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2016年〜2022年のニュース

最古の山火事の証拠が発見されました。

 イギリスの約4億3100万年前〜約4億2700万年前の地層と、ポーランドの約4億2700万年前〜約4億2300万年前(古生代シルル紀の中ごろ〜後半)の地層から、山火事の証拠となる焦げた植物の断片の化石が発見されました。今回の山火事の証拠は、これまでの最古の山火事の証拠を最大で約1000万年さかのぼるものです。
 山火事が起こるには、3つの要素が必要です。燃料(植物など)、発火の原因(落雷など)、そして十分な大気中の酸素濃度です。
 最古の山火事の証拠が発見された地層は、最古の陸上植物であるクックソニアの化石が産出している地層と同時期に堆積したものです。このことから、燃料となる陸上植物が出現して間もなく、山火事が継続的に発生するようになったと、研究者は考えています。
 また、大気中の酸素濃度が16%未満の場合には山火事は発生しないらしいということが、これまでの研究でわかっています。地質時代の酸素濃度の変化を推測したモデルで有名なものが3つあります(GEOCARBSULF、COPSE-revisited、GEOCARBSULFOR)。このうち、COPSE-revisitedとGEOCARBSULFORでは、最古の山火事が起こった当時の酸素濃度が15%未満と推測されています。残りのGEOCARBSULFでは、当時の酸素濃度が現在(21%)よりも少し高かったと推測されています。このため、シルル紀当時、酸素濃度は現在と同じくらいか現在よりも少し高かっただろうと、今回最古の山火事の証拠を発見した研究者は考えています。

6/14 Geological Society of AmericaSilurian wildfire proxies and atmospheric oxygen. Geology

2022/5/29

PETMの直前に、短期間の温暖化があったらしいということがわかりました。

 約5600万年前(新生代古第三紀暁新世と始新世の境界付近)に、温暖化が急速に進行したと考えられています。この出来事は、Paleocene-Eocene Thermal Maximum (PETM)と呼ばれています。火山噴火により、大量の二酸化炭素が大気中に放出されたことがPETMの原因ではないかと、考えられています。
 PETMが起こる直前に、温暖化が進行した時期が短期間あったということが、アメリカ合衆国ワイオミング州やほかの地域の地層を調べたいくつかの研究で指摘されています。しかしこれが地球全体で起こったことなのかどうかは、これまでわかっていませんでした。
 今回、アメリカ合衆国の大西洋岸の多くの地点から、暁新世から始新世にかけて堆積した地層が採集され、その地層に入っている有孔虫の殻の化学組成が調べられました。有孔虫の殻を調べることによって海水温や海水の酸性度などの古環境を推測することができます。
 今回の研究の結果、標本が採集されたすべての地点でPETMの証拠が確認され、いくつかの地点でPETMの直前に温暖化が起こった証拠が確認されたとのことです。PETMの直前の温暖化は、地球全体で起こったのだろうと、研究者は考えています。
 PETMの直前に海水温が2℃上がり、海水のpHが下がったと考えられるそうです。数百年間の短期間に、この数百年間に人間の活動で放出された二酸化炭素と同じくらいの量の二酸化炭素が放出されたと、研究者は考えています。

3/16 University of California - Santa CruzSurface ocean warming and acidification driven by rapid carbon release precedes Paleocene-Eocene Thermal Maximum. Science Advances, 8(11)

