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2017年〜2022年のニュース

メガロドンとホホジロザメが同じ獲物を食べていたらしいということがわかりました。

 絶滅した生物の生態、進化、絶滅を考えるうえで、食性は重要な要素です。しかし数百万年前に生きていた動物の食性を推測することは困難です。化石に、食性を推測するのに使うことができる化学物質がほとんど保存されていないためです。
 メガロドンは、約2300万年前から約360万年前(新生代新第三紀中新世〜鮮新世)まで生きていた、全長10mを超える史上最大のサメです(ちなみに、現生のホホジロザメの全長は最大で6mです)。メガロドンの巨大化と絶滅についてはさまざまな観点から議論されています。特に食性と食物をめぐる競争は重要な要素と考えられています。
 古生物の食性を推測する際、歯の象牙質のコラーゲンに含まれる窒素の安定同位体比を調べるという手法がよく用いられます。窒素の安定同位体比を調べることで、どのくらいの割合で動物を食べていたかを推測することができます。しかし、数百万年前の化石にはコラーゲンは保存されていないため、メガロドンの食性の推定にこの手法を使うことはできません。
 代わりに、今回は、歯のエナメロイドの亜鉛の安定同位体比が調べられました。亜鉛の安定同位体比を調べることで、その動物が食物網のどの位置にいたかを推測することができます。
 約2040万年前〜約1600万年前(中新世)と約530万年前〜約360万年前(鮮新世)の複数種のサメの歯の亜鉛の安定同位体比が調べられ、現生のサメの結果と比較されました。この結果、メガロドンは生態系の上位に位置する捕食者だったらしいということがわかったそうです。そして鮮新世のメガロドンとホホジロザメの食性が大きく重なっていたらしいということがわかったそうです。メガロドンと初期のホホジロザメは、獲物をめぐって競争していた可能性があるとのことです。

5/31 Max Planck Institute for Evolutionary AnthropologyTrophic position of Otodus megalodon and great white sharks through time revealed by zinc isotopes. Nature Communications, 13(1), 2980

2022/6/5

謎の脊椎動物の正体がわかりました。

 パレオスポンディルス(Palaeospondylus gunni)は、スコットランドの古生代デボン紀中期(約3億9300万年前〜約3億8300万年前)の地層から化石が発見される、魚のような形の脊椎動物です。歯がなく、頭部に皮骨がなく、胸ビレや腹ビレは発見されていません。この特徴は無顎類の円口類に似ていますが、進化した有顎類と同じようにしっかりした脊椎をもっており、その分類についてはよくわかっていませんでした。
 今回、母岩の中に完全に入った状態のパレオスポンディルスの頭骨化石2点が、高解像度のCTにかけられ、頭骨の特徴が詳しく調べられました。この結果、パレオスポンディルスの頭骨は、下顎が短いものの、その他の特徴は有顎類に似ているということがわかったそうです。特に、四足動物に近い肉鰭類との共通点が多いとのことです。
 パレオスポンディルスの系統が分析された結果、ユーステノプテロンと、ヒレに指や肘の関節をもつパンデリクチス、ティクターリク、エルピストステゲの間に位置するということがわかったそうです。

5/26 理化学研究所Morphology of Palaeospondylus shows affinity to tetrapod ancestors. Nature, 606, 109-112

2022/6/3

石灰質のプランクトンは、これまで考えられていたよりも温暖化に強い耐性をもっていたらしいということがわかりました。

 円石藻類は、中生代三畳紀後期から現在まで生きている単細胞の植物プランクトンです。細胞の表面を、数枚から数十枚のコッコリスと呼ばれる小さな石灰質の鱗片に覆われています。コッコリスは化石として残りやすく、石灰岩を形成するほど大量に堆積することもあります。
 温暖化が起こった時期に堆積した地層中ではコッコリスの数が減少することが知られています。これは、円石藻類が気候の変化と海水の酸性化に弱いためだと、これまで考えられてきました。
 今回、約1億8300万年前(中生代ジュラ紀前期)、約1億2000万年前(白亜紀前期)、約9400万年前(白亜紀後期)に堆積した地層から、コッコリスの印象化石が大量に発見されました。この3つの時期は温暖化が起こった時期で、コッコリス自体の化石は非常に少ないかまたは全く発見されていません。
 今回発見されたコッコリスの印象化石は、花粉や胞子の化石にコッコリスの凹凸が残ったものです。円石藻類が死んでコッコリスが海底に堆積した後、さらに上に積もった泥の重みでコッコリスが一緒に堆積していた花粉や胞子、その他のやわらかい有機物に押し付けられ、その後、堆積物の粒子の間に入り込んだ酸性の水によってコッコリスが溶けてなくなり、花粉や胞子についた跡だけが残ったと、研究者は考えています。
 このようなコッコリスの印象化石はありふれたものであるものの、そのサイズがあまりにも小さく、そして意外な保存のされ方をしているため、これまで見落とされてきたのだろうと、研究者は考えています。通常、コッコリスそのものの化石が見つからなければ円石藻類はいなかったと判断されます。しかし今回の発見により、ジュラ紀と白亜紀の温暖化した時期にも円石藻類が個体数、種類とも豊富にいたらしいということがわかりました。今回の発見は、化石記録をそのまま解釈すると間違う可能性があることを示すものであり、円石藻類がこれまで考えられていたよりも温暖化に対して強い耐性をもっていたことを示唆するものだと、研究者は考えています。

5/20 University College LondonGlobal record of “ghost” nannofossils reveals plankton resilience to high CO 2 and warming. Science, 376(6595), 853-856

2022/5/21

イタチザメの歯の形が成長に伴って変化するらしいということがわかりました。

 軟骨魚類(サメやエイなど)は、生涯ずっと、古い歯が抜けるとすぐに新しい歯に生え変わり続けます。このため、現生種でも化石種でも、膨大な数の歯が抜けることになります。軟骨魚類の歯は化石として大量に産出するため、種の同定やいつ出現していつ絶滅したかを調べるときなどに有用です。
 しかし、同じ顎に生えている歯でも場所によって形が異なることがあります。上記の分析にとってこの歯の形の違いは大きな問題ですが、これまで歯の形の違いに関する研究はほとんど行われてきませんでした。
 今回、イタチザメ(Galeocerdo cuvier)について、胎児から成体までの4つの成長段階において、歯がどのような形をしているかが調べられました。この結果、全ての成長段階において、顎の中心近くの歯は高さがあり、顎の端の方の歯は幅広い形をしているということがわかったそうです。また、成長に伴って歯の形が少しずつ変わっていくこともわかったそうです。
 イタチザメは胎児の段階から歯をもっていますが、最初のころの歯には鋸歯がないとのことです。子宮にいるうちから歯の生え代わりは起こっており、この過程で歯に鋸歯ができることがわかったそうです。そして成体になると、鋸歯の縁にさらに細かい鋸歯ができるとのことです。
 成長するにしたがって歯は大きくなり鋸歯の数も増えるものの、鋸歯の縁にさらに鋸歯ができるのは、成体になって体がかなりの大きさに成長してからとのことです。また、イタチザメに近縁な化石種でも、大型種の歯は鋸歯の縁に細かい鋸歯があり、小型種の歯の鋸歯には細かい鋸歯はないとのことです。二重の鋸歯のある歯をもつかどうかは、体サイズと関係しているのではないかと、研究者は考えています。イタチザメの成体は鋸歯が二重に並ぶ歯のおかげで、カメの甲羅に歯を突き刺すことができます。一方、若いイタチザメは主に小さい魚を食べており、二重の鋸歯は必要ありません。

5/12 University of ViennaHeterodonty and ontogenetic shift dynamics in the dentition of the tiger shark Galeocerdo cuvier (Chondrichthyes, Galeocerdidae). Journal of Anatomy

2022/5/15

三葉虫に“クラスパー”が発見されました。

 三葉虫は硬い殻をもっているおかげで化石になりやすく、たくさんの化石が発見されています。しかし付属肢などの軟体部については、ほとんど化石になることはありません。記載されている2万種ほどの三葉虫のうち、軟体部が残った化石が発見されている種は40種未満です。これまで、交尾に関係する三葉虫の軟体部は発見されていなかったため、三葉虫がどのように交尾していたかはわかっていませんでした。
 今回、カナダの約5億900万年前〜約5億500万年前の地層バージェス頁岩から産出したオレノイデスの化石に、奇妙な付属肢が保存されているのが発見されました。奇妙な付属肢は一番後ろの胸節と一番前の尾節にそれぞれついている二肢型付属肢で、他の節についている付属肢に比べて歩脚が短く、歩脚の付け根のトゲがないそうです。
 この奇妙な付属肢をもつのは雄で、この奇妙な付属肢は体外受精をする際に雌の体を押さえるクラスパーのような役割をもっていたのだろうと、研究者は考えています。クラスパーのような付属肢は現生の雄のカブトガニももっており、体外受精の際に雌のトゲをつかんで体を固定するのに使われています。
 今回の発見は、生殖の目的で特殊化した付属肢として最古の例です。現生の節足動物に見られるような複雑な交尾の方法は、カンブリア紀に出現したと、研究者は考えています。

Geological Society of AmericaClaspers in the mid-Cambrian Olenoides serratus indicate horseshoe crab-like mating in trilobites. Geology

2022/5/13

三葉虫で、節足動物で最古となる共食いの証拠が発見されました。

 「カンブリア爆発」は、海で複雑な生態系が急速に発達したことで特徴づけられます。この時期、捕食者にも被捕食者にも生体鉱物でできた硬い殻などの外骨格をもつものが現れ、そのような硬い外骨格をもつ生き物を食べる捕食者も登場しました。
 カンブリア紀で、硬い殻に捕食痕が見られるもっとも有名な古生物は、三葉虫です。今回、オーストラリアの約5億1400万年前〜約5億900万年前(古生代カンブリア紀)の地層エミュー・ベイ頁岩から、捕食痕がある三葉虫Redlichiaの化石が38点報告されました。エミュー・ベイ頁岩からは、体が小さく堆積物食と考えられているR. takooensisと、体が大きく肉食と考えられているR. rexの2種のRedlichiaが産出しています。捕食痕は両方の種で確認できるとのことです。
 エミュー・ベイ頁岩から産出する古生物で、Redlichiaを捕食できた可能性がある古生物は2種います。1種はAnomalocaris aff. canadensis、もう1種はR. rexです。このうち、A. aff. canadensisの口器は軟組織でできており、方解石でできた三葉虫の硬い殻を噛み砕くことはできなかったと、研究者は考えています。一方、R. rexは付け根に楔形の突起が並ぶ付属肢をもっています。この突起は、三葉虫の硬い殻を砕くこともできるくらいの強度があったらしいということが、以前の研究で指摘されています。このため、今回報告された捕食痕はR. rexによってつけられたものだろうと、研究者は考えています。
 捕食痕はR. takooensisだけではなくR. rexにも見られるため、この捕食痕がR. rexによってつけられたものなら、R. rexは少なくとも時々は共食いをしていたことになります。今回の発見は、節足動物の共食いの証拠として最古のもののひとつです。
 また、R. takooensisにしろ、R. rexにしろ、捕食痕はそれぞれの種の中でも大きな個体に見られるそうです。捕食者に襲われた際、小さな個体は完全に食べられ、大きな個体は捕食者から逃げることができたためではないかと、研究者は考えています。

4/6 Live ScienceCambrian carnage: Trilobite predator-prey interactions in the Emu Bay Shale of South Australia. Palaeogeography, Palaeoclimatology, Palaeoecology, 591, 110877

2022/4/10

最古のベレムナイトの化石が発見されました。

 ベレムナイトは、中生代ジュラ紀と白亜紀(約2億100万年前〜約6600万年前)に繁栄した頭足類です。体の内部の後方に矢じりのような形をした殻(鞘)があり、この鞘がよく化石として発見されます。約2億3500万年前(中生代三畳紀後期)の地層から発見された化石が、これまで最古のベレムナイトの化石でした。
 今回、宮城県の約2億4800万年前(中生代三畳紀前期)の地層から、新属新種のベレムナイトの化石が発見されました。これまで最古だったベレムナイトの化石よりも1000万年以上古い化石になります。今回発見されたベレムナイトは、Tohokubelus takaizumiiと名付けられました。
 今回の発見により、ベレムナイトは三畳紀前期に、当時超大陸パンゲアを取り囲んでいた超海洋パンサラサの西端の低緯度地域で出現したと、研究者は考えています。

4/1 東北大学

2022/4/8

澄江動物群の動物たちが三角州の近くに棲んでいたらしいということがわかりました。

 古生代カンブリア紀(約5億3900万年前〜約4億8500万年前)、生物が急速に多様化した「カンブリア爆発」が起こりました。中国雲南省澄江からは、約5億1800万年前の動物の化石が豊富に産出します。節足動物、環形動物、魚など、さまざまなグループにわたる250種以上の動物の化石が、この地域から発見されています。澄江から産出する動物たちは澄江動物群と呼ばれています。澄江動物群の動物たちについて生物学的な研究は進んでいますが、この動物たちがどのような環境に棲んでいたかについては議論があります。
 今回、澄江動物群が産出する地層を含む厚さ130mのコアが採取され、堆積構造と地層の化学組成が調べられました。この結果、澄江動物群の動物のほとんどは、三角州の先端に近い浅海に棲んでいたと、研究者は考えています。酸素と栄養が豊富だったものの、変わりやすい塩分濃度と速い堆積速度がストレスになっていたと考えられるそうです。そして嵐の時に起こった洪水によって酸素濃度の低い水深の深い場所に流され、非常に保存状態の良い化石になったと、研究者は考えています。

3/23 University of ExeterThe Chengjiang Biota inhabited a deltaic environment. Nature Communications, 13(1), 1569

2022/3/24

タコの最古の仲間の化石が発見されました。

 アメリカ合衆国モンタナ州の約3億3100万年前〜約3億2300万年前(古生代石炭紀前期)の地層から、新属新種の vampyropod(タコとコウモリダコを含むグループ)の化石が発見され、Syllipsimopodi bideniと名付けられました。これまでに発見されていた最古の vampyropodは約2億4200万年前〜約2億3700万年前(中生代三畳紀中期)のもので、今回の発見は、それよりも8000万年以上古いものになります。
 現生種、化石種含めて、これまでに知られていた vampyropodの腕は全て8本でした。しかし、Syllipsimopodiには10本の腕があるとのことです。これまで、 vampyropodは腕を10本もつ祖先から進化したと考えられてきました。その説を支持する証拠が今回初めて発見されました。
 また、Syllipsimopodiの腕には吸盤があるそうです。吸盤が並んだ腕を使って、アンモナイトの軟体部を殻から引っ張り出したりしていたのだろうと、研究者は考えています。

American Museum of Natural HistoryFossil coleoid cephalopod from the Mississippian Bear Gulch Lagerstätte sheds light on early vampyropod evolution. Nature Communications, 13, 1107

2022/3/10

新たなオパビニア類が報告されました。

 オパビニアは、アノマロカリスと並ぶバージェス頁岩を代表する動物です。しかしラディオドンタ類(アノマロカリスの仲間)がカンブリア紀からデボン紀までの地層から20種以上発見されているのに対し、これまでオパビニアの仲間はO. regalisの1属1種しか発見されていませんでした。
 今回、2008年にラディオドンタ類として報告された化石の形が詳しく調べられ、どのグループの動物なのかが分析されました。この結果、この化石はオパビニア類であるらしいということがわかったそうです。
 今回調べられた化石は、アメリカ合衆国ユタ州の約5億500万年前〜約5億100万年前の地層から発見されました。胴体は13〜15個の節からなり、胴体とヒレに剛毛が並んだ構造があり、尾には少なくとも7対のヒレがあるとのことです。このオパビニア類はUtaurora comosaと名付けられました。

2/9 Harvard University, Department of Organismic and Evolutionary BiologyNew opabiniid diversifies the weirdest wonders of the euarthropod stem group. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 289(1968)

2022/2/11

火災に耐性があったと考えられる白亜紀の花が発見されました。

 ミャンマーの約9900万年前(中生代白亜紀の中ごろ)の琥珀の中から、新種の花が2種発見されました。1つは現在の南アフリカ共和国に生育するPhylica属の新種で、Phylica piloburmensisと名付けられました。もう1つはPhylica属に近縁な新属新種で、Eophylica priscastellataと名付けられました。
 白亜紀の中ごろは地球の歴史の中でも特に気温の高かった時期と考えられています。そして白亜紀の酸素濃度は23〜29%と、現在(21%)よりも高かったと推測されています。この時期に堆積した地層からは炭化した植物化石が多く発見されており、火災が頻発していたと考えられています。分子時計の分析によると、裸子植物と被子植物のいくつかのグループが、白亜紀に火災に対する耐性を獲得したのではないかと推測されています。
 今回発見されたP. piloburmensisとE. priscastellataは現生のPhylicaとあまり形が変わらず、火災にあっても生き残れるような適応が見られるとのことです。この2種が発見された琥珀の中には燃えた植物が一緒に入っているものもあり、この2種は火災が発生した場所に生えていたと、研究者は考えています。

2/2 Sci NewsFire-prone Rhamnaceae with South African affinities in Cretaceous Myanmar amber. Nature Plants

2022/2/6

Callichimaeraは活発な捕食者だったらしいということがわかりました。

 Callichimaeraは、約9500万年前〜約9000万年前(中生代白亜紀後期)のコロンビアに生きていたカニです。大きな眼と遊泳に適した肢をもっていました。
 今回、Callichimaeraの眼について、外側の構造と内側の構造の両方が調べられました。眼を調べることによって、棲息環境やどのくらい活発に活動していたか、捕食者だったのか被捕食者だったのかなどを推測することができます。
 成長段階の異なる標本を使って眼の成長速度が調べられた結果、Callichimaeraはカニの中で最も眼の成長速度が速かったらしいということがわかったそうです。また、Callichimaeraの眼は、現生の活発な捕食性のカニよりも鋭敏で、現生の捕食性の昆虫に近かったらしいということがわかったそうです。遊泳性に適した肢をもつことと合わせて、Callichimaeraは活発に泳いで獲物を捕る捕食者だったと、研究者は考えています。また、Callichimaeraは明るい環境に適応していたらしいということもわかったそうです。

1/12 Harvard University, Department of Organismic and Evolutionary BiologyThe remarkable visual system of a Cretaceous crab. iScience, 25(1), 103579

2022/1/30

最古の被子植物の蕾の化石が発見されました。

 現在、被子植物は植物の中で最も多様なグループです。しかし、いつどのように被子植物が出現したかは、よくわかっていません。白亜紀前期(約1億4500万年前〜約1億100万年前)の義県層から多様な被子植物の化石が発見されたり、ジュラ紀(約2億100万年前〜約1億4500万年前)の地層から花の化石が発見されたりしているため、ジュラ紀に被子植物が存在していたことは確実視されています。しかし、ジュラ紀の被子植物の化石記録は少ないため、初期の被子植物についての理解はいまだに進んでいません。
 今回、中国内モンゴル自治区の約1億6400万年前の地層から、被子植物の蕾と果実の化石が発見されました。今回の発見は、被子植物の蕾の化石として、最古のものです。今回発見された被子植物は新属新種とされ、Florigerminis jurassicaと名付けられました。

A Jurassic flower bud from China. Geological Society, London, Special Publications, 521

2022/1/20

オーストラリアから新たな化石鉱脈が発見されました。

 化石から、現生とは姿が大きく異なる動植物が生きていた過去の世界を垣間見ることができます。しかし化石として残るのは、ほとんどの場合で骨や殻などの硬い部分だけであるため、軟体部を復元したり、硬組織をもたない生物がどのような姿だったかを知ったりすることは、困難です。
 例外として、普段は化石として残りにくい軟組織がよく保存される化石産地がいくつかあります。このような化石産地は化石鉱脈と呼ばれています。今回、オーストラリアのニューサウスウェールズ州から新たな化石鉱脈が発見されました。今回発見された化石鉱脈は、"McGraths Flat"と名付けられました。
 McGraths Flatからは、約1500万年前(新生代新第三紀中新世)の生物の化石が発見されています。ここからは、軟体部が保存されたさまざまな動植物の化石が発見されているとのことです。また、ここから発見される化石には、細胞やメラノソームといった細胞内小器官まできれいに保存されているそうです。さらに、昆虫の表面についた花粉、腹部に獲物が入った魚、魚に寄生したムール貝など、生物同士の関係を推測できる化石も発見されているそうです。
 中新世に気候は乾燥化し、オーストラリアではそれまで広がっていた熱帯雨林が縮小し、灌木地や砂漠が広がっていったと考えられています。 McGraths Flatから発見された葉の化石から、当時、熱帯雨林の周りには乾燥した環境が広がっていたことが推測されるそうです。当時すでに、熱帯雨林が縮小していたのだろうと、研究者は考えています。

