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2017、2018年、2019年、2020年、2021年のニュース

ヨーロッパから、更新世に生きていたセンザンコウの化石が発見されました。

 ルーマニアの約220万年前〜約190万年前(新生代第四紀更新世)の地層から、センザンコウ科の化石が発見されました。センザンコウ科は、体の背面と側面のほぼすべてを角質の鱗状の板で覆われた哺乳類です。始新世中ごろのヨーロッパで出現したと考えられていますが、気候の寒冷化に伴って新第三紀中新世中ごろまでにヨーロッパから姿を消したと、これまで考えられてきました。今回の発見は、ヨーロッパで最も遅い時期に生きていたセンザンコウ科の発見になります。
 今回発見された種は、現在アフリカに棲息しているSmutsia属の新種とされ、Smutsia olteniensisと名付けられました。Smutsia属はこれまで、約500万年前にアフリカで出現したアフリカ固有の属と考えられてきました。今回の発見により、Smutsia属がかつてはこれまで考えられてきたよりも広い範囲に棲息していたということもわかったとのことです。

1/10 University of ArkansasThe youngest pangolin (Mammalia, Pholidota) from Europe. Journal of Vertebrate Paleontology

2022/1/11

異歯性をもつ最古の単弓類が発見されました。

 哺乳類は、切歯、犬歯、臼歯と、場所によってサイズや形の異なる歯をもっています。このようにサイズや形の異なる歯をもつことを異歯性といいます。哺乳類以外の単弓類の化石記録から、最終的に哺乳類の異歯性を獲得するまでの歯の形の変化を知ることができます。
 今回、アメリカ合衆国ユタ州の石炭紀とペルム紀の境界付近(約2億9900万年前)の地層から、新属新種の単弓類の化石が発見されました。発見されたのは下顎の骨で、顎の前の方と後ろの方で、歯の形に明確な違いがみられるそうです。前の方の歯は後の切歯と犬歯に相当する歯、後ろの方の歯は後の臼歯に相当する歯だと、研究者は考えています。単弓類でこのような異歯性が確認できる化石としては、最古のものになります。
 今回化石が発見された単弓類は、Shashajaia bermaniと名付けられました。ディメトロドンを含む背中に帆をもつスフェナコドン類と、哺乳類の祖先グループである獣弓類の共通祖先に近い種類だと、研究者は考えています。
 石炭紀からペルム紀に変わるとき、気候はそれまでの湿潤な気候から乾燥した気候へと変わったと考えられています。半水棲の獲物から陸棲の獲物へと食べる獲物が変化することで、異歯性の獲得が促進されたのではないかと、研究者は考えています。

12/21 University of BristolA Carboniferous synapsid with caniniform teeth and a reappraisal of mandibular size-shape heterodonty in the origin of mammals. Royal Society Open Science, 8(12)

2021/12/31

新種のナマケモノが発見されました。

 ドミニカ共和国の新生代第四紀完新世(約1万年前以降)の地層から、新種のナマケモノの化石が発見されました。
 ナマケモノは約5000万年前(新生代古第三紀始新世)に出現したと考えられています。現生種は樹上性の2種しかいませんが、かつては地上性の種もいました。
 今回発見された種はParocnus属の新種で、P. dominicanusと名付けられました。Parocnus属はこれまで、キューバからP. browni、そしてドミニカ共和国からP. serusが発見されています。
 P. dominicanusP. serusに比べて平均で15%小柄とのことです。ドミニカ共和国から発見されたP. dominicanusP. serusの2種と、キューバから発見されたP. browniとでは、腕を動かすのに使われる三角筋の付着部の形が異なるとのことです。ドミニカ共和国の2種は、P. browniよりも、木を登ったり枝からぶら下がったりするより、地上で歩き回ることにより適した腕の動きが可能だったと、研究者は考えています。

10/12 Johns Hopkins MedicineNew species of the ground sloth Parocnus from the late Pleistocene-early Holocene of Hispaniola. Vertebrate Anatomy Morphology Palaeontology, 9(1)

2021/10/17

哺乳類の最古の虫歯が発見されました。

 虫歯は現代の成人がほぼもっている疾患です。炭水化物が多い食物を多く摂ることで虫歯になります。しかし、現代のヒトだけが虫歯になるわけではありません。ヒト以外の哺乳類も、食性によって多かれ少なかれ虫歯になります。これまで、哺乳類の絶滅種の虫歯について調べられることはほとんどありませんでした。
 今回、アメリカ合衆国ワイオミング州の約5400万年前(新生代古第三紀始新世)の地層から産出した原始的な霊長類Microsyops latidensの歯の化石が調べられました。この結果、77点の歯に虫歯があることがわかったそうです。これは哺乳類の虫歯として、最古の発見です。Microsyopsの虫歯の割合は一定ではなく、時代によって高くなったり低くなったりしていたらしいということもわかったそうです。最も高い時で、虫歯の割合は17.24%もあったとのことです。そしてこの虫歯の割合は、歯の形状の変化と相関関係があるらしいということもわかったそうです。
 このことから、Microsyopsの食性は一定ではなく変化していたらしく、果物やほかの糖分の多い食物を多くとるように変化した時期があったと、研究者は考えています。

9/13 University of TorontoThe largest and earliest known sample of dental caries in an extinct mammal (Mammalia, Euarchonta, Microsyops latidens) and its ecological implications. Scientific Reports, 11(1)

