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2012年のニュース

三畳紀後期の隕石衝突の証拠が発見されました。

 中生代三畳紀後期(約2億3500万年前〜約2億100万年前)には,絶滅が複数回あったことが知られています。この絶滅の原因として隕石衝突が考えられていますが,これまで隕石衝突の証拠は発見されていませんでした。
 今回,岐阜県の約2億1500万年前の地層から,隕石衝突の証拠と考えられるものが発見されました。この地層には,隕石衝突によってできたと考えられるスフェルールという球状の粒子が含まれていたそうです。また地球表層には非常に微量にしか存在しない元素も非常に高濃度で含まれていたそうです。
 カナダからは,この地層が堆積したのと同じ時期に形成されたクレーターが発見されています。今回発見された隕石衝突の証拠は,このクレーターを作った隕石衝突によってできたものだと,研究者は考えています。
 この隕石衝突の後,北米でアンモナイトや陸上の動植物が絶滅していますが,海洋プランクトンには大きな変化は見られないそうです。このため隕石が衝突した地点の近くでは絶滅がおこったものの,遠洋では絶滅を引き起こすような影響はなかったと,研究者は考えています。

11/6 鹿児島大学Deep-sea record of impact apparently unrelated to mass extinction in the Late Triassic. Proceedings of the National Academy of Sciences, Early Edition

2012/11/11

約30億年前の衝突によってできたクレーターが発見されました。

 月のクレーターの多くは,約40億年前〜約30億年前,彗星や小惑星の衝突によってできたと考えられています。同じ時期,重力の大きい地球には月よりも多くの彗星や小惑星が衝突したはずと考えられています。しかし浸食されたり堆積物に覆われたりして,その証拠はほとんど残っていません。これまで発見されている中で最古のクレーターは,南アフリカ共和国で発見された約20億年前のものでした。
 今回,グリーンランドで約30億年前の衝突によってできたと考えられるクレーターが発見されました。クレーターの地形が残っているわけではなく,空中磁気異常,粉々に砕かれた石英長石質物質の存在など,さまざまな証拠から,地下20〜25kmにクレーターがあると結論付けられました。クレーターの直径は100kmもあるそうです。

6/28 Cardiff UniversitySearching for giant, ancient impact structures on Earth: The Mesoarchaean Maniitsoq structure, West Greenland. Earth and Planetary Science Letters, 337-338, 197-210

2012/7/1

カンブリア爆発は,“大不整合”が原因で引き起こされたらしいということがわかりました。

 古生代カンブリア紀(約5億4200万年前〜約4億8800万年前),生物の種類が爆発的に増加するカンブリア爆発という出来事が起こりました。カンブリア爆発の特徴として,動物の種類が増加しただけではなく,動物が骨格(硬組織)を獲得したこともあげられます。それまで硬組織をもたない生物がほとんどだったのが,突如として,殻などの硬組織をもつようになったと考えられています。しかしカンブリア爆発が起こった理由については,よくわかっていません。
 「大不整合」と呼ばれる,十数億年前の先カンブリア時代の大陸地殻と,カンブリア紀以降の堆積岩との不整合が世界中にあります。今回,この大不整合の形成がカンブリア爆発を引き起こすきっかけになったとする説が発表されました。
 北米大陸中から2万以上の岩石が採取され,分析されました。この結果,炭酸塩鉱物や海緑石などの鉱物が大量に含まれていることがわかったそうです。これは海水の化学組成が変化した証拠であると,研究者は考えています。
 カンブリア紀前期,海進と海退が繰り返し起こり,海退の時期に表層の岩石が侵食されて大陸地殻が露出したと考えられています。そして風雨にさらされた大陸地殻は化学風化によって,カルシウムイオン,鉄イオン,カリウムイオン,珪素イオンなどのイオンを放出し,海進の時にそのイオンが海水に溶け込んで海水の化学組成を変化させたと研究者は考えています。
 また海水の化学組成が変化することで,生物にとって棲みにくい環境になったと研究者は考えています。体が正常に機能するためにはイオンが体内にバランスよく含まれている必要があります。もしあるイオンが体内に大量にある場合,そのイオンを取り除かなければいけません。そのイオンを取り除く方法の1つが生体鉱物を作ることです。
 化石からは主に3つの生体鉱物が,カンブリア紀前期にほぼ同時に,そしてさまざまな生物で作られるようになったことがわかるそうです。1つ目は現在骨や歯などを構成するリン酸カルシウム,2つ目は無脊椎動物の殻などを構成する炭酸カルシウム,そして3つ目は放散虫などに見られる二酸化珪素です。
 生物が硬組織をもつようになったのは,大不整合が形成されているときの海水の化学組成の変化に対応するためだったと,研究者は考えています。そしていったん硬組織をもってしまうと,その硬組織自体が意味を持つようになったと,研究者は考えています。例えば,殻やトゲのように防御の役割をもったり,骨のように体を支持する役割をもったり,歯や爪のように捕食のための役割をもったり。こうした変化がカンブリア爆発につながっていったと,研究者は考えています。