1/10 Australian MuseumA Lagerstätte from Australia provides insight into the nature of Miocene mesic ecosystems. Science Advances, 8(1)

2022/1/16

ウミサソリ類の付属肢の動きが調べられました。

 ウミサソリ類は、約4億6700万年前〜約2億5000万年前(古生代オルドビス紀中期からペルム紀の末近く)まで生きていた節足動物です。他の動物を捕まえて食べたり、死骸を食べたり、付属肢で小さい無脊椎動物をかき寄せて食べたりと、種類によって異なった食性だったと考えられています。しかしこの説を検証するための、生体力学的、運動学的な研究は、これまでほとんど行われてきませんでした。
 今回、アメリカ合衆国オハイオ州のオルドビス紀後期(約4億5800万年前〜約4億4400万年前)の地層から発見されたメガログラプタス(Megalograptus ohioensis)の化石と、ノルウェーのシルル紀の後半(約4億3300万年前〜約4億1900万年前)の地層から発見されたミクソプテルスの化石をもとに3Dモデルが作られ、付属肢がどのように動いたかが調べられました。この2種は両方とも、長いトゲの生えた長い第3付属肢をもっています。
 この結果、メガログラプタスは第3付属肢の長いトゲで獲物を押さえ、第2付属肢で獲物を引き裂いていたらしいということがわかったそうです。一方、ミクソプテルスは第3付属肢を獲物を捕らえるかごのように使い、第2付属肢で獲物を突き刺していたと考えられるそうです。

Spines and baskets in apex predatory sea scorpions uncover unique feeding strategies using 3D-kinematics. iScience, 25(1), 103662

2022/1/4

琥珀から、白亜紀前期のスペインの環境が詳しく調べられました。

 スペインのAriñoに分布する約1億1000万年前(中生代白亜紀前期)の地層からは、1万点以上の保存状態の良い脊椎動物の化石が発見されています。この中には、鳥脚類のProa valdearinnoensisとノドサウルス類のEuropelta carbonensisの化石も含まれます。無脊椎動物や植物の化石などから、この地層は熱帯〜亜熱帯の気候のもと、塩分濃度の変化するアルカリ性の湖の周りにある湿地で堆積したものであると、考えられています。この地層からはまた、中に生物が閉じ込められた琥珀も産出しています。恐竜の化石と生物が閉じ込められた琥珀が一緒に産出する地層は、ほかに3か所しか知られていません。スペインのAriñoから産出する琥珀の中には、この3か所よりも多様な生物が数多く閉じ込められていますが、これまでこの琥珀の内容物については詳しく調べられてきませんでした。
 今回初めて、この地層の琥珀が形態的、化学的、そしてどのような生物が閉じ込められているかなど、さまざまな視点から調べられ、当時の環境が詳しく推測されました。
 Ariñoから産出する琥珀には、幹や枝から出た樹脂が固まってできた琥珀と、根から出た樹脂が固まってできた琥珀とがあります。根から出た樹脂が固まってできた琥珀には生物は含まれていませんが、琥珀の形から、樹脂ができたその場所から移動することなくそのまま琥珀になったものだと、研究者は考えています。また、幹や枝から出た樹脂が固まってできた琥珀も、化石になるまでにできた場所からほとんど移動していないと考えられるそうです。このことから、Ariñoの琥珀と、地層に含まれる琥珀以外の化石を調べることで、当時の生態系を正確に推測できると、研究者は考えています。
 琥珀の化学的な分析から、Ariñoの琥珀はナンヨウスギ科の植物から出た樹脂が化石になったものだと推測されるそうです。当時のAriñoには、スギ科、ケイロレピディア科、ナンヨウスギ科、シダ植物、被子植物などが生えており、これらの植物は鳥脚類とノドサウルス類の餌となっていたと考えられるそうです。またこの湿地には、クモ、ダニ、さまざまな昆虫など、多様な節足動物が生きていたとのことです。

11/30 University of BarcelonaDinosaur bonebed amber from an original swamp forest soil. eLife

2021/12/16

アンモナイトの軟体部が復元されました。

 アンモナイトの化石は、世界中の中生代(約2億5200万年前〜約6600万年前)の地層から数多く発見されています。しかし、アンモナイトの化石のほとんどは殻で、軟体部が保存された化石はほとんど発見されていません。
 1998年、イギリスのジュラ紀(約2億100万年前〜約1億4500万年前)の地層から、軟体部が保存された化石が発見されました。今回、X線と中性子線を用いて殻の内部に保存された軟体部と筋肉が付着していた痕が調べられ、軟体部が立体的に復元されました。
 この結果、アンモナイトは他の多くの頭足類と同じように、漏斗から水を勢いよく出すことで泳いでいたらしいということがわかたっそうです。また、体を殻の中に引っ込めるのに使われたと思われる筋肉があったらしいということもわかったそうです。体をひっこめることで、捕食者から身を守っていたと、研究者は考えています。
 これまで、アンモナイトの軟体部を復元する際、オウムガイの体の構造が参考にされてきました。しかし、今回の研究で、オウムガイに無い筋肉をアンモナイトがもっていたらしいということがわかったことで、アンモナイトとオウムガイの軟体部はこれまで考えられていたほど似ていなかったと、研究者は考えています。

12/8 Imperial College LondonCorrelative tomography of an exceptionally preserved Jurassic ammonite implies hyponome-propelled swimming. Geology

2021/12/12

コケムシがカンブリア紀にいた証拠が発見されました。

 コケムシは、海や淡水の水中で群体を形成して生活する無脊椎動物です。古生代から現在まで生きています。種類によって、石灰質、キチン質、寒天質の骨格をもっています。
 コケムシは、約4億8500万年前〜約4億7800万年前(古生代オルドビス紀初期)にいきなり多様な種類が出現していることから、カンブリア紀(約5億54100万年前〜約4億8500万年前)に出現したと考えられています。しかし、確実にコケムシといえる化石は、カンブリア紀の地層からはこれまで発見されていませんでした。
 今回、オーストリアと中国の約5億2100万年前〜約5億900万年前から発見されたProtomelission gatehouseiの化石が走査型電子顕微鏡とX線を使って詳しく調べられました。この結果、Protomelissionはコケムシだということがわかったそうです。Protomelissionは、石灰質またはキチン質の骨格をもつ裸喉類と石灰質の骨格をもつ狭喉類の両方の特徴がみられることから、原始的なコケムシであると、研究者は考えています。Protomelissionがコケムシだとすると、コケムシの最古の記録が約3500万年さかのぼることになります。

Fossil evidence unveils an early Cambrian origin for Bryozoa. Nature

2021/11/7

ミャンマーから、長い触角や肢をもつカゲロウの昆虫の化石が発見されました。

 ミャンマーの約9900万年前(中生代白亜紀中ごろ)の琥珀の中から、多くのカゲロウの幼虫が発見されました。昆虫の幼虫は、成虫とは大きく異なる形をしています。ほとんどの幼虫で、触角や肢といった、体から突き出た部分は、成虫よりも短くなっています。しかし今回発見されたカゲロウの幼虫では、触角、顎、肢、“首”などのいろいろな部分が長く伸びているとのことです。特に口が長く伸びているそうです。
 現生のカゲロウの幼虫は、アブラムシに毒を注入して動けないようにした後、中身を食べます。しかしアブラムシを食べるには今回発見された口では長すぎるため、今回発見されたカゲロウの幼虫が何を食べていたかはわからないそうです。
 現在ではカゲロウは比較的珍しい昆虫です。しかしミャンマーの琥珀からはカゲロウが多く発見されているため、白亜紀には現在よりも多様なカゲロウがいたと考えられるそうです。また、これまでは幼虫の触角や肢の長さには制約があると考えられてきました。しかしミャンマーの琥珀から発見されるカゲロウの幼虫の多くは、長い触覚や口、肢などをもつため、そのような制約はないと、研究者は考えています。

10/26 Ludwig-Maximilians-Universität MünchenNew extreme morphologies as exemplified by 100 million-year-old lacewing larvae. Scientific Reports, 11(1), 20432

2021/11/3

白亜紀のゴキブリが現生のゴキブリとは大きく異なる感覚をもっていたらしいということがわかりました。

 眼や触角といった昆虫の感覚器官は、脊椎動物にも劣らない優れた情報解析能力をもっています。しかし、サイズが小さいため、そもそも化石として残りにくく、また残っていたとしても、詳しく調べることはできないため、これまでその進化についてはよくわかっていませんでした。
 今回、ミャンマーの約1億年前(中生代白亜紀の中ごろ)の琥珀に保存されている雄のゴキブリ(Huablattula hui)の眼と触角が調べられました。
 カメラによる撮影とCTによって複眼のレンズの数が調べられた結果、H. huiの複眼を構成するレンズは6,000個あることがわかったそうです。これは、現生の夜行性のゴキブリに比べてとても多い数です。
 また、触角を琥珀ごと切断して、薄さ0.2mmの薄片にするという新しい手法によって、H. huiの触角にある感覚子が詳しく調べられました。この結果、H. huiの触角には触覚を司る感覚子が少ないらしいということがわかったそうです。
 現生の多くのゴキブリは、暗い環境で生活しています。暗い環境で生活するゴキブリは、視覚を使うよりも触角で周囲の様子を探っています。H. huiは触角の感覚が鈍く視覚が鋭かったと推定されることから、現生の多くのゴキブリとは異なり、明るく開けた場所で生活していたと、研究者は考えています。
 また触角に関しては、現生のカマキリと同じように、雌のフェロモンを感知する感覚子が多いということもわかったそうです。カマキリと同じような方法で雌雄間のコミュニケーションをとっていた可能性があると、研究者は考えています

10/18 北海道大学Reconstructing the ecology of a Cretaceous cockroach: destructive and high-resolution imaging of its micro sensory organs. The Science of Nature, 108, 45

2021/10/20

ファコプス類のレンズは、それ自体が複眼だったらしいということがわかりました。

 三葉虫類は約5億2300万年前〜約2億5200万年前(古生代カンブリア紀〜ペルム紀)まで生きていた節足動物です。三葉虫類は、現在の昆虫類や甲殻類と同じような複眼をもっていました。
 ほとんどの三葉虫類の複眼は、細かいレンズが隙間なくびっしり並んでいますが、ファコプス類だけは、最大で直径2mm以上にもなるの大きなレンズが隙間を開けて並ぶ独特の構造をした複眼をもっていました。
 1970年代にファコプス類の複眼がX線を用いて撮影されました。今回、この画像が詳しく分析された結果、ファコプス類の大きなレンズ1つ1つの下に、少なくとも6つのレンズがあることがわかったそうです。つまり、ファコプス類の大きなレンズ1つ1つがそれぞれ複眼のような構造になっているとのことです。このような構造の複眼はほかの動物には見られません。
 ファコプス類の複眼は、暗い環境で進化したのではないかと研究者は考えています。ファコプス類の複眼は、ほかの三葉虫類の複眼よりも光を敏感に感じることができ、また、色を感知する能力も高かった可能性があるのではないかと、研究者は考えています。

9/30 University of CologneA 390 million-year-old hyper-compound eye in Devonian phacopid trilobites. Scientific Reports, 11(1)

2021/10/2

新属新種のラディオドンタ類が発見されました。

 カナダの約5億900万年前〜約5億500万年前(古生代カンブリア紀)の地層バージェス頁岩から、新属新種のラディオドンタ類(アノマロカリスの仲間)の化石が発見されました。
 発見されたラディオドンタ類はTitanokorys gainesiと名付けられました。頭部が大きな甲皮で覆われたフルディア類に属しており、先端にトゲのある大きな甲皮をもっていました。
 Titanokorysの全長は50cmと推定されています。カンブリア紀のフルディア類としては最大級です。頭部の前に生えた大きな付属肢には、細かいトゲが多数生えたトゲが並んでいます。この付属肢を使って、海底の堆積物の中にいる小さな動物をすくって食べていたのだろうと、研究者は考えています。

9/8 Royal Ontario MuseumA giant nektobenthic radiodont from the Burgess Shale and the significance of hurdiid carapace diversity. Royal Society Open Science, 8(9), 210664

2021/9/15

非常に長い吻部をもつゾウムシの化石が発見されました。

 ミャンマーから産出した約1億年前(中生代白亜紀の中ごろ)の琥珀の中に新属新種のゾウムシの化石が発見され、Rhamphophorus legaloviiと名付けられました。
 Rhamphophorusの全長は約5.5mmで、その約半分が頭部と長く伸びた吻部とのことです。ゾウムシは長い吻部をもつ甲虫ですが、Rhamphophorusほど長い吻部をもつ種は、現生種、化石種含めて、ほかに発見されていません。
 RhamphophorusはCimberidinaeに属すると考えられています。Cimberidinaeの多くの種では、雌の吻部は雄に比べて短いため、Rhamphophorusの吻部も短かった可能性があると、研究者は考えています。

7/25 Oregon State UniversityA new tribe, genus and species of weevil, Rhamphophorus legalovii gen. et sp. nov., (Coleoptera, Nemonychidae, Rhamphophorini tribe nov.) in mid-Cretaceous Burmese amber. Cretaceous Research, 127, 104948

2021/8/9

捕食者の襲撃から生きのびたと思われる三葉虫の化石が発見されました。

 チェコの古生代オルドビス紀後期(約4億5800万年前〜約4億4400万年前)の地層から、頭部に傷のついた三葉虫Dalmanitinaの化石が発見されました。
 頭部には複数のひっかき傷があり、左眼は通常よりも後方にあって、レンズの並びも不揃いとこことです。
 今回発見されたDalmanitinaは、ウミサソリのような節足動物に襲われたものの生きのびたのだと、研究者は考えています。左眼は襲われたときに失い、その後再生したのではないかとのことです。
 今回のように負傷の痕跡のある眼をもつ三葉虫の化石が発見されることは非常に珍しいそうです。

7/21 Science AlertExoskeletal and eye repair in Dalmanitina socialis (Trilobita): An example of blastemal regeneration in the Ordovician? International Journal of Paleopathology, 34, 113-121

2021/7/25

地面を掘っていたと考えられる石炭紀の四足動物の化石が発見されました。

 約3億900万年前〜約3億600万年前(古生代石炭紀後期)の地層メゾンクリークから、新属新種の細竜類の化石が発見されました。
 Joermungandr boltiと名付けられたこの細竜類は、保存されている部分で長さ約5cm、細長い体に短い四肢をもっているそうです。そして体の背中側、腹側、側面に鱗の痕跡も確認されています。
 走査型電子顕微鏡で鱗が詳しく調べられた結果、ヘビや地面を掘る爬虫類の鱗と同じ特徴が確認されたそうです。この鱗の特徴と、がっしりした頭骨、そして細長い体から、Joermungandrは地面を掘って生活していたと、研究者は考えています。
 細竜類が四足動物の中でどのような位置にいるかは議論があります。今回の研究で系統を分析した結果、細竜類は爬虫類に近いグループだと、研究者は考えています。

7/21 Phys OrgJoermungandr bolti, an exceptionally preserved 'microsaur' from Mazon Creek, Illinois, reveals patterns of integumentary evolution in Recumbirostra, Royal Society Open Science

2021/7/25

真っ直ぐな殻をもつ頭足類は、上下に素早く移動することができたらしいということがわかりました。

 アンモノイド類は、古生代デボン紀から中生代白亜紀(約4億1900万年前〜約6600万年前)まで生きていた頭足類です。平面螺旋形に巻いた殻、巻貝のように巻いた殻、巻かずにまっすぐ伸びた殻など、さまざまな形の殻をもっています。
 一般に、真っ直ぐな殻を持っていたアンモノイド類は、現生のイカのように体を水平にして泳いでいたと考えられています。今回、真っ直ぐな殻をもつ頭足類が垂直に殻を立てた場合、効率的な動きはどのようなものだったかが調べられました。
 真っ直ぐな殻をもつBaculites compressusのレプリカ(長さ57cm)が作られ、殻を立てた状態で実際に水中に入れられて、上下方向にどのように動くかが調べられました。その後、計算によってどのような動きが最も効率的かが産出されました。
 この結果、横方向の動きは抵抗は大きく、垂直方向の動きが最も効率がよいということがわかったそうです。捕食者に襲われたとき、上方向に素早く移動することで捕食者から逃れることができただろうと、研究者は考えています(ただし、サメのように速く泳ぐことができる捕食者からは逃げられなかっただろうとのことです)。

7/16 University of UtahVertical escape tactics and movement potential of orthoconic cephalopods. PeerJ, 9, e11797

2021/7/18

恐竜形類の糞の化石の中から、新属新種の甲虫の化石が発見されました。

 ポーランドの約2億3700万年前〜約2億2700万年前(中生代三畳紀後期)の地層から産出した糞の化石がCTスキャンで調べられた結果、中に甲虫の化石が多数入っていることがわかったそうです。
 発見された甲虫は新属新種で、Triamyxa coprolithicaと名付けられました。Triamyxaの化石は立体的に保存され、中には触角や肢まで残っているものもあるとのことです。Triamyxaは体長1.4mm〜1.7mmと小さく、その仲間は現在は湿った環境で藻類にくっついて生活しているとのことです。
 Triamyxaが入っていた糞をしたのは、恐竜形類のSilesaurusだと、研究者は考えています。

6/30 ScienceDailyExceptionally preserved beetles in a Triassic coprolite of putative dinosauriform origin. Current Biology

2021/7/4

カンブリア紀の生物の幼体の化石が多数発見されました。

 バージェス頁岩や中国の澄江など、古生代カンブリア紀(約5億4100万年前〜約4億8500万年前)の軟体部が保存された化石が産出する地層は何か所も発見されています。しかし、それらの地層から発見される化石のほとんどは成体です。
 今回、中国雲南省の約5億1800万年前の地層から、幼体から亜成体の化石が多数発見されました。見つかった化石のうち約半数が、幼体から亜成体の成長段階にあるものだったそうです。
 今回発見された地層が堆積した場所は、幼体が捕食者から襲われずに成長する場所として、多くの生物が好んで使っていた場所ではないかと、研究者は考えています。

6/28 Penn StateA juvenile-rich palaeocommunity of the lower Cambrian Chengjiang biota sheds light on palaeo-boom or palaeo-bust environments. Nature Ecology & Evolution

2021/7/3

ダンゴムシの仲間がデボン紀末期にすでに出現していたらしいということがわかりました。

 フクロエビ類(ダンゴムシやグソクムシなど)は、ホンエビ類(オキアミやエビ、カニなど)と並んで、甲殻類の中で最も多様性をもつグループです。遺伝子の解析から、約4億5000万年前(古生代オルドビス紀後期)に出現したのではないかと考えられていますが、これまでに発見されている最古の化石は石炭紀(約3億5900万年前〜約2億9900万年前)のものでした。
 今回、アイルランドの約3億7200万年前〜約3億5900万年前(デボン紀末期)の地層から発見され、1908年に報告されたOxyuropodaの化石が詳しく再分析されました。この結果、Oxyuropodaが原始的なフクロエビ類だということがわかったそうです。
 Oxyuropodaの化石が発見された地層は氾濫原で堆積したと考えられています。このため、フクロエビ類は、遅くともデボン紀末期には、祖先が生きていた海から淡水、そして陸上へと進出していたと、研究者は考えています。

6/16 University College CorkThe oldest peracarid crustacean reveals a Late Devonian freshwater colonization by isopod relatives. Biology Letters, 17(6)

2021/6/20

水棲の分椎類ほど、背骨の柔軟性はなかったらしいということがわかりました。

 分椎類は、古生代石炭紀前期(約3億5900万年前〜約3億2300万年前)に出現した両生類で、最初に陸上生活に適応した脊椎動物でもあります。陸棲、半水棲、水棲と、さまざまな環境に適応していました。
 これまで、棲息環境の変化による四肢や呼吸器系の変化などについてはよく調べられてきました。しかし、脊柱も陸上で体重を支えるのに重要な部位であるにもかかわらず、脊柱に関してはあまり調べられてきませんでした。
 今回、石炭紀から白亜紀前期まで(約3億5900万年前〜約1億100万年前)の分椎類40種以上のの脊椎が調べられました。調べられた種の体長は50cmから6m、そして棲息環境は乾燥した高地から海までと、さまざまです。
 この結果、間椎体(脊椎の下半分)の形は、系統ではなく棲息環境によって大きく違っていたらしいということがわかったそうです。間椎体の形は脊椎の柔軟性に関係します。水棲の種ほど柔軟性がなかったらしいということがわかったそうです。
 陸上で動き回るにはしっかりした(柔軟性のない)脊柱が重要だと、これまで考えられてきました。今回の結果は、この考えとは反対のものです。

