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8/27(金)
 約5000万年前の北極圏の気温が調べられました。
 グリーンランドの隣にあるエルズミア島の新生代古第三紀始新世前期(約5300万年前〜約5200万年前)の気温が調べられました。エルズミア島から採集された哺乳類や魚,ウミガメなどの骨や歯の化石に含まれる酸素同位体比を調べることにより,年平均気温が調べられました。またこの方法により,最暖月と最寒月の気温を推定することもできます。
 この結果,始新世前期,エルズミア島の最暖月の平均気温は19〜20℃,最寒月の平均気温は0〜3.5℃だと推定されるそうです。当時,エルズミア島は現在のアメリカ南東部にある沼の多いイトスギの森に似た環境だったと研究者は考えています。この地域には,大きなリクガメ,ウミガメ,陸棲のヘビ,ワニ,ヒヨケザル,バク,コリフォドンというカバのような哺乳類などが棲息していたことが化石記録からわかっています。
 当時のワニやリクガメは現生のワニやリクガメよりもわずかに寒い地域にまで棲息できたことが示唆されますが,0℃よりも高い気温の指標に使えるのではないかと研究者は考えています。(8/25 ScienceDailySeasonal variability in Arctic temperatures during early Eocene time, Earth and Planetary Science Letters, 296(3-4), 481-486

8/13(金)
 古生代オルドビス紀の気候変化が調べられました。
 古生代オルドビス紀(約4億8800万年前〜約4億4400万年前),二酸化炭素濃度は現在よりも8〜20倍も高かったと見積もられています。通常これほど二酸化炭素濃度が高ければ気候はかなり温暖だったはずですが,一時期,厳しい氷期があったらしいということがわかっています。これは当時の高い二酸化炭素濃度の推測値と矛盾します。
 今回,このオルドビス紀の氷期の前(約4億6000万年前)と最中(約4億4000万年前)の,chitinozoanと呼ばれる化石の分布が調べられました。chitinozoanは絶滅した動物プランクトンの卵殻だと考えられており,その分布を調べることによって,極前線(極地域の冷たい水とその低緯度側の少し温度の高い水との境界)の位置などの当時の気候の状態を知ることができます。
 この結果,極前線は氷期の前は南緯55度〜70度にあったのが,氷期には南緯40度にまで移動していたらしいということがわかったそうです。この変化は,新生代第四紀更新世(約259万年前〜約1万年前)の氷期と間氷期に見られる変化と似ています。
 オルドビス紀の氷期が起こったのは,二酸化炭素濃度が現在の8倍の濃度から5倍の濃度にまで下がったからであると,研究者は考えています。この氷期によって生息地域が減ったことが,オルドビス紀末の大量絶滅が起こった原因であると研究者は考えています。(8/9 ScienceDailyPolar front shift and atmospheric CO2 during the glacial maximum of the Early Paleozoic Icehouse, Proceedings of the National Academy of Sciences, Early Edition

6/27(日)
 約4万年前の温暖化の原因となったメタンの発生源がわかりました。
 約7万年前〜約1万年前まで続いた最終氷期の間に,約1500年周期で温暖化と寒冷化が繰り返した時期がありました。この現象は,ダンスガード・オシュガー振動と呼ばれています。
 ダンスガード・オシュガー振動の温暖化の時期には,大気中のメタンの濃度が高かったことがこれまでの研究からわかっています。このメタンの発生源について,極地域の湿地帯から放出されたとする説と,海の堆積物中から放出されたとする説がありました。
 今回,北グリーンランドから採集された氷床コアの分析が行われました。この氷床コアには,約4万年前,7回目と8回目の温暖化が起こった時期の氷が含まれています。モデリングでは,極地域の湿地からメタンが放出されたのが最も可能性の高い原因であるという結果が出たそうです。またメタンの同位体比を調べた結果,8回目の温暖化が起こる約500年前に重いメタンの量が減少していることがわかったそうです。陸地で生成されたメタンは,海で生成されたメタンよりも軽くなる傾向があります。このため研究者は,メタンの発生源は極地域の湿地だったと考えています。(6/25 ScienceDailyHydrogen Isotopes Preclude Marine Hydrate CH4 Emissions at the Onset of Dansgaard-Oeschger Events, Science, 328(5986), 1686 - 1689

