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2017年、2018年、2019年、2020年のニュース

吻部が細長いモササウルス類が発見されました。

 モロッコの約7210万年前〜約6600万年前(中生代白亜紀末期)の地層からは、多様なモササウルス類の化石が産出しています。今回、この地層から新属新種のモササウルス類の化石が発見され、Gavialimimus almaghribensisと名付けられました。
 Gavialimimusの吻部は細長く、歯はかみ合うようになっているそうです。Gavialimimusは素早く動く獲物を捕食していたのだろうと、研究者は考えています。白亜紀末期のモロッコに棲んでいたモササウルス類たちは、別々の獲物をとることで棲み分けをしていたのだろうと、考えられています。

10/7 University of AlbertaA new species of longirostrine plioplatecarpine mosasaur (Squamata: Mosasauridae) from the Late Cretaceous of Morocco, with a re-evaluation of the problematic taxon ‘Platecarpus’ ptychodon. Journal of Systematic Palaeontology

2020/10/10

これまでプログナソドンの1種とされていたモササウルス類が、新属らしいということがわかりました。

 プログナソドンの1種、P. stadtmaniは、1975年にアメリカ合衆国コロラド州の約8360万年前〜約7210万年前(中生代白亜紀後期)の地層から発見され、1999年に記載されました。クリダステスのような初期のモササウルス類と、その後の進化的なモササウルス類の両方の特徴をもっています。
 今回、P. stadtmaniの化石が詳しく調べられ、ほかのモササウルス類との系統関係が再検討されました。この結果、P. stadtmaniはプログナソドン属のほかの種と系統的に近くないということがわかったそうです。このことから、研究者はP. stadtmaniをプログナソドンとは別属とし、新属のGnathomortis stadtmaniと名付けました。
 G. stadtmaniの下顎の長さは1.2mもあり、外側には大きなへこみがあります。このへこみには大きな筋肉がつき、かむ力が非常に強かっただろうと、研究者は考えています。

9/27 Utah State UniversityRedescription and phylogenetic assessment of ‘Prognathodon’ stadtmani: implications for Globidensini monophyly and character homology in Mosasaurinae. Journal of Vertebrate Paleontology, e1784183

2020/9/27

タニストロフェウスが水中で生活していたらしいということがわかりました。

 タニストロフェウスは、約2億4200万年前(中生代三畳紀中期)に生きていた爬虫類です。全長の半分ほどを占める長い首をもっていました。あまりにも奇妙な姿をしているため、タニストロフェウスが陸上で生きていたのか、それとも水中で生きていたのかは、これまでわかっていませんでした。
 タニストロフェウスに関して、わかっていないことはもう1つあります。スイスからは、全長約6mの大きなタニストロフェウスと、全長約1.2mの小さなタニストロフェウスが発見されています。小さなタニストロフェウスは大きなタニストロフェウスの亜成体なのか、それとも別種なのかも、わかっていませんでした。
 今回、頭骨が壊れた大型のタニストロフェウスの化石がCTスキャンにかけられ、頭骨がデジタルで立体的に組み立てられました。この結果、鼻の穴が吻部の上に位置しているなど、水棲と考えられる特徴があることがわかったそうです。卵を産むとき以外は水中ですごしていたのだろうと、研究者は考えています。また、歯は魚食に特徴的な円形をしているため、水中で魚や、イカのような頭足類を待ち伏せして食べていたのだろうと、推測されています。
 また、小型のタニストロフェウスの骨の断面が調べられた結果、成長線が多く、成体であるらしいということがわかったそうです。このことから、小型のタニストロフェウスは大型のタニストロフェウスの亜成体ではなく、両者は別種であると、研究者は考えています。大型のタニストロフェウスは、T. hydroidesと名付けられました。
 大型のタニストロフェウスと小型のタニストロフェウスは、違う形の歯をもっていました。大型のタニストロフェウスの歯は円錐形であるのに対し、小型のタニストロフェウスの歯には、咬頭が3つあります。小型のタニストロフェウスはエビなどの小さな殻をもった生物を食べていたのだろうと、研究者は考えています。両者はそれぞれ違った獲物を食べることで棲み分けをしていたのだろうと、考えられています。

8/6 Field MuseumAquatic Habits and Niche Partitioning in the Extraordinarily Long-Necked Triassic Reptile Tanystropheus. Current Biology