2021/9/24

恐竜類は哺乳類の競争相手ではなかったらしいということがわかりました。

 哺乳類は恐竜類が生きていた中生代から存在しています。しかし現生哺乳類につながるグループ(真獣類、後獣類とその祖先)は、中生代の間は体が小さく、生態もどれも似通ったものでした。現生哺乳類につながるグループが多様化したのは、鳥類以外の恐竜類が絶滅した6600万年前(白亜紀末)以降と考えられています。これは恐竜類がいたために多様化できる余地がなかったためだと、これまで考えられてきました。
 今回、現生哺乳類の祖先を含む哺乳形類について、グループごとに新しい特徴が出現する頻度が調べられました。この結果、現生哺乳類につながるグループでは、中生代の間、ほかの哺乳形類よりも新しい特徴が出現しにくかったらしいということがわかったそうです。現生哺乳類につながるグループは、恐竜類の絶滅直後ではなく、新生代古第三紀暁新世になって時間が経ってから(約6160万年前以降)多様化したらしいということも分かったそうです。そしてこの傾向はサイズの大小にかかわらず見られるとのことです。中生代に生きていた哺乳類のほとんどは体重100g以下でした。鳥類以外の恐竜類でこれほど小さいサイズのものはいなかったため、恐竜類は100g以下の小型の哺乳類の直接の競争相手ではなかったと、研究者は考えています。6600万年前、恐竜類だけではなく、現生哺乳類につながるグループ以外の哺乳形類のほとんどが絶滅しました。そして、6160万年前以降、白亜紀末の大量絶滅を生き残った哺乳類の1つである多丘歯類の多様性が減少したとのことです。現生哺乳類につながるグループの多様化を抑制していたのは、恐竜類ではなくほかの哺乳形類だったと、研究者は考えています。

5/17 University of OxfordMammaliaform extinctions as a driver of the morphological radiation of Cenozoic mammals. Current Biology

2021/5/23

哺乳類が海辺で活動していた最古の証拠が発見されました。

 アメリカ合衆国ワイオミング州の約5800万年前(新生代古第三紀暁新世)の地層から、哺乳類の足跡の化石が発見されました。この地層は、干潟で堆積したと考えられています。
 暁新世(約6600万年前〜約5600万年前)の地層から哺乳類の足跡化石が発見されたのはこれが4例目で、海辺で活動していた証拠としては最古のものだそうです。
 今回発見された足跡化石は1km以上に渡って続き、少なくとも2種類の動物によってつけられたと考えられるそうです。1種類は5本指の足跡化石をつけた哺乳類で、TitanoidesBarylambdaCoryphodonのような汎歯類だと考えられています。もう1種類は4本指の足跡化石をつけた哺乳類ですが、どのような哺乳類によってつけられたかはわかっていません。

5/13 University of UtahEarliest evidence of marine habitat use by mammals. Scientific Reports, 11(1), 8846

2021/5/16

中国から、穴を掘っていたと考えられるトリティロドン類と真三錐歯類が発見されました。

 中国北東部の約1億2000万年前の熱河生物群から、新属新種のトリティロドン類と真三錐歯類の化石が発見されました。
 トリティロドン類は哺乳類の祖先と考えられているキノドン類に属しています。今回発見されたトリティロドン類は、Fossiomanus sinensisと名付けられました。
 真三錐歯類は初期の哺乳類です。今回発見された真三錐歯類はJueconodon cheniと名付けられました。
 今回発見された2種には両方とも、短い四肢、がっしりした腕と手、短い尾といった、土を掘っていたと考えられる特徴があるそうです。両種とも、爪で土をひっかいて穴を掘っていたと、研究者は考えています。
 熱河層群から穴を掘っていたと考えられる脊椎動物が発見されたのは、今回が初めてです。

American Museum of Natural HistoryFossoriality and evolutionary development in two Cretaceous mammaliamorphs. Nature

2021/4/10

更新世のカンガルーが木に登ることができたらしいということがわかりました。

 1989年、オーストラリアの約75000年前〜約44000年前(新生代第四紀更新世)の地層からカンガルーの多断片的な顎の化石が発見され、Wallabia kitcheneriと名付けられました。今回、約260万年前〜約12000年前の地層から、W. kitcheneriの頭骨数点と、ほぼ完全な全身骨格2点の化石が発見されました。
 新しく発見された化石を詳しく調べた結果、W. kitcheneriは1994年に報告されたCongruusに属するということがわかったそうです。このため、今回の研究で、W. kitcheneriからCongruus kitcheneriに名前が変えられました。
 C. kitcheneriの腕はがっしりしており、手と足の指が長く、指先には長くカーブした爪がついているそうです。これらの特徴は木の上で生活するキノボリカンガルーに似ているため、C. kitcheneriは木に登ることができたと、研究者は考えています。ただし、キノボリカンガルーほどは木の上での生活に適応しておらず、木の上での動きはゆっくりだったと考えられるそうです。C. kitcheneriの首は長く、柔軟に動かせたとのことです。この首は、さまざまな方向にある葉を食べるのに適していただろうと、研究者は考えています。

3/25 Sci NewsThe skeleton of Congruus kitcheneri, a semiarboreal kangaroo from the Pleistocene of southern Australia. Royal Society Open Science 8(3), 202216

2021/4/10

ハラミヤ類が哺乳類だということがわかりました。

 中生代に哺乳類が出現したと考えられています。単弓類のキノドン類から哺乳形類(哺乳類と、哺乳類ではないけれども哺乳類に近縁な動物を含むグループ)が進化し、その後、哺乳形類の中に哺乳類が出現しました。
 ハラミヤ類は、三畳紀からジュラ紀にかけて生きていた哺乳形類です。ハラミヤ類が哺乳類なのかそうでないのかは、これまでよくわかっていませんでした。
 今回、中国の約1億6000万年前(ジュラ紀中期)の地層から、ハラミヤ類のVilevolodon diplomylosの、体の大部分が保存された保存の良い化石が発見されました。Vilevolodonはこれまで、歯の化石しか発見されていませんでした。今回発見されたVilevolodonの化石をCTスキャンにかけたところ、耳小骨が保存されていることがわかったそうです。
 耳小骨は、哺乳類と哺乳形類とを区別する重要な特徴の1つです。哺乳類の耳小骨は、ツチ骨、キヌタ骨、アブミ骨の3つの骨で構成されています。Vilevolodonの化石には、この3つの骨のうち、ツチ骨とキヌタ骨の2つの骨が保存されており、しかもその形は現生の単孔類のものとよく似ているそうです。
 今回の発見から、ハラミヤ類は哺乳類であると研究者は考えています。最古のハラミヤ類の化石は三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)の地層から発見されているため、哺乳類の起源は三畳紀後期までさかのぼることになります。