6/20(日)
 過去350万年間の,熱帯の海水温の変化が調べられました。
 約350万年前(新生代新第三紀鮮新世後期)から現在までの気候変化を調べるために,アラビア海,南シナ海,太平洋東部,大西洋の赤道周辺の,熱帯にある4つの海域の海面水温の変化が調べられました。これらの海底からコアを採取し,アルケノン(脂質の1種)を調べることによって,海面水温が推定されました。
 この結果,氷期が始まるたびに,熱帯の海面水温が1℃〜3℃下がっていることがわかったそうです。そしてこれは地球規模の氷床の体積変化と深海水温の変化とよく一致しているそうです。また約270万年前から,熱帯の海面水温の変化は,海底の酸素同位体比の変化と地球の公転軌道の変化とよく一致するようになったそうです。
 離れた4つの海域で同じような変化が見られたため,二酸化炭素濃度の変化と地球の公転軌道の変化による地球規模での気候変動の影響を受けていると研究者は考えています。(6/17 ScienceDailyTropical Ocean Temperatures Over the Past 3.5 Million Years, Science, 328(5985), 1530 - 1534

 恐竜の骨に,哺乳類の最古の歯形がついているのが発見されました。
 中生代白亜紀後期(約7500万年前)の地層から採取された複数の骨に,齧られた痕があるのが発見されました。歯形があるのが見つかったのは,アルバータ大学やロイヤルティレル博物館に展示されている標本,そしてカナダ,アルバータ州でのフィールド調査の間に発見された標本などです。
 水棲の爬虫類チャンプソサウルスの大たい骨,ハドロサウルス類または角竜類と思われる恐竜の肋骨,鳥盤類とおもられる恐竜の肋骨,そして有袋類の下顎骨などに歯形が見られたそうです。
 上の歯で齧られた痕と下の歯で齧られた痕が同じ位置についているため,この歯形は哺乳類によって付けられたものだと考えられています。当時,このような特徴の歯をもつ動物は哺乳類だけでした。現在発見されている中で,哺乳類の歯形はこれが最古になります。
 この歯形を付けた哺乳類はリスくらいの大きさで,肉を食べるというより,骨に含まれるミネラルを摂取するために骨を齧っていたと研究者は考えています。(6/17 ScienceDailyMammalian tooth marks on the bones of dinosaurs and other Late Cretaceous vertebrates, Palaeontology, Early View

3/8(日)
 約7億年前に全球凍結が起こったと考えられる証拠が発見されました。
 カナダ・ユーコン準州の約7億1700万年前の地層から,氷河堆積物と,氷河の引っかき痕,海氷起源堆積物などの氷河があったことを示す証拠が発見されました。当時,カナダは緯度約10度の低緯度にあったと考えられています。
 約7億年前にはスターティアン氷期という氷期があったと考えられています。このような低緯度でスターティアン氷期の証拠が発見されたのは初めてだそうです。これは地球が完全に凍りつく「全球凍結」が起こったことを示す直接的な証拠であると研究者は考えています。
 スターティアン氷期が何をきっかけに始まり,何をきっかけに終わったかは正確にはわかっていないそうです。しかし7億1700万年前は,アラスカからカナダ北東部のエルズミア島へ1500km以上も続く火成岩のもととなる溶岩が噴出した時期と非常に近いそうです。このことから,火山活動が氷期を終わらせるきっかけになった可能性もあると研究者は考えています。(3/5 ScienceDailyCalibrating the Cryogenian, Science, 327(5970), 1241-1243

2/14(日)
 先カンブリア時代に海がどのような環境だったかがわかりました。
 中国南部に分布する先カンブリア時代エディアカラ紀(約6億3500万年前〜約5億4200万年前)の地層の化学成分が調べられ,当時の浅海から深海までの環境が調べられました。
 この結果,当時の海では表層ほど酸素が多く,水深が深くなるほど酸素が少なくなって鉄が多くなる成層構造をしていることがわかったそうです。またこの層の間に硫化水素を大量に含む水塊が楔形にはさまれていたと考えられています。
 現在の海では,硫化水素は鉄と反応して黄鉄鉱を作り,硫化水素と鉄が海水中から取り除かれていきます。しかし酸素と,硫化水素の元となる硫黄が現在の量から比べて非常に少なければ,鉄を大量に含む層と硫黄を大量に含む層は反応せずに長い間共存し続けるらしいということがわかったそうです。この硫黄を大量に含む層は大陸棚の上にまで進出していたと研究者は考えています。硫黄は生物にとって有害なので,貧酸素の環境とあわせて,硫黄を大量に含む層があると生物は生存できなかっただろうと研究者は考えています。エディアカラ紀の化石がまだらにしか産出しないのも,この硫黄を多く含む層で説明できると考えられています。(12/13 ScienceDailyA Stratified Redox Model for the Ediacaran Ocean, Science