6/9 ScienceDailyEarly amphibians evolved distinct vertebrae for habitat invasions. PLOS ONE, 16(6), e0251983

2021/6/14

アフリカで最古の植物化石群集が発見されました。

 南アフリカ共和国の約4億1900万年前〜約4億800万年前(古生代デボン紀前期)の地層から、多数の植物化石が発見されました。シルル紀からデボン紀は、アフリカとしては最古の植物化石群集です。
 この群集には15種の植物が確認され、そのうち3種(Krommia parvapilaElandia itshobaMtshaelo kougaensis)は新属新種とのことです。化石の保存状態はよく、完全、またはほぼ完全な化石が多数発見されています。

6/8 University of LiegeAn early Devonian flora from the Baviaanskloof Formation (Table Mountain Group) of South Africa. Scientific Reports, 11(1), 11859

2021/6/14

約1900万年前にサメが大きく減少していたらしいということがわかりました。

 約1900万年前(新生代新第三紀中新世)に、サメの種類、数ともに、大きく減少していたという論文が発表されました。
 これは、深海の堆積物から採集されたサメを含む魚の歯や鱗の化石を調べた結果、わかったとのことです。
 約1900万年前、数では90%以上、そして多様性では70%以上、サメが減少しているというこがわかったそうです。これは、白亜紀末(約6600万年前)での絶滅の倍の絶滅率だそうです。そして、沿岸域に棲む種類よりも遠洋に棲む種類の方が多く絶滅したとのことです。
 約1900万年前のサメの絶滅につながるような気候や環境の変化は知られていません。絶滅の原因については不明とのことです。

6/3 Yale UniversityAn early Miocene extinction in pelagic sharks. Science, 372(6546), 1105-1107

2021/6/7

南極大陸から三畳紀前期の両生類の化石が発見されました。

 南極大陸の中生代三畳紀前期(約2億5200万年前〜約2億4700万年前)の地層から、両生類の化石が発見されました。発見されたのは、分椎類DissorophoideaのMicropholis stowiです。
 これまで、M. stowiの化石は南アフリカ共和国の三畳紀前期の地層からしか産出していませんでした。南アフリカ共和国以外からは初の産出になります。
 M. stowiが属するDissorophoideaは75種が知られていますが、そのほとんどが古生代石炭紀後期からペルム紀の初めごろ(約3億2300万年前〜約2億7300万年前)のものです。そして中生代で確実にDissorophoideaといえるのは、M. stowiだけです。
 このことから、M. stowiは古生代に繁栄したDissorophoideaの生き残りと考えられています。また、三畳紀当時、南アフリカ共和国も南極大陸も高緯度にあったことから、高緯度地域が分椎類がペルム紀末の大量絶滅を生き残ることができた数少ない場所の1つだったと、研究者は考えています。

3/21 University of WashingtonFirst record of the amphibamiform Micropholis stowi from the lower Fremouw Formation (Lower Triassic) of Antarctica. Journal of Vertebrate Paleontology, e1904251

2021/5/23

陸上植物の多様化が石炭紀初期の寒冷化を引き起こしたらしいということがわかりました。

 古生代石炭紀初期(約3億5900万年前〜約3億4700万年前)、地球の気候はそれまでの温暖な気候から寒冷な気候へと一気に変化しました。これは炭素が固定されて大気中の二酸化炭素濃度が減少したことで起こったと考えられています。しかし炭素の固定を引き起こした原因についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 この原因として考えられている説の1つが、陸上植物が増えたということです。今回、中国南部とベトナムの石炭紀初期の地層と化石の炭素、酸素、ストロンチウムの同位体比が分析され、気候、炭素循環、海水の化学組成の変化が陸上植物の多様化とどのように関係しているのかが調べられました。
 この結果、気候の寒冷化、炭素循環の大きな変化、風化の増加が、陸上植物の多様化と同時に起こったらしいということがわかったそうです。石炭紀初期、陸上植物は種類を増やし、低緯度地域から高緯度地域、そして湿潤な地域から乾燥した地域へと生息域を広げたと考えられています。陸上植物は根を地中深くに伸ばすことによって風化を促進します。そして風化によって、栄養分であるケイ酸塩が海に大量に流れ込み、海の一次生産量が増加し、光合成によって炭素を固定することで大気中の二酸化炭素濃度が減少し、気候が寒冷化したと、研究者は考えています。

Was climatic cooling during the earliest Carboniferous driven by expansion of seed plants? Earth and Planetary Science Letters, 565, 116953

2021/5/23

三葉虫の外肢が呼吸に使われていたらしいということがわかりました。

 古生代(約5億4100万年前〜約2億5200万年前)に生きていた三葉虫の付属肢は、2つに枝分かれした構造をしています。繊維状の構造をもつ上側の肢(外肢)と、歩行などに使われていた下側の肢(内肢)です。外肢の役割については、繊維状の構造は鰓で、呼吸に使われていたという説がある一方、現生の枝分かれした肢をもつ節足動物の外肢には呼吸の役割はないことから、呼吸に使われていなかったという説もあり、よくわかっていませんでした。
 今回、付属肢の化石が発見されている三葉虫2種、カンブリア紀(約5億4100万年前〜約4億8500万年前)のOlenoides serratusと、オルドビス紀(約4億8500万年前〜約4億4400万年前)のTriarthrus eatoniの付属肢がCTスキャンにかけられて、その構造が調べられました。この結果、外肢の構造は、現生の甲殻類の鰓の構造によく似ていることがわかったそうです。このことから、三葉虫の外肢は呼吸に使われていたと、研究者は考えています。

3/31 University of California - RiversideThe trilobite upper limb branch is a well-developed gill. Science Advances, 7(14), eabe7377

2021/4/4

イタチザメの現生種がこれまで考えられていたよりも早く出現していたらしいということがわかりました。

 イタチザメ(Galeocerdo)は、最大で全長5.5mにもなる、現生で最大級の肉食のサメです。その最古の化石は約5600万年前〜約4780万年前(新生代古第三紀始新世初期)の地層から発見されており、現生種1種、化石種22種が知られています。しかしサメの骨は軟骨のため、骨の化石が発見されることはめったにありません。サメの化石で発見されるのは、ほとんどが歯の化石です。イタチザメの種も歯の化石をもとに分けられていますが、その中には有効性が疑われる種がいくつもあります。
 今回、イタチザメの現生種と化石種の歯の形が、幾何学的形態測定法を用いて定量的に調べられました。この結果、化石種22種のうち、有効なのは5種だけだということがわかったそうです。また、現生種(G. cuvier)は、約530万年前(新生代新第三紀中新世と鮮新世の境界あたり)に出現したとこれまで考えられてきましたが、約1380万年前(中新世の中ごろ)の地層から発見された歯が現生種のイタチザメの歯であるらしいということもわかったそうです。現生のイタチザメはこれまで考えられていたよりも800万年以上早く出現していたことになります。

3/24 University of ViennaEvolution, diversity, and disparity of the tiger shark lineage Galeocerdo in deep time. Paleobiology

2021/3/28

最古の頭足類かもしれない化石が発見されました。

 カナダ、ニューファンドランド島の約5億2200万年前(古生代カンブリア紀)の地層から、殻の化石が発見されました。この殻は楕円形でいくつもの部屋に分かれ、縦に管状の構造があるとのことです。この管は、頭足類の殻の部屋をつなぐ連室細管で、今回発見された殻は頭足類の殻である可能性があると、研究者は考えています。
 現在のところ最古の頭足類とされているのは、約4億9400万年前〜約4億9000万年前のPlectronocerasです。もしこの殻が頭足類の殻なら、最古の頭足類の化石になります。

3/23 University of HeidelbergA potential cephalopod from the early Cambrian of eastern Newfoundland, Canada. Communications Biology, 4(1), 388

2021/3/28

翼のような胸ビレをもつサメの化石が発見されました。

 メキシコの約9390万年前〜約8980万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、新属新種のサメの化石が発見されました。Aquilolamna milarcaeと名付けられたこのサメは、全長約1.65mで、細長く伸びた胸ビレをもっているとのことです。胸ビレを広げた時の幅は1.9mにもなるそうです。口が大きく、とても小さな歯が並んでいたと考えられることから、Aquilolamnaはプランクトン食だったと、研究者は考えています。
 現生のプランクトン食の板鰓類は、大きく2つのグループに分けられます。ジンベイザメ、ウバザメ、メガマウスに代表される、大型で紡錘形の体をもつタイプと、マンタとイトマキエイに代表される、平らな体に翼のような胸ビレをもつタイプです。
 Aquilolamnaは、マンタやイトマキエイのようなタイプに位置づけられるとのことです。これまで、このタイプは、中生代以前の地層からは発見されていませんでした。

3/18 CNRSManta-like planktivorous sharks in Late Cretaceous oceans. Science, 371(6535), 1253-1256

2021/3/21

単弓類から哺乳類への背骨の変化が調べられました。

 現生の哺乳類は、走ったり、泳いだり、木に登ったり、飛んだりと、さまざまな動きをします。現生の哺乳類の四肢は、体の真下にまっすぐ伸びています。胴体の後半部を上下に動かして歩いたり走ったりしています。
 一方、哺乳類以外の単弓類の四肢は、現生の爬虫類やサンショウウオのように横に張り出しています。現生の爬虫類やサンショウウオは体を左右に振って歩きます。このため、哺乳類以外の単弓類も同じように体を左右に振って歩いていたと考えられています。単弓類から哺乳類が進化する際、体を左右に振った動きから上下への動きができるように背骨が変化したと考えられています。
 今回、86種の両生類、爬虫類、単弓類、哺乳類の背骨がCTスキャンにかけられて3Dモデルが作られ、どのように動くかが調べられました。この結果、単弓類の背骨は爬虫類とも哺乳類とも異なった形をしていることがわかったそうです。背骨は曲がりにくく、爬虫類のように左右に曲げることはできないという結果が出たとのことです。一方、哺乳類の背骨は、左右に曲げたり、上下に曲げたり、ねじったりと、さまざまな動きができるという結果が出たそうです。
 この結果から、単弓類から哺乳類への背骨の変化は、従来考えられていたような左右から上下という単純なものではなく、もっと複雑な変化だったと、研究者は考えています。

3/15 Harvard UniversityAdaptive landscapes challenge the “lateral-to-sagittal” paradigm for mammalian vertebral evolution. Current Biology

2021/3/19

始新世のハエの腹部に、このハエが食べた花粉が保存されているのが発見されました。

 ドイツの約4750万年前(新生代古第三紀始新世)の湖で堆積した地層から産出したハエの化石の腹部に、このハエが食べた花粉が保存されているのが発見されました。ハエの腹部に入っていたのは、ミソハギ科、ブドウ科、アカテツ科、モクセイ科の花粉とのことです。そしてこの中には、現生属のDecodonParthenocissusの花粉が含まれているだろうとのことです。今回発見された花粉から、このハエは、湖を取り囲んでいた森林の周辺に生えた植物の花粉を食べていたのだろうと、研究者は考えています。
 今回腹部に花粉が発見されたハエは、ネメトリヌス科のHirmoneuraです。現生のネメトリヌス科が花粉を食べることは確認されていません。ネメトリヌス科で花粉食が確認されたのは今回が初めてで、おそらく現生のネメトリヌス科も花粉を食べているだろうと、研究者は考えています。

3/11 University of ViennaThe last meal of an Eocene pollen-feeding fly. Current Biology

2021/3/16

古生代のヤツメウナギ類の幼生は、現生のヤツメウナギ類とは異なった姿をしていたらしいということがわかりました。

 ヤツメウナギ類は、放射状に歯が並んだ吸盤状の口をもつ無顎類です。成体はほかの魚などに寄生して血を吸います。一方、幼生は眼をもたず、口は吸盤状ではなく上唇が発達しています。このような幼生をアンモシーテス幼生といいます。アンモシーテス幼生は川や湖などの淡水の水底に潜り、堆積物を食べます。2〜7年アンモシーテス幼生として過ごして全長15から25cmになると、成体へと変態します。アンモシーテス幼生の姿や生態が脊索動物の頭索動物に似ているため、脊椎動物の祖先はアンモシーテス幼生のような姿をしていたという説がります。しかし近年、ヤツメウナギ類に近縁だとわかったヌタウナギ類がアンモシーテス幼生のような幼生期を経ない、メタスプリッギナやミロクンミンギア類などのカンブリア紀(約5億4100万年前〜約4億8500万年前)の原始的な脊椎動物がアンモシーテス幼生とは異なる姿をしている、ことなどから、この説を支持する証拠は少なくなっています。しかし、これまで、この説をはっきりと否定する証拠は発見されていませんでした。
 今回、古生代のヤツメウナギ類4種の幼生が詳しく調べられました。このうちの1種、南アフリカ共和国の約3億7200万年前〜約3億5900万年前(古生代デボン紀末期)の地層から発見されたPriscomyzon riniensisでは、まだ腹部に卵黄嚢がついた孵化したばかりの幼生、亜成体、成体と、成長段階を連続的に追うことができる化石が発見されています。孵化したばかりの幼生から成体まで、すべての成長段階で、眼と放射状に並んだ歯のある吸盤状の口をもっているそうです。
 アメリカ合衆国イリノイ州の約3億1500万年前〜約3億700万年前(石炭紀後期)の地層メゾンクリークからは、Pipiscius zangerliの卵黄嚢がついた孵化したばかりの幼生と、Mayomyzon pieckoensisの幼生の化石が発見されています。どちらの幼生にも眼と吸盤状の口があるそうです。
  また、モンタナ州の約3億2300万年前〜約3億1500万年前(石炭紀後期の地層)から発見されたHardistiella montanensisの幼生も、アンモシーテス幼生ではないとのことです。
アンモシーテス幼生が確認されている最古のヤツメウナギ類は、中国の白亜紀前期(約1億4500万年前〜約1億100万年前)地層から発見されたMesomyzon mengaeです。今回の結果から、アンモシーテス幼生は、脊椎動物の祖先と同じ姿をしているのではなく、進化の過程で獲得した特殊化だと、研究者は考えています。
 アンモシーテス幼生ではなく、“甲冑魚”が、脊椎動物の祖先に近い形をしているのではないかと、研究者は考えています。

3/10 Canadian Museum of NatureNon-ammocoete larvae of Palaeozoic stem lampreys. Nature

2021/3/14

前裸子植物がペルム紀末まで生きていたらしいということがわかりました。

 Noeggerathialeは、約3億2300万年前〜約2億5200万年前(古生代石炭紀後期〜ペルム紀末)の地層から化石が発見される植物です。形、多様性、分布についてはよくわかっているものの、内部構造が残った化石はこれまで発見されていなかったため、その分類についてはよくわかっていませんでした。
 今回、中国内モンゴル自治区の約2億9800万年前(ペルム紀初期)の火山灰が堆積してできた地層から、内部構造まで保存されたNoeggerathialeの化石が発見されました。今回発見された化石の特徴から、Noeggerathialeは前裸子植物であると、研究者は考えています。
 前裸子植物は、裸子植物に似た茎をもつものの、胞子で増えていた植物です。前裸子植物から種子植物が進化したと考えられています。これまで、前裸子植物は石炭紀の間に絶滅したと考えられていましたが、今回の発見により、ペルム紀末まで生きていたということがわかりました。

3/8 University of BirminghamAncient noeggerathialean reveals the seed plant sister group diversified alongside the primary seed plant radiation. Proceedings of the National Academy of Sciences, 118(11), e2013442118

2021/3/10

コウモリダコ類が漸新世には半深海に棲んでいたらしいということがわかりました。

 現生のコウモリダコ類Vampyroteuthis infernalisは、酸素の少ない水深200mから2000mの半深海に棲んでいます。コウモリダコ類の祖先のもっとも古い化石記録は三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)のもので、最も新しい化石記録は約1億2500万年前〜約1億1300万年前(白亜紀前期)のものです。中生代のコウモリダコ類の祖先は酸素の豊富な大陸棚に棲んでいたと考えられています。化石記録と現生で1億年以上の隔たりがあるため、コウモリダコ類がいつ半深海に棲むようになったかは、これまでわかっていませんでした。
 Necroteuthis hungaricaは、ハンガリーの新生代古第三紀漸新世の化石から発見された頭足類です。今回、Necroteuthisの化石を詳しく調べたところ、Necroteuthisはコウモリダコ類ということがわかったとのことです。Necroteuthisの化石が発見された地層は、酸素の少ない半深海で堆積したものと考えられています。このため、コウモリダコ類は遅くとも漸新世から半深海に棲むようになったと、研究者は考えています。

Fossil evidence for vampire squid inhabiting oxygen-depleted ocean zones since at least the Oligocene. Communications Biology, 4, 216

2021/2/21

最大級のシーラカンスの化石が発見されました。

 モロッコの約6600万年前(中生代白亜紀末期)の海で堆積した地層から、シーラカンスの化石が発見されました。保存されていたのは肺で、その大きさから、全長は3.65mから5.5mの間だったと、研究者は推測しています。現在のところ最大のシーラカンスであるマウソニアの全長は3.8mと推定されています。今回発見されたシーラカンスは、マウソニアに匹敵するか、それ以上の大きさだったことになります。
 また、今回発見されたシーラカンスは、中生代のシーラカンスとして最も新しい時代に生きていたもので、モロッコの海で堆積した地層から発見された最初のシーラカンスでもあります。

2/15 Phys orgA marine Late Cretaceous (Maastrichtian) coelacanth from North Africa. Cretaceous Research, 122

2021/2/16

三葉虫がどれくらい硬いものを食べられるかが調べられました。

 硬い外骨格や殻などをかみ砕いて食べる食性は、古生代以降、さまざまな動物に見られます。節足動物では、硬組織を砕く際、顎だけではなく、付属肢も使われています。例えば、現生のカブトガニは、付属肢の付け根にあるトゲの生えた突起で獲物の殻を砕きます。
 古生代カンブリア紀の節足動物にも、カブトガニと同じような、付け根にトゲの生えた突起のある付属肢をもつ種が多くいます。カナダのバージェス頁岩から化石が産出するシドネイアもその1つで、消化管の内容物、付属肢の付け根に生えたトゲの形状、力学的な分析などから、その食性が検証されています。しかし三葉虫を含めたほかの節足動物については、検証があまりされてきませんでした。
 今回、カンブリア紀の三葉虫2種、バージェス頁岩から産出するオレノイデス(Olenoides serratus)と、オーストリアのエミュー・ベイ頁岩から産出するレドリキア(Redlichia rex)の付属肢の3Dモデルが作られ、どのくらいの圧力に耐えられるかが調べられました。オレノイデスの付属肢は小さく、それぞれの節から細長いトゲが生えています。一方、レドリキアの付属肢は太く、付け根に楔形の突起が並んでいます。
 この結果、オレノイデスの細長いトゲは圧力がかかると折れるという結果が出たそうです。オレノイデスは外骨格や殻を砕くことはできず、やわらかい獲物などを細断して食べていたのだろうと、研究者は考えています。
 一方、レドリキアの付属肢はカブトガニの付属肢よりも強い圧力に耐えることができるという結果が出たそうです。ほかの三葉虫などの硬い殻をもつ生物を食べていたのだろうと、研究者は考えています。

1/30 The New York TimesBiomechanical analyses of Cambrian euarthropod limbs reveal their effectiveness in mastication and durophagy. Proceedings of the Royal Society B 288(1943)

2021/2/7

軟体部が保存されたアンモナイトの化石が発見されました。

 アンモノイド類の殻の化石や顎器の化石は、古生代デボン紀から中生代白亜紀(約4億1900万年前〜約6600万年前)の地層から、多数発見されています。これに対し、軟体部の化石はほとんど発見されていません。今回、約1億5000万年前(中生代ジュラ紀後期)のドイツの化石産地ゾルンホーフェンから、軟体部が保存されたアンモナイトの化石が発見されました。
 軟体部は殻から外れた状態で化石化しており、消化管、生殖器、漏斗などが保存されているそうです。魚またはほかの頭足類などの捕食者が殻から軟体部を引き抜いたものの、その後食べられずに海底に落ちて化石になったものと、研究者は考えています。
 生殖器には、精包と思われる痕跡が残っているそうです。このことから、このアンモナイトは雄だったと、研究者は考えています。今回、軟体部と一緒に化石化していたアンモナイトは、Subplanitesという属です。アンモナイトには、殻の大小で性的二型があると考えられている種類があります。この場合、小さい方(ミクロコンク)が雄と考えられていますが、軟体部と一緒に保存された化石が見つかっていないため、それが正しいかどうかわかっていませんでした。Subplanitesは、Euvirgalithacocerasと性的二型の関係にあり、ミクロコンクの方であるとも考えられています。今回の発見により、ミクロコンクが雄であるという説が支持されると、研究者は考えています。

