootenayscolexではさらに、口の横からも剛毛が生えています。このことから、環形動物の頭部は剛毛が生えた体の前の方の節から進化したと、研究者は考えています。
 また、Kootenayscolexの消化管には堆積物が詰まっていたそうです。このことから、現生の環形動物のようにKootenayscolexもまた、ほかの生物に食べられることによって、堆積物中の有機物を生態系に戻す重要な役割を担っていたと、研究者は考えています。

1/19 Royal Ontario MuseumA New Burgess Shale Polychaete and the Origin of the Annelid Head Revisited. Current Biology

2018/1/28

三畳紀初期の短い期間、生物が熱帯地域から避難したらしいということがわかりました。

 約2億5200万年前の古生代ペルム紀末、史上最大の大量絶滅が起こりました。この時期、熱帯地域の気温は40度C以上にもなったと推定されています。ペルム紀末には生物が絶滅しただけではなく、過熱した熱帯地域から緯度の高い地域へと生物が移動したらしいということが報告されていますが、実際にそのような移動があったのか、そしてどのくらいの期間生物が熱帯地域からいなくなっていたのかはこれまでよくわかっていませんでした。
 これまで、このような議論は脊椎動物の体化石をもとに行われてきました。しかしそのような化石はロシアと南アフリカ共和国から産出したものがほとんどで、緯度ごとの変化はよくわかっていませんでした。今回、体化石とともに足跡化石も対象にすることで、ヨーロッパや北米など、これまで調べられてこなかった地域を含めた広い範囲での変化が調べられました。
 この結果、ペルム紀後期(約2億5900万年前〜約2億5200万年前)に比べて、三畳紀初期(約2億5200万年前〜約2億5100万年前)には生物が10〜15度高緯度へ移動したらしいということがわかったそうです。しかしこの移動は長くは続かず、100万年も経たないうちに生物が熱帯地域に戻ってきたという結果が出たそうです。この移動はこれまで考えられてきたように長く続いたものではなく、一時的なものだったと、研究者は考えています。

1/10 University of BristolTetrapod distribution and temperature rise during the Permian-Triassic mass extinction. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 285(1870), 20172331

2018/1/14

バージェス頁岩動物のHabeliaが原始的な鋏角類だったらしいということがわかりました。

 鋏角類は、サソリやクモなどが含まれる節足動物の1グループです。その体は顕生代を通じてどの種類も似たような構造をしていますが、その祖先がどのような姿をし、どのような生態だったかは、よくわかっていません。
 Habelia optataは、100年以上前にバージェス頁岩(古生代カンブリア紀中期、約5億800万年前)から発見された節足動物です。しかし節足動物のどのグループに属するかは長い間わかっていませんでした。
 今回、27体の新たに発見された標本を含む41体のHabeliaの化石が詳しく調べられました。この結果、頭部に鋏角の前身のような付属肢があることと、その頭部の構造から、Habeliaは鋏角類の祖先に近い種類らしいということがわかったそうです。Habeliaは、Sanctacarisと一緒に鋏角類の祖先に近い位置にあると、研究者は考えています。
 Habeliaの体長は約2cm、体は頭部(前体)、胸部(中体)、post-thorax(後体)に分かれ、それぞれに付属肢が生えているそうです。Habeliaの頭部には7対の付属肢があります。前の5対の付属肢は、獲物をかみ砕くための歯のついたプレート、ものをつかむための剛毛のようなトゲの生えた枝、そしておそらく感覚をつかさどっていたと思われる細長い枝で構成されているそうです。この複雑な付属肢のおかげで、Habeliaは小さいサイズに似合わず獰猛な捕食者だったろうと、研究者は考えています。活発に動き回り、三葉虫のようなかたい殻をもつ獲物を効率的に引き裂くことができたと考えられています。そして胸部には5対の歩脚が、post-thoraxにはおそらく呼吸に使われていたと思われる丸い付属肢がついているそうです。