1/27 NatureA monotreme-like auditory apparatus in a Middle Jurassic haramiyidan. Nature 590, 279-283

2021/2/14

スミロドンがトラとライオンを合わせたような成長戦略をとっていたらしいということがわかりました。

 スミロドンは、新生代第四紀更新世(約258万年前〜約1万年前)の北米と南米で繁栄したネコ類です。3種が知られています。そのうち、S. fatalisは、ロサンゼルスのアスファルトが堆積してできた地層から数千点の化石が発見されており、もっともよく知られた種となっています。
 今回、エクアドルの更新世の地層から1961年に採集されたS. fatalisの化石が詳しく調べられました。今回調べられた化石は、生えている歯、骨のサイズ、骨の癒合具合から、1体の成体と2体の亜成体で構成されていると考えられるそうです。成体は親、亜成体は同じ年齢の兄弟で、2歳くらいと研究者は考えています。第1大臼歯をもとに体重を推測した結果、亜成体の1体は雄で成体の55%の体重であり、もう1体は雌で成体の98%の体重であったらしいという結果が出たそうです。
 現生のネコ類では、トラは2歳の時点で親から独立しており、一方、2歳のライオンはまだ親の世話を受けています。また、2歳のトラの体重は雄で成体の68%、雌で成体の94%とのことです。一方、2歳のライオンの体重は雄で成体の58%、雌で成体の72%とのことです。
 今回の研究から、S. fatalisは、現生のトラのように雄と雌で成長速度が異なり、現生のライオンのように親の世話を長期間受けていただろうと、研究者は考えています。

1/7 Royal Ontario MuseumSmilodon fatalis siblings reveal life history in a saber-toothed cat. iScience

2021/1/11

Adalatheriumが奇妙な姿をしていたらしいということがわかりました。

 今年の4月、マダガスカルの約7210万年前〜約6600万年前(中生代白亜紀末期)の地層から産出したほぼ完全なゴンドワナ獣類の化石が報告され、Adalatherium huiと名付けられました。今回、Adalatheriumの詳細な復元が発表されました。
 これによると、Adalatherium huiの全長は約44cm、体重は 約3.1kgと推定され、中生代の南半球で発見された哺乳類の中で3番目の大きさとのことです。その形態は奇妙で、前肢は体の真下に伸びているものの、後肢は横に張り出していたとのことです。また、前歯は現生のウサギのように一生伸びていたと考えられています。一方、奥歯はほかの哺乳類には見られない奇妙な形をしているそうです。
 Adalatheriumが発見されたマダガスカルは、白亜紀末期当時にはすでに島でした。アフリカ大陸から離れて約1億5000万年、インド亜大陸から離れて約2000万年経っていたとのことです。ほかの陸地から隔離された島でこのような奇妙な特徴が進化したのだろうと、研究者は考えています。

12/18 Taylor & Francis GroupIntroduction to Adalatherium hui (Gondwanatheria, Mammalia) from the Late Cretaceous of Madagascar. Journal of Vertebrate Paleontology, 40(sup1), 4-18

2020/12/20

牙をもった原始的なセイウチ類が発見されました。

 現在、セイウチには、大きな牙をもち北極海に棲むOdobenus rosmarus1種しかいません。一方、新生代新第三紀中新世(約2300万年前〜約533万年前)には、北極海以外に棲む牙のない種類もいました。中新世にいたセイウチの仲間は、2グループに分けられると考えられています。牙はなく、複雑な形の歯をもった原始的なセイウチ類と、牙があり、杭のような形の歯をもった進化的なセイウチ類です。これまで、約1000万年前〜約533万年前の地層からは、原始的なセイウチ類は3種しか知られていませんでした。
 今回、アメリカ合衆国カリフォルニア州の約1000万年前〜約600万年前の地層から、原始的なセイウチ類が5種報告されました。そのうちの2種(Pontolis barroniP. kohnoi)は新種で、1種は新属新種とのことです。新属新種はOsodobenus eodonと名付けられました。
 Osodobenusには、進化的なセイウチ類ほどではないものの、長く牙のようになった犬歯があるそうです。現在のセイウチは海底にいる生物を吸い込んで食べますが、セイウチ類の多くの種は魚を食べていたと考えられています。Osodobenusは、現在のセイウチと同じような食性だったのではないかと、研究者は考えています。

11/16 Taylor & Francis GroupInsights on the dental evolution of walruses based on new fossil specimens from California. Journal of Vertebrate Paleontology, e1833896

2020/11/23

奇蹄類がインド周辺で出現したらしいということがわかりました。

 奇蹄類は、現生ではウマ、バク、サイを含むグループです。約5600万年前(新生代古第三紀始新世の初め)の地層から最古の化石が発見されていますが、その起源についてははっきりしていません。
 Cambaytheriumは、2005年にインドの約5450万年前の地層から2005年に報告された哺乳類です。奇蹄類や原始的な長鼻類という説もあり、その分類についてはよくわかっていませんでした。
 今回、新たに発見された化石を含む350点のCambaytheriumの化石が発見されました。この化石が詳しく調べられた結果、Cambaytheriumには原始的な有蹄類と初期の奇蹄類の両方の特徴があるということがわかったそうです。Cambaytheriumは奇蹄類の祖先に近い存在であると、研究者は考えています。
 5450万年前、インドはアジアに衝突する前の島大陸だったか、アジアに衝突したばかりだったと考えられています。このことから、奇蹄類は暁新世の間にインド亜大陸で進化したか、その近辺の南アジアまたは東南アジアで進化したと研究者は考えています。

11/6 Taylor & Francis GroupAnatomy, Relationships, and Paleobiology of Cambaytherium (Mammalia, Perissodactylamorpha, Anthracobunia) from the lower Eocene of western India. Journal of Vertebrate Paleontology, 39(sup1), 1-147