Failed prey or peculiar necrolysis? Isolated ammonite soft body from the Late Jurassic of Eichstätt (Germany) with complete digestive tract and male reproductive organs. Swiss Journal of Palaeontology, 140, 3

2021/1/24

北海道から、新種の異常巻きアンモナイトが発見されました。

 北海道の約8980万年前〜約8630万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、新種の異常巻きアンモナイトの化石が発見されました。発見されたのは、巻貝のように巻いた殻をもつエゾセラス属の新種で、Yezoceras elegansと名付けられました。
 エゾセラス属は、今回報告されたY. elegansを含めて3種が知られています。すべて、北海道の約8980万年前〜約8630万年前の地層から産出しています。このことから、エゾセラス属は当時の北西太平洋地域だけに棲息し、短い期間で種分化していたのだろうと、研究者は考えています。

1/13 三笠市立博物館A new species of Yezoceras (Ammonoidea, Nostoceratidae) from the Coniacian in the northwestern Pacific realm. Paleontological Research, 25(1), 1-10

2021/1/24

ジュラ紀のヒボダス類の全身骨格の化石が発見されました。

 ヒボダス類は約3億6100万年前(古生代デボン紀末期)に出現し、中生代白亜紀末に絶滅した軟骨魚類です。中生代、特に三畳紀からジュラ紀(約2億5200万年前〜約1億4500万年前)に繁栄しました。がっしりした体つきで、前縁にトゲがある2つの背ビレをもっていました。見つかっている化石のほとんどはバラバラになったトゲまたは歯で、全体の形がわかる化石はほとんど発見されていません。
 Asteracanthusは、中生代のヒボダス類の中でもっとも繁栄した属の1つです。その化石は、世界中の三畳紀中期から白亜紀後期(約2億4700万年前〜約6600万年前)の地層から発見されています。1837年にジュラ紀後期の地層から発見されたトゲの化石をもとに記載されました。1888年に、Asteracanthusのトゲの化石と同じ場所から噛み砕き型の歯の化石が発見されたことから、Asteracanthusは噛み砕き型の歯をもっていたと、一般に考えられています。しかし、同一個体の骨格にトゲと歯が一緒に保存された化石は、これまで発見されていませんでした。
 今回、ドイツの約1億5000万年前(ジュラ紀後期)の化石産地ゾルンホーフェンから、頭部から尾ひれまでほぼ全身が保存されたAsteracanthusの化石が発見されました。顎には歯も保存されていましたが、その歯はこれまでAsteracanthusの歯と考えられてきた噛み砕き型の歯ではなく、咬頭(とんがり)がいくつも並んだ全く違った形の歯だったそうです。Asteracanthusは、さまざまな種類の獲物を食べる捕食者だったと、研究者は考えています。
 これまでAsteracanthusの歯と考えられてきた噛み砕き型の歯は、Strophodusというヒボダス類の歯と、研究者は考えています。Strophodusは歯の化石をもとに1838年に報告されたものの、1889年にAsteracanthusと同属とされた属です。

1/14 University of ViennaA unique hybodontiform skeleton provides novel insights into Mesozoic chondrichthyan life. Papers in Palaeontology, 2021, 1-27

2021/1/17

メガロドンが巨大な赤ちゃんを産んでいたらしいということがわかりました。

 メガロドンは、約2300万年前〜約360万年前(新生代新第三紀中新世〜鮮新世)に生きていた巨大ザメです。その全長は、14.1m〜15.3mと推定されています。歯の化石は世界中から発見されていますが、体の化石は発見されていないため、生殖や成長などの生態についてはよくわかっていません。
 体の化石は発見されていないものの、メガロドンのものと思われる巨大な脊椎の化石は発見されています。今回、ベルギーから発見された、メガロドンのものと思われる脊椎の化石の成長線(年輪のようなもの)が、CTスキャンによって調べられました。その脊椎の長径は15.5cm、ホホジロザメと比較した結果、この脊椎のもち主のメガロドンの全長は9.2mと推定されています。
 この結果、成長線は46本確認され、このメガロドンの死亡時の年齢は46歳だったらしいということがわかったそうです。また、それぞれの成長線が形成されたときの全長を計算したところ、生まれた時の全長は2mという結果が出たそうです。
 このことから、メガロドンはサイズの大きな赤ちゃんを産んでいたと、研究者は考えています。また、胎児は母親の胎内で、まだ孵化していない卵を食べていたとも、推測しています。また、メガロドンには急激な成長期はなく、平均年16cmの速度で成長していたらしいということもわかったそうです。

1/11 Taylor & Francis GroupOntogenetic growth pattern of the extinct megatooth shark Otodus megalodon -implications for its reproductive biology, development, and life expectancy. Historical Biology

2021/1/17

白亜紀末に南半球で植物が大量に絶滅したらしいということがわかりました。

 約6600万年前、地球に隕石が衝突し、恐竜を含む多くの動物が絶滅しました。この時、植物も大ダメージを受けました。花粉と胞子の化石から、南半球では北半球ほど植物は絶滅せず、回復も早かったと考えられています。しかし、植物本体の化石をもとに南半球でどのくらいの植物が絶滅したかはこれまで調べられてきませんでいた。
 今回、アルゼンチンの2地点から約7210万年前〜約6600万年前(中生代白亜紀末期)と約6600万年前〜約6160万年前(新生代古第三紀暁新世初期)の植物化石3500点以上が採集され、どのくらいの種が白亜紀末の大量絶滅を生き残ったかが調べられました。この結果、92%の種が絶滅したらしいということがわかったそうです。一方、花粉や胞子の化石を調べた結果、科のレベルでは80%が生き残ったという結果が出たそうです。
 また、外形、サイズ、葉脈のパターンなどの葉の形の多様性が白亜紀と暁新世でどのように変化したかも調べられました。この結果、暁新世の葉の形の多様性は高かったらしいということがわかったそうです。また、寒い環境で典型的にみられる形の葉の割合が高いという結果も出たそうです。これは、隕石衝突後、気候が寒冷化したことを示唆します。
 今回の結果から、白亜紀末に南半球の植物は種のレベルで多く絶滅したものの科のレベルでは多く生き残り、暁新世の間に多様性が増加したと研究者は考えています。

1/11 Penn StateCretaceous-Paleogene plant extinction and recovery in Patagonia. Paleobiology, 46(4): 445-469

2021/1/11

約1億年前の新属新種の花の化石が発見されました。

 ミャンマーの約1億年前(中生代白亜紀前期)の琥珀の中から新属新種の花の化石が発見され、Valviloculus pleristaminisと名付けられました。
 Valviloculusは直径2mmほどの小さな雄花で、6枚の花弁と、らせん状に並んだ約50本の雄しべがあるそうです。クスノキ目に属するのではないかと研究者は考えています。

2020/12/21 Oregon State UniversityValviloculus pleristaminis gen. et sp. nov., a Lauralean fossil flower with valvate anthers from mid-Cretaceous Myanmar amber. Journal of the Botanical Research Institute of Texas, 14(2): 359-366

2021/1/3

アノマロカリスが種によって異なった構造の眼をもっていたらしいということがわかりました。

 ラディオドンタ類(アノマロカリスの仲間)は、カンブリア紀からデボン紀(約5億4100万年前〜約3億5900万年前)までいた無脊椎動物です。カンブリア紀の海で最大級のサイズで、軸の先についた眼をもち、頭部の前にはトゲの生えた大付属肢があり、頭部の腹側に放射状に並んだプレートで構成された口器をもつ、生態系の上位に位置する捕食者だったという、単一的なイメージで長い間一般化されてきました。しかし近年の研究で、10cm未満のサイズのものがいたり、プランクトン食のものがいたりと、その形態と生態は多様だったことがわかってきました。
 ラディオドンタ類の形態と生態について様々なことがわかってきている一方、眼についてはあまりよくわかっていません。2011年に初めて、レンズが残ったアノマロカリスの眼の化石が報告されました。この化石はオーストラリアのカンガルー島で発見されたものです。
 今回、カンガルー島から新たにアノマロカリスの眼の化石が発見されました。今回の発見により、2011年に報告されたものの、どの動物のものかわからなかった眼の化石がアノマロカリス('Anomalocaris' briggsi)の眼であることがわかったそうです。'Anomalocaris' briggsiの眼のレンズの数は13000個以上と推測されています。レンズは最大で直径335μmのサイズがあり、中心部ほど大きく、縁辺部ほど小さい(ただし、背中側の縁辺部のレンズは大きい)ということもわかったそうです。さらに、'Anomalocaris' briggsiの眼はほかのラディオドンタ類とは異なり、軸の先についていたのではなく、頭部に直接ついていて動かせなかったとのことです。
 'Anomalocaris' briggsiの眼は、現生のクラゲノミ類の眼によく似ているそうです。クラゲノミ類は水深1000m以上の深海に棲み、プランクトンを食べます。複眼のレンズは大きいほど光を感知しやすくなります。背中側に大きいレンズがあることにより、光が限られた深海で、上にいるプランクトンが落とす影を感知しやすくなります。'Anomalocaris' briggsiは、薄暗い水深の場所や薄暗い時間帯にプランクトンを食べていたのではないかと、研究者は考えています。
 カンガルー島からは、Anomalocaris aff. canadensisのものと思われる眼の化石も発見されています。A. aff. canadensisのレンズの数は24000個以上と推測されています。レンズの数が大きいほど解像度が高く、速く動く獲物を捉えやすくなります。A. aff. canadensisは、明るい場所で大きい獲物を狩っていたと、研究者は考えています。

12/3 University of AdelaideDisparate compound eyes of Cambrian radiodonts reveal their developmental growth mode and diverse visual ecology. Science Advances, 6(49), eabc6721

2020/12/6

初期の軟骨魚類の顎が変わった動きをしていたらしいということがわかりました。

 モロッコの約3億7000万年前(古生代デボン紀後期)の地層から新属新種の軟骨魚類の化石が発見され、Ferromirum oukherbouchiと名付けられました。Ferromirumはクラドセラケなどが含まれるsymmoriiformに属します。
 発見された化石はCTスキャンにかけられました。この結果、下顎の左右の骨は癒合しておらず、分かれていることがわかったそうです。口を開け閉めした時の顎の動きが復元された結果、口を開ける時に下顎の左右の骨は外側に向かって回転し、口を閉じるときには内側に向かって回転することがわかったそうです。
 Ferromirumの下顎の内側から外側に向かって、歯が列になって並んでいたと考えられています。内側には摩耗していない大きく鋭い歯が生え、外側に行くにつれて歯は摩耗して小さくなっていきます。下顎の回転によって、内側の摩耗していない歯は口を開けた時には垂直に立ち、口を閉じるときには内側に戻っていくとのことです。この歯の動きによって、摩耗していない鋭い歯で獲物を容易に刺すことができ、歯で刺された獲物は口を閉じるときに口の奥の方へ自動的に運ばれただろうと、研究者は考えています。
 Ferromirumと同じような構造の顎をもった初期の軟骨魚類は何種類もいます。Ferromirumのような獲物のとり方は、初期の軟骨魚類で広く採用されていたのではないかと、研究者は考えています。

11/18 University of ZurichA symmoriiform from the Late Devonian of Morocco demonstrates a derived jaw function in ancient chondrichthyans. Communications Biology, 3(1), 681

2020/11/23

グリーンランドから、先カンブリア時代の胚の化石が発見されました。

 先カンブリア時代エディアカラ紀(約6億3500万年前〜約5億410万年前)は、生物の進化で大きな変化があった時代です。それまで顕微鏡でしか見られないサイズの生物ばかりだったのが、肉眼で見えるサイズの生物が出現しました。当時の生物の化石は世界中で発見されています。しかし生物の体そのものではなく生物の体の跡が地層に残った印象化石がほとんどのため、当時生きていた生物が動物だったのかどうかについては議論があります。
 今回の地層から、多細胞生物の卵や胚と思われる化石が発見されました。この化石はとても保存状態がよく、細胞や細胞内の構造まで確認できるそうです。
 卵や胚と思われる化石は、中国南部の約6億年前の地層からも発見されています。エディアカラ紀には、グリーンランドは南半球の中緯度、中国南部は北半球の中緯度にあったと考えられています。当時離れた場所にあった2つの地域から卵や胚と思われる化石が発見されたことで、後に動物に進化する多細胞生物がエディアカラ紀に地球上の広い範囲にいたのではないかと、研究者は考えています。

11/9 Uppsala UniversityEdiacaran Doushantuo-type biota discovered in Laurentia. Communications Biology, 3(1)

2020/11/16

ラディオドンタ類と節足動物の両方の特徴をもつ動物の化石が発見されました。

 節足動物の初期の進化は、動物の進化の中でも大きな注目をされています。アノマロカリスを含むラディオドンタ類は、節足動物の祖先に近いと考えられています。しかし、ラディオドンタ類と節足動物の形は大きく異なるため、その関係には議論があります。
 今回、中国雲南省の約5億1800万年前(古生代カンブリア紀前期)の地層から、新属新種の動物の化石が発見され、Kylinxia zhangiと名付けられました。Kylinxiaは癒合した頭盾をもち、体は節に分かれ、関節した肢をもち、頭部から前にはアノマロカリス類の大付属肢に似た付属肢が出て、オパビニアのような5つの眼をもっています。
 節足動物の特徴と、より原始的なラディオドンタ類などと同じような特徴の両方をもつことから、Kylinxiaはラディオドンタ類と節足動物の中間に位置する動物だと、研究者は考えています。

11/6 Sci NewsAn early Cambrian euarthropod with radiodont-like raptorial appendages. Nature

2020/11/8

カメレオンのような生態の両生類がいたらしいということがわかりました。

 アルバネルぺトン類は、北米、ヨーロッパ、アジア、モロッコの約1億6500万年前から約200万年前(中生代ジュラ紀中期から新生代第四紀更新世前期)の地層から化石が見つかる両生類です。鱗や爪といった、爬虫類のような特徴をもっています。その生態やほかの両生類との関係についてはよくわかっていません。
 今回、ミャンマーの約9900万年前(中生代白亜紀後期)の琥珀から発見され、かつては初期のカメレオンと考えられた動物の化石が新属新種のアルバネルぺトン類とわかり、Yaksha perettiiと名付けられました。
 今回新たに発見された琥珀がCTスキャンにかけられたところ、Yakshaの頭骨が3次元的に残り、舌や顎の筋肉、まぶたなどの軟体部まで保存されていることがわかったそうです。舌の骨や筋肉の構造から、Yakshaはカメレオンのように舌を高速で飛び出させることができたと、研究者は考えています。木の上や周りで獲物を待ち伏せし、舌を勢いよく飛び出させて捕まえていたのだろうとのことです。

11/5 Florida Museum of Natural HistoryEnigmatic amphibians in mid-Cretaceous amber were chameleon-like ballistic feeders. Science

2020/11/7

ウミサソリの鰓が、空気呼吸ができる構造をしていたらしいということがわかりました。

 鋏角類は、生命史上、最初期に陸上に進出した動物と考えられています。ウミサソリは水棲の鋏角類ですが、陸上で堆積した地層から足跡の化石が発見されています。しかし足跡の化石からだけでは、ウミサソリが本当に陸上を歩くことができたたのか、そして空気呼吸をすることができたのかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、フランスの約3億4000万年前(古生代石炭紀前期)の地層から発見されたウミサソリ、アデロフタルムスの化石がCTで調べられ、鰓の構造が3次元的に分析されました。この結果、このアデロフタルムスの鰓が空気呼吸ができたと思われる構造をしていることがわかったそうです。
 今回の発見から、鋏角類の祖先は半陸棲だったのではないかと、研究者は考えています。

9/10 West Virginia UniversityAir Breathing in an Exceptionally Preserved 340-Million-Year-Old Sea Scorpion. Current Biology

2020/9/13

腸鰓類と翼鰓類の両方の特徴をもつ半索動物の化石が発見されました。

 カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州に分布する約5億600万年前(古生代カンブリア紀中期)の地層から、新属新種の半策動物の化石が発見され、Gyaltsenglossus senisと名付けられました。半索動物には、腸鰓類と翼鰓類の2つのグループが含まれます。腸鰓類は海底の泥の中に棲んでいる、細長い体と体の先端に吻部をもつ動物です。一方、翼鰓類は、管状の構造の中に小さい個体が入った群体を形成し、細かい枝分かれした触手を使ってプランクトンを食べています。同じ半索動物ではあるものの、あまりに異なった姿をしているため、この2つのグループの起源がどのような関係にあるかはこれまでわかっていませんでした。
 今回発見されたGyaltsenglossusは、長さ2cmで、体の後方には、移動と体の固定に使われていたと思われるふくらみがあり、体の前方には楕円形の吻部と細かく枝分かれした触手をもっているそうです。腸鰓類と翼鰓類の共通祖先に近い存在であると、研究者は考えています。
 Gyaltsenglossus
は、現生の翼鰓類のように、吻部を使って海底の泥を食べることもできれば、現生の翼鰓類のように触手を使って海水中を漂っている粒子を食べることもできたと考えられています。

Royal Ontario MuseumCambrian Tentaculate Worms and the Origin of the Hemichordate Body Plan. Current Biology

2020/9/6

“地獄のアリ”が、獲物を捕まえている状態の化石が発見されました。

 ミャンマーの約9900万年前(中生代白亜紀後期)の琥珀に、hell antがゴキブリの幼虫を襲った状態のまま保存されているのが発見されました。hell antの化石は、ミャンマー、フランス、カナ仇の約1億年前から約7800万年前の琥珀から発見されています。鎌のような大きな下顎と、角をもっています。
 今回発見されたのは、Ceratomyrmex ellenbergeriというhell antで、下顎と角で、ゴキブリの幼虫の頭部を挟み込んでいます。これまで、hell antは下顎を上下に動かしていたのだろうと考えられてきました。今回初めて、その証拠が発見されました。

8/6 Live Science NewsSpecialized Predation Drives Aberrant Morphological Integration and Diversity in the Earliest Ants. Current Biology

2020/8/11

ジュラ紀の、幹にくっついて海面を漂うというウミユリの生活様式が調べられました。

 中生代(約2億5200万年前〜約6600万年前)の地層からは、木の幹にくっついた状態のウミユリの化石が見つかります。このウミユリは、生きていた時は海面に浮かんでいた幹にくっついて海を漂っていたと、一般的に考えられています。しかし、この説がこれまで定量的に検証されたことはなく、海底に沈んだ幹にくっついていただけという説も唱えられています。
 今回、ドイツのホルツマーデンから産出した、ジュラ紀の幹にくっついた状態のウミユリの群集化石6点について、ウミユリの分布が定量的に調べられ、シミュレーションによって海面に浮いていた期間が計算されました。
 この結果、幹が最も大きい標本では、ウミユリは幹の片方の端に多く、もう片方の端には少ないということがわかったそうです。このような分布の偏りは、底生の群集には見られず、現生のフナムシに見られるそうです。フナムシの場合、水流が弱くなる船尾に多く分布する傾向があるそうです。ウミユリも、浮いた幹の、水の抵抗が少ない端に多くくっついていたのではないかと、研究者は考えています。
 また、最も大きい幹は、最短で2年、最長で20年浮いていたという結果が出たそうです。幹にくっついている化石の状態から、20年近く浮いていた可能性があるのではないかと、研究者は考えています。

Reconstructing the ecology of a Jurassic pseudoplanktonic raft colony. Royal Society Open Science, 7

