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2011年のニュース

ペルム紀末の大量絶滅は2億5228万年前に起こったらしいということがわかりました。

 古生代ペルム紀末,海生生物の90%以上,陸生生物の70%以上が絶滅したと見積もられている史上最大の大量絶滅がおこりました。しかしこの絶滅がおこった正確な時期や期間についてはよくわかっていませんでした。
 今回,中国南部からチベットまでの数か所の地点で試料が採取され,地質年代学,放射年代測定,生層序を用いて,大量絶滅が起こった時期とその期間が調べられました。この結果,大量絶滅のピークは約2億5228万年前に起こり,絶滅は20万年間続いたらしいということがわかったそうです。

11/17 University of CalgaryCalibrating the End-Permian Mass Extinction. Science

2011/11/19

白亜紀末,海流がどのように変化したかがわかりました。

 海水は数千年かけて地球の表層と深層を循環しています。これを海洋循環と呼びます。海洋大循環は熱エネルギーと塩分などを運んで地球上を循環しているため,地球の気候と密接な関係があります。
 非常に温暖だった中生代白亜紀後期,この海洋大循環がどのように循環していたかはよくわかっていません。特に,北大西洋深層水の海洋大循環における役割については議論がされてきました。温暖化が終わる時期の北大西洋の水温は海水がどのくらい深層に沈み込んでいくかによって左右されますが,白亜紀の間どこで海水が沈み込んでいたかを知るのは難しいです。
 海洋大循環のパターンを調べるために,ネオジムの同位体比が調べられました。海水が沈み込んで深層水が形成される地域では,深層水のネオジムの同位体比は近くの陸地を形成する岩石と同じになります。海水が循環しても,同位体比はほとんど変化しません。このためネオジムの同位体を時間を追って調べることによって,海水の動きを推測することができます。深層水のネオジムの同位体比は海底の堆積物に保存されるため,堆積物中のネオジムの同位体比を調べることによって,その地域の深層水のネオジムの同位体比を知ることができます。北大西洋の熱帯地域4か所から採取された,白亜紀から新生代古第三紀暁新世のコアサンプルのネオジムの同位体比が調べられました。
 この結果,約6900万年前以前は低緯度地域で温かく塩分濃度の高い深層水が形成されており,6900万年前以降,次第に北から深層水が流れ込むようになったらしいということが分かったそうです。約6900万年前に北大西洋北部で深層水または中層水が形成されるようになった,または形成される量が増加したと研究者は考えています。

10/27 MU News BureauChanges in North Atlantic circulation at the end of the Cretaceous greenhouse interval. Nature Geoscience

2011/10/31

約25億年前に好気性菌が地上に棲息していたらしいということがわかりました。

 海で堆積した地層を調べたところ,24億8000万年前にクロムの量が急激に増加したことが分かったそうです。この時期は大気中の酸素濃度が急激に増加した大酸化事変が起こった時期と一致します。
 研究者はこのクロムの増加は,バクテリアと酸素の作用によって地上の黄鉄鉱が酸化することによって引き起こされたと考えています。黄鉄鉱は鉄酸化細菌と硫黄酸化細菌の働きによって溶解し,この過程で酸が発生します。この酸が岩石と土壌を溶かし,クロムなどの金属に変化させ,これらの金属は雨水によって海へと運ばれたものと研究者は考えています。

10/20 University of AlbertaAerobic bacterial pyrite oxidation and acid rock drainage during the Great Oxidation Event. Nature, 478(7369), 369?373

2011/10/23

大酸化事変以降も鉄が多い状況が続いていたらしいということがわかりました。

 海洋の化学組成は生物の進化や生態に大きな影響を与えます。古生代以前(約5億4200万年前以前),海洋の化学組成は大きく変化しましたが,どのような変化をたどったかはよくわかっていませんでした。
 大酸化事変が起こる約24億年前まで地球表層に酸素はほんのわずかしかなく,代わりに海洋には鉄が多く溶けていたと一般的に考えられています。古生代になると鉄がほとんどなく酸素が多い環境になりましたが,この間,どのような変化が起こったかはよくわかっていません。大酸化事変によって発生した酸素と鉄が結合して沈殿した,または酸素のない環境下でバクテリアによって硫化水素が作られ,この硫化水素によって海水中の鉄が取り除かれた,という説がありますが,どれが正しいのかはわかっていません。
 今回,原生代中期(約16億年前〜約10億年前)の岩石試料が世界中から集められ,その化学組成が調べられました。この結果,これまでの説とは全く異なる結果が得られたそうです。酸素が少なく鉄が多い環境が長く続いていたらしいということがわかったそうです。酸素や硫化水素は海洋表層などに限られていたと研究者は考えています。