2022/3/18

魚の化石から、白亜紀末の隕石衝突は春に起こったらしいということがわかりました。

 約6600万年前(中生代白亜紀末)、メキシコのユカタン半島に隕石が衝突して、鳥類以外の恐竜を含む、多くの生物が絶滅しました。今回、アメリカ合衆国ユタ州の白亜紀末の地層から産出したヘラチョウザメの化石とチョウザメの化石が分析され、隕石が衝突した季節が調べられました。今回化石が分析に使われたヘラチョウザメもチョウザメも、隕石衝突直後に、隕石衝突によって激しくかき混ぜられた堆積物に埋まって死んだと考えられています。
 骨の成長線、骨の細胞の分布、形、大きさから、その動物が死んだ季節を推測することができます。今回の分析の結果、ヘラチョウザメもチョウザメも春に死んだと、研究者は考えています。
 また、ヘラチョウザメの化石の炭素同位体比の変化が調べられた結果、死んだ当時、動物プランクトンを多く食べていたものの、動物プランクトンを最も多く食べる季節にはまだ達していなかったらしいということもわかったそうです。動物プランクトンは春から秋にかけて増え、夏に最も多くなります。このことからも、隕石が衝突した季節が春だったと考えられるそうです。
 白亜紀末の大量絶滅は、グループによって絶滅と生き残りの明暗が分かれた絶滅でした。隕石衝突の季節が、この明暗に大きな影響を与えたのではないかと、研究者は考えています。

2/23 Uppsala UniversityThe Mesozoic terminated in boreal spring. Nature

2022/2/25

生命の進化が大きく進んだ時期に巨大な山脈があったらしいということがわかりました。

 地球にはかつて、複数の大陸が集まってできた超大陸がありました。超大陸には、巨大な山脈があったようです。
 今回、地層中に含まれるルテチウムの含有量が少ないジルコンの量が調べられ、巨大な山脈がいつ形成されていたかが推測されました。ルテチウムの含有量が少ないジルコンは、高い山脈の高い圧力によって形成されます。
 この結果、約20億年前〜約18億年前の超大陸ヌーナと、約6億5000万年前〜約5億年前の超大陸ゴンドワナに巨大な山脈が形成されていたらしいということがわかったそうです。超大陸ゴンドワナの巨大な山脈の存在は以前から知られており、Transgondwanan Supermountainと呼ばれています。一方、超大陸ヌーナに巨大な山脈があったらしいということは、今回初めて発見されました。
 巨大な山脈が形成された時期は、生命の進化が大きく進んだ時期と一致するそうです。超大陸ヌーナに巨大な山脈が形成されていた時期には、肉眼で見えるサイズの生物(Grypania)が出現し、真核生物が多様化しました。Transgondwanan Supermountainが形成されていた時期には、緑藻類が大幅に増加し、大きなサイズの生物(エディアカラ生物)が出現し、カンブリア爆発が起こっています。
 巨大な山脈が形成されると、膨大な量の岩石が浸食されます。浸食された岩石とともにリンや鉄といった生物に欠かせない栄養素も海に流れ込み、海の生産性が上がったと、研究者は考えています。また、巨大な山脈が浸食されることによって、酸素濃度も増加したと考えられるそうです。
 約18億年前〜約8億年前には、生命に大きな変化はなかったと考えられています。この時期には巨大な山脈がなく、海に流れ込む栄養素が少なかったと、研究者は考えています。

2/4 Australian National UniversityThe temporal distribution of Earth's supermountains and their potential link to the rise of atmospheric oxygen and biological evolution. Earth and Planetary Science Letters, 580, 117391

2022/2/5

北海の下の氷河地形が詳しく調べられました。

 第四紀の間、氷期と間氷期が繰り返されてきました。氷床の拡大と縮小によって、地形は変化し、海水準も変動してきました。氷床の下では融けた水が流れ、氷床の縁に接する陸地にtunnel valleyと呼ばれる巨大な溝が形成されました。北海の堆積物の下には、複数のtunnel valleyが埋もれていると考えられています。tunnel valleyを調べることによって、かつての氷床の下の水の流れや、温暖化によって氷床がどのように縮小していったかなどを推測することができます。しかしこれまでは、海底の堆積物の下にあるtunnel valleyを詳しく調べることはできませんでした。
 今回、地震波を用いて堆積物の下の構造を3次元的に詳細に調べる手法によって、北海の下のtunnel valleyが初めて詳しく調べられました。tunnel valleyが形成され、その後氷河が縮小したときに海底の堆積物で埋められ、そして氷床が再び拡大した時に新たなtunnel valleyが形成される過程が詳しくわかったとのことです。