2020/7/25

白亜紀末の大量絶滅後、海の底生生物が急速に回復したらしいということがわかりました。

 約6600万年前の中生代白亜紀末、メキシコのユカタン半島の近くに隕石が衝突し、大量絶滅が起こりました。白亜紀末の大量絶滅と、大量絶滅からの生態系の回復に関する研究はこれまで多くなされてきましたが、海底の堆積物の上や中に棲んでいた生物の変化については、これまでよくわかっていませんでした。
 今回、チチュルブクレーターの海洋底が掘削され、隕石衝突時から隕石衝突後にかけての生痕化石の変化が調べられました。生痕化石を調べることによって、海底に棲んでいた生物が大量絶滅からどのように回復したかを推測することができます。これまでの研究で、隕石衝突の数年後には底生生物の回復が始まっていたらしいということがわかっています。今回の研究で、隕石衝突の約70万年後には、底生生物が完全に回復したらしいということがわかったそうです。
 ペルム紀末には、史上最大の大量絶滅が起こりました。大量絶滅からの回復の仕方には、ペルム紀末の大量絶滅後と白亜紀末の大量絶滅後で似たパターンが見られそうです。しかしそのスピードは、白亜紀末の大量絶滅からの回復の方が圧倒的に速かったことになります。ペルム紀末の大量絶滅後に生態系が回復し始めるのは、大量絶滅が起こってから数万年後で、生態系が完全に回復したのは、大量絶滅後から数百万年後と考えられています。

7/14 Geological Society of AmericaRapid macrobenthic diversification and stabilization after the end-Cretaceous mass extinction event. Geology

2020/7/19

歯の起源が調べられました。

 現生の脊椎動物の多くは歯をもちます。しかし、その並び方や生えかわり方には、種類によって違いが見られます。歯の起源は、4億年以上前にまでさかのぼります。これまで、歯の起源を調べるにあたって、約4億3000万年前から約3億6000万年前(古生代シルル紀〜デボン紀)に生きていた板皮類節頸類に注目されてきました。しかし節頸類の歯の位置や歯が形成される順番などは軟骨魚類や硬骨魚類と大きく異なるため、歯の起源はよくわかっていませんでした。
 今回、節頸類よりもより原始的な板皮類であるacanthothoracidの3属(RadotinaKosoraspisTlamaspis)の化石がCTスキャンにかけられ、顎の構造が3次元的に復元されました。
 この結果、板皮類と同じようにacanthothoracidの歯は顎の骨にくっついており、抜けることはなかったらしいということがわかったそうです。一方、歯が顎の内側に位置する節頸類と違って、acanthothoracidの歯は軟骨魚類や硬骨魚類、四足動物と同じように顎の縁に位置し、また、歯は顎の内側に、古い歯は顎の外側に位置しているらしいということもわかったそうです。
 acanthothoracidは顎口類として節頸類よりも原始的であるにもかかわらず、歯には節頸類よりも進化的な特徴が確認されました。軟骨魚類や硬骨魚類、四足動物のの歯の起源はacanthothoracidにあると、研究者は考えています。

7/9 European Synchrotron Radiation FacilityMarginal dentition and multiple dermal jawbones as the ancestral condition of jawed vertebrates. Science

2020/7/19

南極から、白亜紀の巨大な卵化石が発見されました。

 2011年に、南極大陸の約6800万年前(中生代白亜紀後期)の地層から発見された化石が、卵の化石であることがわかりました。この卵化石は、28cm×18cmの大きさだそうです。このサイズは、卵としては、エピオルニスの卵に次ぐサイズとのことです。また、この卵化石はつぶれてしわができており、殻の構造は、殻が軟らかいヘビやトカゲの殻と似ているそうです。このため、この卵の殻はやわらかかったと、研究者は考えています。
 259種の現生の爬虫類の体サイズのデータと比較した結果、この卵を産んだ爬虫類の頭胴長は7m以上あったと推測されています。モササウルス類のような海棲爬虫類がこの卵を産んだのではないかと、研究者は考えています。
 現在、魚竜類、クビナガリュウ類、モササウルス類の海棲爬虫類は、全て胎生だったと考えられています。

6/17 University of Texas at AustinA giant soft-shelled egg from the Late Cretaceous of Antarctica. Nature

2020/6/20

植物食の脊椎動物が、植物の多様性に影響を与えてきたらしいということがわかりました。

 石炭紀に、植物食の脊椎動物が出現したと考えられています。これによって、動物の生態は多様化し、同時に植物の進化にも大きな影響を与えたと考えられています。
 今回、石炭紀から三畳紀前期(約3億5900万年前〜約2億4700万年前)にかけての植物の種の多様性と、植物食の脊椎動物の種の多様性、そして植物食の脊椎動物の体サイズの変化が調べられました。
 この結果、石炭紀とペルム紀の境界で、植物食の脊椎動物は多様化し、体サイズも大きくなったらしいということがわかったそうです。一方、植物の多様性は、石炭紀とペルム紀の境界で減少し、ペルム紀の間、低いままだったとのことです。植物の多様性と植物食の脊椎動物の多様性には負の相関がみられ、逆に、植物の多様性と最小の植物食の脊椎動物の体サイズの間には正の相関が見られるそうです。このような相関関係は、現在の生態系でも見られます。
 この結果から、古生代後半から、植物食の脊椎動物が植物相に影響を与えてきたと、研究者は考えています。

The origin of tetrapod herbivory: effects on local plant diversity. Proceedings of the Royal Society B, 287, 20200124

2020/6/14

新たなフクシアンフイア類が報告されました。

 中国雲南省澄江からは、約5億2100万年前〜約5億1400万年前(古生代カンブリア紀)の動物化石が、硬組織をもたない動物も含めて、多く産出しています。これらの動物たちは、澄江動物群とよばれています。
 澄江動物群の中に、発見から20年以上、分類がはっきりしない節足動物Jianshaniaがいます。今回、Jianshaniaの化石がCTを使って詳しく調べられました。
 この結果、これまでJianshaniaとされてきた化石の中に、別属の化石が含まれていることがわかったそうです。この動物は新属新種とされ、Xiaocaris luoiと名付けられました。Xiaocarisは、頭部を台形のような形をした頭盾で覆われ、頭部の前の方に有柄の眼がつき、体は15の節で構成され、尾部には対になったヒレのようなものがあるとのことです。そして、1つの節から、2対以上の肢が生えています。Xiaocarisは、フクシアンフイア類であると、研究者は考えています。

Computed tomography sheds new light on the affinities of the enigmatic euarthropod Jianshania furcatus from the early Cambrian Chengjiang biota. BMC Evolutionary Biology, 20, 62 (2020)

2020/6/14

ホホジロザメの、地質時代の成育場が初めて発見されました。

 サメの中には、幼体が集まって、大きな捕食者が入ってこられない安全で栄養豊富な場所(成育場)で成長するものがいます。ホホジロザメも、そのような成育場で成長するサメのひとつです。現在の海では、アメリカ合衆国のカリフォルニア州沿岸や、オーストラリアのニューサウスウェールズ州沿岸、ビクトリア州沿岸などにあります。しかし、ホホジロザメの地質時代の成育場はこれまで発見されていませんでした。
 今回、チリのコキンボとカルデラ、ペルーのピスコに分布する新生代新第三紀鮮新世(約533万年前〜約258万年前)の地層から産出したホホジロザメの歯の化石のサイズが調べられ、そこから、それぞれの場所に棲息していたホホジロザメのサイズ(年齢)が推定されました。
 この結果、コキンボでは幼体の割合が最も高く、成体はいなかったらしいということがわかったそうです。コキンボは、鮮新世当時、ホホジロザメの成育場だったと、研究者は考えています。

5/22 University of ViennaFirst evidence of a palaeo-nursery area of the great white shark. Scientific Reports, 10(1)

2020/5/23

ティタニクチスがプランクトン食だった可能性が高いということがわかりました。

 ティタニクチスは、古生代デボン紀(約4億1900万年前〜約3億5900万年前)の板皮類です。正確なサイズはわかっていませんが、全長5m以上だったと推定されています。長さ1m以上の下顎には、ダンクルオステウスにあるような、歯のような形をした骨の板はありません。このため、ティタニクチスはゆっくり泳ぎながら口を大きく開けてプランクトンを食べていたと考えられています。しかし、“歯”がないこと以外、ティタニクチスがプランクトン食であることを示す証拠が発見されていないため、ティタニクチスが本当にプランクトン食だったかどうかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、Finite Element Analysisという手法を用いて、ティタニクチスの下顎の強度が調べられ、板皮類2種、現生サメ類3種、現生クジラ類2種と比較されました。この結果、ティタニクチスの下顎はほかの板皮類に比べて強度が弱く、壊れやすいということがわかったそうです。プランクトン食のサメ類とクジラ類についても、ほかの種よりも顎の強度が弱いという結果が出たそうです。このこのから、ティタニクチスはプランクトン食だった可能性が高いと、研究者は考えています。

5/20 University of BristolWas the Devonian placoderm Titanichthys a suspension feeder? Royal Society Open Science, 7(5), 200272

2020/5/23

ベレムナイトが魚を食べている途中の化石が発見されました。

 イングランド南部の約1億9900万年前〜約1億9100万年前(中生代ジュラ紀前期)の地層から、19世紀に発見された化石が、ベレムナイト(Clarkeiteuthis montefiorei)が魚(Dorsetichthys bechei)を捕食している状態を保ったまま化石化したものらしいということがわかりました。
 ベレムナイトの腕のかぎ爪が魚の体を取り囲み、顎が魚の頭部をかみ砕いているそうです。このため、化石化の過程でこの状態になったのではなく、ベレムナイトが魚を捕食している状態で死んで化石になったものだと、研究者は考えています。ベレムナイトが捕食途中で化石になった標本としては、最古のものだそうです。

5/6 University of Plymouth

2020/5/10

プティコダスの生活史がわかりました。

 軟骨魚類の化石記録のほとんどは、歯化石です。これは骨格が軟骨で構成されていることと、歯が常に生えかわっていることが理由です。歯化石からは、その歯のもち主の分類はわかりますが、生活史については限られた情報しか得られません。一方、石灰化した脊椎の化石からはそのもち主の年齢や生態などを推定することができます。
 今回、スペインの約8630万年前〜約8360万年前(中生代白亜紀後期)の地層から産出したサメ類の脊椎の化石が報告されました。この脊椎化石は、特徴的な石灰化の仕方から、プティコダスの脊椎と考えられています。プティコダス類は、白亜紀に繁栄したサメ類です。二枚貝やアンモナイトなどの硬い殻をかみ砕くのに適した、低く盛り上がった歯をもっていました。
 今回発見された脊椎化石の年輪を調べた結果、この脊椎のもち主だったプティコダスは、全長4〜7m、年齢は約30歳だったと推定されています。年輪の間隔から、成長速度は遅かったと考えられています。
 サメ類は性成熟を迎える(繁殖が可能な年齢になる)までは速く成長し、性成熟を迎えた後は成長速度が遅くなります。しかし、今回発見された脊椎化石からは、そのような成長の鈍化は見られないそうです。このことから、このプティコダスはさらに大きくなった可能性があり、そして30歳という年齢にもかかわらず、まだ性成熟を迎えていなかったと、研究者は考えています。
 大きなサイズ、遅い成長速度、遅い性成熟は、K戦略という、大きく成長した赤ちゃんを少数産むという繁殖方法をとる種に典型的にみられる特徴です。このことから、プティコダスは胎生だったろうと、研究者は考えています。

4/23 University of ViennaArticulated remains of the extinct shark Ptychodus (Elasmobranchii, Ptychodontidae) from the Upper Cretaceous of Spain provide insights into gigantism, growth rate and life history of ptychodontid sharks. PLOS ONE, 15(4), e0231544

2020/4/25

ペルム紀末、海よりも陸上で先に絶滅が始まったらしいということがわかりました。

 古生代ペルム紀末(約2億5200万年前)、史上最大の大量絶滅が起こり、海洋生物、陸上生物ともに大打撃を受けました。これまで、陸上の絶滅は海の絶滅と同時に起こったと考えられてきました。しかし陸上でいつ絶滅が始まったかは、正確にはわかっていませんでした。
 南アフリカ共和国のカル―盆地からはペルム紀から三畳紀にかけての脊椎動物化石が多く産出するため、この時期の動物相の変化が詳しくわかっています。今回、ペルム紀の動物相と三畳紀の動物相が入れ替わった後に、カル―盆地に堆積した火山灰に含まれるジルコンを用いて、年代が調べられました。この結果、カル―盆地でペルム紀の動物相と三畳紀の動物相が入れ替わった(カル―盆地で陸上動物の絶滅が始まった)年代は約2億5224万年前という結果が出たそうです。中国に堆積した火山灰を用いて年代を調べた研究から、海で絶滅が始まった年代は、約2億5190万年前という結果が出ています。カル―盆地では、海よりも30万年以上も前に絶滅が始まっていたことになります。
 一方、オーストラリアに堆積した火山灰を用いて年代を調べた研究では、ペルム紀の陸上植物と三畳紀の陸上植物が入れ替わった年代は、約2億5350万年前という結果が出ています。このことから、ゴンドワナ大陸での動植物の絶滅は、北半球の海での絶滅よりも数十万年早く始まっただろうと、研究者は考えています。

3/25 University of California - BerkeleyThe base of the Lystrosaurus Assemblage Zone, Karoo Basin, predates the end-Permian marine extinction. Nature Communications, 11(1), 1428

2020/3/28

エディアカラ紀の左右相称動物の化石が発見されました。

 エディアカラ紀(約6億3500万年前〜約5億4100万年前)に大型の生物が出現しました。しかしそのほとんどは現在の生物と違って、左右非対称の形をしています。そして口や消化管なども発見されていません。
 世界中のエディアカラ紀の地層から、左右相称動物によってつけられたと考えられる溝の化石が発見されています。しかし、その溝を作ったと考えられる動物の化石はこれまで発見されていませんでした。
 今回、オーストラリアのエディアカラ紀の地層にあるこの溝の近くに楕円形のへこみがあるのが発見されました。このへこみを3Dスキャンにかけたところ、かすかに筋肉の溝がある円筒形の体をもつ動物の印象化石であるらしいということがわかったそうです。この化石は、長さ2〜7mm、幅1〜2.5mmで、溝のサイズと合致するとのことです。
 この動物はIkaria wariootiaと名付けられました。Ikariaは、オーストラリアで最古の左右相称動物であると、研究者は考えています。溝の形から、Ikariaは筋肉を収縮させて移動していたのだろうと、研究者は考えています。また、海底の堆積物を食べて出していた痕跡があることから、Ikariaには口と肛門、そして消化管があったのだろうとも、考えられています。

3/23 University of California - RiversideDiscovery of the oldest bilaterian from the Ediacaran of South Australia. PNAS

2020/3/25

デボン紀の肉鰭類の胸ビレに、指の骨があるのが発見されました。

 魚から四足動物への進化は、生命史において特に大きな出来事です。魚から四足動物に進化する過程で最も大きな変化は、ヒレから四肢が進化したこととされています。
 ヒレから四肢がどのように進化したかを知るために、古生代デボン紀中期から後期(約3億9300万年前〜約3億5900万年前)の肉鰭類と四足動物の化石が研究されています。しかしこれまでに発見されている肉鰭類の化石のヒレは不完全なものばかりでした。
 今回、カナダの約3億8000万年前の地層から、肉鰭類Elpistostegeのほぼ完全な化石が発見されました。この化石をCTを用いて調べたところ、胸ビレに、四足動物の前肢を構成する骨(上腕骨、橈骨、尺骨、手根骨、指骨)があることがわかったそうです。指骨は、四足動物の指と同じように並んでいるとのことです。鰭条があるひれにはっきり指と分かる骨が確認されたのは、これが初めてです。
 今回の発見から、指が脊椎動物が上陸する直前の魚の段階で獲得されたと、研究者は考えています。

3/19 Sci NewsElpistostege and the origin of the vertebrate hand. Nature

2020/3/22

白亜紀後期、1年は372日間だったらしいということがわかりました。

 白亜紀には厚歯二枚貝という二枚貝が世界中の海に棲息し、現在のサンゴと同じように礁を作っていました。厚歯二枚貝の中でも、ヒップリテス類は化石記録が多く、化石化の過程で成分が変化しにくい厚い殻をもつため、当時の環境を復元するのに重要な種類とされています。
 今回、オマーンの約7000万年前(中生代白亜紀後期)の地層から採集されたヒップリテス類Torreites sancheziの殻の成長線と化学組成が調べられました。この結果、1年が372日あったらしいということがわかったそうです。白亜紀当時、1日は23時間30分だった計算になります。また、白亜紀後期の海水温はこれまで考えられていたよりも高く、夏は40℃、冬は30度だったらしいという結果も出たそうです。さらに、Torreites sancheziは夜よりも昼にかなり早く成長していたらしいということもわかったそうです。これは、光合成をする生物を共生させていたためではないかと、研究者は考えています。

3/9 American Geophysical UnionSubdaily‐Scale Chemical Variability in a Torreites sanchezi Rudist Shell: Implications for Rudist Paleobiology and the Cretaceous Day‐Night Cycle. Paleoceanography and Paleoclimatology, 35(2)

2020/3/14

ランゲオモルフの周りに糸のような構造があるのが発見されました。

 先カンブリア時代エディアカラ紀の後半(約5億7100万円前〜約5億4100万年前)には、多様な肉眼で見えるサイズの生物がいました。その中でも、葉のような形をした生物はランゲオモルフとよばれています。
 今回、カナダのニューファンドランド島で、ランゲオモルフの化石の周りに糸のような構造が保存されているのが発見されました。この糸のような構造は7種のランゲオモルフで確認され、太さは1mm以下、長さは2cmから4mあるとのことです。
 ランゲオモルフが海底に短期間で群生するようになっていたらしいということが、これまでにわかっています。しかしどのように個体数を増やしていたかはわかっていませんでした。今回発見された糸のような構造を使って、現在のイチゴのように無性生殖をしていたのではないかと、研究者は考えています。あるいは、糸のような構造を使って海底に体を固定していた、複数の個体間で栄養をやり取りしていた、という可能性も考えられるそうです。

University of CambridgeFilamentous Connections between Ediacaran Fronds. Current Biology

2020/3/14

カンブリア紀にすでに退化が起こっていたらしいということがわかりました。

 Facivermisは、中国雲南省の約5億1800万年前(古生代カンブリア紀)の地層から化石が発見される澄江生物です。環状構造のある長い体の前部に、5対のトゲの生えた付属肢がありました。これまで、付属肢のないcycloneuraliaと、体の前から後ろまで対になった付属肢をもつ葉足動物とをつなぐ存在と考えられてきました。
 今回、Facivermisの正基準標本と、新たに発見された化石9点などが詳しく調べられました。その結果、Facivermisは葉足動物らしいということがわかったそうです。
 Facivermisの体の後ろ半分は、堆積物に開いたチューブ状の穴に入っているそうです。生きていた時は体の後半部を海底の泥の中に埋め、5対の付属肢で食物を集めて食べていたのだろうと、研究者は考えています。体の前部にしか付属肢がないのは、泥にもぐった状態では不要な体の後半部の付属肢が退化したためだろうとのことです。Facivermisは、このような退化の最古の証拠です。

2/27 University of ExeterA Tube-Dwelling Early Cambrian Lobopodian. Current Biology

2020/3/2

北米から初めて、テチガルクタ科ののセミの化石が発見されました。

 カナダの約1億100万年前〜約9390万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、新属新種のテチガルクタ科の化石が発見されていました。テチガルクタ科は、現在はオーストラリアだけに棲んでいるセミで、化石は約2億2700万年前〜約2億900万年前(中生代三畳紀後期)の地層から発見されています。テチガルクタ科の化石は北半球と南半球の両方から発見されていますが、これまで北米からは発見されていませんでした。今回の発見が、北米で初の発見となります。

2/21 McGill UniversityFirst North American occurrence of hairy cicadas discovered in a Late Cretaceous (Cenomanian) exposure from Labrador, Canada. Acta Palaeontologica Polonica

2020/2/23

祖先と現生のハチの両方の特徴をもつ約1億年前のハチの化石が発見されました。

 ハチは被子植物の進化と多様化にとって重要な存在です。ハチは肉食の祖先から進化したと考えられています。しかしこれまでに発見されているハチの化石の大部分は新生代の地層からで、すでに現生のハチと同じ特徴をもっており、肉食の祖先から花粉食のハチへとどのように形態が変化したかはよくわかっていませんでした。
 今回、ミャンマーの約1億年前(中生代白亜紀中ごろ)の花粉の中から新属新種のハチの化石が発見され、Discoscapa apiculaと名付けられました。Discoscapaは、毛や胸部、肢などに現生のハチと同じような特徴がみられる一方、触角や翅には祖先と同じような特徴があるそうです。
 Discoscapaの肢には花粉がついており、死ぬ直前に花に寄っていたと考えられています。また、Discoscapaが入っている琥珀には小さな甲虫が21体入っており、そのうち5体はDiscoscapaの体にくっついた状態とのことです。Discoscapaは甲虫に寄生されており、それが原因で樹脂の中に落下したのではないかと、研究者は考えています。