2017/12/22 ScienceDailyMandibulate convergence in an armoured Cambrian stem chelicerate. BMC Evolutionary Biology, 17(1), 261

2018/1/7

サンショウウオの化石の胃の中にカエルが入っているのが発見されました。

 フランス南西部のPhosphorites du Quercyには、リン酸塩に富む堆積物が入り込んだカルスト地形の亀裂が多数あり、ここから脊椎動物の化石が多数産出しています。その化石のほとんどは断片的なものですが、中には皮膚まで完全に鉱物化し、立体的に保存された化石も産出しています。Phosphotriton sigeiもそのひとつで、胴体の大部分と尾と後肢の一部が残っています。以前は化石の外側しかわかりませんでしたが、近年のCTによる分析により、内部の骨なども調べられるようになってきました。その骨格の特徴から、Phosphotritonは原始的なサンショウウオではないかと考えられています。Phosphotritonなどの保存の良い化石は19世紀に採集されたもので、正確な地点や時代は残念ながらわかっていません。しかし、約4000万年前〜約3400万年前(新生代古第三紀始新世中期の後期〜後期)のものではないかと考えられています。
 今回、Phosphotritonの化石の内部が高解像度のX腺によって調べられました。この結果、皮膚、骨、筋肉、肺、脊髄、消化管、神経、おそらく総排出腔腺が立体的に保存されていることがわかったそうです。このような軟体部が立体的に保存されている化石としては最古の例だそうです。また、胃の中にはカエルの化石が入っていたそうです。サンショウウオがカエルを食べたというのは、化石においても現生においても非常に珍しいことだそうです。

10/3 PeerJExceptional soft tissues preservation in a mummified frog-eating Eocene salamander. PeerJ, 5, e3861

2017/10/8

エディアカラ紀の地層から、左右相称生物によってできたと思われる生痕化石が発見されました。

 ブラジルから、直径50〜600μmの生痕化石が発見されました。その形から、この生痕化石は、幅40〜300μmの寄生線虫のような生物が体を左右にくねらせながら堆積物の中を進むことによってできたとみられています。この生痕化石が発見された地層の年代を測定したところ、約5億5500万年前〜約5億4200万年前だということがわかったそうです。この年代は、先カンブリア時代エディアカラ紀の終わりに相当します。当時の地層からは動物と思われる生物の化石が発見されていますが、はっきり左右相称生物とわかる複雑な生物の化石が発見されるのは、その後の古生代カンブリア紀前期になってからです。今回の発見は、顕微鏡サイズの左右相称生物の証拠として最古のものです。

9/11 University of ManchesterIchnological evidence for meiofaunal bilaterians from the terminal Ediacaran and earliest Cambrian of Brazil. Nature Ecology & Evolution

2017/9/16

澄江から共生関係にあったと考えられる化石が発見されました。

 共生関係は現在の動物の間で広くみられます。しかし硬組織をもたない古生物の共生関係については、化石に残りにくいため、ほとんど知られていません。
 今回、中国の澄江(約5億2100万年前〜約5億1400万年前、古生代カンブリア紀前期)から、体長3mmほどのボウリングのピンのような形の小さな動物が複数くっついたCricocosmiaMafangscolexの化石が発見されました。この小さな動物は新属新種で、Inquicus fellatusと名付けられました。体の後端(肛門側)が円盤状に広がり、宿主にくっついているそうです。
 口が宿主と反対側を向いているため宿主を食べていたわけではなく、また付着部は宿主の体の内部に侵入していないため寄生でもないと研究者は考えています。片利共生の関係にあったのではないかと考えられています。

8/29 University of LeicesterHost-specific infestation in early Cambrian worms. Nature Ecology & Evolution