2020/8/11

バウルスクス類が肉食の捕食者だったらしいということがわかりました。

 白亜紀の大陸において、ほぼすべての地域で生態系の頂点に立つ捕食者は獣脚類でした。しかし、白亜紀後期のブラジルでは獣脚類が少なく、バウルスクス類というワニ形類が生態系の頂点に立っていたと考えられています。バウルスクス類は大きな牙のような歯をもち、頭骨に高さがあるなど、陸上における肉食の捕食者だったと思われる特徴をもっていますが、その生態が定量的に検証されることはこれまでありませんでした。
 今回、バウルスクスの頭骨が生体力学的に調べられました。
 この結果、バウルスクスのかむ力は小さいものの、獲物を噛んだ時の圧力が顎からほかの場所に伝わりにくい構造をしているらしいということがわかったそうです。また、バウルスクスは、肉を引き裂くのに適した、ナイフのように薄い、鋸歯で縁取られた歯ももっています。バウルスクスは陸棲の脊椎動物を食べていたのではないかと、研究者は考えています。

A unique predator in a unique ecosystem: modelling the apex predator within a Late Cretaceous crocodyliform‐dominated fauna from Brazil. Journal of Anatomy

2020/7/25

白亜紀のワニ形類に、二足歩行をしていたものがいたらしいということがわかりました。

 韓国の中生代白亜紀前期(約1億4500万年前〜約1億100万年前)の地層、晋州層から、近年、多様な足跡の化石が大量に発見されています。この中には、ジャンプして移動する哺乳類の足跡や、ドロマエオサウルス類の足跡、カエルの足跡などが発見されているそうです。
 今回、この地層から発見された足跡化石の中に、Batrachopusがあります。Batrachopusの化石は、北米、ヨーロッパ、アフリカの中生代ジュラ紀前期(約2億100万年前〜約1億7400万年前)の地層から多く発見されています。ワニ形類の足跡ではないかと考えられています。これまでに発見されているBatrachopusの化石には前足と後ろ足の両方の跡が残っています。しかし、今回発見されたBatrachopusの化石は、左右の足の間の幅が狭く、そして後ろ足の跡しか残されていないそうです。この足跡化石を詳しく調べた結果、後ろ足が前足の跡を踏んで消した可能性も、保存が悪くて前足の跡が残らなかった可能性も、低いということがわかったそうです。このため、Batrachopusを残したワニ形類は二足歩行をしていたのだろうと、研究者は考えています。今回発見されたBatrachopusは新種とされ、B. grandisと名付けられました。

Trackway evidence for large bipedal crocodylomorphs from the Cretaceous of Korea. Scientific Reports, 10(1)

2020/6/13

イギリスから、新属新種のタペジャラ類の化石が発見されました。

 イギリスの約1億2900万年前〜約1億2500万年前(中生代白亜紀前期)の地層から、翼竜の顎の化石が発見されました。歯がなく、先端が鋭くて下に向かってカーブした形などの特徴から、タペジャラ類の顎と考えられています。今回発見された翼竜は、新属新種とされ、Wightia declivirostrisと名付けられました。
 タペジャラ類の化石は、ブラジル、中国、モロッコなどから発見されています。Wightiaは、中国のタペジャラ類に近縁ではないかと、研究者は考えています。

5/28 University of PortsmouthFirst tapejarid pterosaur from the Wessex Formation (Wealden Group: Lower Cretaceous, Barremian) of the United Kingdom. Cretaceous Research, 113, 104487

2020/6/7

ワニ形類の中耳の形が、棲息環境によって異なっていたらしいということがわかりました。

 生命史において、陸上に棲んでいた祖先から進化して海に進出するような、棲息環境と身体的特徴の劇的な変化が何度も起こってきました。ワニ形類に含まれるタラットスクス類もそのような劇的な変化が起こった古生物のひとつです。約2億3000万年前(中生代三畳紀後期)にいた最古のワニ形類は、陸上に棲んでいました。約1億8300万年前(中生代ジュラ紀前期)には、海岸近くに棲息していた半水棲のタラットスクス類(テレオサウルス類)が出現し、その数百万年後に、完全に海に適応したタラットスクス類(メトリオリンクス類)が出現しました。海に進出する際に、四肢がヒレになり、尾にヒレができ、皮骨でできた鎧が無くなるといった変化とともに、耳も変化していたらしいということが、今回わかりました。
 中耳は、聴覚とともに平衡感覚を司る器官です。中耳のうち、三半規管と前庭が、平衡感覚を司っています。今回、化石、そして現生のワニ形類の中耳の形がCTスキャンによって調べられました。この結果、ワニ形類の中耳の形が棲息環境によって異なっているということがわかったそうです。完全に海に適応したメトリオリンクス類の中耳は小さく、三半規管は太くなっているそうです。
 また、中耳の変化が、骨格が水棲に適応するように変化した後に起こっていたらしいということもわかったそうです。クジラ類もタラットスクス類と同じように、陸上に棲んでいた祖先から進化して海に進出しましたが、クジラ類の中耳の変化は水中に進出してすぐに起こっています。同じように棲息環境が変化したタラットスクス類とクジラ類ですが、その進化の仕方は異なっていたと、研究者は考えています。