9/9 British Antarctic SurveyTunnel valley infill and genesis revealed by high-resolution 3-D seismic data. Geology

2021/9/18

酸素濃度が増加した時期は、これまで考えられていたよりも遅かったらしいということがわかりました。

 地球の大気中と海水中の酸素濃度は2度、約24億5000万年前〜約22億年前と約8億年前〜約5億4000万年前に大きく増加したと考えられています。2度目の増加で、大気中の二酸化炭素濃度は現在とほぼ同じレベルにまで上がったと、一般に考えられています。しかし、大気中の酸素濃度が現在のレベルにまで達したのはデボン紀(約4億1900万年前〜約3億8900万年前)だったという説もあります。
 カナダのユーコン準州のピール川沿いには、約4億9700万年前〜約3億8300万年前(古生代カンブリア紀後期〜デボン紀中期)までの地層がほぼ連続的に露出しています。今回、ピール川沿いの地層から837点の試料が採集され、そこに含まれる化石と化学成分が分析されました。
 この結果、酸素濃度が増加したのは約4億800万年前(デボン紀前期)だったらしいということがわかったそうです。これは、維管束植物が多様化した時期と一致するとのことです。

7/8 Stanford UniversityA long-term record of early to mid-Paleozoic marine redox change. Science Advances, 7(28), eabf4382

2021/7/18

白亜紀に、季節による海水温変化が大きかったらしいということがわかりました。

 白亜紀は現在よりもかなり温暖だったと考えられています。海面水温は年平均で現在よりも5〜6℃高く、低緯度地域と高緯度地域との温度差は少なかったと考えられています。しかし、季節による温度変化についてはよくわかっていませんでした。
 今回、スウェーデン南部の約7800万年前(中生代白亜紀後期)の地層から産出したカキ2種(Rastellum diluvianumAcutostrea incurva)と厚歯二枚貝1種(Biradiolites suecicus)の化石の酸素同位体が分析され、さらに統計の手法が用いられることで、当時の季節による水温変化が調べられました。スウェーデン南部は当時、北緯43度から49度にあったと推定されています。
 この結果、最も寒い月の水温は15℃、最も暑い月の水温は27℃という結果が出たそうです。これは、これまで考えられていたよりも高い水温です。また、これまで、温暖化が進むと季節による温度変化が少なくなると考えられてきました。しかし、今回の発見により、温暖化が進んでも季節による水温変化は大きかったらしいと、研究者は考えています。

6/10 Vrije Universiteit BrusselAbsolute seasonal temperature estimates from clumped isotopes in bivalve shells suggest warm and variable greenhouse climate. Communications Earth & Environment, 2(1), 121

2021/6/14

白亜紀末、隕石が最悪の角度で地球に衝突したらしいということがわかりました。

 約6600万年前、メキシコのチチュルブ付近に隕石が衝突し、恐竜を含む多くの動物が絶滅しました。これまで、隕石が垂直の角度で衝突したという前提で、白亜紀末の隕石衝突について、多くのシミュレーションがなされてきました。しかし、隕石が実際にどのくらいの角度でどの方角から衝突したかはこれまで知られてきませんでした。
 今回、地球物理学的なデータを用いてチチュルブクレーターの形や地下の構造が調べられて3Dシミュレーションの結果と比較され、衝突の角度や方角が調べられました。
 この結果、隕石は60度の角度で、北東の方角から衝突した可能性が高いということがわかったそうです。この角度は、気候を変化させる二酸化炭素や硫黄、水蒸気などが最も多く高層大気に放出される角度とのことです。

5/26 Imperial College LondonA steeply-inclined trajectory for the Chicxulub impact. Nature Communications, 11(1)