2017/9/3

ペルム紀末の大量絶滅の100万年後に体の大きな捕食者が登場したらしいということがわかりました。

 アメリカ合衆国ネヴァダ州の約2億5100万年前〜約2億4700万年前(中生代三畳紀前期)の地層から、新種の硬骨魚類の化石が発見され、Birgeria americanaと名付けられました。発見された頭骨は長さ26cm、体長は1.72m〜1.85mと推定されるそうです。そして顎には尖った歯が2〜3列並んでいるそうです。B. americanaは生態系の頂点に立つような強い捕食者だったと、研究者は考えています。
 約2億5200万年前の古生代ペルム紀末、海棲生物の90%以上が絶滅するという史上最大の大量絶滅が起こりました。B. americanaが発見されたのは、そこからわずか100万年後の地層です。ペルム紀末の大量絶滅により海の食物網が大打撃を受け、体の大きな捕食者が再び登場するには時間がかかったと、これまで考えられてきました。しかし今回の発見により、生態系の回復がこれまで考えられていたほど単純なものではなく、回復の速度も速かったと、研究者は考えています。

7/26 University of ZurichMarine Early Triassic Actinopterygii from Elko County (Nevada, USA): implications for the Smithian equatorial vertebrate eclipse. Journal of Paleontology

2017/7/30

ユーボストリコセラスの新種が発見されました。

 北海道の三笠市と羽幌町の約8360万年前〜約7210万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、異常巻きアンモナイト、ユーボストリコセラスの新種の化石が発見されました。
 ユーボストリコセラスは、白亜紀後期の9310万年前から7210万年前に生きていた、伸びたばねのような形をした異常巻きアンモナイトです。今回発見された化石は、これまで発見されているユーボストリコセラスのどの種よりも長く、ばねを極限まで引き伸ばしたような形をしています。今回発見された新種は、ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム(Eubostrychoceras valdelaxum)と名付けられました。
 ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムの殻表面の肋は、同じく北海道から発見されているユーボストリコセラス・ジャポニカム(E. japonicum)のものによく似ており、両者は系統的にとても近いと考えられるそうです。ユーボストリコセラス・ジャポニカムは、ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムよりも古い、約9390万年前〜約8980万年前の地層から発見されているため、ユーボストリコセラス・ジャポニカムからユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムが進化したのだろうと、研究者は考えています。

三笠市立博物館A new species of Eubostrychoceras (Ammonoidea, Nostoceratidae) from the lower Campanian in the northwestern Pacific realm. Paleontological Research, 21(3), 255-264

2017/7/16

アシナシイモリ類がどのように進化したかがわかりました。

 アシナシイモリ類は、体長15cmから1.5mの両生類です。四肢はなく、地中に潜って生活しています。これまで見つかっている原始的なアシナシイモリ類は、中生代ジュラ紀前期(約2億100万年前〜約1億7400万年前)のEocaeciliaと白亜紀前期(約1億4500万年前〜約1億100万年前)のRubricaeciliaの2種だけでした。このため、アシナシイモリ類がどのように進化してきたかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、アメリカ合衆国コロラド州の三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)の地層から、新属新種の両生類の化石が発見され、Chinlestegophis jenkinsiと名付けられました。化石が不完全なため正確な体長はわからないものの、体長は15cmから30cmだったと、研究者は推測しています。
 Chinlestegophisは分椎類の中のStereospondyliに位置し、原始的なアシナシイモリ類に近い仲間だと、研究者は考えています。アシナシイモリ類はこれまで、カエル類やサンショウウオ類に近く、両者は約2億8000万年前(古生代ペルム紀前期)までに枝分かれしたと考えられてきました。しかし今回の研究では、アシナシイモリ類とカエル類、サンショウウオ類はより遠い関係で、約3億1500万年前(石炭紀後期)までに枝分かれしたと、研究者は考えています。

6/19 University of Southern CaliforniaStem caecilian from the Triassic of Colorado sheds light on the origins of Lissamphibia. Proceedings of the National Academy of Sciences