5/5 Nature Research Ecology & Evolution CommunityInner ear sensory system changes as extinct crocodylomorphs transitioned from land to water. Procedings of the National Academy of Sciences

2020/5/17

タニストロフェウス類の祖先に近縁な爬虫類の化石が発見されました。

 ペルム紀末(約2億5200万年前)の大量絶滅後、爬虫類は形態的にも生態的にも多様化しました。三畳紀の爬虫類の中でも独特な姿をしたグループがタニストロフェウス類です。とても長い首をもっていて、生態はよくわかっていません。タニストロフェウス類の化石のほとんどは三畳紀中期と後期(約2億4700万年前〜約2億100万年前)の地層から発見されています。しかし三畳紀前期(約2億5200万年前〜約2億4700万年前)の地層からはほとんど発見されていないため、タニストロフェウス類の初期の進化についてはこれまでわかっていませんでした。
 今回、ブラジル南部の三畳紀前期の地層から、新属新種の爬虫類の化石が発見され、Elessaurus gondwanoccidensと名付けられました。Elessaurusはタニストロフェウス類に近縁と考えられています。
 ほとんどのタニストロフェウス類の化石は、北半球の海で堆積した地層から発見されています。今回の発見から、タニストロフェウス類が南半球で出現した可能性があると、研究者は考えています。そして今回Elessaurusの化石が発見されたのは陸で堆積した地層であることから、タニストロフェウス類の祖先は陸で生活していただろうと、研究者は考えています。

4/8 ScienceDailyA new archosauromorph from South America provides insights on the early diversification of tanystropheids. PLOS ONE, 15(4), e0230890

2020/4/11

琥珀の中に保存された骨には、生きていた時の組織がほとんど残っていないらしいということがわかりました。

 琥珀の中に保存された遺骸は、化石化の過程で組織の構成成分が変わることはないと、これまで考えられてきました。しかし、生きていた時の組織がどれだけ保存されているかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、ドミニカ共和国から採集された約2000万年前〜約1500万年前(新生代新第三紀中新世)の琥珀に保存されたAnolis sp.の前肢の組織が調べられました。琥珀には前肢を通るひびが入っているそうです。
 この研究の結果、骨の水酸燐灰石はフッ素燐灰石に変化しているということがわかったそうです。琥珀にできたひびによって、鉱物を多く含む液体が入り込んで、成分が変化したと、研究者は考えています。また、骨のコラーゲンも大部分が壊れているらしいということもわかったそうです。
 琥珀は、通常は理想的な防腐剤と考えられています。しかし骨を構成する燐灰石は、樹脂に含まれる酸によって分解されると、研究者は考えています。

2/7 University of BonnFluoridation of a lizard bone embedded in Dominican amber suggests open-system behavior. PLOS ONE, 15(2), e0228843

2020/3/9

白亜紀の中ごろに多様なオルニトケイルス類がいたらしいということがわかりました。

 翼竜のプテロダクティルス類は、中生代ジュラ紀後期から白亜紀前期に多様化しました。白亜紀前期にはオルニトケイルス類と原始的なアズダルコ類が繁栄していましたが、白亜紀の中ごろにテラノドン類、ニクトサウルス類に、そして白亜紀末期に進化したアズダルコ類にとってかわられたと考えられています。しかし、翼竜の化石が少ないため、具体的にどのようにとってかわられたかはそれまでわかっていませんでした。
 モロッコには、翼竜の多様なグループが入れ替わった白亜紀中ごろの地層Kem Kem bedsが分布しています。これまで、Kem Kem bedsからはシロッコプテリクス、コロボリンクス、進化したアズダルコ類などの化石が発見されています。今回、新たに翼竜の下顎と上顎の化石が報告されました。下顎の化石はアンハングエラの下顎に、上顎の化石はオルニトケイルスとコロボリンクスの上顎にそれぞれ似ているそうです。今回報告された化石を含めると、Kem Kem bedsから報告された翼竜は9種になり、そのうち3種はオルニトケイルス類だそうです。オルニトケイルス類は白亜紀の中ごろにはまだ多様性を保っていたと、研究者は考えています。