9/7 UCR NewsroomWidespread iron-rich conditions in the mid-Proterozoic ocean. Nature

2011/9/9

酸素は大酸化事変の数億年前から存在していた可能性があることがわかりました。

 現在,酸素は大気中に含まれる気体の21%を占め,生物にとってなくてはならない存在となっています。しかし,約25億年前〜22億年前に“大酸化事変”が起こるまで,大気中の酸素濃度は非常に少ないものでした。
 約20年前,大酸化事変の約3億年前に堆積した堆積岩にステロイドが含まれているのが発見されました。ステロイドの1種であるステロールを作るには最低でも酸素分子10個が必要なため,地球上に酸素が存在していた最古の証拠と考えられました。しかしほかに酸素が存在していたという確たる証拠は発見されていなかったため,ステロイドが本当に酸素が存在していた証拠であるかどうかは不明でした。
 今回,イースト菌を使って,酸素が本当に大酸化事変の約3億年前から存在していたかどうかが検証されました。イースト菌は酸素のある環境下ではステロールの1種,エルゴステロールを合成します。イースト菌はまた酸素のない環境でも生きられますがエルゴステロールは合成されません。研究者はどの酸素濃度でイースト菌がエルゴステロールを合成し始めるかを調べました。この結果,イースト菌はナノモル(10億分の1モル)もの非常に少ない酸素濃度でもエルゴステロールを作れるらしいということがわかったそうです。これは酸素が大気中に放出される前から存在していたことを支持するものだと研究者は考えています。
 研究者は酸素が大気中に放出される数億年前から酸素の生成と消費は行われてきたと考えています。シアノバクテリアや緑色藻類の光合成によって生成された酸素は初期の好気性生物によって消費されたり鉄や硫黄と結合して取り除かれていったと研究者は考えています。

8/16 MIT NewsMicroaerobic steroid biosynthesis and the molecular fossil record of Archean life. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108(33), 13409-13414

2011/8/21

超大陸パンゲアでは,気候によって棲み分けがされていたらしいということがわかりました。

 中生代三畳紀中期〜後期(約2億3000万年前〜約2億年前),地球上の大陸は1つに集まり,巨大な超大陸パンゲアを作っていました。
 北米大陸東部に分布する,パンゲアの南緯3度から北緯26度で堆積した地層を調べたところ,山脈などの移動の障壁となる地形が無かったにもかかわらず,キノドン類は北緯6度の限られた地域に分布し,プロコロフォン類は北緯5度〜20度の地域に分布していたらしいということがわかったそうです。
 これらの生物が棲息する地域の気候を調べたところ,キノドン類が棲息していた地域では年に2回雨季があり,プロコロフォン類が棲息していた地域では雨季が年に1回しかなかったらしいということがわかったそうです。これはキノドン類が湿潤な気候を好み,プロコロフォン類が乾燥した気候に適応していたためと研究者は考えています。

5/12 Brown University News and EventsClimatically driven biogeographic provinces of Late Triassic tropical Pangea. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108(22), 8972-8977

2011/5/15

白亜紀前期,中国北東部は寒冷な気候だったらしいということがわかりました。

 中国北東部の遼寧省を中心に分布する白亜紀前期の地層,熱河層群からは多様な羽毛恐竜が産出します。さまざまな視点からこの原因について論じられてきましたが,気候についてはほとんど論じられてきませんでした。
 今回,中国,タイ,日本から採集された恐竜,ワニ,カメ,その他の爬虫類,そして淡水生魚の化石の酸素同位体比が調べられました。酸素同位体比を調べることによって当時の気温を推定することができます。
 この結果,白亜紀前期(約1億2500万年前〜約1億1000万年前)の東アジアの中緯度(〜北緯42度)の平均気温は10℃±4℃で,現在の冷温帯と同じくらいの気温だったらしいということがわかったそうです。この結果はこれまでの研究で示されてきた海水温や植物,動物化石の記録と一致するそうです。
 このことから熱河層群で多様な羽毛恐竜が産出するのは,恐竜の進化や生物地理学的な要因だけではなく,この地域が寒冷な気候下にあったことが影響していると研究者は考えています。

3/8 CNRSOxygen isotopes of East Asian dinosaurs reveal exceptionally cold Early Cretaceous climates. Proceedings of the National Academy of Sciences, 108(13), 5179-5183

2011/3/18