2017/6/25

原始的な大顎類の化石が発見されました。

 節足動物の甲殻類、多足類、昆虫類は、大顎という食物をつかんだり、砕いたり、切ったりするための付属肢をもっており、大顎類と呼ばれることもあります。大顎類は何百万種もいる非常に成功した動物ですが、その起源についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、カナダの約5億800万年前(古生代カンブリア紀中期)の地層から、新属新種の節足動物の化石が発見されました。Tokummia katalepsisと名付けられたこの節足動物は、背中側に2枚の殻をもち、体は50以上の細かい節で構成されているそうです。そして口の下には幅広く内側がギザギザした大顎があり、その後ろには、先端に鋏がついた大きな顎脚があるそうです。これは現在の大顎類でもよく見られる特徴です。鋏は大きいけれども華奢で、殻をもつ動物を処理するだけの強度はなかったろうと、研究者は考えています。代わりに、やわらかい獲物を消化しやすいように細かく切り刻んでいたのだろうと考えられています。
 また、Tokummiaの体についている付属肢の基部には、内葉という突起があるそうです。内葉は一部の甲殻類の幼生に見られる構造です。また大顎類の様々なタイプの付属肢が進化するもとになった重要なものだと考えられています。
 Tokummiaはブランキオカリス、カナダスピス、オダライアと非常に近い種類で、これら4種は原始的な大顎類にあたると、研究者は考えています。

4/26 University of TorontoBurgess Shale fossils illustrate the origin of the mandibulate body plan. Nature

2017/4/30

スリモニアの尾は武器として使われたいたらしいということがわかりました。

 ウミサソリは古生代に生きていた節足動物です。体は上下方向に薄く、頭胸部、12個の節からなる腹部、尾に分かれていました。尾はたいてい、葉のような広がった形か、剣のような尖った形をしていました。
 スリモニアは、シルル紀の海にいたウミサソリです。尾は葉のように広がった形をしており、両脇には細かいトゲが並んでいました。今回、スコットランドの約4億3000万年前の地層から、腹部から尾までがよく残ったSlimonia acuminataの化石が発見されました。腹部の後ろ半分は左に大きく曲がり、尾は腹部の一番前の節とほぼ平行になっているそうです。このように大きく曲がっていても腹部の節は外れていないため、生きていた時も同じように体を起きく曲げることができただろうと、研究者は考えています。
 甲殻類など、水中に棲む節を多くもつ節足動物のほとんどは横方向に大きく体を曲げられません。代わりに上下方向には大きく曲げられます。体を上下方向に大きく振ることにより、泳ぐときの推進力を発生させています。ウニサソリの腹部の後ろ半分は上下方向にはあまり動かなかったということが、これまでの研究から知られています。このことから、腹部には泳ぐときの推進力を発生させる役割はなく、腹部を横に振ることによって、ウミサソリは尾を舵として使っていただろうとこれまで考えられてきました。
 しかし今回の発見から、スリモニアなど一部のウミサソリでは尾は舵ではなくほかの使われ方をしていたのではないかと研究者は考えています。今回発見されたS. acuminataの尾からは後ろに長いトゲが生えているそうです。もし化石に頭胸部が残っていれば、このトゲは頭胸部よりも前にとびだしていた可能性もあるそうです。腹部を横に振ることにより、細かいトゲで縁取られた尾を武器として使っていたのではないかと、研究者は考えています。スリモニアは大きな鋏をもつプテリゴトゥスの仲間ですが、スリモニア自身は大きな鋏をもちません。このため、スリモニアの付属肢は武器ではなく獲物を押さえつけるのに使われていただろうと、研究者は考えています。大きな鋏をもつウミサソリでは尾のトゲは短くなっているそうです。このことから、大きな鋏は尾のトゲの代わりに獲物を殺す道具として使われるようになったのだろうと、研究者は考えています。

4/18 University of AlbertaA Sea Scorpion's Strike: New Evidence of Extreme Lateral Flexibility in the Opisthosoma of Eurypterids. The American Naturalist