2/12 Oregon State UniversityDiscoscapidae fam. nov. (Hymenoptera: Apoidea), a new family of stem lineage bees with associated beetle triungulins in mid-Cretaceous Burmese amber. Palaeodiversity, 12(1)

2020/2/16

最古のサソリの化石が報告されました。

 アメリカ、ウィスコンシン州の古生代シルル紀の地層から1985年に発見された化石が、新属新種のサソリであるということがわかり、Parioscorpio venatorと名付けられました。この化石が発見された地層は、約4億3800万年前〜約4億3700万年前に堆積したものだと考えられています。これまで最古のサソリとされていた化石は約4億3600万年前〜約4億3500万年前のものであるため、Parioscorpioは最古のサソリということになります。
 初期のサソリが陸棲だったのか海棲だったのかは議論があります。Parioscorpioの化石には呼吸系と循環系が保存されているそうです。これらの構造は現生のサソリとほぼ同じであると同時に、現生のカブトガニとの類似点もあるそうです。Parioscorpioが完全に陸棲だったかどうかはわからないものの、陸上で行動することができただろうと、研究者は考えています。

1/16 Ohio State UniversityA Silurian ancestral scorpion with fossilised internal anatomy illustrating a pathway to arachnid terrestrialisation. Scientific Reports

2020/1/19

最古の消化管らしきものが残った化石が発見されました。

 Cloudinomorphは、先カンブリア時代エディアカラ紀末の地層から化石が発見されるチューブ状の殻をもった生物です。原始的な後生動物と考えられていますが、軟体部が残った化石は発見されていなかったため、その詳しい分類についてはよくわかっていません。
 今回、アメリカ合衆国ネヴァダ州の約5億5000万年前の地層から産出したCloudinomorpの化石がCTスキャンによって調べられました。
 この結果、軟体部が残っているらしいということがわかったそうです。チューブ状の殻の中に円筒状の構造が保存されており、これは消化管ではないかと研究者は考えています。もしこれが消化管なら、化石として最古の記録になります。また、Cloudinomorphは環形動物である可能性が高いと、研究者は考えています。

1/10 University of Missouri-ColumbiaDiscovery of bilaterian-type through-guts in cloudinomorphs from the terminal Ediacaran Period. Nature Communications, 11(1)

2020/1/19

上陸する前、ヒレの骨がどのように変化したかがわかりました。

 ヒレから肢への進化は、鰭条(ヒレにある筋状の骨)の喪失と指の骨の獲得で特徴づけられます。しかしこれまでの研究では指の骨ばかりが注目され、鰭条の変化については注目されてきませんでした。
 今回、四足動物への進化の途中段階にあると考えられている3種の魚(Sauripterus tayloriEusthenopteron foordiTiktaalik roseae)のヒレがCTスキャンにかけられ、鰭条の構造が調べられました。サウリプテルスとユーステノプテロンは水中から出ることはなかったものの、水の底で胸ビレを使って体を支えることができたと考えられています。一方、ティクターリクはヒレを使って体をもち上げることができ、短距離なら水中から出て移動することができたと考えられています。
 この研究の結果、この3種の鰭条は単純な形をしており、腹側と背側でサイズに違いがあるということがわかったそうです。ユーステノプテロンでは背側の鰭条は腹側の鰭条よりもわずかに大きくて長く、ティクターリクデは背側の鰭条は腹側の鰭条の数倍の大きさがあるとのことです。このことから、鰭条が小さいヒレの腹側には、体重を支えるための筋肉がついていたことが示唆されるそうです。このようなヒレの腹側と背側の非対称性は、現生のチョウザメとハイギョにも見られ、魚の進化で大きな役割を果たしていたと考えられるそうです。

12/30 University of Chicago Medical CenterFin ray patterns at the fin-to-limb transition. Proceedings of the National Academy of Sciences, 201915983

2020/1/12

ウミサソリが現在のカブトガニと同じ構造の複眼をもっていたらしいということがわかりました。

 節足動物には、多数のレンズで構成された複眼をもつものがいます。しかし複眼の構造は、種類によって異なります。
 今回、ドイツの約4億700万年前(古生代デボン紀前期)の地層から発見されたウミサソリ類Jaekelopterus rhenaniaeの化石を電子顕微鏡で分析して、複眼の構造が詳しく調べられました。この結果、Jaekelopterusの複眼は、現在のカブトガニ類の複眼と同じような構造をしていたということがわかったそうです。
 カブトガニ類の複眼は、濁った水中でもものがよく見える構造をしています。この複眼の構造は、4億年以上前から進化していたのだろうと、研究者は考えています。

12/3 University of CologneInsights into the 400 million-year-old eyes of giant sea scorpions (Eurypterida) suggest the structure of Palaeozoic compound eyes. Scientific Reports, 9(1)

2019/12/17

約6億900万年前の胚と思われる化石の構造が調べられました。

 中国、貴州省に分布する約6億900万年前(先カンブリア時代エディアカラ紀)の地層、Doushantuo Formationからは、真正後生動物の化石や、左右相称生物の化石、胚の化石ではないかと考えられる化石が発見されています。しかし、それらの分類については議論があります。
 今回、Doushantuo Formationから産出したCaveasphaera233個について、高解像度のX線マイクロCTなどを用いて細かい構造が調べられました。Caveasphaeraは、直径1mmにも満たない中空から中身が詰まった球体で、分類はこれまでわかっていませんでした。
 今回の研究の結果、Caveasphaeraには動物の胚に見られるような構造と発達段階があるらしいということがわかったそうです。原始的な後生動物の胚か、後生動物に近い微生物だと、研究者は考えています。

11/27 University of BristolThe Early Ediacaran Caveasphaera Foreshadows the Evolutionary Origin of Animal-like Embryology. Current Biology

2019/12/7

トビムシ類が翅の生えた昆虫にくっついて移動していた証拠が発見されました。

 鳥類やトンボなどの飛行能力をもつ生物にとって、長距離を移動することは難しいことではありません。しかし飛行能力をもたない生物にとっては、長距離を移動することは困難です。
 トビムシ類は古生代デボン紀前期から存在している節足動物です。翅はなく、腹部の下に跳躍器があり、これを使ってジャンプをします。トビムシ類の中でもマルトビムシ類は白亜紀前期以降、すべての大陸から化石が発見されています。これは海を渡って大陸間を移動したということですが、海成層からはこれまでのところマルトビムシ類の化石は発見されていません。
 今回、ドミニカ共和国の約1600万年前(新生代新第三紀中新世)の琥珀の中に、25体のマルトビムシ類が入っているのが発見されました。このマルトビムシ類は、翅の生えたシロアリとアリの体にくっついていたり、その近くに散らばったりしているそうです。これは、マルトビムシ類が翅の生えた昆虫にくっついて移動していた証拠であると、研究者は考えています。また、このように長距離移動することができる生物に便乗していたことがマルトビムシ類が世界中に分布を広げることができた理由であると、研究者は考えています。

11/25 New Jersey Institute of TechnologyFossil amber reveals springtails’ longstanding dispersal by social insects. BMC Evolutionary Biology, 19(1), 213

2019/12/1

白亜紀の被子植物の花粉が昆虫によって運搬されていた証拠が発見されました。

 被子植物は、現在の陸上で最も多様性のある植物です。被子植物は中生代白亜紀の間に爆発的に多様化しました。昆虫によって花粉が媒介されるようになったことが、白亜紀の被子植物の多様化に大きく貢献したと考えられています。しかし白亜紀の地層からは、裸子植物の花粉を体につけた昆虫の化石は発見されていますが、被子植物の花粉を体につけた昆虫の化石はこれまで発見されていませんでした。
 今回、ミャンマーから産出した約9900万年前(白亜紀の中ごろ)の琥珀の中に、被子植物の花粉をつけた昆虫が入っているのが発見されました。この昆虫はハナノミ科の甲虫で新属新種と判断され、Angimordella burmitinaと名付けられました。口は花粉食に適した形をしており、体から生えた毛に花粉がついているそうです。Angimordellaについていた花粉は、真正双子葉類の花粉とみられています。そして、表面の構造、サイズ、そして多くの花粉が集まってAngimordellaの体についていることから、動物によって媒介されていたタイプの花粉と考えられるそうです。
 今回の発見は、白亜紀の被子植物の花粉の虫媒の直接的な証拠であると、研究者は考えています。被子植物の虫媒の直接的な証拠は、これまでは新生代古第三紀始新世のものが最古でした。今回の発見は、それよりも5000万年も古いものになります。

11/11 Indiana UniversityPollination of Cretaceous flowers. PNAS

2019/11/17

頭部の形がわかる最古の四足動物の化石が発見されました。

 古生代デボン紀後期(約3億8300万年前〜約3億5900万年前)の地層からは、初期の四足動物の化石がいくつも発見されています。しかしそのほとんどは断片的なもので、姿や生態が復元できる種はほとんど発見されていません。これまでに発見されている最古の復元可能な四足動物は、約3億6500万年前〜約3億5900万年前のアカントステガとイクチオステガです。そして同じ時代の地層から部分的に復元可能な種として、ヴェンタステガとチュレルペトンが発見されています。
 今回、ロシアの約3億7200万年前の地層から、新属新種の四足動物の化石が発見され、Parmastega aelidaeと名付けられました。肩の一部は軟骨でできており、ほぼ水中で過ごしていたと、研究者は考えています。またParmastegaの化石では特に頭骨が多く発見されており、頭部の形が復元されています。
 Parmastegaの眼は頭部の上に突き出ていました。現在のワニ類のように体を水の中に沈めながら水上を見ることができたと考えられています。しかし鼻の穴が上を向き、鼻で呼吸をしながら水上を見ることができるワニ類とは異なり、Parmastegaの鼻の穴は上顎の下のほうに付いています。鼻の穴から空気ではなく水を取り込んで鰓に送ることで呼吸をしていたのではないかと、研究者は考えています。Parmastegaの後頭部にはspiracleと呼ばれる大きな穴が開いています。この穴は現生の空気呼吸をする魚に見られるもので、Parmastegaは鰓呼吸とともにここから空気を取り込んで呼吸をしていたと考えられています。
 Parmastegaは体長1m以上と推測されています。浅い潟に棲み、水面近くで眼だけを出して獲物となる節足動物または陸に打ち上げられた魚の死骸を探していたのではないかと、研究者は考えています。

10/24 University of LincolnEarly tetrapods had an eye on the land. Nature, 574, 494-495Morphology of the earliest reconstructable tetrapod Parmastega aelidae. Nature, 574, 527-531

2019/10/27

三葉虫が列になって移動する行動が報告されました。

 現在の節足動物では、同種が群れとなって集団で移動する行動が多く見られます。三葉虫でも、同種が列になって並んでいたり、何体もが同じ方向を向いたりした状態の化石が発見されています。
 今回、モロッコの約4億8000万年前(古生代オルドビス紀前期)の地層から産出した、何体ものAmpyx priscusが1列に並んだ状態の化石が報告されました。Ampyxは、長いトゲを3本持つ三葉虫です。頭鞍部から前に1本、頭部の両脇から後ろに2本、長いトゲが伸びています。
 Ampyxが列になって並んだ標本は21点報告されています。この標本に含まれているAmpyxのほとんどが、前後の個体とトゲがつくくらいに密集して並び、前後の個体と同じような方向を向いているとのことです。
 この標本が産出した地層を調べた結果、周期的に嵐が起こっていたことがわかったそうです。Ampyxが列になって並んでいたのは、嵐の時に水流の静かな水深の深い場所に移動するためか、あるいは繁殖期に産卵場所に移動するためではないかと、研究者は考えています。長いトゲや触角、あるいはフェロモンのような化学物質を使って前後の個体との位置関係を把握し、列を作っていたと、研究者は考えています。

10/17 CNRSCollective behaviour in 480-million-year-old trilobite arthropods from Morocco. Scientific Reports

2019/10/20

新属新種のラディオドンタ類が発見されました。

 古生代カンブリア紀、頭部に1対の大きな付属肢(大付属肢)と軸の付いた眼をもち、口は板が円形に並んだ構造をしており、体の左右には何枚ものヒレが並んだラディオドンタ類という無脊椎動物がいました。ラディオドンタ類には、アノマロカリスやフルディアなどが含まれます。今回、カナダの約5億600万年前の地層バージェス頁岩から、新属新種のラディオドンタ類が発見されました。
 今回発見されたラディオドンタ類は、Cambroraster falcatusと名付けられました。全長約30cm、頭部は体全体の半分以上を占め、その上はカブトガニのような形をした大きな甲皮で覆われています。そして大付属肢には多くの細かいトゲが櫛のように並んでいるとのことです。この大付属肢を使って海底の堆積物をかき分け、中に潜っていた獲物を捕まえていたのだろうと、研究者は考えています。大付属肢のトゲの間隔は1mmに満たないため、Cambrorasterはとても小さい動物も捕まえることができただろうと、みられています。

7/31 Royal Ontario MuseumA new hurdiid radiodont from the Burgess Shale evinces the exploitation of Cambrian infaunal food sources. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1908), 20191079

2019/8/11

オーストラリアのカンブリア紀で最大の三葉虫が報告されました。

 オーストラリアには、軟体部まで保存された化石が産出する約5億1400万年前〜約5億900万年前(古生代カンブリア紀前期)の化石鉱脈(Emu Bay Shale)があります。今回、この地層から、新種の三葉虫が報告され、Redlichia rexと名付けられました。
 R. rexの体長は最大で25cm、オーストラリアのカンブリア紀の三葉虫で最大のサイズです。今回発見されたR. rexの付属肢には獲物の殻を砕くのに使われていたと考えられるトゲがあり、この三葉虫が捕食者だったことが示唆されます。ほかの三葉虫を含む動物を食べていたと、研究者は考えています。
 Emu Bay Shaleから産出する三葉虫の化石には、捕食者によって殻を砕かれたと思われる化石が多くあります。R. rexの大きな個体の化石にも、このような傷が見つかっています。また、Emu Bay Shaleからは三葉虫の破片が含まれた糞の化石も見つかっています。このことから、アノマロカリスのような大きな捕食者がR. rexを食べていたか、R. rex同士が共食いをしていた可能性があると、研究者は考えています。

6/13 University of AdelaideThe trilobite Redlichia from the lower Cambrian Emu Bay Shale Konservat-Lagerstätte of South Australia: systematics, ontogeny and soft-part anatomy. Journal of Systematic Palaeontology

2019/6/23

約5000万年前の魚の群れの化石が報告されました。

 魚や鳥や昆虫が群れで行動することは広く知られています。しかしいつからそのような行動がとられるようになったかはよくわかっていません。今回、群れで行動していたと考えられる約5000万年前の魚の化石が報告されました。
 この化石はアメリカ合衆国のコロラド州、ワイオミング州、ユタ州に分布する新生代古第三紀始新世の地層、Green River Formationから産出したと考えられています。259体のErismatopterus levatusが同じ方向を向いて密集した状態で化石になっています。この259体のサイズは10.6mmから23.5mmと、成体で65mmのこの種としては小さなサイズのため、亜成体または幼体だと考えられています。離れた場所で化石化している2体を除いた257体が向いた方向や互いの距離を定量的に分析した結果や、進行方向に長く伸びた群れの形から、このErismatopterusが密集した状態は、死骸が水流に運ばれて集まってできたのではなく、生きていた時の群れの状態のまま死んで化石になったてできたと、研究者は考えています。このことから、始新世にはすでに魚は群れを作っていたと考えられるそうです。
 群れを作る理由の1つに、捕食者に襲われるリスクを減らすというものがあります。Erismatopterusの亜成体または幼体も捕食者に襲われるのを避けるために群れを作っていたと、研究者は考えています。

5/31 NowScienceInferring collective behaviour from a fossilized fish shoal. Proceedings of the Royal Society B

2019/6/2

約10億年前の菌類の化石が発見されました。

 菌類は現在の生態系できわめて重要な役割を果たしています。分子時計では菌類は約7億4000万年前〜約10億6000万年前に出現したと推測されていますが、これまで発見されている最古の菌類は約4億5000万年前のものでした。
 今回、カナダの約10億年前〜約9億年前の地層から発見された化石が、菌類の化石らしいということがわかりました。形、微細構造、成分を分析した結果、菌類だと判断されたとのことです。今回の発見から、菌類とそれに近い原生生物、そして後生動物で構成されるオピストコンカの出現がこれまで考えられていたよりも早かったらしいということがわかりました。

5/23 Smithonian.comEarly fungi from the Proterozoic era in Arctic Canada. Nature

2019/5/27

石炭紀前期のヘビのような形の四足動物が異歯性で硬い殻を砕いて食べていたらしいということがわかりました。

 古生代石炭紀前期(約3億5900万年前〜約3億2300万年前)は、四足動物の多様性が増加した時代です。石炭紀前期の中ごろ(約3億4700万年前〜約3億3100万年前)になると、形も多様になっていきました。しかしこの時代の四足動物の歯の形については、これまであまり調べられてきませんでした。
 今回、約3億3000万年前の四足動物Acherontiscusの化石がマイクロCTスキャンにかけられ、その歯の形が調べられました。Acherontiscusは全長約15cmの小型の初期の四足動物で、ヘビのように体が細長く、四肢はありませんでした。今回の研究の結果、Acherontiscusには大きさも形も異なる数種類の歯が生えていることがわかったそうです。この歯を使って、硬い殻をもつ甲殻類などを食べていたのだろうと、研究者は考えています。Acherontiscusは硬い殻を砕くことができる歯をもつ最古の四足動物とのことです。

5/9 University of LincolnAcherontiscus caledoniae: the earliest heterodont and durophagous tetrapod. Royal Society Open Science, 6(5): 182087

2019/5/12

硬いものにくっついて生活していた最古の座ヒトデが発見されました。

 アメリカ合衆国アイダホ州の約5億700万年前(古生代カンブリア紀中期)の地層から発見された座ヒトデが新種ということがわかり、Totiglobus spencensisと名付けられました。T. spencensisはヒオリテス類のハプロフレンティスの殻にくっついた状態で化石化していたそうです。生きていた時からくっついていたと、研究者は考えています。
 カンブリア紀前期から中期、浅海の海底は藻類でおおわれていたと考えられています。初期の座ヒトデは藻類に覆われたやわらかい海底の上で生活していたとみられています。しかしカンブリア紀の間に巻貝などの植物食性の生物が増加すると、海底の藻類が食べられてなっていったと考えられています。海底の藻類が減少したことで、座ヒトデは岩や殻などの硬いものにくっついて生活するようになったようです。T. spencensisはそのような硬いものにくっついていた証拠が発見された最古の座ヒトデです。

5/2 Ohio State UniversityNew edrioasteroid (Echinodermata) from the Spence Shale (Cambrian), Idaho, USA: further evidence of attachment in the early evolutionary history of edrioasteroids. Bulletin of Geosciences

2019/5/6

コロンビアから、変わった形のカニの化石が発見されました。

 コロンビアとアメリカ合衆国の約9500万年前〜約9000万年前(中生代白亜紀の中ごろ)の地層から、新属新種のカニの化石が発見されました。この地層からは、ほかにも保存の良い甲殻類の化石が数百体発見されているそうです。
 今回発見されたカニは、Callichimaera perplexaと名付けられました。背甲の幅が4〜10mmと小型で、眼が大きく、口器が肢のような形をしており、腹部が折りたたまれていないそうです。これは幼体の特徴を維持したまま成体になる幼形進化の結果だと研究者は考えています。またCallichimaeraの第2胸脚と第3胸脚はオールのような形をしているそうです。古生代ペルム紀にウミサソリが絶滅して以来、最古の遊泳に適した節足動物ということになります。

4/24 Yale UniversityExceptional preservation of mid-Cretaceous marine arthropods and the evolution of novel forms via heterochrony. Science Advances, 5(4): eaav3875