New toothed pterosaurs (Pterosauria: Ornithocheiridae) from the middle Cretaceous Kem Kem beds of Morocco and implications for pterosaur palaeobiogeography and diversity. Cretaceous Research

2020/2/23

アフリカ大陸南部から、初めて植竜類の化石が発見されました。

 植竜類は、中生代三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)に繁栄した半水棲の爬虫類です。吻部が細長く、ワニに似た姿をしていました。これまで、北米、ヨーロッパ、モロッコ、ブラジル、マダガスカル、インドなどから化石が発見されていましたが、アフリカ南部からは発見されていませんでした。
 今回、ジンバブエ北部の約2億1000万年前の地層から、植竜類の化石が発見されました。これまで植竜類の化石の多くが発見されてきた場所は、当時、赤道近くに位置する亜熱帯地域でした。しかし今回の発見から、植竜類がもっと高緯度にも棲んでいたらしいということがわかったそうです。
 植竜類は、湖や川などの大きな水域の近くに棲んでいたと考えられています。今回植竜類の化石が発見された産地からは、ハイギョの歯や両生類メトポサウルス類、そして球果植物のような植物の化石も発見されています。当時は、大きい川などの水域の周りを深い森林で囲まれた環境だったと、研究者は考えています。

1/23 Natural History MuseumThe age of the Tashinga Formation (Karoo Supergroup) in the Mid-Zambezi Basin, Zimbabwe and the first phytosaur from mainland sub-Saharan Africa. Gondwana Research, 81, 445-460

2020/1/26

ヘビ類の特徴がどのように進化してきたかがわかりました。

 ヘビ類は多様で特殊化した体をもつグループです。あまりに特殊化しているため、近縁の爬虫類との相同性がよくわかっておらず、進化に伴ってヘビ類の特徴がどのように獲得されてきたかもこれまでよくわかっていませんでした。
 ナジャシュは、アルゼンチンの中生代白亜紀後期の地層から発見されている、後肢をもつヘビ類です。これまで、関節した体の一部の化石、頭骨の一部の化石、そして破片しか発見されていませんでした。しかし今回、8点の頭骨の化石と、3点の関節した体の化石が新たに発見されました。頭骨の化石には、立体的に保存されたほぼ完全なものもあるとのことです。
 新たに発見されたナジャシュの頭骨の化石を詳しく調べた結果、トカゲに似た原始的な特徴と、ヘビ類がもつ進化的な特徴とが混在していることがわかったそうです。
 今回新たに発見されたナジャシュの化石に基づいて頭骨の特徴をもとにヘビ類の系統関係を分析した結果、後肢をもつヘビ類が原始的なヘビ類であるということが支持されたそうです。このことから、前肢の喪失がヘビ類の進化のかなりの初期の段階で起こり、前肢がなく後肢があるという特徴が、四肢をもつヘビ類から四肢をもたないヘビ類への移行段階ではなく、長期間続いた成功した形態だったらしいということが示唆されるということです。後肢をもつヘビ類は、約1億7000万年前(中生代ジュラ紀中期)から約1億年前(中生代白亜紀後期)までの長い期間存在していました。そして頭骨の一部の変化は前肢の喪失よりも前に起こったらしいということがわかったそうです。

11/20 University of AlbertaNew skulls and skeletons of the Cretaceous legged snake Najash, and the evolution of the modern snake body plan. Science Advances, 5(11), eaax5833

2019/11/24

中生代のワニ形類の食性が多様だったらしいということがわかりました。

 現在のワニ類は、種類によらず姿も生態も似かよっています。半水棲で、円錐形の単純な形の歯をもち、何でも食べる肉食です。しかし中生代のワニ形類の骨格と歯は多様な形をしていました。複数の大きさと形の歯をもつ種もいました。
 今回、16種のワニ形類の146点の歯の形が定量的に調べられました。肉食動物の歯は単純な形を、植物食動物の歯は複雑な形を、雑食動物の歯はその中間の形をています。今回の研究の結果、2種が肉食、2種が硬い殻を砕いて食べる植生、3種が昆虫食、1種が雑食、8種が植物食という結果が出たそうです。
 植物食のワニ形類は三畳紀末の大量絶滅のすぐ後に出現し、白亜紀末の大量絶滅まで存在していました。植物食性は中生代のワニ形類の中でおそらく6回、最低でも3回、独自に進化したと研究者は考えています。