2017/4/23

中国からシルル紀の硬骨魚類の新種の化石が発見されました。

 顎をもつサカナ(硬骨魚類、軟骨魚類、棘魚類、板皮類)は古生代デボン紀(約4億1900万年前〜約3億5900万年前)に多様化し、数も大きく増えました。しかしその前のシルル紀の地層からはわずかな化石しか発見されていません。
 今回、中国雲南省の約4億2700万年前〜約4億2300万年前「(シルル紀後期)の地層から、新属新種の硬骨魚類の化石が発見され、Sparalepis tingiと名付けられました。発見されたのは、生きていた時と同じ状態ででつながった胴体の鱗と背ビレ、胸ビレ、尻ビレの一部です。複数の部分がつながった化石が発見されたのは、シルル紀の硬骨魚類としては2例目です。
 Sparalepisの胸からはトゲが伸び、腰の部分は骨で覆われていたそうです。これは初期の硬骨魚類と板皮類に見られる特徴です。また鱗は細長く厚く、前の方の鱗は互いにしっかりと連結するようになっていたそうです。連結する鱗はほかの初期の硬骨魚類には見られない特徴です。
 Sparalepisは硬骨魚類の中でも原始的な肉鰭類と考えられています。雲南省からはSparalepisのほかにも初期の硬骨魚類が何種も発見されているため、中国南部がデボン紀以前の初期の顎をもつサカナの多様化の場だったと、研究者は考えています。

A new osteichthyan from the late Silurian of Yunnan, China. PLOS ONE, 12(3), e0170929

2017/3/12

約40億年前の化石と思われるものが発見されました。

 これまで最古の生命の証拠とされてきたものは、約37億年前のストロマトライトです。今回、カナダからそれよりも古い化石が発見されたという論文が発表されました。
 発見されたのは、赤鉄鉱で構成された管状の構造物です。この構造がノジュールと呼ばれる岩石の塊の中に入っていたこと、そして現在の熱水噴出孔に見られる鉄バクテリアに似た特徴をもっていることなどから、生命活動によってできたものだと研究者は考えています。その年代は約42億8000万年前〜約37億7000万年前と推定されています。
 しかしこの構造が本当に生物起源なのか、そしてこの構造の年代が本当にこれほど古いのかについては異論もあります。

3/1 University College London3/3 National Geographic日本語版Evidence for early life in Earth’s oldest hydrothermal vent precipitates. Nature, 543(7643), 60-64

2017/3/6

ターリーモンスターの分類に関する議論はまだ続きそうです。

 ターリーモンスターは、アメリカ、イリノイ州にある、石炭紀の化石を産出するメゾンクリークから見つかる非常に変わった形の生物です。まるでソーセージのような細長い体、先端が鋏のように2つに分かれた長い吻部、長い柄の先についた眼をもっていました。この奇妙な生物については長い間分類不明の無脊椎動物と考えられてきましたが、無顎類のヤツメウナギの仲間であるという論文が去年発表されました。
 しかし今回、この説に疑問を唱える論文が発表されました。ターリーモンスターが脊椎動物と判断されたのは、脊索と思われる構造や鰓嚢と思われる構造があったこと、吻部の先端についている歯がヤツメウナギの歯に似ていることなどが理由です。今回の論文によれば、メゾンクリークの保存のされ方では脊索は保存されないとのことです。またバランスをとるのに必要な迷路骨包や、水の流れの速さや方向を感知するための側線といった、水棲の脊椎動物が通常もつ構造がターリーモンスターには確認できないそうです。

2/20 University of PennsylvaniaThe 'Tully Monster' is not a vertebrate: characters, convergence and taphonomy in Palaeozoic problematic animals. Palaeontology