2020/11/16

最古のテナガザルの化石が発見されました。

 テナガザルは現生の類人猿の中で最も多様なグループです。しかしその化石はこれまでほんのわずかしか発見されていないため、テナガザルの起源についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、インドの約1380万年前〜約1250万年前(新生代新第三紀中新世)の地層から、新属新種のテナガザルの化石が発見され、Kapi ramnagarensisと名付けられました。Kapiはこれまでに発見されているテナガザルの中で最古の種で、これまで最古だった種よりも500万年古い種になります。
 Kapiと同時代、同地域の地層からは、ヒト科のSivapithecusの化石も発見されています。このことから、テナガザルとヒト科は同時期に同じようなルートを通って、祖先が生きていたアフリカからアジアへと移動していったのだろうと、研究者は考えています。

9/8 Arizona State UniversityNew Middle Miocene Ape (Primates: Hylobatidae) from Ramnagar, India fills major gaps in the hominoid fossil record. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 287(1934)

2020/9/13

新属新種の大型の有袋類が報告されました。

 オーストラリアの約2600万年前〜約2500万年前(新生代古第三紀漸新世後期)の地層から化石が発見された有袋類が新属新種だとわかり、Mukupirna nambensisと名付けられました。
 Mukupirnaの化石として、頭骨の一部と体のほとんどの骨が発見されており、体重は143〜171kgだったと推定されています。現生のウォンバットの3倍〜5倍のサイズです。歯の形から、Mukupirnaは植物食だったと考えられています。また、体の骨の形から、爪で地面をひっかいて穴を掘っていたと、研究者は考えています。爪で地面を掘って、根や塊茎を食べていたと、研究者は考えています。
 Mukupirnaはは、ウォンバットやコアラが含まれるVombatiformesに属するものの、このグループのどの属とも大きく異なる特徴をもつため、Mukupirnidaeという新しい科がつくられました。

6/26 University of New South WalesA new family of diprotodontian marsupials from the latest Oligocene of Australia and the evolution of wombats, koalas, and their relatives (Vombatiformes). Scientific Reports, 10(1)

2020/7/4

ゴンドワナ獣類の全身骨格の化石が発見されました。

 中生代(約2億5200万年前〜約6600万年前)のゴンドワナ大陸における哺乳形類の化石記録は、ローラシア大陸に比べて非常に少ないです。ゴンドワナ獣類も化石がほとんど発見されていない哺乳類のひとつで、これまでに頭骨の一部と顎、歯の化石しか発見されていませんでした。
 今回、マダガスカルの約7210万年前〜約6600万年前(中生代白亜紀末期)の地層から、ゴンドワナ獣類のほぼ完全な全身骨格の化石が発見されました。このゴンドワナ獣類は新属新種とされ、Adalatherium huiと名付けられました。Adalatheriumの化石をもとに、ほかの哺乳形類との関係を調べたところ、ゴンドワナ獣類は多丘歯類に近いということがわかったそうです。

Skeleton of a Cretaceous mammal from Madagascar reflects long-term insularity. Nature

2020/5/3

アフリカ大陸から南米大陸に、真猿類が海を渡ってやってきたらしいということがわかりました。

 ペルーの新生代古第三紀の地層から、新属新種の真猿類の化石が発見され、Ucayalipithecus perditaと名付けられました。
 真猿類のうち、広鼻猿類(新世界ザル)は、南米と中米だけに棲息しています。新生代古第三紀始新世末から漸新世前期にアフリカ北部に棲息していたパラピテクス類が祖先と考えられています。今回発見されたUcayalipithecusは、その広鼻猿類の祖先と考えられているパラピテクス類に属しています。
 Ucayalipithecusの化石が発見された地層は、約3200万年前〜約2900万年前(漸新世前期)に堆積したものと考えられています。当時、南米大陸とアフリカ大陸は1500km以上離れていました。パラピテクス類は嵐の時に流木に乗ってアフリカ大陸から南米大陸に渡ったのだろうと、研究者は考えています。

4/9 Keck School of Medicine of USCA parapithecid stem anthropoid of African origin in the Paleogene of South America. Science

2020/4/12

新属新種のムカシクジラ類が発見されました。

 ムカシクジラ類は、新生代古第三紀始新世(約5600万年前〜約3390万年前)にいた初期のクジラ類です。現生のクジラ類は完全に水棲で尾ひれを上下に動かすことで泳いでいますが、ムカシクジラ類は半水棲で四肢で水をかいて泳いでいたと考えられています。
 今回、エジプトの約3500万年前(始新世後期)の地層からムカシクジラ類の新属新種の化石が発見され、Aegicetus gehennaeと名付けられました。Aegicetusはバシロサウルスと同じように胴体と尾が長く、後肢が小さく、後肢と脊椎との接合が弱くなっているそうです。この特徴から、Aegicetusは完全に水棲だったろうと、研究者は考えています。
 バシロサウルスは、体の後半部をくねらせて泳いでいたと考えられています。体をくねらせる泳ぎ方は、四肢を使って泳ぐムカシクジラ類と尾ひれを振って泳ぐ現生のクジラ類の中間の泳ぎ方だったのだろうと、研究者は考えています。

12/11 ScienceDailyAegicetus gehennae, a new late Eocene protocetid (Cetacea, Archaeoceti) from Wadi Al Hitan, Egypt, and the transition to tail-powered swimming in whales. PLOS ONE, 14(12), e0225391

2019/12/26

白亜期末の大量絶滅直後に哺乳類がどのように多様化したかがわかりました。

 約6600万年前、全生物の75%以上の種が絶滅した大量絶滅が起こりました。この大量絶滅後、有胎盤類、鳥類、被子植物など、現在繁栄している生物が多様化しました。しかし、大量絶滅の直後(約6600万年前〜約6500万年前)にどのように生態系が回復していったのかはこれまでよくわかっていませんでした。
 アメリカ合衆国コロラド州にあるDenver Basinには白亜紀から古第三紀暁新世にかけての地層が分布し、層序がよく研究されてきました。そして植物化石が多く発見されてきましたが、これまで脊椎動物の化石はあまり発見されてきませんでした。今回、ノジュールという岩の塊に注目したところ、その中から脊椎動物の化石が多く発見されたとのことです。この発見により、白亜紀末の大量絶滅から100万年間で哺乳類がどのように多様化していったかがわかったそうです。
 この研究によると、大量絶滅を生き抜いた哺乳類の体重は500gにも満たなかったとのことです。それが大量絶滅から10万年後には最大6kgの大きさになり、大量絶滅から30万年後には最大20kgの、70万年後には最大47kgの哺乳類が出現したとのことです。
 さらに、植物化石を調べたことで哺乳類の大型化の原因も推察できるそうです。大量絶滅後に最初に増加した植物は、栄養の多くないシダ植物でした。大量絶滅後から30万年後には温暖化が起こり、同時にクルミ科の花粉も多様化したそうです。さらに、70万年後には再び短期間の温暖化が起こり、この時期にマメ科植物が出現したとのことです。暁新世の温暖化が植物と動物の進化を促したと、研究者は考えています。