2020/6/7

約32億年前にプレートが動いていた証拠が発見されました。

 現在の地球の表面は10枚以上のプレートで覆われています。プレートは常に動いており、プレートに乗って大陸も移動しています。約40億年前〜約25億年前の初期地球でプレートが動いていたのかどうかはよくわかっていません。
 今回、オーストラリア、西オーストラリア州のピルバラから、約31億8000万年前の岩石が採取され、古地磁気が調べられました。この結果と、近くの地域で採取された岩石を使ったほかの研究の結果を使って検証した結果、この岩石が採取された地域は、約33億5000万年前から約31億8000万年前まで、2.5cm/年の速度で動いていたらしいと考えられるそうです。これほどの長期間プレートが動いていた証拠としては、今回の研究が最古のものだそうです。

4/22 ScienceDailyPaleomagnetic evidence for modern-like plate motion velocities at 3.2 Ga. Science Advances, 6(17), eaaz8670

2020/4/25

白亜紀の南極に雨林が広がっていたらしいということがわかりました。

 白亜紀の中ごろは、白亜紀が始まってから現在までで最も温暖な時期だったと考えられています。この時期、海水準は現在よりも170m高く、熱帯地域の海水の表面温度は35度だったと推測されています。一方、この時期の南極圏の環境については、これまでよくわかっていませんでした。
 今回、西南極で白亜紀の堆積物が採取され、その中に含まれる植物の化石が調べられました。採取された堆積物は、約9200万年前〜約8300万年前に、南緯約82度の地域で堆積したものとのことです。この堆積物の中には、植物の根や、花粉、胞子などの保存状態の良い化石が入っていたそうす。
 この化石を調べた結果、当時の南緯80度付近には雨林が広がっていたらしいということがわかったそうです。この地域の年平均気温は約12度、夏の平均気温は約19度、そして川や沼の水温は20度に達したと推測されるそうです。
 これまで、白亜紀の大気中の二酸化炭素は約1000ppmと考えられていました。しかし今回の結果から計算しなおしたところ、1120〜1680ppmだった可能性があるとのことです。

4/1 Northumbria UniversityTemperate rainforests near the South Pole during peak Cretaceous warmth. Nature, 580, 81-86

2020/4/2

初期地球の磁場が強かったらしいということがわかりました。

 地球の周りには磁場があります。磁場があるおかげで地球は太陽風から守られています。磁場がなければ、地球上の大気も水も吹き飛ばされてしまうと考えられています。
 現在の地球の磁場は、液体の鉄でできている外核の対流によって作り出されています。そして、外核の対流は内核に強く影響を受けていると考えられています。
 これまでの研究から、磁場は遅くとも約42億年前から存在していたらしいということがわかっています。一方、内核ができたのは約5億6500万年前と考えられています。これまでは、初期の地球の磁場は弱かったと考えられてきました。
 溶岩が冷えて固まるときに磁場を記録する鉱物があります。その鉱物を調べることによって、かつての磁場の向きや強さを推測することができます。ジルコンも、そのような磁場を記録する鉱物のひとつです。
 今回、オーストラリアのJack Hillsから採集されたジルコンが詳しく調べられた結果、約41億年〜約40億年前の磁場がこれまで考えられていたよりも強かったらしいということがわかったそうです。しかし、当時はまだ内核はできていなかったと考えられているため、強い磁場が発生するには、現在とは異なるメカニズムが働いていたと、研究者は考えています。初期地球が冷える過程で酸化マグネシウムが化学的沈殿を起こし、それが液体の核に対流を発生させて強い磁場を発生させていたのではないかと、研究者は考えています。

1/22 University of RochesterPaleomagnetism indicates that primary magnetite in zircon records a strong Hadean geodynamo. Proceedings of the National Academy of Sciences