2017/2/26

獣弓類のEuchambersiaが毒をもっていたということが確認されました。

 Euchambersiaは約2億5700万年(古生代ペルム紀後期)の南アフリカ共和国に生きていた肉食の獣弓類です。これまでに頭骨が2個発見されています。Euchambersiaの上顎には大きく深い穴があり、牙には縦に盛り上がりがあります。上顎の穴に毒腺が入っており、牙を通して毒をかみついた相手に注入していた、つまりとEuchambersiaは毒をもっていたと一般に考えられています。しかしこの説がしっかりと検証されることはこれまでありませんでした。
 今回、Euchambersiaの頭骨と牙がマイクロCTで調べられ、ほかの獣弓類やヘビと比較されました。この結果、頭骨と牙の構造が毒をもつ動物の構造と合致することがわかったそうです。頭骨の穴に入った毒腺で毒を作り、口につながる溝で毒を口の中まで運び、牙にある盛り上がりで毒を効率的に注入する傷を作っていたと研究者は考えています。
 Euchambersiaは毒をもつ最古の単弓類ということになります。

2/12 University of the WitwatersrandReappraisal of the envenoming capacity of Euchambersia mirabilis (Therapsida, Therocephalia) using μCT-scanning techniques. PLOS ONE, 12(2), e0172047

2017/2/19

ハルキエリアが軟体動物だということがわかりました。

 古生代カンブリア紀のハルキエリアやオルトロザンクルスはとても奇妙な姿をしていました。鱗のような硬皮で覆われた細長い体に、多数のトゲ、そして二枚貝や腕足類に似た殻をもっていました。これまでその分類についてはよくわかっておらず、環形動物、腕足動物、軟体動物などの説がありました。
 今回、モロッコの約4億7800万年前(古生代オルドビス紀前期)の地層、Fezouata Formationから、新属新種のハルキエリアの仲間の化石が発見されました。体は扁平でトゲのような硬皮で覆われ、体の前の方の背中側には1枚の殻があるそうです。そして殻の下の腹側には、多数の歯が並んだ歯舌があるそうです。今回発見された古生物はCalvapilosa kroegeriと名付けられました。
 歯舌は軟体動物にしかない構造です。このためCalvapilosaやその仲間のハルキエリアなどは軟体動物だということがわかったそうです。その中でも、多板類(ヒザラガイの仲間)や無板類の原始的な仲間であると、研究者は考えています。

2/6 University of BristolAncestral morphology of crown-group molluscs revealed by a new Ordovician stem aculiferan. Nature

2017/2/12

最古の新口動物の化石が発見されました。

 ウニやヒトデなどの棘皮動物やフデイシなどの半索動物、そして私たちヒトを含む脊索動物などは、新口動物というグループに含まれます。これまでで最古の新口動物の化石は、約5億2000万年前〜約5億1000万年前(古生代カンブリア紀の中ごろ)の地層から発見されていいます。しかしそれらはすでに棘皮動物や半索動物、尾索動物、脊索動物などに分かれていて、原始的な新口動物がどのようなものだったかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、中国陝西省の約5億4000万年前(古生代カンブリア紀初期)の地層から、最古となる新口動物の化石が発見されました。Saccorhytus coronariusと名付けられたこの新口動物は、最大のものでも体長1.3mmととても小さいサイズです。楕円形の体の腹側には大きな口が開いていました。そして口の後ろには左右合わせて8つの円錐形の構造があるそうです。Saccorhytusは大きな口で食物となる粒子やほかの生物を吸い込んで食べていたと研究者は考えています。8つの円錐形の構造はえらの前身で、吸い込んだ水を吐き出す役割があったとみられています。またSaccorhytusには肛門が見られないため、円錐形の構造には老廃物を排出する役割もあっただろうと研究者は考えています。

1/30 St John's College, University of CambridgeMeiofaunal deuterostomes from the basal Cambrian of Shaanxi (China). Nature