2009年
11/22(日)
 閉じた海よりも開けた海のほうが大量絶滅が起こりやすかったらしいということがわかりました。
 地質時代を通じて,これまで何回もの大量絶滅がありました。その中でも,オルドビス紀末,デボン紀末,ペルム紀末,三畳紀末,白亜紀末には特に大きな大量絶滅があったと考えられています。
 これまで,ある特定の環境や生物がより大きく絶滅の影響を受けていたかといった詳細な研究は行われてきましたが,縁海(大陸や島で囲まれた海)と,大陸周辺の外洋に面した海とでどちらが大量絶滅の影響を大きく受けたかという研究は行われてきませんでした。
 今回,世界中の化石の産出データが集められたPaleobiology Databaseのデータを利用して,ペルム紀から白亜紀を通しての何十万という海生生物の属レベルでの産出が調べられました。そして当時の大陸配置の復元を基に縁海と外洋に面した海との境界が推定され,この2つの環境での,絶滅速度が調べられました。
 この結果,大量絶滅が起こっていない期間は2つの環境で絶滅の速度はほとんど変わらないものの,大量絶滅が起こったときはかなり大きな差が出ていることがわかったそうです。
 三畳紀末と白亜紀末の大量絶滅が起こったと考えられている時期は,外洋に面した海のほうが縁海よりも絶滅速度がかなり速かったそうです。このことから,外洋に面した海のほうが縁海よりも環境の変化などに反応して大量絶滅が起こりやすかったと考えられるそうです。しかしペルム紀末では縁海の方が絶滅速度は速くなっていたそうです。ペルム紀末に海水準が大きく下がったらしいということがこれまでの研究からわかっています。このことから,海水準が下がったことにより縁海が干上がってその結果縁海に棲む生物が多く絶滅したのだろうと研究者は考えています。
 研究者は,この研究を縁海が広く広がっていた古生代全体に対しても行い,オルドビス紀末とデボン紀末の大量絶滅の時にはどのように絶滅が起こったかを調べたいと考えています。(11/20 ScienceDailyEpicontinental Seas Versus Open-Ocean Settings: The Kinetics of Mass Extinction and Origination, Science, 326(5956), 1106-1109The Paleobiology Database

10/25(日)
 北海が一時期,外海から隔離されていたらしいということがわかりました。
 約5500万年前,大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇し,温暖化が進んだという出来事がありました。この出来事は,暁新世‐始新世の温度最大期(Paleocene-Eocene thermal maximum: PETM)として知られています。これまで,この時代の陸上や沖合いの気候変化については盛んに研究が行われてきましたが,北海のような縁海の気候変化についてはほとんど研究されていませんでした。
 今回,イギリス,デンマーク,ベルギー,オランダ,スウェーデンから採集されたサメの歯の化石の酸素同位体比が調べられました。酸素同位体比を調べることによって,海水温や塩分濃度を推定することができます。
 この結果,PETM直後の始新世前期の200〜400万年間,北海の塩分濃度が非常に低かったらしいということがわかったそうです。海水準の下降や陸地の隆起によって,北海が一時的に周りの海から隔離されたのだろうと研究者は考えています。北海が周囲から隔離されると,川からの淡水の流入や雨によって,塩分濃度が低くなります。(10/20 ScienceDailySurface-water freshening and high-latitude river discharge in the Eocene North Sea, Journal of the Geological Society, 166(5), 969-980