6/27 University of UtahRepeated Evolution of Herbivorous Crocodyliforms during the Age of Dinosaurs. Current Biology

2019/7/8

翼竜は孵化直後から飛べたらしいということがわかりました。

 翼竜は1700年代から知られていますが、孵化前の胎児の化石が発見されたのは2004年になってからです。これまで中生代ジュラ紀後期から白亜紀前期の翼竜4種について、胎児または卵の化石が報告されています。これまで、現生の鳥やコウモリと同じように、孵化直後の翼竜は親の世話を必要とし、飛べるようになるのは成体になってからだと考えられてきました。
 今回、翼竜の胎児の発達の程度が定量的に調べられました。この結果、脊椎、肢帯、四肢の骨の骨化が速く進み、翼を支える前足の第4指が孵化前にかなり発達していたらしいということがわかったそうです。このことから、翼竜は孵化直後から飛ぶことができ、親の世話は必要なかったと、研究者は考えています。

6/12 University of LeicesterPrenatal development in pterosaurs and its implications for their postnatal locomotory ability. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1904), 20190409

2019/6/17

魚竜類はサイズが大きくなることで効率的に泳ぐことができるようになったらしいということがわかりました。

 魚竜類は、約2億4800万年前〜約9390万年前(中生代三畳紀前期〜白亜紀後期)に生きていた海棲爬虫類です。初期の魚竜類は細長いヘビのような形をしていましたが、進化が進むにつれて魚のような形に変化していきました。これまで、魚のような体型の方が、ヘビのような体型よりも泳ぐ際の抵抗を減らすことができ、それにより、より長い距離を泳いだりより速い速度で泳いだりすることができたと考えられてきました。
 今回、初期の魚竜類カートリンクスやジュラ紀の魚竜類オフタルモサウルスなど、9種の魚竜類の3Dモデルが作られ、泳ぐ際の抵抗がコンピュータでシミュレーションされました。
 この結果、サイズを同じと仮定した場合、初期のヘビのような体型でも、進化した魚のような体型でも、泳ぐ際の抵抗はあまり変わらないということがわかったそうです。しかしサイズの差も反映して計算した場合、サイズが大きい種の方が泳ぐ際の抵抗が小さくなることがわかったそうです。三畳紀前期のウタツサウルスですでに、体が大きいために効率的に泳ぐことができたという結果が出たそうです。また現生の水棲動物の研究から、体をくねらせて泳ぐよりも尾ひれを振って泳ぐ方が効率的に泳ぐことができるということがわかっています。このことから、サイズの大型化と、体をくねらせて泳ぐ方法から尾ひれを振って泳ぐ方法への泳ぎ方の変化によって、魚竜類は進化するにつれて効率的に泳ぐことができるようになったと、研究者は考えています。

3/6 University of BristolEffects of body plan evolution on the hydrodynamic drag and energy requirements of swimming in ichthyosaurs. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1898)

2019/3/10

白亜紀に複数の動物が営巣地を共有していた証拠が発見されました。

 9年前、ルーマニアの約7000万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、営巣地の化石が発見されました。今回、卵の殻の化石を詳しく調べた結果、この営巣地には4種類の卵の殻があることがわかったそうです。4種類の動物が同じ営巣地を共有していたと、研究者は考えています。卵の殻から、その4種類の動物は、エナンティオルニス類、分類不明の鳥類、ヤモリ類、小型のワニ形類と推測されるそうです。
 異なる種類の動物による営巣地の共有は現在でも見られるそうです。鳥類の親が守っている巣の周りに卵を産むことによって、小型の爬虫類たちの卵もまた外敵から守られる効果があったと、研究者は考えています。今回の発見は、このような営巣地の共有の最古の証拠になります。

2/20 University of SouthamptonA mixed vertebrate eggshell assemblage from the Transylvanian Late Cretaceous. Scientific Reports, 9(1)

2019/2/24

三畳紀前期の南極大陸に棲んでいた動物の構成は独特だったらしいということがわかりました。

 南極大陸の約2億5000万年前(中生代三畳紀前期)の地層から、新属新種の主竜形類の化石が発見されました。Antarctanax shackletoniと名付けられたこの主竜形類はイグアナと同じくらいのサイズで、虫や両生類などを食べていたと、研究者は考えています。
 当時は南極大陸とアフリカ大陸が陸続きだったため、三畳紀前期の南極大陸にはアフリカ大陸南部と同じような動物がすんでいたとこれまで考えられてきました。しかし以前の論文も含めて南極大陸から化石が発見された動物の構成を再検討した結果、南極大陸とアフリカ南部の動物の構成は大きく違っていたらしいということがわかったそうです。南極大陸にはペルム紀末の大量絶滅でほかの地域ではほとんど絶滅した動物が生き残り、同時に大量絶滅後の三畳紀に繁栄するようになった主竜形類のような動物も棲んでいたそうです。また、南極大陸に固有の動物も棲んでいたとのことです。