10/24 National Geographic NewsExceptional continental record of biotic recovery after the Cretaceous-Paleogene mass extinction. Science

2019/11/3

巨大なヒエノドン科の化石が発見されました。

 ケニアの約2200万年前(新生代新第三紀中新世初期)の地層から、巨大な肉食哺乳類の化石が発見されました。その頭骨はサイの頭部と同じくらいの大きさで、体重は最大で1,500kgと推定されています。
 今回発見された哺乳類は新属新種で、Simbakubwa kutokaafrikaと名付けられました。絶滅哺乳類肉歯類のヒエノドン科に属すると考えられています。ヒエノドン科は古第三紀暁新世前期にユーラシア大陸で出現し、すぐに北米大陸とアフリカ大陸に渡ったと考えられています。ヒエノドン科には頭胴長数mの巨大なサイズの種がいくつかいます。Simbakubwaはその最古の種です。この巨大な体のヒエノドン科は、アフリカ大陸で出現し、ほかの大陸に広がっていったのだろうと、研究者は考えています。

4/18 Ohio UniversitySimbakubwa kutokaafrika, gen. et sp. nov. (Hyainailourinae, Hyaenodonta, ‘Creodonta,’ Mammalia), a gigantic carnivore from the earliest Miocene of Kenya. Journal of Vertebrate Paleontology, 2019; e1570222

2019/4/21

ペルーから半水半陸のクジラ類の化石が発見されました。

 クジラ類は5000万年以上前の新生代古第三紀始新世前期に、インド・パキスタン地域で出現しました。最古のクジラ類であるパキケトゥスはしっかりした四肢と蹄のある指をもち、半水半陸の生活を送っていたと考えられています。クジラ類はその後、西に移動し、アフリカ北部を通ってアメリカ大陸に渡り、約4120万年前(始新世中期)には北米大陸に到達したと考えられています。しかしアメリカ大陸にいつどのようなルートを通って移動していったのか、そしてアメリカ大陸に到達したクジラ類が半水半陸だったのかあるいは完全に水中生活に適応していたかについては、これまでよくわかっていませんでした。
 今回、ペルーの約4260万年前(始新世中期)の地層から、新属新種のクジラ類の化石が発見されました。Peregocetus pacificusと名付けられたこのクジラ類は尾を含めた全長約4mで、しっかりした四肢をもっていたそうです。四肢と腰の形、そして指の先端に蹄があることから、Peregocetusは陸上を歩くことができたと、研究者は考えています。また同時に、尾はビーバーやカワウソの尾に似た形をしており、指は長く水かきがあったと考えられることから、泳ぎも得意だったと、研究者は考えています。
 今回の発見から、クジラ類は南大西洋を渡ってアフリカ大陸から南米大陸に移動したと、研究者は考えています。当時の両大陸の間の距離は現在の半分ほどしかなく、また、西に向かって流れる海流があったと考えられています。そしてクジラ類は南米大陸に到達した後、北に向かって移動して北米大陸に到達したと、研究者は考えています。

4/4 ScienceDailyAn Amphibious Whale from the Middle Eocene of Peru Reveals Early South Pacific Dispersal of Quadrupedal Cetaceans. Current Biology

2019/4/7

バシロサウルスがドルドンを食べていた証拠が発見されました。

 エジプトのワディ・アル・ヒタンには、新生代古第三紀始新世の化石を大量に産出する地層があります。2010年に、この地層からムカシクジラ類バシロサウルスの化石が発見されました。このバシロサウルスの化石は全身の67%の骨が残った保存率の高いものですが、骨は関節せずにバラバラの状態で地層に埋まっていたそうです。そしてバシロサウルスの化石とともに、ムカシクジラ類ドルドン、条鰭類ピクノダス、そしてサメ類カルカロクルス・スコロヴィの歯の化石も発見されたそうです。
 骨の散乱の状況から、バシロサウルスは死後、水流の弱い海底に沈み、長い間堆積物に埋もれずに海中に露出していたと、研究者は考えています。そしてドルドンとピクノダスはバシロサウルスが死ぬ前に食べた獲物だったと推測されています。ドルドンは幼体で、頭骨にはバシロサウルスにつけられたと考えられる歯形がついているそうです。これはドルドが生きているときに、バシロサウルスが獲物を効率的に仕留めるためにつけた傷だと、研究者は考えています。
 今回バシロサウルスの化石が発見された地層からは、幼体から亜成体のドルドンの化石が成体のドルドンの化石と同じくらい産出しているそうです。このため、当時この場所はドルドンの繁殖地だったと考えられています。そして幼体のドルドンがたくさんいるこの場所は、バシロサウルスにとって絶好の狩場だったと、研究者は考えています。
 今回歯の化石が発見されたカルカロクルス・スコロヴィはバシロサウルスに食べられた獲物ではなく、バシロサウルスの死骸を食べていたと考えられるそうです。

Stomach contents of the archaeocete Basilosaurus isis: Apex predator in oceans of the late Eocene. PLOS ONE, e0209021