10/3(土)
 約1570万年前,南極が短期間に急激に温暖になった時期があったらしいということがわかりました。
 現在,5カ国(ドイツ,イタリア,ニュージーランド,イギリス,アメリカ)から200人以上の研究者や学生が集まって南極の地史を解明しようという研究が行われています。
 ボーリングによって採集された試料に含まれる花粉化石を調べたところ,花粉化石や藻類が異常に多く含まれる層準があることがわかったそうです。
 この層準を詳しく調べた結果,花粉は約80倍,渦鞭毛藻という海生の藻類は約2000倍,淡水性の藻類は約5倍,急激に増加していることがわかったそうです。この増加は,南極が約1570万年前(新生代新第三紀中新世中期)に短期間,急激に温暖化したことを示していると研究者は考えています。1月の平均気温は約10℃,海水表面の温度は0℃〜11.5℃だったと推定されています。(10/2 ScienceDailyANDRILL

9/11(金)
 大気中の酸素濃度はこれまで考えられていたよりも早く増加していたらしいということがわかりました。
 先カンブリア時代,大気中の酸素濃度は,2回,大きく増加したと考えられています。1回目は「大酸化事変(Great Oxidation Event)」が起こったと考えられている約24億年前から約22億年前,そして2回目はカンブリア時代(約5億4200万年前〜約4億8800万年前)が始まる直前の約5億8000万年前です。
 今回,縞状鉄鉱層という地層に含まれるクロム(Cr)の同位体比が調べられました。この結果,これまで考えられていたよりも早く,約28億年前に大気中の酸素濃度が増加したらしいということがわかったそうです。しかしこの増加は一時的なもので,約20億年前に酸素濃度は急激に減少したらしいということもわかったそうです。(9/19 ScienceDailyFluctuations in Precambrian atmospheric oxygenation recorded by chromium isotopes, Nature, 461(7261), 250-253

8/20(木)
 25億年以上前,地球の大気中に強力な温室効果ガスが存在していたらしいということがわかりました。
 30億年以上前,太陽は現在よりも25%〜30%暗かったと考えられています。太陽光がこれほど弱ければ地球は完全に凍ってしまうはずですが,当時の地球表面には液体の水が存在していたということがこれまでの研究からわかっています。この原因として,大気中に温室効果ガスが高濃度で含まれ地球を温めていたからであるといわれています。実際,約37億5000万年前,大気中の二酸化炭素濃度が非常に高かったとする研究結果もあります(2007年2月6日のニュース)。
 今回,始生代(25億年以上前)の岩石に含まれる硫黄同位体比が測定されました。この結果,マントルなどの地質活動では説明できない値が得られたそうです。これは,大気中に硫化カルボニル(酸化硫化炭素)という物質が大量にあったと考えると,説明できるそうです。硫化カルボニルは,二酸化炭素よりも高い効果をもつ温室効果ガスです。大気中に硫化カルボニルが大量にあったために地球が温められて凍らなかったと研究者は考えています。(8/18 ScienceDailyGeological sulfur isotopes indicate elevated OCS in the Archean atmosphere, solving faint young sun paradox, Proceedings of the National Academy of Sciences, Early Edition

8/13(木)
 始新世の間,北米では気温の変化に伴って,動植物の多様性も変化していたらしいということがわかりました。
 新生代古第三紀始新世(約5580万年前〜約3390万年)の間の北米の気温の変化と,生息していた植物と動物の化石記録が調べられました。この結果,気温が上がると動植物の多様性が増加し,逆に気温が下がると多様性は減少していたらしいということがわかったそうです。
 始新世は温暖化が進んだと考えられている時代です。約5300万年前から約5000万年前まで,Early Eocene Climatic Optimum(EECO)と呼ばれる,気候が著しく温暖になったと考えられている時期がありました。今回の研究により,この期間,年平均気温は15℃から23℃に上昇し,新しい植物が出現して植生が変化し,哺乳類は90属から104属に増加したということがわかったそうです。しかしこの後気温は低下し,哺乳類も84属に減少したということもわかったそうです。
 北米の脊椎動物を研究している古生物学者の間ではこれまで,暁新世から始新世の間(約6550万年前〜約3390万年前),気候の変化は哺乳類の進化をわずかに促進する以外,哺乳類の進化に大きな影響を与えてこなかったと考えられてきました。例外として,寒冷化が進み,南極大陸に氷床ができ始めた始新世末の気候変動で陸上哺乳類の多様性が減少したことが挙げられているだけでした。
 しかし今回の研究で,全地球的な気候の変化が,植物や動物に大きな影響を与えることが示されたと,研究者は考えています。(8/10 ScienceDailyClimate directly influences Eocene mammal faunal dynamics in North America, Proceedings of the National Academy of Sciences