2019/4/28

ナマコ類がどのように進化したかがわかりました。

 ウニ類とナマコ類はともに有刺動物類というグループに属しています。しかしウニ類が骨板が融合した殻をもち表面にはトゲが多数生えているのに対し、ナマコ類は骨格をもたない軟体部が発達した体をもっており、両者の形態は大きく異なっています。このため、両者の系統関係とどのように共通祖先から形が変化してきたかはよくわかっていませんでした。
 今回、イギリスの約4億3000万年前(古生代シルル紀中期)の化石鉱脈ヘレフォードシャーから、蛇函類Sollasinaの新種が発見され、S. cthulhuと名付けられました。幅約3cmで、長い管足がたくさん生えているそうです。
 蛇函類はウニ類とナマコ類の特徴を併せもつ棘皮動物です。今回発見された化石をもとに系統を分析した結果、蛇函類は原始的なナマコ類の側系統群である(ナマコ類に最も近いグループである)ということがわかったそうです。これはこれまでの仮説と同じ結果です。ウニ類とナマコ類の共通祖先からナマコ類が進化する過程で骨格が段階的に減少していったのだろうと、研究者は考えています。

4/10 University of OxfordA new ophiocistioid with soft-tissue preservation from the Silurian Herefordshire Lagerstätte, and the evolution of the holothurian body plan. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 286(1900): 20182792

2019/4/14

有櫛動物が底生の祖先から進化したらしいということがわかりました。

 有櫛動物は、体の一端に口が開き、体の周りに8本の櫛板と呼ばれる繊毛の束をもつ動物です。貪欲な肉食性で、ほとんどが遊泳性です。有櫛動物の起源についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、中国雲南省の約5億2000万年前(古生代カンブリア紀前期)の地層から、新属新種の澄江生物の化石が発見されました。Daihua sanqiongと名付けられたこの澄江生物はお椀上の体の上に口が開き、その周りから8本の触手が生えた形をしています。そして触手には有櫛動物のものと同じような繊毛が生えていたそうです。
 Daihuaの特徴は、同じく澄江から産出する、柄の先に18本の触手が生えたがくがあるDinomischusや、海底に付着した体の上に16本の触手が生えたXianguangiaと共通し、これら3種はすべて有櫛動物に属すると、研究者は考えています。また、カナダのバージェス頁岩から産出するSiphusauctumも、この研究によると有櫛動物だそうです。
 有櫛動物は、触手が生えた底生の祖先から進化したと、研究者は考えています。口は風船状の形に大きくなって本来の体は小さくなり、口の周りを囲んで生えていた触手は体の周りを取り囲む櫛板になったと、研究者は考えています。

3/21 University of BristolCambrian Sessile, Suspension Feeding Stem-Group Ctenophores and Evolution of the Comb Jelly Body Plan. Current Biology

2019/4/1

約5億年前の地層から、多数の生痕化石が発見されました。

 カナダの北西準州には、約5億500万年前〜約5億100万年前(古生代カンブリア紀前期)に堆積したRockslide Formationが分布しています。この地層からは、バージェス頁岩と同じように軟体部が保存された化石が産出しています。
 今回、顕微鏡観察とスキャナによる画像解析によって、Rockslide Formationの細かい構造が調べられました。この結果、無脊椎動物によって作られた生痕化石がいくつも発見されたそうです。生痕化石は小さいものでは幅0.5mm、大きいものでは幅15mmの大きさがあり、何種類もの生き物によって作られたものだと考えられるとのことです。
 これまで、バージェス頁岩の化石のように、化石に軟体部が保存されるには無酸素または貧酸素の環境が必要と考えられてきました。しかしRockslide Formationからは様々な生物が作った生痕化石が発見されているため、この地層が堆積した海底には当時十分な酸素があったと、研究者は考えています。このため、堆積速度や粘土質の堆積物の組成などが、この地層で軟体部が保存される要因になったのだろうと、研究者は考えています。

2/26 University of SaskatchewanExtensive bioturbation in a middle Cambrian Burgess Shale-type fossil Lagerstätte in northwestern Canada. Geology, 47(3), 231-234

2019/3/3

メガロドンがこれまで考えられていたよりも100万年早く絶滅したらしいということがわかりました。

 メガロドンは体長16〜18mとも推測されている史上最大の巨大ザメです。これまで、新生代新第三紀鮮新世末(約258万年前)に絶滅したと考えられてきました。
 アメリカ合衆国カリフォルニア州とメキシコ・バハ・カリフォルニア州には新生代新第三紀中新世中期から新生代第四紀更新世までの海成層が分布しています。これらの地層は年代が正確にわかっており、また海棲脊椎動物の化石が豊富に産出するため、今回、これらの地層からのメガロドンの化石の産出が詳しく調べられ、メガロドンの絶滅時期が推測されました。
 この結果、メガロドンの化石の正真正銘の産出は鮮新世前期末(約360万年前)までで、それ以降は地層の年代が不正確か、古い地層が侵食されて再堆積したものだということがわかったそうです。メガロドンはこれまで考えられていたよりも100万年ほど早く、鮮新世末に絶滅したと、研究者は考えています。新しく出現したホホジロザメとの競争が絶滅の原因として挙げられています。

2/13 University of Wisconsin OshkoshThe Early Pliocene extinction of the mega-toothed shark Otodus megalodon: a view from the eastern North Pacific. PeerJ, 7, e6088

2019/2/18

日本最古の雌雄差がわかる貝形虫の化石が発見されました。

 貝形虫は、二枚の殻をもった甲殻類です。雌雄によって殻の形に差があります。
 今回、宮崎県の約4億3300万年前〜約4億3100万年前(古生代シルル紀前期)と岐阜県の約4億2700万年前〜約4億2600万年前(シルル紀後期)の地層から採集した貝形虫の化石が調べられました。この結果、新種の貝形虫が3種発見されたそうです(Pauproles supparataHollinella orientaClintiella antifrigga)。このすべてで、雌雄差と思われる殻の形の違いが見られたそうです。
 宮崎県から発見された貝形虫は日本最古の貝形虫の化石になります。また、今回発見された貝形虫の化石は、日本最古の雌雄差がわかる化石です。

11/9 金沢大学Japan's earliest ostracods. Island Arc

2018/11/17

謎の節足動物が、プランクトン食のラディオドンタだということがわかりました。

 Pahvantiaは1981年にアメリカ合衆国ユタ州のカンブリア紀の地層から報告された古生物です。節足動物と考えられていますが、詳しい分類はこれまでわかっていませんでした。これまで4点の化石が発見されていますが、1点は別のラディオドンタ(アノマロカリスやフルディア、タミシオカリスなどの仲間)の甲皮と考えられていました。
 今回、大付属肢のついた甲皮が新たに発見されたことで、これまで発見されていた4点がすべてPahvantiaの化石であるということがわかったそうです。化石を詳しく調べた結果、エーギロカシスやフルディアと同じように、Pahvantiaの頭部が3つに分かれた大きな甲皮で覆われていたらしいということがわかったそうです。大付属肢の形から、Pahvantiaがラディオドンタであることは確実とのことです。そしてエーギロカシスやフルディアと同じ科に属すると、研究者は考えています。
 Pahvantiaの付属肢には細長い剛毛が多数生えています。この付属肢は、海水中のプランクトンを口に運ぶのに使われていたと、研究者は考えています。

New suspension-feeding radiodont suggests evolution of microplanktivory in Cambrian macronekton. Nature Communications, 9, 3774

2018/9/16

トリティロドン類が一度にたくさんの子どもを出産していたらしいということがわかりました。

 アメリカ合衆国アリゾナ州の約1億8500万年前(中生代ジュラ紀前期)の地層から産出したトリティロドン類Kayentatheriumの成体の化石の下に、たくさんの幼体の化石が埋まっているのが発見されました。この幼体はおそらく同じ母岩の成体の子どもだろうと、研究者は考えています。
 サイズや骨化の具合に違いは見られなかったため、幼体は同時期に親の胎内にいた兄弟だと、研究者は考えています。幼体の数は38体以上と推測されています。この数は、哺乳類が一度に出産する数の倍以上で、ワニ類の平均やいくつかの有隣類と同じくらいの数です。
 幼体の頭骨のサイズは、親と考えられている成体の頭骨の1/10です。その小ささや、歯にすり減りが見られないこと、成長の程度に違いが見られないことなどから、この幼体は出産(あるいは孵化)前後の段階のものだろうと、研究者は考えています。Kayentatheriumの幼体の頭骨と成体の頭骨とで形に大きな違いは見られないそうです。哺乳類の場合、脳が大きいため、幼体の頭部は前後に短く、上の部分がふくらんでいます。脳はエネルギーを多く消費する器官で、妊娠と子育ても多くのエネルギーを必要とします。
 トリティロドン類は哺乳類の祖先と考えられているキノドン類に属し、キノドン類の中で最も後に進化してきたグループです。哺乳類の進化において、脳が巨大化する代わりに一度に出産する子どもが減少するということが起こったと考えられています。今回、Kayentatheriumが小さい脳をもち、多くの子どもを出産することがわかったことにより、この変化が哺乳類の進化の後の方の段階で起こったのだと、研究者は考えています。

8/29 University of Texas at AustinJurassic stem-mammal perinates and the origin of mammalian reproduction and growth. Nature

2018/9/2

白亜期末の大量絶滅前後のサメの多様性の変化が調べられました。

 白亜期末(約6600万年前)の大量絶滅によって、脊椎動物の構成は大きく変化しました。サメは白亜期末の大量絶滅を生き延びた数少ない大型の捕食者の一つです。サメは軟骨魚類のため骨の化石は残りませんが、歯の化石は大量に発見されています。しかし、大量絶滅の前後でどのようにサメ類の多様性が変化したのか、これまで正確にはわかっていませんでした。
 今回、現在の海で優勢な捕食者であるネズミザメ類とメジロザメ類について、白亜紀末の大量絶滅前後の歯の形の多様性の変化が調べられました。ネズミザメ類は白亜紀の間繁栄し、メジロザメ類は現在最も多様なサメ類です。
 サメ類の種数は白亜紀末に大きく減少したことがこれまでの研究から知られています。しかし、今回の研究の結果、歯の形の多様性は白亜紀末の大量絶滅の前後でほぼ変化しなかったということがわかったそうです。それでも、細かく見ると三角形の低い歯冠をもつネズミザメ類は大きく減少し、同じタイプの歯をもつメジロザメ類が白亜紀末の大量絶滅後に増加したらしいということがわかったそうです。
 白亜紀末の大量絶滅によって海棲爬虫類や多くの頭足類が絶滅し、大量絶滅後に硬骨魚類が増加しました。こうした獲物となる生物の変化と、生態系の頂点に位置する捕食者が絶滅したことが、大量絶滅後のメジロザメ類の多様化に影響を与えたのではないかと研究者は考えています。

8/3 Uppsala UniversityStatic Dental Disparity and Morphological Turnover in Sharks across the End-Cretaceous Mass Extinction. Current Biology

2018/8/5

南アフリカ共和国から、デボン紀の四足動物の化石が発見されました。

 南アフリカ共和国の約3億6000万年前(古生代デボン紀後期)の地層から、2種の新属新種の四足動物の化石が発見されました。発見された四足動物は、Tutusius umlamboUmzantsia amazanaと名付けられました。
 デボン紀後期は、魚から四足動物への進化が起こった時代です。これまで、デボン紀の四足動物の化石のほとんどは、かつてローラシア大陸だった地域(北米、グリーンランド、ヨーロッパ)で発見され、例外はオーストラリアから発見されたMetaxygnathusと足跡化石だけでした。ローラリア大陸で四足動物が発見されている地域はデボン紀当時、北緯30度から南緯30度までの熱帯地域にありました。オーストラリアの四足動物の化石が発見された場所はゴンドワナ大陸の北部、南緯30度くらいに位置していたと考えられています。このため、魚から四足動物への進化、そして四足動物の陸上への進出は熱帯地域で起こったと、これまで考えられてきました。
 しかし今回四足動物の化石が発見された場所は、南緯70度以南の南極圏にあったとみられています。植物化石から、この場所は凍ることはなかったものの、冬には何か月も夜が続いたと考えられています。四足動物の進化と陸上への進出は熱帯地域だけではなく、あらゆる地域で起こっていたのだろうと、研究者は考えています。

6/8 University of the WitwatersrandA tetrapod fauna from within the Devonian Antarctic Circle. Science, 360(6393)

2018/6/10

ディキノドン類と竜脚形類が同じ場所に棲息していた証拠が発見されました。

 約2億6000万年前(古生代ペルム紀後期)、ディキノドン類が陸上脊椎動物の中でもっとも繁栄していました。ディキノドン類は大きな牙とくちばしをもった植物食の単弓類です。一方、約2億2800万年前(三畳紀後期)に恐竜が出現し、約2億2700万年前になると体の大きな植物食恐竜である竜脚形類が出現しました。ディキノドン類は約2億2700万年前までにほぼ姿を消し、2億2700万年前以降に発見されるディキノドン類の化石も竜脚形類の化石と一緒に産出することはないため、ディキノドン類が竜脚形類と同じ場所に棲息することはなかったと、これまで考えられてきました。この例外は、1950年代に南アフリカ共和国の三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)の地層(lower Elliot Formation)から発見された足跡化石です。竜脚形類など複数の恐竜の足跡化石とともに、ディキノドン類がつけたと思われる足跡の化石が発見されました。しかしこの地層からディキノドン類の体化石は発見されていなかったため、ディキノドン類がいた確たる証拠として扱われてきませんでした。
 今回、ウィーン自然史博物館に所蔵されているlower Elliot Formationから産出した化石を調べた結果、ディキノドン類の体化石があることが分かったそうです。これまで、これらの化石はほとんど恐竜の化石であると考えられてきました。lower Elliot Formationからは竜脚形類の体化石も発見されているため、今回の発見は、ディキノドン類と竜脚形類が同じ場所に棲息していたことの初めての確かな証拠になります。

3/14 North Carolina Museum of Natural SciencesThe first skeletal evidence of a dicynodont from the lower Elliot Formation of South Africa. Palaeontologia Africana

2018/3/25

環形動物の頭部の起源がわかりました。

 環形動物は体のつくりと生態の両方において、非常に多様な生物です。しかし原始的な環形動物の保存の良い化石はほとんど発見されていないため、その初期の進化、特に頭部の起源についてこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、カナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の約5億800万年前(古生代カンブリア紀中期)の化石産地Marble Canyonから新属新種の環形動物の化石が500体以上発見されました。しかも、発見された化石は非常に保存状態がよく、環形動物の化石としては初めて、神経や血管と思われるものまで保存されているそうです。今回発見された環形動物はKootenayscolex barbarensisと名付けられました。
 Kootenayscolexは体長3cm、環形動物の1種の多毛類と同じように体の左右に毛くらいのサイズの剛毛が生えています。Kootenayscolexではさらに、口の横からも剛毛が生えています。このことから、環形動物の頭部は剛毛が生えた体の前の方の節から進化したと、研究者は考えています。
 また、Kootenayscolexの消化管には堆積物が詰まっていたそうです。このことから、現生の環形動物のようにKootenayscolexもまた、ほかの生物に食べられることによって、堆積物中の有機物を生態系に戻す重要な役割を担っていたと、研究者は考えています。

1/19 Royal Ontario MuseumA New Burgess Shale Polychaete and the Origin of the Annelid Head Revisited. Current Biology

2018/1/28

三畳紀初期の短い期間、生物が熱帯地域から避難したらしいということがわかりました。

 約2億5200万年前の古生代ペルム紀末、史上最大の大量絶滅が起こりました。この時期、熱帯地域の気温は40度C以上にもなったと推定されています。ペルム紀末には生物が絶滅しただけではなく、過熱した熱帯地域から緯度の高い地域へと生物が移動したらしいということが報告されていますが、実際にそのような移動があったのか、そしてどのくらいの期間生物が熱帯地域からいなくなっていたのかはこれまでよくわかっていませんでした。
 これまで、このような議論は脊椎動物の体化石をもとに行われてきました。しかしそのような化石はロシアと南アフリカ共和国から産出したものがほとんどで、緯度ごとの変化はよくわかっていませんでした。今回、体化石とともに足跡化石も対象にすることで、ヨーロッパや北米など、これまで調べられてこなかった地域を含めた広い範囲での変化が調べられました。
 この結果、ペルム紀後期(約2億5900万年前〜約2億5200万年前)に比べて、三畳紀初期(約2億5200万年前〜約2億5100万年前)には生物が10〜15度高緯度へ移動したらしいということがわかったそうです。しかしこの移動は長くは続かず、100万年も経たないうちに生物が熱帯地域に戻ってきたという結果が出たそうです。この移動はこれまで考えられてきたように長く続いたものではなく、一時的なものだったと、研究者は考えています。

1/10 University of BristolTetrapod distribution and temperature rise during the Permian-Triassic mass extinction. Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences, 285(1870), 20172331

2018/1/14

バージェス頁岩動物のHabeliaが原始的な鋏角類だったらしいということがわかりました。

 鋏角類は、サソリやクモなどが含まれる節足動物の1グループです。その体は顕生代を通じてどの種類も似たような構造をしていますが、その祖先がどのような姿をし、どのような生態だったかは、よくわかっていません。
 Habelia optataは、100年以上前にバージェス頁岩(古生代カンブリア紀中期、約5億800万年前)から発見された節足動物です。しかし節足動物のどのグループに属するかは長い間わかっていませんでした。
 今回、27体の新たに発見された標本を含む41体のHabeliaの化石が詳しく調べられました。この結果、頭部に鋏角の前身のような付属肢があることと、その頭部の構造から、Habeliaは鋏角類の祖先に近い種類らしいということがわかったそうです。Habeliaは、Sanctacarisと一緒に鋏角類の祖先に近い位置にあると、研究者は考えています。
 Habeliaの体長は約2cm、体は頭部(前体)、胸部(中体)、post-thorax(後体)に分かれ、それぞれに付属肢が生えているそうです。Habeliaの頭部には7対の付属肢があります。前の5対の付属肢は、獲物をかみ砕くための歯のついたプレート、ものをつかむための剛毛のようなトゲの生えた枝、そしておそらく感覚をつかさどっていたと思われる細長い枝で構成されているそうです。この複雑な付属肢のおかげで、Habeliaは小さいサイズに似合わず獰猛な捕食者だったろうと、研究者は考えています。活発に動き回り、三葉虫のようなかたい殻をもつ獲物を効率的に引き裂くことができたと考えられています。そして胸部には5対の歩脚が、post-thoraxにはおそらく呼吸に使われていたと思われる丸い付属肢がついているそうです。

2017/12/22 ScienceDailyMandibulate convergence in an armoured Cambrian stem chelicerate. BMC Evolutionary Biology, 17(1), 261

2018/1/7

サンショウウオの化石の胃の中にカエルが入っているのが発見されました。

 フランス南西部のPhosphorites du Quercyには、リン酸塩に富む堆積物が入り込んだカルスト地形の亀裂が多数あり、ここから脊椎動物の化石が多数産出しています。その化石のほとんどは断片的なものですが、中には皮膚まで完全に鉱物化し、立体的に保存された化石も産出しています。Phosphotriton sigeiもそのひとつで、胴体の大部分と尾と後肢の一部が残っています。以前は化石の外側しかわかりませんでしたが、近年のCTによる分析により、内部の骨なども調べられるようになってきました。その骨格の特徴から、Phosphotritonは原始的なサンショウウオではないかと考えられています。Phosphotritonなどの保存の良い化石は19世紀に採集されたもので、正確な地点や時代は残念ながらわかっていません。しかし、約4000万年前〜約3400万年前(新生代古第三紀始新世中期の後期〜後期)のものではないかと考えられています。
 今回、Phosphotritonの化石の内部が高解像度のX腺によって調べられました。この結果、皮膚、骨、筋肉、肺、脊髄、消化管、神経、おそらく総排出腔腺が立体的に保存されていることがわかったそうです。このような軟体部が立体的に保存されている化石としては最古の例だそうです。また、胃の中にはカエルの化石が入っていたそうです。サンショウウオがカエルを食べたというのは、化石においても現生においても非常に珍しいことだそうです。

10/3 PeerJExceptional soft tissues preservation in a mummified frog-eating Eocene salamander. PeerJ, 5, e3861

2017/10/8

エディアカラ紀の地層から、左右相称生物によってできたと思われる生痕化石が発見されました。

 ブラジルから、直径50〜600μmの生痕化石が発見されました。その形から、この生痕化石は、幅40〜300μmの寄生線虫のような生物が体を左右にくねらせながら堆積物の中を進むことによってできたとみられています。この生痕化石が発見された地層の年代を測定したところ、約5億5500万年前〜約5億4200万年前だということがわかったそうです。この年代は、先カンブリア時代エディアカラ紀の終わりに相当します。当時の地層からは動物と思われる生物の化石が発見されていますが、はっきり左右相称生物とわかる複雑な生物の化石が発見されるのは、その後の古生代カンブリア紀前期になってからです。今回の発見は、顕微鏡サイズの左右相称生物の証拠として最古のものです。