2017/2/5

白亜紀の琥珀から全く新しい昆虫の化石が発見されました。

 約1億年前(中生代白亜紀中期)のミャンマーの琥珀の中から、全く新しい昆虫の化石が発見されました。
 発見された昆虫は、三角形の頭部にふくらんだ眼をもち、さらに頭部の後ろがまるで首のように長く伸びており、まるで映画に登場するエイリアンのE.T.にそっくりの見た目をしているそうです。また体は扁平で、長い肢が生えているそうです。この昆虫はAethiocarenus burmanicusと名付けられました。昆虫類ではありますが、既知の分類のどれにも当てはまらないと研究者は考えています。AethiocarenusのためにAethiocarenodeaという分類群(目)が新設されました。
 Aethiocarenusは雑食で木の幹の割れ目に棲み、ダニなどの小さな虫や菌類などを食べていたと研究者は考えています。

1/25 Oregon State UniversityAn exotic insect Aethiocarenus burmanicus gen. et sp. nov. (Aethiocarenodea ord. nov., Aethiocarenidae fam. nov.) from mid-Cretaceous Myanmar amber. Cretaceous Research, 72, 100-104

2017/1/29

三葉虫の卵の化石が発見されました。

 三葉虫は古生代に繁栄した節足動物です。化石でよく発見されるのは硬い殻の部分です。状態がよければ、内臓や肢などの軟体部も残っていることがあります。しかし三葉虫の卵についてはこれまで発見されていませんでした。
今回、アメリカ、ニューヨーク州のオルドビス紀の地層から、卵をもった三葉虫トリアルトルス(Triarthrus)の化石が発見されました。今回化石が発見された産地では黄鉄鉱に置換された状態の化石が産出します。触角や肢が保存された化石も多数産出しています。
 発見された卵は直径200μmほどの球形または楕円形で、三葉虫の頭部の遊離頬の腹側についていたそうです。この卵の位置は現生のカブトガニと同じです。カブトガニは腹側にある生殖孔から卵と精子を放出して体外受精を行います。三葉虫でも同じように卵と精子を放出していただろうと研究者は考えています。
 また卵のサイズはこれまで一番幼いと考えられていた三葉虫の幼体のサイズよりも小さいそうです。このことから、三葉虫の幼体の殻は孵化した後に形成されたもので、孵化したばかりの幼体は殻をもっていなかっただろうと研究者は考えています。

Pyritized in situ trilobite eggs from the Ordovician of New York (Lorraine Group): Implications for trilobite reproductive biology. Geology, 45(3), 199-202

2017/1/22

ヒオリテス類が腕足動物に近い仲間らしいということがわかりました。

 これまで分類がわからなかった古生物にヒオリテス類というものがいます。円錐形の殻をもった生物で、殻の口には平らで小さなもう1つの殻が蓋のようについています。そしていくつかの種では2つの殻の間から「ヘレン」と呼ばれる細長いトゲが2本伸びていました。これまでヒオリテス類は軟体動物という見方が有力でしたが、正確な分類についてはわかっていませんでした。これは分類の決め手となる軟体部についてほとんどわかっていなかったからです。
 今回、ヒオリテス類ハプロフレンティスの1500体以上の化石が詳しく再分析されました。これらの化石はカンブリア紀の良質な化石が数多く産出しているカナダのバージェス頁岩とアメリカのスペンス頁岩から発見されたものです。今回分析された標本のうち、254体には軟体部が保存されているそうです。今回の研究の結果、口の周りを触手冠と思われるもので囲まれていることがわかったそうです。触手冠は腕足動物やコケムシなどがもっている構造で、水流を発生させて餌となる小さな粒子を口に運ぶ役割があります。今回の発見から、ヒオリテス類は軟体動物ではなく腕足動物に近い仲間であると、研究者は考えています。
 また化石のヘレンの方向も調べられました。この結果、ヘレンはヒオリテス類が食事をするときに体を持ち上げるのに使われていたらしいということがわかったそうです。

1/11 University of TorontoHyoliths are Palaeozoic lophophorates. Nature

2017/1/15