2019/1/20

歯もクジラひげもないヒゲクジラの化石が発見されました。

 アメリカ合衆国オレゴン州の約3300万年前(新生代古第三紀漸新世初期)の地層から1970年代に発見されたクジラの化石が新属新種だということがわかり、Maiabalaena nesbittaeと名付けられました。Maiabalaenaの頭骨を調べた結果、歯がなく、しかもクジラひげがつくには上顎が薄く狭かったらしいということがわかったそうです。Maiabalaenaには歯もクジラひげもなかったと、研究者は考えています。
 クジラ類の進化で大きな変化は2回あったといわれています。1つが陸上から水中への進出、もう一つがクジラひげを獲得しろ過食をするようになったことです。ヒゲクジラは歯をもつ祖先から進化したと考えられています。しかしクジラひげは化石に残りにくいため、クジラひげを獲得したのが歯を消失する前なのか歯を消失した後なのかはわかっていません。
 系統分析の結果、Maiabalaenaは原始的なヒゲクジラという結果が出たそうです。今回の発見から、ヒゲクジラは歯を消失した後にクジラひげを獲得したと、研究者は考えています。
 舌骨の大きさと形から、Maiabalaenaは水を勢いよく吸い込んで魚やイカを食べていたと、研究者は考えています。

11/29 SmithonianTooth Loss Precedes the Origin of Baleen in Whales. Current Biology

2018/12/1

ボリビアから新種の滑距類の化石が発見されました。

 南米大陸は、約1億2000万年前〜約1億年前(中生代白亜紀中ごろ)にアフリカ大陸と離れて以降、約1500万年前〜約1300万年前(新生代新第三紀中新世中期)に北米大陸とつながるまで、ほとんどの期間、島大陸でした。このため、北米大陸とつながる前の南米大陸では独自の哺乳類が進化してきました。
 滑距類は、ウマまたはラクダに似た南米特有の有蹄類です。今回、ボリビアの約1300万年前の地層から、滑距類の新種2種の化石が発見されました。この2種はそれぞれ、Theosodon arozquetaiLlullataruca shockeyiと名付けられました。
 南米大陸の南部では新生代の哺乳類の化石が多く発見されますが、北部ではこれまでほとんど発見されてきませんでした。今回の発見により、アルゼンチンでは約2000万年前に姿を消したと考えられているLlullatarucaの仲間が、ボリビアではそれよりも700万年長く生き残っていたということがわかったそうです。

6/27 Case Western Reserve universityTwo new macraucheniids (Mammalia: Litopterna) from the late middle Miocene (Laventan South American Land Mammal Age) of Quebrada Honda, Bolivia. Journal of Vertebrate Paleontology

2018/7/1

白亜紀前期の地層から哺乳形類ハラミヤ類の化石が発見されました。

 アメリカ合衆国ユタ州の約1億3900万年前〜約1億2400万年前(中生代白亜紀前期)の地層から、新属新種の哺乳形類の化石が発見され、Cifelliodon wahkarmoosuchと名付けられました。発見された頭骨の長さは7cm、体重は0.91〜1.27kgと推定されています。頭骨をCTスキャンで調べた結果、脳が小さく、嗅球が大きいということがわかったそうです。また、眼窩は小さいそうです。Cifelliodonは夜行性で、嗅覚を使って食物を探していたと、研究者は考えています。Cifelliodonの歯の形は、現生の果実食のコウモリの歯の形によく似ているそうです。
 Cifelliodonはその歯の形から、Hahnodontidaeに属すると、研究者は考えています。Hahnodontidaeについては、哺乳類の多丘歯類に属するという説と哺乳形類のハラミヤ類に属するという説がありますが、Cifelliodonの頭骨の特徴から、Hahnodontidaeはハラミヤ類に属すると、研究者は考えています。これまで、確実にハラミヤ類と思われる化石は三畳紀後期からジュラ紀後期の地層からしか発見されていませんでした。Hahnodontidaeがハラミヤ類ならば、ハラミヤ類が白亜紀前期まで生きており、そしてゴンドワナ大陸とローラシア大陸にまたがって広く分布していたことになります。そしてこの両大陸が白亜紀前期までつながっていた証拠になると、研究者は考えています。

5/23 University of Southern CaliforniaLate-surviving stem mammal links the lowermost Cretaceous of North America and Gondwana. Nature

2018/5/27

漸新世後期の地層から、歯をもたないヒゲクジラの化石が発見されました。

 ニュージーランドの約2750万年前(新生代古第三紀漸新世後期)の地層から、新属新種のヒゲクジラ類の化石が発見されました。非常に初期のヒゲクジラの化石になります。今回発見されたヒゲクジラは、Toipahautea waitakiと名付けられました。その顎の形から、Toipahauteaは歯をもたず、クジラひげをもっていたと、研究者は考えています。
 クジラひげの獲得は、クジラの進化で非常に大きな出来事でした。現在発見されている、Toipahauteaより古いヒゲクジラ類は、歯とクジラひげの両方をもっていたと考えられています。漸新世後期のToipahauteaが完全なクジラひげをもっていたことから、ヒゲクジラの歯からクジラひげへの完全な移行は漸新世前期に起こったのではないかと、研究者は考えています。

4/18 University of OtagoA new archaic baleen whale Toipahautea waitaki (early Late Oligocene, New Zealand) and the origins of crown Mysticeti. Royal Society Open Science, 5(4), 172453

2018/4/29

群れで歩いていたコロンビアマンモスの足跡の化石が発見されました。

 アメリカ合衆国オレゴン州の約4万3200年前の地層から、コロンビアマンモスの足跡の化石が発見されました。幅8m、長さ20mの範囲に、4体の成体、1体の1歳の幼体、1体の生まれたばかりの幼体の歩行跡が保存されています。このうち、1体の成体の歩行跡は20mの長さで続いているそうです。
 コロンビアマンモスは、現在のゾウのように雌と幼体で構成された群れで行動していたと、研究者は考えています。また、発見された足跡の中には片足を引きずって歩いていたと考えられる足跡があるそうです。そして、2体の幼体の足跡が、その片足を引きずっていたと思われる足跡に近づいたり遠ざかったりしながら続いているそうです。この2体は、傷ついた成体を気にかけながら歩いていたと研究者は考えています。このような行動は、現在のアフリカゾウでも見られるそうです。

2/12 University of OregonLate Pleistocene mammoth trackway from Fossil Lake, Oregon. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology

2018/2/18

ジュラ紀のハラミヤ類が独特の中耳をもっていたらしいということがわかりました。

 ハラミヤ類は中生代に生きていた哺乳形類または哺乳類です。ハラミヤ類のArboroharamiyaは、2013年に中国の約1億6400万年前〜1億5900万年前(中生代ジュラ紀中期〜後期)の地層から発見され、樹上性ではないかと考えられました。今回、Arboroharamiyaの新たな化石が発見されました。この化石には飛膜の痕跡が残っており、Arboroharamiyaは滑空していたらしいということがわかったそうです。今回発見されたArboroharamiyaは新種と考えられ、Arboroharamiya allinhopsoniと名付けられました。ハヤミヤ類の多くが滑空していたのではないかと、研究者は考えています。
 A. allinhopsoniの中耳には、アブミ骨、キヌタ骨、ツチ骨、ectotympanic、上角骨の5つの骨があるそうです。このような中耳の構造はこれまでどの哺乳類、哺乳形類でも発見されていませんでした。

A Jurassic gliding euharamiyidan mammal with an ear of five auditory bones. Nature, 551, 451-456

2017/11/26

カワウソの巨大な絶滅種の噛む力が非常に強かったらしいということがわかりました。

 カワウソ類は水中での生活と狩りに適応した食肉類です。現生のカワウソ類の食性は、魚食、雑食、貝食など多様です。Siamogale melilutraは約600万年前(新生代新第三紀中新世後期)の中国南西部に生きていたカワウソ類です。体重は50kgと推定されており、現生種、化石種を含めて最大級の大きさです。
 今回、コンピューターシミュレーションを用いて、噛むときにSiamogaleの顎にどのように力がかかるか、そして顎がどれくらいゆがむかが調べられました。この結果、Siamogaleの顎は非常にゆがみにくいということが分かったそうです。現生のカワウソ類の場合、顎のゆがみにくさはサイズに比例します。Siamogaleの顎は、現生のカワウソ類のデータと比較すると、6倍もゆがみにくいという結果が出たそうです。このことは、Siamogaleの噛む力が非常に強かったことを意味します。大きな貝や、鳥や小さな哺乳類の骨を噛み砕くくらいの強さがあったのではないかと、研究者は考えています。

11/8 University at BuffaloFeeding capability in the extinct giant Siamogale melilutra and comparative mandibular biomechanics of living Lutrinae. Scientific Reports

2017/11/12

マンモスの化石では雄の割合が高いらしいということがわかりました。

 今回、シベリアを中心に発見されたマンモスの化石の遺伝子が分析され、性別が調べられました。この結果、今回分析された83体と、これまでの研究で分析されていた15体、計98体のうち、66体が雄で29体が雌らしいということがわかったそうです(3体は判別できなかったそうです)。
 雄と雌は同じくらいの割合で生まれていたと考えられています。それに比べて、化石では雄が7割近くと高い割合になっています。現在のゾウと同じように、雌のマンモスは複数の雌と幼体で群れを作り、雄のマンモスは群れを作っていなかったと研究者は考えています。このため、群れにいる雌は経験豊富な雌に率いられて沼、裂け目、湖などの天然の罠を回避できたのに対し、群れに入れない雄は天然の罠にかかって命を落とすことが多かったのではないかとのことです。

11/2 ScienceDailyGenome-Based Sexing Provides Clues about Behavior and Social Structure in the Woolly Mammoth. Current Biology

2017/11/3

スミロドンの骨格は生まれつきがっしりしていたらしいということがわかりました。

 スミロドンなどの一部の犬歯虎類の骨格は、ほかのネコ科の動物よりもがっしりしていることが知られています。特にスミロドンの骨は、同じくらいのサイズのネコ科動物のほとんどよりがっしりしており、皮質骨(骨の表面の硬く緻密な部分)が厚くなっています。犬歯虎類はがっしりした前肢を獲物の体を押さえつけるのに使っていたと考えられています。
 しかし、犬歯虎類がどのようにがっしりした骨格を成長させていたかはこれまでわかっていませんでした。今回、アメリカ合衆国カリフォルニア州にある、ランチョ・ラ・ブレアから産出した化石を使って、スミロドンがどのように成長していたかが調べられ、アメリカライオン(Panthera atrox)の結果と比較されました。
 この結果、スミロドンの骨はアメリカライオンと同じように、成長するにつれて太さよりも長さのほうがより大きく増加し、細くなっていくことがわかったそうです。スミロドンの骨は成長するにつれて太くなっていったわけではなく、生まれたときからほかのネコ科動物よりもがっしりしていたと、研究者は考えています。

9/28 ScienceDailyDid saber-tooth kittens grow up musclebound? A study of postnatal limb bone allometry in felids from the Pleistocene of Rancho La Brea. PLOS ONE, 12(9), e0183175

2017/10/1

初期の人類のものと思われる足跡の化石がギリシャから発見されました。

 人類はアフリカで出現し、出現してから数百万年間はアフリカにとどまっていたと考えられています。
 今回、ギリシャ、クレタ島の約570万年前(新生代新第三紀中新世後期)の地層から、足跡の化石が発見されました。2足歩行で踵をつけて歩き、指の本数は5本、そして親指が大きいなど、発見された足跡には人類の後ろ足によく似た特徴がみられるそうです。初期の人類によってつけられた可能性があると研究者は考えています。
 現在のところ、180万年前よりも古い人類の化石は、アフリカからしか発見されていません。今回発見された足跡は最古の人類サヘラントロプスよりも新しいものの、次に古いオロリンと同じくらいの時代のものです。今回の足跡は560万年前に地中海が干上がった時の地層の直前の地層から発見されているうえに、上下の地層から産出した有孔虫の化石も分析しているため、化石が発見された570万年前という年代は確度が高いそうです。
 今回の足跡がつけられた時期にはサハラ砂漠はなく、サバンナのような環境がアフリカ北部から地中海東部まで広がっていたと考えられています。また、クレタ島はギリシャ本土からまだ分離していなかったとみられています。このため、初期の人類がアフリカからヨーロッパを通ってギリシャまでやってきた可能性もあると、研究者は考えています。しかし同時に、収斂進化によって人類のような後ろ足を獲得した未発見の霊長類によってつけられた可能性も考えられるそうです。