7/17(金)
 北極の氷はこれまで考えられてきたよりも早く形成され始めたらしいということがわかりました。
 これまで,北極海の氷は約4600万年前(新生代古第三紀始新世中期)にできたと考えられてきました。これは北極海の海底に含まれる,氷によって運ばれた岩石の破片を基に推測されたもので,この方法では海氷と大陸でできた氷河とを区別できないという問題点があります。
 今回,堆積物中に含まれる珪藻の化石が調べられました。この結果,氷によって運ばれた岩石の破片とともに,Synedropsis属の珪藻が大量に発見されたそうです。Synedropsisは現在極地に生息している属です。研究者は,Synedropsisが堆積中に含まれているのは,当時海氷があった証拠だと考えています。
 またこの研究により,海氷が形成され始めたのは,約4750万年前らしいということもわかったそうです。これはこれまで考えられていたよりも100万年以上早く,南極よりも北極で早く氷が形成されたことを示唆しているそうです。(7/15 ScienceDailyEvidence for middle Eocene Arctic sea ice from diatoms and ice-rafted debris, Nature, 460(7253), 376-379

5/10(日)
 大気中の酸素濃度の急激な増加によって,最初の氷河時代が始まったが起こったらしいということがわかりました。
 約24億年前,大気中の酸素濃度が急激に増加したと考えられています。この出来事は「大酸化事変(Great Oxidation Event)」と呼ばれています。この大酸化事変によって,地球で最初の氷河時代が始まったという説が発表されました。
 地球が誕生してから23億年前までの酸素濃度の変化が調べられた結果,氷河によって形成されたと考えられる氷河性堆積物が見られる時期と,大気中の酸素濃度が急激に増加した時期とが一致することがわかったそうです。
 大気中の酸素濃度がまだ少なかったころ,バクテリアの光合成によって作られた酸素は,最初に海洋中の鉄と反応して沈殿し,縞状鉄鉱層という地層を作ったと考えられています。こうして海洋中の鉄が全て酸素と反応してなくなると,酸素は海洋から大気へと放出されるようになります。
 こうして大気中へと放出された酸素は強力な温室効果のあるメタンと反応して,メタンよりもずっと温室効果の少ない二酸化炭素を作り出したと研究者は考えています。こうして気温が下がり,氷河や海氷が作られるようになったと研究者は考えています。(5/7 ScienceDailyReconstructing Earth's surface oxidation across the Archean-Proterozoic transition, Geology, 37(5), 399-402

4/9(木)
 ニッケルの減少によって,大気中緒酸素濃度が増加したらしいということがわかりました。
 地球ができた当初,大気中に酸素はほんの少ししかありませんでした。それが約24億年前,大気中の酸素濃度が急激に増加したと考えられています。この出来事は「大酸化事変(Great Oxidation Event)」と呼ばれています。大酸化事変が起こった原因についてはよくわかっていませんでした。
 今回,世界中の様々な地域に分布している,約38億年前〜約5億5000万年前(先カンブリア時代)の縞状鉄鉱層に含まれる微量元素の組成が調べられました。縞状鉄鉱層とは酸素がまだ少ない時代に形成された堆積岩です。珪酸塩鉱物と含鉄鉱物が交互に積み重なって,縞模様を作っているのが特徴です。縞状鉄鉱層には,ニッケルや他の微量元素が含まれています。
 今回,縞状鉄鉱層に含まれるニッケルの濃度が約27億年前に減少し始め,約25億年前には最初の濃度の約半分にまで減少しているのが発見されました。ニッケルが減少した時期は,大酸化事変が起こった時期と一致します。
 メタンを作り出す微生物,メタン細菌は,ニッケルの多い環境で成長します。メタンは酸素と反応して二酸化炭素と水に変化するため,メタンが大気中に大量にあると大気中の酸素濃度は低くなります。海洋中のニッケル濃度が減少すると,メタン細菌の活動が抑制されてメタンの生成量が減少します。しかし酸素を作り出す藻類や他の微生物はニッケルの量に左右されることなく酸素を作り出すので,大気中の酸素濃度は増加することになります。研究者は,このようなメカニズムで大気中の酸素濃度が増加したのだろうと考えています。
 このニッケルが減少した原因は,地球のマントルの活動にあると考えられています。地球ができたばかりのころ,マントルはまだ熱く,噴出した溶岩にはニッケルが大量に含まれていたと考えられています。この溶岩によって海に大量のニッケルが供給されていたと考えられています。しかしマントルが冷えて溶岩の組成が変化するとニッケルの量が減少し,海洋中のニッケル濃度も減少したと考えられています。(2/9 ScienceDailyNature, 458(7239), 750-753