1/31 Field MuseumA novel archosauromorph from Antarctica and an updated review of a high-latitude vertebrate assemblage in the wake of the end-Permian mass extinction. Journal of Vertebrate Paleontology

2019/2/4

三畳紀の海棲爬虫類に、カモノハシに似た頭部をもつものがいたらしいということがわかりました。

 中生代三畳紀前期、中国南部には南北500km、東西1200kmにわたって、海が広がっていました。その海の北端に位置していた湖北省から、1991年に爬虫類の化石が発見されました。この爬虫類は魚竜類の姉妹群にあたるHupehsuchiaであるとされましたが、これまでに頭骨の化石は発見されておらず、どのような頭部をもっていたかはわかっていませんでした。
 今回、この爬虫類Eretmorhipis carrolldongiの、頭骨を含むほぼ完全な全身骨格の化石と頭骨の化石が新たに発見されました。この化石により、Eretmorhipisが現生哺乳類のカモノハシに似た頭部をもっていたということがわかったそうです。Eretmorhipisの頭部の前には軟骨でできた平らなくちばしがあり、眼は小さいそうです。くちばしの骨の内側には大きな空間が開いており、カモノハシと同じようにその中に受容器があり、このくちばしを使って獲物を探していたと、研究者は考えています。
 Eretmorhipisの体長は約70cm、体の柔軟性はなく、四肢はヒレになっていたそうです。

1/24 University of California - DavisEarly Triassic marine reptile representing the oldest record of unusually small eyes in reptiles indicating non-visual prey detection. Scientific Reports, 9(1)

2019/1/27

ティロサウルスの生まれたばかりの幼体の吻部は短かったらしいということがわかりました。

 アメリカ合衆国カンザス州の約8630万年前〜約8360万年前(白亜紀後期)の地層から、1991年に小さなモササウルス類の化石が発見されました。発見されたのは、断片的な顎と頭骨の化石です。プラテカルプスの生まれたばかりの幼体の化石ではないかと考えられていましたが、正確にはよくわかっていませんでした。
 今回、ティロサウルスの若い個体の化石と比べることで、この幼体がティロサウルスの幼体らしいということがわかったそうです。ティロサウルスは体長13m、頭骨の長さが1.8mにもなる大型のモササウルス類です。吻部が円錐形に長く伸びているのが特徴です。
 しかし今回ティロサウルスだと分かった幼体の吻部は短いそうです。頭骨の長さは推定30cm。長さ40cmのTylosaurus nepaeolicusと長さ60cmのTylosaurus prorigerの頭骨の吻部は長く伸びているため、吻部の伸長は成長のごく早い段階で起きていたのだろうと、研究者は考えています。

10/12 Taylor & Francis GroupThe Smallest-Known Neonate Individual of Tylosaurus (Mosasauridae, Tylosaurinae) Sheds New Light on the Tylosaurine Rostrum and Heterochrony. Journal of Vertebrate Paleontology

2018/10/14

メソサウルスは成長すると陸地に上がっていたらしいということが分かりました。

 メソサウルスは、最古の水棲爬虫類として広く知られています。細長い尾、水かき、長い指をもっていました。また後ろ脚は前足よりもかなり大きく、鼻の穴は吻部の後方、眼の近くに上向きについていました。これらの特徴はすべて、水中生活への適応と考えられています。また肋骨は厚く、上腕骨などいくつかの骨の骨密度は高くなっていました。これらは水深の浅いところで体が浮かないようにするためにみられる特徴です。
 メソサウルスで最もよく発見されるサイズは全長90cmですが、全長約2mの大きなメソサウルスの化石が発見されることもあります。この大きなメソサウルスの化石はほとんどすべて、小さなメソサウルスの化石に比べて骨がバラバラになり、痛みが激しく、保存状態が悪くなっているそうです。このことから、死んだときに空気中にさらされていたと考えられるそうです。
 今回、40体のメソサウルスの骨の形が測定され、現生種、化石種を含めた様々な四足動物と比較され、メソサウルスの成長段階ごとの骨格の水中への適応の度合いが調べられました。陸棲か、半水棲か、水棲かによって、骨の形は大きく違ってきます。
 この結果、成体のメソサウルスの足根骨と尾椎は、陸棲か半水棲に適応した形をしていることが分かったそうです。このことから、年をとった大きなメソサウルスはより多くの時間を陸地ですごしていたと、研究者は考えています。これは大きなメソサウルスの化石の保存状態がよくないということとも一致します。