2020/1/26

37億年前のストロマトライトとされた構造は、ストロマトライトではないらしいということがわかりました。

 グリーンランドには、地球が形成されたばかりの30億年以上前の地層が分布しています。グリーンランドのイスア地域から、約37億年前のストロマトライトとされる堆積構造が2016年に報告されました。この“ストロマトライト”は、それまで報告されていた最古のストロマトライトよりも2億年以上古いものでした。ストロマトライトはシアノバクテリアによって作られたと考えられている堆積構造です。このため、ストロマトライトはその時代に生命がいた証拠として扱われています。
 今回、37億年前のストロマトライトとされている堆積構造の、3次元構造、向き、化学組成などが分析されました。この結果、通常のストロマトライトにある層構造や微生物が活動した化学的な特徴がないということがわかったそうです。また、3次元的にみると、岩石は円錐形に盛り上がっているのではなく、うねっているだけだということもわかったそうです。
 このことから、この堆積構造はストロマトライトではなく、海底の堆積物が変質したり変形したりしたものだと、研究者は考えています。

10/18 natureasiaReassessing evidence of life in 3,700-million-year-old rocks of Greenland. Nature

2018/10/21

デボン紀後期の大量絶滅の原因は火山の噴火だったのではないかという論文が発表されました。

 約3億7200万年前(古生代デボン紀後期)、古生代以降の大量絶滅で5本の指に入る大量絶滅が起こりました。種のレベルで40%が絶滅したと考えられています。この大量絶滅については、火山の大噴火が原因ではないかとも考えられていますが、噴火の規模と噴火した時期についてはこれまでよくわかっていませんでした。
 今回、モロッコ、ドイツ、ロシアの約3億7200万年前の岩石が調べられました。この結果、デボン紀後期の大量絶滅が起こった時期に堆積した地層には、ほかの層準よりも最大で100倍以上も多く水銀が含まれているということがわかったそうです。オルドビス紀末の大量絶滅の時期にも水銀の濃集が報告されており、これは噴火活動が原因ではないかと考えられています。デボン紀後期の水銀の濃集も噴火活動が原因だろうと、研究者は考えています。

5/1 Geological Society of AmericaMercury enrichments and the Frasnian-Famennian biotic crisis: A volcanic trigger proved? Geology

2018/5/7

白亜期末、隕石衝突によって海底での火山活動が活発になったらしいということがわかりました。

 中生代白亜紀末の約6600万年前、大きなイベントが3つ起こりました。1つが恐竜を含む生物の大量絶滅、1つがインドのデカン高原で起こった巨大噴火、最後の1つがメキシコのユカタン半島への隕石の衝突です。かつては隕石衝突によって生じた地震エネルギーが地球規模でマントルを溶かし、デカン高原の巨大噴火を引き起こしたと考えられました。しかし年代が詳しく調べられた結果、デカン高原の巨大噴火は隕石衝突よりも前に始まったらしいということがわかり、さらに、シミュレーションによって、隕石衝突によって噴火活動が始まる可能性が低いという結果が出たため、隕石衝突によってデカン高原の巨大噴火が引き起こされた可能性は低いのではないかと考えられるようになりました。しかし近年、隕石の衝突後にデカン高原の噴火速度が急激に上がった、地表の溶岩とつながる供給岩脈の方向が変わったなどの証拠が発見されたため、隕石衝突はデカン高原の巨大噴火に何らかの影響を与えたのではないかと考えられるようになりました。
 もし隕石衝突がデカン高原の噴火に影響を与えたのならば、地球のほかの噴火活動も何らかの影響を受けたのではないかと研究者は考えています。このことを検証するため、衛星のデータを使って海底の重力異常が調べられました。この結果、白亜紀末に作られた海底、特に太平洋とインド洋で作られた海底に重力異常が見られたそうです。これはこの時期に火成活動が活発になり、海底が作られる速度が速かったためと、研究者は考えています。これはユカタン半島への隕石衝突によって溶けたマントルの供給量が増えたという考えと矛盾しないと研究者は考えています。