8/31 Uppsala UniversityPossible hominin footprints from the late Miocene (c. 5.7 Ma) of Crete? Proceedings of the Geologists' Association

2017/9/10

特殊化した食性をもった初期のハクジラが発見されました。

 アメリカ合衆国カリフォルニア州の新生代古第三紀漸新世前期(約3390万年前〜約2790万年前)の地層から、新属新種のハクジラの化石が発見されました。
 Inermorostrum xenopsと名付けられたこのハクジラは、全長約1mと推定されています。吻部は現生種、化石種含めて現在知られているクジラの中で最も短く、歯をもっていないそうです。海底付近で、魚やイカ、やわらかい無脊椎動物などを吸い込んで食べていたと、研究者は考えています。また吻部の骨の形から、大きな唇やひげをもっていたのではないかとも、考えられています。
 Inermorostrumはハクジラとヒゲクジラが出現してから400万年もしないうちに出現した初期のハクジラにも関わらず、獲物を吸い込んで食べるという特殊化した食性をもっていました。漸新世はクジラが多様化した時代です。漸新世にはInermorostrumのほかにも特殊化した食性をもっていた種がいくつもいたことから、食性の多様化がクジラの多様化の引き金になったのではないかと、研究者は考えています。

8/23 ScienceDailyA toothless dwarf dolphin (Odontoceti: Xenorophidae) points to explosive feeding diversification of modern whales (Neoceti). Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 284(1861), 20170531

2017/8/27

トルコから、ネコくらいの大きさの肉食の後獣類の化石が発見されました。

 トルコの約4400万年前〜約4300万年前(新生代古第三紀中新世中期)の地層から、新属新種の哺乳類の化石が発見され、Anatoliadelphys maasaeと名付けられました。
 発見された化石では、頭部を含む体の大部分が保存されているそうです。歯と骨の特徴から、Anatoliadelphysは有袋類にとても近い種類であると、研究者は考えています。体重は3〜4kgとイエネコと同じくらいの大きさで、木に登ることができたと考えられています。また臼歯が幅広いことから、骨などの硬いものを噛み砕くことができたとみられています。甲虫、陸棲巻貝、カエル、トカゲ、小さい哺乳類、さらには植物など、いろいろなものを食べていたと研究者は考えています。
 有袋類を含む後獣類は中生代に北半球で出現したと考えられています。しかし白亜紀末の大量絶滅で北半球ではほぼ絶滅し、北米でわずかに生き延びたのみと考えられています。その後、当時陸続きになっていたグリーンランドを通ってヨーロッパに広がっていきましたが、新生代の北半球の後獣類はどれもネズミくらいの大きさで昆虫を食べていたと、これまで考えられてきました。しかし今回のAnatoliadelphysの発見により、新生代の北半球の後獣類の生態がより多様だったらしいということがわかりました。

8/17 University of SalfordSkeleton of an unusual, cat-sized marsupial relative (Metatheria: Marsupialiformes) from the middle Eocene (Lutetian: 44-43 million years ago) of Turkey. PLOS ONE, 12(8), e0181712

2017/8/20

クジラひげの進化の仕方がわかりました。

 シロナガスクジラなどのヒゲクジラは歯をもたず、上顎から生えた繊維状のクジラひげを使って、海水中からプランクトンをこしとって食べています。ヒゲクジラが歯をもつクジラから進化したことはわかっていますが、クジラひげが歯がなくなった後に進化したのか、またはクジラひげが進化した後に歯がなくなったのかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、アメリカ合衆国サウスカロライナ州の新生代古第三紀漸新世(約3310万年前〜約2300万年前)の地層から発見された新属新種のヒゲクジラが報告されました。Coronodon havensteiniと名付けられたこのヒゲクジラには歯があるそうです。前の方の歯は、その形と摩耗の仕方から大きな獲物を捕まえるのに使われていたと考えられるそうです。一方、下顎の臼歯は幅広くとんがりがたくさんあり、小さな獲物を海水からこしとるのに使われていた考えられています。Coronodonは歯をクジラひげと同じように使い始めた段階にある種だと、研究者は考えています。
 その後、歯同士の間隔が広がり、歯ではなくクジラひげが生えるように進化していったと、研究者は考えています。

6/29 ScienceDailyThe Origin of Filter Feeding in Whales. Current Biology

2017/7/1

最古のヒゲクジラ類の化石が発見されました。

 ペルーの約3640万年前(新生代古第三紀始新世後期)の地層から、ヒゲクジラ類の化石が発見されました。これまで発見されていた最古のヒゲクジラ類は約3400万年前のものです。今回発見された化石はヒゲクジラ類としては最古のものになります。
 今回発見されたヒゲクジラ類はMystacodon selenensisと名付けられました。体長は3.8から4mと推定されています。ヒゲクジラ類はより古いクジラ類のバシロサウルス類から進化し、漸新世前期(約3390万年前〜約2810万年前)にヒゲを進化させたと考えられています。Mystacodonは歯をもっているものの、その磨耗の仕方は魚やほかの動物を襲って食べていたと考えられているバシロサウルス類とは違っているそうです。Mystacodonの口は小さな動物を吸い込むのに適しており、バシロサウルス類の肉食と現在のヒゲクジラ類のようなプランクトンを大量に食べる食性との中間の食性をもっていたと、研究者は考えています。また、前ヒレの特徴から、Mystacodonは海底のすぐ上を泳いで獲物をとっていたのではないかとも、考えられています。
 またMystacodonの化石には前ヒレだけではなく後ヒレも残っていたそうです。現在のクジラ類には前ヒレしかありません。これまで、後ヒレはバシロサウルス類で退化して無くなったと考えられてきました。しかし今回、Mystacodonで後ヒレが発見されたことにより、後ヒレはこれまで考えられていたよりも長く残っていたこともわかりました。

5/11 ScienceDailyEarliest Mysticete from the Late Eocene of Peru Sheds New Light on the Origin of Baleen Whales. Current Biology

2017/5/14