2008年

9/10(水)
 古生代石炭紀の,温暖化に伴って変化した熱帯雨林の化石が発見されました。
 アメリカ合衆国イリノイ州の炭鉱から,約3億年前(古生代石炭紀後期)の熱帯雨林の化石が発見されました。約100km2という広大な面積にわたって保存されています。この熱帯雨林の化石は,世界最古の熱帯雨林の化石です。
 当時地球では激しい温暖化が起こっていたと考えられています。イリノイ州で発見された化石の中には,温暖化以前に成長した森林の化石と,温暖化後に成長した森林の化石が含まれているそうです。温暖化に伴う森林の変化を連続的に調べることにより,温暖化により熱帯雨林の植生が劇的に変化したことがわかったそうです。温暖化以前は雑草のようにひょろひょろしたシダ植物が生えていたのが突然,非常に高いヒカゲノカズラに取って代わられたそうです。この温暖化に伴う森林の変化を調べることにより,現在の熱帯雨林が将来どのように変化していくかがわかるだろうと研究者は考えています。(9/8 PhysOrg.com

8/9(土)
 南極の気候が,約20万年間という短い期間に急激に寒冷化したらしいということがわかりました。
 氷河地質学,古生態学,火山灰を用いた年代測定,コンピュータモデリングなど,様々な手法を用いて,約1400万年前の南極の気候変動が調べられました。
 この結果,約1410万年前には氷河はあったものの所々ツンドラが広がる(相対的に)温暖な気候だったのが,約1390万年前には植物の全く育たない極寒の気候に変化していたらしいということがわかったそうです。約1410万年前には夏季には南極の湖の氷が完全に溶けていたと考えられています。約20万年間という短い期間に,夏季の平均気温は約8℃下がったと推測されています。現在から比べると,約1410万年前の南極の夏季の平均気温は17℃暖かかったそうです。
 この急激な慣例化の原因はまだわかっていませんが,大気中の二酸化炭素濃度や,大陸移動(とそれに伴う海流の変化)などが原因として考えられるそうです。(8/6 ScienceDailyProceedings of the National Academy of Sciences, 105(31)

3/10(月)
 約8000万年前,海水準は現在よりも170mも高かったらしいということがわかりました。
 中生代白亜紀(1億4600万年前〜6550万年前)の間,海底の広さと深さがどのように変化してきたかが,10年以上の年月をかけて調べられてきました。この結果,約8000万年前
(白亜紀後期)には海水準は現在よりも約170m高かったらしいということがわかりました。しかしこれは,温暖化によって氷が溶けたためではありません。
 この研究によると,海底を走る大洋中央海嶺によって作られる海洋地殻の供給と成長が,海水準変動の重要な要因となっているそうです。大洋中央海嶺で作られたばかりの海洋地殻は温度が高く,体積が大きく(水深が浅く)なっています。海嶺から押し出された海洋地殻が海嶺から離れて深海平原の一部となるにしたがって,温度が冷えて水深も深くなっていきます。現在,大洋中央海嶺は平均で水深2500m,深海平原は平均で水深6000mの深さにあります。海底における大洋中央海嶺と深海平原との割合が変わると,海水準も変化します。大洋中央海嶺の割合が高いと海水準は高く,逆に深海平原の割合が高いと海水準は低くなります。今回の研究によって,白亜紀後期の間,莫大な量の大洋中央海嶺が地球全体を覆っていたことがわかりました。このため,海底の平均の水深が現在よりもかなり浅かったと考えられています。特に,現在の太平洋の前身となるパンサラッサにあった大洋中央海嶺が,白亜紀後期から現在へと続く海水準変動の大きな要因となっていたと考えられています。現在,この大洋中央海嶺の大部分は消滅しています。この大洋中央海嶺の消失が,8000万年前から現在まで海水準が下がり続けてきた大きな原因だと考えられています。この研究によって導き出されたモデルから,これから先,大西洋は広がり続け,太平洋は太平洋中央海嶺の消失に伴って閉じていくということが示唆されています。このため海盆(深海底の凹地)の面積が広がり,海水準は長周期で下がっていくだろうと考えられています。(3/6 National Geographic NewsScience, 319(5868), 1357 -1362