9/19 ScienceDailyWas Mesosaurus a Fully Aquatic Reptile? Frontiers in Ecology and Evolution

2018/9/23

海水準が上がった時の海棲爬虫類の生態系の変化が調べられました。

 海棲爬虫類は中生代に繁栄し、現在のワニ類、大型魚類、サメ類、クジラ類が占める生態的地位を占めていました。イギリス北部からフランス北部に広がっていた熱帯の海には、約1億8000万年前〜約1億3000万年前(中生代ジュラ紀前期〜中生代白亜紀前期)の間、首の長いプレシオサウルス類、頭部の大きいプリオサウルス類、イルカのような魚竜類、メトリオリンクスやテレオサウルスなどの海棲のワニ類がいました。これらの海棲爬虫類は、海水準や気候、海水の化学組成などの大きな変化があったにもかかわらず、多様な種類を維持し、共存していました。しかし、環境の変化があったときにその生態系や海棲爬虫類の生態がどのように変化したかはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、海棲爬虫類の歯の化石を使って、約1億6500万年前〜約1億4700万年前(ジュラ紀前期〜後期)の約1800万年間に、海棲爬虫類の生態系がどのように変化したかが調べられました。
 この結果、海水準が上がると、浅海に棲んでいた細い歯で魚を突き刺して食べていた種類は大きく減少し、深海に棲んでいた、太い歯で獲物を獲物をかみ砕く種類と切り裂く種類は繁栄したらしいということがわかったそうです。海水準が上がると同時に海水温や海水の化学組成が変化し、その結果、深海の栄養分と獲物が増加したのではないかと、研究者は考えています。

9/4 University of EdinburghThe long-term ecology and evolution of marine reptiles in a Jurassic seaway. Nature Ecology & Evolution

2018/9/9

甲羅は無くくちばしをもつ原始的なカメの化石が発見されました。

 中国貴州省の約2億2800万年前(中生代三畳紀後期)の地層から、新属新種の原始的なカメの化石が発見されました。Eorhynchochelys sinensisと名付けられたこの原始的なカメは体長約2.3m、胴体は円盤状に広がり、長い尾をもっているとのことです。そして口先に歯のないくちばしをもつ一方、甲羅はないのが特徴です。Eorhynchochelysは厳密にはカメではありませんが、カメの祖先に近い種類です。
 カメの大きな特徴として、胴体を覆う大きな甲羅と歯のないくちばしがあります。Eorhynchochelysより少し新しい時代の地層からは、最古のカメであるオドントケリスとそれよりも少し新しいプロガノケリスの化石が発見されています。両者とも甲羅をもっていましたが、くちばしはもっていませんでした。今回の発見により、カメのくちばしや甲羅といった特徴が順番に進化したわけではなく、個々に獲得されていったらしいと、研究者は考えています。

8/22 Field MuseumA Triassic stem turtle with an edentulous beak. Nature, 560(7719), 476-479

2018/8/26

最大の魚竜の化石が発見されました。

 魚竜は約2億5100万年前〜約9390万年前(中生代三畳紀前期〜白亜紀後期)に生きていた海棲爬虫類です。魚竜で最大の種類はシャスタサウルス類で、その体長は最大で20m以上ありました。シャスタサウルス類は約2億4200万年前(三畳紀中期)に出現し、約2億100万年前(三畳紀後期)に絶滅したと考えられています。
 今回、イギリスの三畳紀末期(約2億900万年前〜2億100万年前)の地層から、魚竜の化石が発見されました。発見されたのは下あごの一部だけですが、長さは96cmあるそうです。最大の魚竜であるShonisaurus sikanniensis(体長21m)を含む数種の魚竜の化石と比較した結果、今回発見された魚竜はシャスタサウルス類に似た魚竜であると、研究者は考えています。シャスタサウルス類の骨と比較した結果、今回発見された魚竜の体長は20〜25mと推定されています。魚竜の中で最大のサイズです。

4/9 University of ManchesterA giant Late Triassic ichthyosaur from the UK and a reinterpretation of the Aust Cliff ‘dinosaurian’ bones. PLOS ONE, 13(4), e0194742)