4/18 newswiseFormation of the ‘Great Unconformity’ as a trigger for the Cambrian explosion. Nature, 484(7394), 363-366

2012/4/23

PETMの原因となった二酸化炭素の発生源は,極地域の永久凍土だったらしいということがわかりました。

 約5500万年前,大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇し,温暖化が進んだという出来事がありました。この出来事は,暁新世‐始新世の温度最大期(Paleocene-Eocene thermal maximum: PETM)として知られています。またPETMの後の5500万年前〜5200万年前(新生代古第三紀始新世前期)までの間,急激で大きな温暖化が繰り返し起こっていました。
 これまで,PETMを引き起こした大量の二酸化炭素の発生源は,海底に堆積したメタンハイドレートなど,海洋にある考えられてきました。今回,この二酸化炭素の発生源は大陸だったという新たな説が出されました。極地域の永久凍土が解けて大量の二酸化炭素が放出されたのだと,研究者は考えています。
 気候,生態系,土壌の関係をシミュレーションするため,イタリア中央部から詳細な地質記録がとられました。始新世前期には地球の公転軌道は楕円に近く,地軸の傾きも大きかったと考えられています。このシミュレーションの結果,PETMとその後に起こった温暖化の規模や時期は,地球の公転軌道の変化により北極周辺と南極大陸の永久凍土が解け,そこに閉じ込められた有機炭素が分解されたことによって説明できたることが示されたそうです。極地域には,数兆トンの炭素を繰り返し大気や海洋に放出できるだけの炭素が含まれていたと研究者は考えています。

4/4 newswisePast extreme warming events linked to massive carbon release from thawing permafrost. Nature, 484(7392), 87-91

2012/4/5

雨粒の跡から,27億年前の大気圧が推定されました。

 約25億年前〜約32億年前,太陽は現在よりも約20%暗かったと考えられています。この暗さでは理論的には地球は完全に凍ってしまうはずですが,地質記録から,今から20億年前〜40億年前に液体の水が存在していたことがわかっています。
 当時の地球の気温が高かった理由として,温室効果ガスが多かったことと,当時の大気圧が現在よりも高かったことの,2つの理由が考えられます。
 今回,地層に残された雨粒の跡の化石を使って,当時の大気圧が調べられました。地上に落ちた雨粒の跡の大きさは,雨粒の落下速度,大気圧,雨粒が落ちた場所の成分によって異なります。大気圧が大きいほど雨粒の落下速度は速くなり,できる雨粒の跡は大きくなります。雨粒のとりうる最大サイズは,大気圧にかかわらず一定です。このため,最大サイズの雨粒の跡の大きさを調べることによって,当時の大気圧が推測できると研究者は考えています。
 南アフリカ共和国で発見された,約27億年前の火山灰に残った雨粒の跡がラテックスで型どりされ,雨粒の跡の大きさがレーザースキャンによって精密に調べられました。
 一方,ハワイとアイスランドから採取してきた火山灰の上にさまざまな大きさの水滴を落とすことで,現在の大気圧での雨粒の落下速度が調べられました。この採取された火山灰の組成は,南アフリカの火山灰の組成とほぼ同じだそうです。
 この結果,最も大きい雨粒の跡が地球上で存在しうる最大の雨粒によってできたと仮定した場合,約27億年前の大気圧は現在の2倍弱だったという結果が出たそうです。しかし最大の雨粒ができることはめったにないため,最大サイズの雨粒の跡がもっと小さな雨粒によってできた可能性は十分に考えられます。研究者は,当時の大気圧は現在と同じか,現在よりも低かったろうと考えています。
 このため,大気圧が高かったからではなく,温室効果ガスが多かったために,当時の地球の気温は高かったと,研究者は考えています。