9/11 University of ManchesterIchnological evidence for meiofaunal bilaterians from the terminal Ediacaran and earliest Cambrian of Brazil. Nature Ecology & Evolution

2017/9/16

澄江から共生関係にあったと考えられる化石が発見されました。

 共生関係は現在の動物の間で広くみられます。しかし硬組織をもたない古生物の共生関係については、化石に残りにくいため、ほとんど知られていません。
 今回、中国の澄江(約5億2100万年前〜約5億1400万年前、古生代カンブリア紀前期)から、体長3mmほどのボウリングのピンのような形の小さな動物が複数くっついたCricocosmiaMafangscolexの化石が発見されました。この小さな動物は新属新種で、Inquicus fellatusと名付けられました。体の後端(肛門側)が円盤状に広がり、宿主にくっついているそうです。
 口が宿主と反対側を向いているため宿主を食べていたわけではなく、また付着部は宿主の体の内部に侵入していないため寄生でもないと研究者は考えています。片利共生の関係にあったのではないかと考えられています。

8/29 University of LeicesterHost-specific infestation in early Cambrian worms. Nature Ecology & Evolution

2017/9/3

ペルム紀末の大量絶滅の100万年後に体の大きな捕食者が登場したらしいということがわかりました。

 アメリカ合衆国ネヴァダ州の約2億5100万年前〜約2億4700万年前(中生代三畳紀前期)の地層から、新種の硬骨魚類の化石が発見され、Birgeria americanaと名付けられました。発見された頭骨は長さ26cm、体長は1.72m〜1.85mと推定されるそうです。そして顎には尖った歯が2〜3列並んでいるそうです。B. americanaは生態系の頂点に立つような強い捕食者だったと、研究者は考えています。
 約2億5200万年前の古生代ペルム紀末、海棲生物の90%以上が絶滅するという史上最大の大量絶滅が起こりました。B. americanaが発見されたのは、そこからわずか100万年後の地層です。ペルム紀末の大量絶滅により海の食物網が大打撃を受け、体の大きな捕食者が再び登場するには時間がかかったと、これまで考えられてきました。しかし今回の発見により、生態系の回復がこれまで考えられていたほど単純なものではなく、回復の速度も速かったと、研究者は考えています。

7/26 University of ZurichMarine Early Triassic Actinopterygii from Elko County (Nevada, USA): implications for the Smithian equatorial vertebrate eclipse. Journal of Paleontology

2017/7/30

ユーボストリコセラスの新種が発見されました。

 北海道の三笠市と羽幌町の約8360万年前〜約7210万年前(中生代白亜紀後期)の地層から、異常巻きアンモナイト、ユーボストリコセラスの新種の化石が発見されました。
 ユーボストリコセラスは、白亜紀後期の9310万年前から7210万年前に生きていた、伸びたばねのような形をした異常巻きアンモナイトです。今回発見された化石は、これまで発見されているユーボストリコセラスのどの種よりも長く、ばねを極限まで引き伸ばしたような形をしています。今回発見された新種は、ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサム(Eubostrychoceras valdelaxum)と名付けられました。
 ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムの殻表面の肋は、同じく北海道から発見されているユーボストリコセラス・ジャポニカム(E. japonicum)のものによく似ており、両者は系統的にとても近いと考えられるそうです。ユーボストリコセラス・ジャポニカムは、ユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムよりも古い、約9390万年前〜約8980万年前の地層から発見されているため、ユーボストリコセラス・ジャポニカムからユーボストリコセラス・ヴァルデラクサムが進化したのだろうと、研究者は考えています。

三笠市立博物館A new species of Eubostrychoceras (Ammonoidea, Nostoceratidae) from the lower Campanian in the northwestern Pacific realm. Paleontological Research, 21(3), 255-264

2017/7/16

アシナシイモリ類がどのように進化したかがわかりました。

 アシナシイモリ類は、体長15cmから1.5mの両生類です。四肢はなく、地中に潜って生活しています。これまで見つかっている原始的なアシナシイモリ類は、中生代ジュラ紀前期(約2億100万年前〜約1億7400万年前)のEocaeciliaと白亜紀前期(約1億4500万年前〜約1億100万年前)のRubricaeciliaの2種だけでした。このため、アシナシイモリ類がどのように進化してきたかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、アメリカ合衆国コロラド州の三畳紀後期(約2億3700万年前〜約2億100万年前)の地層から、新属新種の両生類の化石が発見され、Chinlestegophis jenkinsiと名付けられました。化石が不完全なため正確な体長はわからないものの、体長は15cmから30cmだったと、研究者は推測しています。
 Chinlestegophisは分椎類の中のStereospondyliに位置し、原始的なアシナシイモリ類に近い仲間だと、研究者は考えています。アシナシイモリ類はこれまで、カエル類やサンショウウオ類に近く、両者は約2億8000万年前(古生代ペルム紀前期)までに枝分かれしたと考えられてきました。しかし今回の研究では、アシナシイモリ類とカエル類、サンショウウオ類はより遠い関係で、約3億1500万年前(石炭紀後期)までに枝分かれしたと、研究者は考えています。

6/19 University of Southern CaliforniaStem caecilian from the Triassic of Colorado sheds light on the origins of Lissamphibia. Proceedings of the National Academy of Sciences

2017/6/25

原始的な大顎類の化石が発見されました。

 節足動物の甲殻類、多足類、昆虫類は、大顎という食物をつかんだり、砕いたり、切ったりするための付属肢をもっており、大顎類と呼ばれることもあります。大顎類は何百万種もいる非常に成功した動物ですが、その起源についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、カナダの約5億800万年前(古生代カンブリア紀中期)の地層から、新属新種の節足動物の化石が発見されました。Tokummia katalepsisと名付けられたこの節足動物は、背中側に2枚の殻をもち、体は50以上の細かい節で構成されているそうです。そして口の下には幅広く内側がギザギザした大顎があり、その後ろには、先端に鋏がついた大きな顎脚があるそうです。これは現在の大顎類でもよく見られる特徴です。鋏は大きいけれども華奢で、殻をもつ動物を処理するだけの強度はなかったろうと、研究者は考えています。代わりに、やわらかい獲物を消化しやすいように細かく切り刻んでいたのだろうと考えられています。
 また、Tokummiaの体についている付属肢の基部には、内葉という突起があるそうです。内葉は一部の甲殻類の幼生に見られる構造です。また大顎類の様々なタイプの付属肢が進化するもとになった重要なものだと考えられています。
 Tokummiaはブランキオカリス、カナダスピス、オダライアと非常に近い種類で、これら4種は原始的な大顎類にあたると、研究者は考えています。

4/26 University of TorontoBurgess Shale fossils illustrate the origin of the mandibulate body plan. Nature

2017/4/30

スリモニアの尾は武器として使われたいたらしいということがわかりました。

 ウミサソリは古生代に生きていた節足動物です。体は上下方向に薄く、頭胸部、12個の節からなる腹部、尾に分かれていました。尾はたいてい、葉のような広がった形か、剣のような尖った形をしていました。
 スリモニアは、シルル紀の海にいたウミサソリです。尾は葉のように広がった形をしており、両脇には細かいトゲが並んでいました。今回、スコットランドの約4億3000万年前の地層から、腹部から尾までがよく残ったSlimonia acuminataの化石が発見されました。腹部の後ろ半分は左に大きく曲がり、尾は腹部の一番前の節とほぼ平行になっているそうです。このように大きく曲がっていても腹部の節は外れていないため、生きていた時も同じように体を起きく曲げることができただろうと、研究者は考えています。
 甲殻類など、水中に棲む節を多くもつ節足動物のほとんどは横方向に大きく体を曲げられません。代わりに上下方向には大きく曲げられます。体を上下方向に大きく振ることにより、泳ぐときの推進力を発生させています。ウニサソリの腹部の後ろ半分は上下方向にはあまり動かなかったということが、これまでの研究から知られています。このことから、腹部には泳ぐときの推進力を発生させる役割はなく、腹部を横に振ることによって、ウミサソリは尾を舵として使っていただろうとこれまで考えられてきました。
 しかし今回の発見から、スリモニアなど一部のウミサソリでは尾は舵ではなくほかの使われ方をしていたのではないかと研究者は考えています。今回発見されたS. acuminataの尾からは後ろに長いトゲが生えているそうです。もし化石に頭胸部が残っていれば、このトゲは頭胸部よりも前にとびだしていた可能性もあるそうです。腹部を横に振ることにより、細かいトゲで縁取られた尾を武器として使っていたのではないかと、研究者は考えています。スリモニアは大きな鋏をもつプテリゴトゥスの仲間ですが、スリモニア自身は大きな鋏をもちません。このため、スリモニアの付属肢は武器ではなく獲物を押さえつけるのに使われていただろうと、研究者は考えています。大きな鋏をもつウミサソリでは尾のトゲは短くなっているそうです。このことから、大きな鋏は尾のトゲの代わりに獲物を殺す道具として使われるようになったのだろうと、研究者は考えています。

4/18 University of AlbertaA Sea Scorpion's Strike: New Evidence of Extreme Lateral Flexibility in the Opisthosoma of Eurypterids. The American Naturalist

2017/4/23

中国からシルル紀の硬骨魚類の新種の化石が発見されました。

 顎をもつサカナ(硬骨魚類、軟骨魚類、棘魚類、板皮類)は古生代デボン紀(約4億1900万年前〜約3億5900万年前)に多様化し、数も大きく増えました。しかしその前のシルル紀の地層からはわずかな化石しか発見されていません。
 今回、中国雲南省の約4億2700万年前〜約4億2300万年前「(シルル紀後期)の地層から、新属新種の硬骨魚類の化石が発見され、Sparalepis tingiと名付けられました。発見されたのは、生きていた時と同じ状態ででつながった胴体の鱗と背ビレ、胸ビレ、尻ビレの一部です。複数の部分がつながった化石が発見されたのは、シルル紀の硬骨魚類としては2例目です。
 Sparalepisの胸からはトゲが伸び、腰の部分は骨で覆われていたそうです。これは初期の硬骨魚類と板皮類に見られる特徴です。また鱗は細長く厚く、前の方の鱗は互いにしっかりと連結するようになっていたそうです。連結する鱗はほかの初期の硬骨魚類には見られない特徴です。
 Sparalepisは硬骨魚類の中でも原始的な肉鰭類と考えられています。雲南省からはSparalepisのほかにも初期の硬骨魚類が何種も発見されているため、中国南部がデボン紀以前の初期の顎をもつサカナの多様化の場だったと、研究者は考えています。

A new osteichthyan from the late Silurian of Yunnan, China. PLOS ONE, 12(3), e0170929

2017/3/12

約40億年前の化石と思われるものが発見されました。

 これまで最古の生命の証拠とされてきたものは、約37億年前のストロマトライトです。今回、カナダからそれよりも古い化石が発見されたという論文が発表されました。
 発見されたのは、赤鉄鉱で構成された管状の構造物です。この構造がノジュールと呼ばれる岩石の塊の中に入っていたこと、そして現在の熱水噴出孔に見られる鉄バクテリアに似た特徴をもっていることなどから、生命活動によってできたものだと研究者は考えています。その年代は約42億8000万年前〜約37億7000万年前と推定されています。
 しかしこの構造が本当に生物起源なのか、そしてこの構造の年代が本当にこれほど古いのかについては異論もあります。

3/1 University College London3/3 National Geographic日本語版Evidence for early life in Earth’s oldest hydrothermal vent precipitates. Nature, 543(7643), 60-64

2017/3/6

ターリーモンスターの分類に関する議論はまだ続きそうです。

 ターリーモンスターは、アメリカ、イリノイ州にある、石炭紀の化石を産出するメゾンクリークから見つかる非常に変わった形の生物です。まるでソーセージのような細長い体、先端が鋏のように2つに分かれた長い吻部、長い柄の先についた眼をもっていました。この奇妙な生物については長い間分類不明の無脊椎動物と考えられてきましたが、無顎類のヤツメウナギの仲間であるという論文が去年発表されました。
 しかし今回、この説に疑問を唱える論文が発表されました。ターリーモンスターが脊椎動物と判断されたのは、脊索と思われる構造や鰓嚢と思われる構造があったこと、吻部の先端についている歯がヤツメウナギの歯に似ていることなどが理由です。今回の論文によれば、メゾンクリークの保存のされ方では脊索は保存されないとのことです。またバランスをとるのに必要な迷路骨包や、水の流れの速さや方向を感知するための側線といった、水棲の脊椎動物が通常もつ構造がターリーモンスターには確認できないそうです。

2/20 University of PennsylvaniaThe 'Tully Monster' is not a vertebrate: characters, convergence and taphonomy in Palaeozoic problematic animals. Palaeontology

2017/2/26

獣弓類のEuchambersiaが毒をもっていたということが確認されました。

 Euchambersiaは約2億5700万年(古生代ペルム紀後期)の南アフリカ共和国に生きていた肉食の獣弓類です。これまでに頭骨が2個発見されています。Euchambersiaの上顎には大きく深い穴があり、牙には縦に盛り上がりがあります。上顎の穴に毒腺が入っており、牙を通して毒をかみついた相手に注入していた、つまりとEuchambersiaは毒をもっていたと一般に考えられています。しかしこの説がしっかりと検証されることはこれまでありませんでした。
 今回、Euchambersiaの頭骨と牙がマイクロCTで調べられ、ほかの獣弓類やヘビと比較されました。この結果、頭骨と牙の構造が毒をもつ動物の構造と合致することがわかったそうです。頭骨の穴に入った毒腺で毒を作り、口につながる溝で毒を口の中まで運び、牙にある盛り上がりで毒を効率的に注入する傷を作っていたと研究者は考えています。
 Euchambersiaは毒をもつ最古の単弓類ということになります。

2/12 University of the WitwatersrandReappraisal of the envenoming capacity of Euchambersia mirabilis (Therapsida, Therocephalia) using μCT-scanning techniques. PLOS ONE, 12(2), e0172047

2017/2/19

ハルキエリアが軟体動物だということがわかりました。

 古生代カンブリア紀のハルキエリアやオルトロザンクルスはとても奇妙な姿をしていました。鱗のような硬皮で覆われた細長い体に、多数のトゲ、そして二枚貝や腕足類に似た殻をもっていました。これまでその分類についてはよくわかっておらず、環形動物、腕足動物、軟体動物などの説がありました。
 今回、モロッコの約4億7800万年前(古生代オルドビス紀前期)の地層、Fezouata Formationから、新属新種のハルキエリアの仲間の化石が発見されました。体は扁平でトゲのような硬皮で覆われ、体の前の方の背中側には1枚の殻があるそうです。そして殻の下の腹側には、多数の歯が並んだ歯舌があるそうです。今回発見された古生物はCalvapilosa kroegeriと名付けられました。
 歯舌は軟体動物にしかない構造です。このためCalvapilosaやその仲間のハルキエリアなどは軟体動物だということがわかったそうです。その中でも、多板類(ヒザラガイの仲間)や無板類の原始的な仲間であると、研究者は考えています。

2/6 University of BristolAncestral morphology of crown-group molluscs revealed by a new Ordovician stem aculiferan. Nature

2017/2/12

最古の新口動物の化石が発見されました。

 ウニやヒトデなどの棘皮動物やフデイシなどの半索動物、そして私たちヒトを含む脊索動物などは、新口動物というグループに含まれます。これまでで最古の新口動物の化石は、約5億2000万年前〜約5億1000万年前(古生代カンブリア紀の中ごろ)の地層から発見されていいます。しかしそれらはすでに棘皮動物や半索動物、尾索動物、脊索動物などに分かれていて、原始的な新口動物がどのようなものだったかはこれまでわかっていませんでした。
 今回、中国陝西省の約5億4000万年前(古生代カンブリア紀初期)の地層から、最古となる新口動物の化石が発見されました。Saccorhytus coronariusと名付けられたこの新口動物は、最大のものでも体長1.3mmととても小さいサイズです。楕円形の体の腹側には大きな口が開いていました。そして口の後ろには左右合わせて8つの円錐形の構造があるそうです。Saccorhytusは大きな口で食物となる粒子やほかの生物を吸い込んで食べていたと研究者は考えています。8つの円錐形の構造はえらの前身で、吸い込んだ水を吐き出す役割があったとみられています。またSaccorhytusには肛門が見られないため、円錐形の構造には老廃物を排出する役割もあっただろうと研究者は考えています。

1/30 St John's College, University of CambridgeMeiofaunal deuterostomes from the basal Cambrian of Shaanxi (China). Nature

2017/2/5

白亜紀の琥珀から全く新しい昆虫の化石が発見されました。

 約1億年前(中生代白亜紀中期)のミャンマーの琥珀の中から、全く新しい昆虫の化石が発見されました。
 発見された昆虫は、三角形の頭部にふくらんだ眼をもち、さらに頭部の後ろがまるで首のように長く伸びており、まるで映画に登場するエイリアンのE.T.にそっくりの見た目をしているそうです。また体は扁平で、長い肢が生えているそうです。この昆虫はAethiocarenus burmanicusと名付けられました。昆虫類ではありますが、既知の分類のどれにも当てはまらないと研究者は考えています。AethiocarenusのためにAethiocarenodeaという分類群(目)が新設されました。
 Aethiocarenusは雑食で木の幹の割れ目に棲み、ダニなどの小さな虫や菌類などを食べていたと研究者は考えています。

1/25 Oregon State UniversityAn exotic insect Aethiocarenus burmanicus gen. et sp. nov. (Aethiocarenodea ord. nov., Aethiocarenidae fam. nov.) from mid-Cretaceous Myanmar amber. Cretaceous Research, 72, 100-104

2017/1/29

三葉虫の卵の化石が発見されました。

 三葉虫は古生代に繁栄した節足動物です。化石でよく発見されるのは硬い殻の部分です。状態がよければ、内臓や肢などの軟体部も残っていることがあります。しかし三葉虫の卵についてはこれまで発見されていませんでした。
今回、アメリカ、ニューヨーク州のオルドビス紀の地層から、卵をもった三葉虫トリアルトルス(Triarthrus)の化石が発見されました。今回化石が発見された産地では黄鉄鉱に置換された状態の化石が産出します。触角や肢が保存された化石も多数産出しています。
 発見された卵は直径200μmほどの球形または楕円形で、三葉虫の頭部の遊離頬の腹側についていたそうです。この卵の位置は現生のカブトガニと同じです。カブトガニは腹側にある生殖孔から卵と精子を放出して体外受精を行います。三葉虫でも同じように卵と精子を放出していただろうと研究者は考えています。
 また卵のサイズはこれまで一番幼いと考えられていた三葉虫の幼体のサイズよりも小さいそうです。このことから、三葉虫の幼体の殻は孵化した後に形成されたもので、孵化したばかりの幼体は殻をもっていなかっただろうと研究者は考えています。

Pyritized in situ trilobite eggs from the Ordovician of New York (Lorraine Group): Implications for trilobite reproductive biology. Geology, 45(3), 199-202

2017/1/22

ヒオリテス類が腕足動物に近い仲間らしいということがわかりました。

 これまで分類がわからなかった古生物にヒオリテス類というものがいます。円錐形の殻をもった生物で、殻の口には平らで小さなもう1つの殻が蓋のようについています。そしていくつかの種では2つの殻の間から「ヘレン」と呼ばれる細長いトゲが2本伸びていました。これまでヒオリテス類は軟体動物という見方が有力でしたが、正確な分類についてはわかっていませんでした。これは分類の決め手となる軟体部についてほとんどわかっていなかったからです。
 今回、ヒオリテス類ハプロフレンティスの1500体以上の化石が詳しく再分析されました。これらの化石はカンブリア紀の良質な化石が数多く産出しているカナダのバージェス頁岩とアメリカのスペンス頁岩から発見されたものです。今回分析された標本のうち、254体には軟体部が保存されているそうです。今回の研究の結果、口の周りを触手冠と思われるもので囲まれていることがわかったそうです。触手冠は腕足動物やコケムシなどがもっている構造で、水流を発生させて餌となる小さな粒子を口に運ぶ役割があります。今回の発見から、ヒオリテス類は軟体動物ではなく腕足動物に近い仲間であると、研究者は考えています。
 また化石のヘレンの方向も調べられました。この結果、ヘレンはヒオリテス類が食事をするときに体を持ち上げるのに使われていたらしいということがわかったそうです。

1/11 University of TorontoHyoliths are Palaeozoic lophophorates. Nature

2017/1/15