2018/4/22

1979年に報告された魚竜がイクチオサウルスとは別の属であることが確認されました。

 1979年、イギリスのジュラ紀前期(約2億100万年前〜約1億7400万年前)の地層から発見された魚竜の化石が、新属のProtoichthyosaurusとして報告されました。しかしほかの研究者からは、ProtoichthyosaurusIchthyosaurusと同じものであると考えられてきました。
 今回、Protoichthyosaurusの化石が改めて調べられ、Ichthyosaurusの化石と比較されました。この結果、前ヒレの骨に明らかな違いが発見され、Protoichthyosaurusは有効な属であることがわかったそうです。Protoichthyosaurusの化石の中にはIchthyosaurusの前ヒレを付けられた標本もあり、これが2つの属の違いを見逃す一因になったそうです。

10/10 University of ManchesterThe taxonomic utility of forefin morphology in Lower Jurassic ichthyosaurs: Protoichthyosaurus and Ichthyosaurus. Journal of Vertebrate Paleontology, e1361433

2017/10/15

ジュラ紀のワニ形類がティラノサウルスと同じような歯をもっていたらしいということがわかりました。

 Razanandrongobeは2006年にマダガスカルから報告されたジュラ紀中期の肉食の主竜類です。当時は歯と上顎の一部しか発見されていなかったため、詳しい分類はわかっていませんでした。
 今回、Razanandrongobeの新たな化石が発見されました。今回の発見で、Razanandrongobeがワニ形類であるということがわかったそうです。また、吻部は幅広く高さがあり、さらに、ティラノサウルスの歯に似た、鋸歯で縁どられた厚みのある歯が並んでいたこともわかったそうです。骨や腱などの硬い部位も食べていたのではないかと、研究者は考えています。

7/4 PeerJRazanandrongobe sakalavae, a gigantic mesoeucrocodylian from the Middle Jurassic of Madagascar, is the oldest known notosuchian. PeerJ, 5, e3481

2017/7/9

吻部の細いプリオサウルス類が発見されました。

 ロシアの約1億3000万年前(中生代白亜紀前期)の地層から、新属新種のクビナガリュウの化石が発見され、Luskhan itilensisと名付けられました。クビナガリュウのうち、プリオサウルス類は大きな頭部をもつ肉食の捕食者だったと考えられています。一方、ポリコティルス類は細い吻部をもち魚食だったとみられています。
 今回発見されたLuskhanはプリオサウルス類に属するものの、吻部がポリコティルス類のように細いそうです。小さく、やわらかい動物を食べていたと研究者は考えています。
 初期のプリオサウルス類は華奢で、比較的長い首と小さな頭部をもっていました。後に体が巨大化し、短い首と大きな頭部をもつようになり、ジュラ紀中期には海の生態系の頂点に立つ捕食者になったと考えられています。そして白亜紀後期に絶滅するまで、プリオサウルス類はすべてこの強い捕食者としての立場を維持していたと、これまで考えられてきました。しかし今回のLuskhanの発見により、収斂進化でほかのクビナガリュウと同じような生態になることもあったらしいということがわかったそうです。

5/25 ScienceDeilyPlasticity and convergence in the evolution of short-necked plesiosaurs. Current Biology

2017/5/29

恐竜の祖先の仲間が偽鰐類に似た姿をしていたらしいということがわかりました。

 恐竜は、ワニ、鳥とともに主竜類というグループに含まれます。主竜類は三畳紀に、ワニ類を含むグループ(Pseudosuchia、偽鰐類)と恐竜、鳥、翼竜を含むグループ(Avemetatarsalia)とにわかれました。しかし分かれて間もない三畳紀中期の化石記録が少ないため、翼竜や恐竜がどのように形を進化させていったかはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、タンザニアの三畳紀中期の地層から、最古のAvemetatarsaliaのの化石が発見され、Teleocrater rhadinusと名付けられました。Teleocraterは偽鰐類に近い見た目をしていたそうです。体長2.1〜3m、首が長く、四足歩行で歩いていたと考えられています。
 また、今回の研究で、Teleocraterはほかの数種とともにAphanosauriaというグループに分類されました。Aphanosauriaは原始的なAvemetatarsaliaに位置付けられています。Aphanosauriaは三畳紀中期に当時の超大陸パンゲアに広く分布していたことがわかったそうです。

4/12 Virginia TechThe earliest bird-line archosaurs and the assembly of the dinosaur body plan. Nature

2017/4/15