1/30(水)
 恐竜絶滅を引き起こした隕石が,従来考えられていたよりも深海に落下したことがわかりました。
 約6550万年前,メキシコのユカタン半島に隕石が衝突しました。この隕石の衝突によって,白亜紀末の大量絶滅が起こったと考えられています。今回,この隕石によってできたチチュルブクレーターの地質構造が地震波を使って3次元的に調べられました。その結果,この隕石が従来考えられていたよりも深海に落ちたことがわかりました。この衝突によって約6.5倍もの水蒸気が大気中に放出されたと考えられています。
 また,隕石が衝突した地点には硫黄に富む蒸発岩が分布しています。この蒸発岩が水蒸気と反応し,硫酸のエアロゾルが発生したと考えられています。高層大気にある硫酸エアロゾルによって気候が寒冷化し,下層大気にある硫酸エアロゾルが雨とともに落下し,酸性雨を降らせたと考えられています。従来から,隕石衝突によってこの2つの現象が起こったと考えられてきましたが,規模は小さく見積もられていました。しかし大量の水蒸気が放出され,大量の硫酸のエアロゾルが発生したと考えられることから,この寒冷化と酸性雨が大量絶滅の一因になったと研究者は考えています。
 大量絶滅はたった1つの原因によって引き起こされたのではなく,異なる場所で,異なる時間スケールで起こる環境変化がいくつも影響して引き起こされたと研究者は述べています。(1/24 ScienceDailyNature Geoscience, Published online: 13 January 2008

2007年
12/27(木)
 5500万年前におきた温暖化がどのようにして進行したのかがわかりました。
 5500万年前,大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇し,温暖化が進んだという出来事がありました。この出来事は,暁新世‐始新世の温度最大期(Paleocene-Eocene thermal maximum: PETM)として知られています。
 ニュージャージー州に分布する,5500万年前の海成堆積物を用いて,PETMが起こったメカニズムが調べられました。この結果,温室効果ガスの大部分は,気候イベントの連鎖反応によって放出されたらしいということがわかりました。この研究では,次のような温暖化のシナリオが提唱されています。おそらく激しい火山活動によって二酸化炭素が大気中に放出されて大気中の二酸化炭素濃度が上昇し,地球の気温が上昇しました。この結果,海底に存在していたメタンハイドレートが溶解,大量のメタンが大気中に放出されました。この温暖化によって,6℃気温が上昇したと考えられています。
 この研究によって,温暖化が大量の温室効果ガスの大気中への放出を促進するということが確かめられました。(12/27 ScienceDailyNature, 450, 1218-1221