3/28 newswiseAir density 2.7 billion years ago limited to less than twice modern levels by fossil raindrop imprints. Nature

2012/3/31

次の超大陸は北極付近に作られるという新たな説が発表されました。

 地球史上,すべての大陸が1か所に集まった超大陸がこれまでに3回作られたと考えられています。1回目は約19億年前にできたと考えられているヌーナ,2回目は約9億年前にできたと考えられているロディニア,3回目は約2億3000万年前にできたと考えられているパンゲアです。そして今から2億年〜2億5000万年後には再びすべての超大陸が1か所に集あり,超大陸アメイジアができると考えられています。
 このアメイジアができる位置にはこれまで2つの説がありました。1つはパンゲアと同じ位置にできるというもの,そしてもう1つはパンゲアとは反対の位置にできるというものです。
 今回,古地磁気を用いてそれぞれの超大陸がどこに形成されたかが詳しく調べられました。この結果,ヌーナとロディニアは88度,ロディニアとパンゲアは87度離れた位置にできたらしいということが分かったそうです。このことから研究者は超大陸は前の超大陸から90度離れた位置にできるという新しい説を提唱しました。
 研究者は,超大陸アメイジアは北極付近につくられると考えています。

2/8 Discovery NewsSupercontinent cycles and the calculation of absolute palaeolongitude in deep time. Nature, 482(7384), 208?211

2012/2/11

ペルム紀末,莫大な量の火山ガスが大気中に放出されたらしいということがわかりました。

 古生代ペルム紀末(約2億5100万年前),史上最大の大量絶滅がおこりました。この原因はまだはっきりとはわかっていませんが,シベリアで起こった大規模な火山活動が原因の有力候補の1つとして注目されています。
 ペルム紀末にシベリアで噴出した溶岩は世界最大規模で,その量は数百万km3と,推定されています。この大規模な溶岩噴出に伴って有害なガスが大気中に放出され,太陽光を遮断して気温を低下させたりオゾン層を破壊したりして,環境に悪影響を与えたと考えられています。
 今回,シベリアに堆積している洪水玄武岩に含まれる硫黄,塩素,フッ素の量が調べられました。この量を調べることによって揮発性成分がどのくらいマグマに含まれていたか,またマグマが噴出したときにどのくらいの亮のガスが大気中に放出されたかを推定することができます。
 この結果ペルム紀末のシベリアでの溶岩噴出の際,6兆3000億トン〜7兆8000億トンの硫黄,3兆4000億トン〜8兆7000億トンの塩素,7兆1000億トン〜13兆6000億トンのフッ素が大気中に放出されたらしいということが分かったそうです。
 もしこの噴火が非常に爆発的な噴火で噴出した溶岩が成層圏にまで達していたら,地球環境は激烈に悪化しただろうと研究者は考えています。

1/9 Carnegie Institution for ScienceMagnitude and consequences of volatile release from the Siberian Traps. Earth and Planetary Science Letters, 317-318, 363-373

2012/1/15