11/5(月)
 約5億年前に大気中の酸素濃度が増加したという証拠が発見されました。
 約5億年前,それまで大気中に大量にあった二酸化炭素が減少し,酸素が増加して地球の気温が下がったということが,これまでの研究からわかっています。この気候変動の証拠を集めるため,世界中の岩石を採取してその化学組成を調べるという研究が行われてきました。そしてアメリカ合衆国中央部とオーストラリアで採取された岩石の分析結果から,Steptoean Positive Carbon Isotope Excursion(SPICE)と呼ばれるこのイベントの新たな証拠が発見されました。
 岩石中の炭素と硫黄の含有量から,約200万年の間に,地球の気候が急激に寒冷化したことがわかりました。このイベントの前は,大気中の二酸化炭素は現在の20倍もあり,地球は高温でした。しかしこのイベントの後,地球の気温が下がり,二酸化炭素は減少して酸素が増加し,気候と大気組成が現在と似たものになったそうです。
 このころから現在まで,大気組成は幾度となく変化してきましたが,カンブリア紀の変化は非常に急激でした。このSPICEの証拠は,ヨーロッパからも発見されているため,SPICEは世界中で起こったことがわかりました。
 約5億年前の気候変動のシナリオとして,次のようなものが考えられています。カンブリア紀の間,現在ある大陸のほとんどは海中に沈んでいるかゴンドワナ超大陸の一部でした。地殻変動により新しい岩石が海上に押し出されていましたが,当時の酸性雨によってすぐに溶かされてしまっていました。この化学風化により,二酸化炭素が大気中から取り除かれて地中に埋没し,酸素が放出されました。温室効果と逆の反応が起こっていたのです。
 これまでの研究から,SPICEが起こっている間に,二酸化炭素が取り除かれ酸素が放出されていたことはわかっていました。しかし,酸素が地中に埋没することなく大気中にとどまっていたかどうかについては確証がありませんでした。
 岩石中の炭素同位体比を調べた結果,当時どれくらいの量の酸素が大気中に放出されていたか,そして放出された酸素がどれくらいの期間大気中にとどまっていたかがわかりました。また,硫黄の同位体を調べることにより,大気中に放出された酸素が再び地中に戻ることはなかったということがわかりました。
 この結果を踏まえて,SPICEは以下のように説明されています。地殻変動により風化が促進されて二酸化炭素が大気中から取り除かれました。そして海洋が冷却され,生物が棲みやすい水温になるとプランクトンが繁栄し,その光合成によりより多くの酸素が作られたのです。(10/30 ScienceDaily

2/6(火)
 約38億年前の地球の大気に二酸化炭素が大量に含まれていたという証拠が発見されました。
 初期の地球の大気には二酸化炭素が高濃度で含まれていたために,その温室効果によって気温が高められ,地球が火星のように完全に凍ることはなかったと長い間考えられてきました。今回,カナダのケベック州に分布する37億5000万年前の岩石が調べられ,これを裏付ける直接的な証拠が初めて発見されました。
 30億年以上前,太陽は現在よりも25%暗かったと考えられています。太陽光がこれほど弱かったにもかかわらず,当時の地球表面には液体の水が存在していたということがこれまでの研究からわかっています。今回の研究で,当時地球の気温が0℃を下回らなかったのは,二酸化炭素やメタンが大気中に高濃度で含まれ地球を暖めていたからであるということが示唆されています。
 ケベック州に分布する37億5000万年前の岩石には,当時の海で沈積したと考えられる炭酸鉄が含まれています。炭酸鉄は大気中の二酸化炭素濃度が現在の値よりもかなり高くなければ形成されないため,研究者は初期の地球の二酸化炭素濃度は現在とは比べ物にならないくらい非常に高かったと結論付けました。(2/6 ScienceDailyEarth and Planetary Science Letters, 254(3-4), 358-376

2006年
11/20(月)
 氷河期の日本にもサンゴ礁が存在していたことがわかりました。
 サンゴ礁が氷河期の日本にも存在していたことを示す化石が,沖縄県伊良部島沖で発見されました。このサンゴ礁は当時,最も北に位置していたと考えられるそうです。
 伊良部島から10km南西の水深120mの海底を掘削したところ,厚さ5mのサンゴ礁の化石が発見されました。この化石の年代を測定したところ,地球が最も寒冷化した「最寒冷期」の直前にあたる3万年前から2万2000万年前の年代が得られたそうです。これは氷河期の後期に当たります。
 当時は黒潮が日本列島の東側を流れていたという仮説があり,氷河期でも海水温が高かった可能性はあると研究者は話しています。(11/18 msn.ニュース

9/28(木)
 恐竜時代の気候も現在と同じように急激に変化していたことがわかりました
 太平洋の海底に堆積した地層を調べた結果,白亜紀前期(約1億2000万年前)の海水表面の温度が1万年の間に約6℃変化していたことがわかりました。人間が介入しないでこれほどの変化が起きていたということは,気候の変化がこれまで考えられていたよりも複雑なものであるということを示唆するものです。(9/25 topix.net9/30 New ScientistGeology, 34(10), 833-836
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