Anomalous K-Pg-aged seafloor attributed to impact-induced mid-ocean ridge magmatism. Science Advances, 4,(2), eaao2994

2018/2/11

PETMと同時期に隕石の衝突があったらしいということがわかりました。

 約5600万年前(新生代古第三紀暁新世と始新世の境界)に、気温が5〜8℃も急激に上昇し、気温の高い状態が約15万年間続いたことがわかっています。この出来事はPETM(Paleocene-Eocene Thermal Maximum)と呼ばれています。PETMは大気中の二酸化炭素濃度が急激に上昇したことが原因で起こったと考えられていますが、大量の二酸化炭素の供給源は何なのか、二酸化炭素がどのくらいの速さで大気に供給されたのか、そして二酸化炭素が供給されてから気温が高い状態になるまでどれくらいの時間がかかったのかなど、詳しいことはよくわかっていません。
 今回、アメリカ合衆国ニュージャージー州とフロリダ州のPETMと同時期の地層から、マイクロテクタイトという小さなガラス状のの粒が発見されました。マイクロテクタイトは隕石が地表に衝突した時に、衝突された場所にあった物質が蒸発して大気中に放出され、大気中で急速に冷却されてできたものと考えられています。球形または涙型のマイクロテクタイトが、1gの堆積物中に最大で3粒含まれていたそうです。また、マイクロテクタイトの中には、これまた隕石衝突の証拠になる衝撃石英が含まれているものもあったそうです。
 今回の発見から、PETMと同時期に隕石が衝突した可能性があると、研究者は考えています。

10/13 Rensselaer Polytechnic Institute (RPI)Impact ejecta at the Paleocene-Eocene boundary. Science, 354(6309), 225-229

2016/10/16

37億年前のストロマトライトが発見されました。

 グリーンランドには、地球が形成されたばかりの30億年以上前の地層が分布しています。今回、グリーンランドのイスア地域から、約37億年前のストロマトライトが発見されました。これまで発見されていた最古のストロマトライトはオーストラリアの約34億8000万年前のもので、今回の発見はそれよりも2億2000万年も古いものです。約37億年前にストロマトライトが存在していたということは、地球が誕生してから数億年で生命が誕生したことを示唆していると、研究者は考えています。そしてこれは分子時計の計算の結果とも合っています。
 堆積物に含まれる元素や堆積物の構造から、今回のストロマトライトは浅い海でできたものと研究者は考えています。

8/31 University of WollongongRapid emergence of life shown by discovery of 3,700-million-year-old microbial structures. Nature

2016/9/4

オーストラリアから、34億年以上前の隕石衝突の証拠が発見されました。

 オーストラリア、西オーストラリア州の約34億6000万年前(先カンブリア時代)の地層から、直径1〜2mmの球状の二酸化ケイ素に富む構造が発見されました。これは隕石衝突によってできたものだと、研究者は考えています。これまでに発見されている中で2番目に古い隕石衝突の証拠です。
 今回発見された球状の構造のサイズから、約34億6000万年前に衝突した隕石は直径20〜30kmで、その衝突によって直径数百kmのクレーターができただろうと、研究者は考えています。

5/16 Australian National UniversityA new 〜3.46Ga asteroid impact ejecta unit at Marble Bar, Pilbara Craton, Western Australia: A petrological, microprobe and laser ablation ICPMS study. recambrian Research, 279, 103-122

2016/5/21

ハワイ-天皇海山列が曲がっているのは、プレートの移動方向が変わったからではないらしいということがわかりました。

 ハワイからカムチャツカ半島の付け根にかけて、ハワイ-天皇海山列と呼ばれる海山の列があります。
 これはホットスポットによってできた火山の列です。ホットスポットはプレートよりもさらに下、地球の奥深くから上昇してきたマグマが噴出する場所です。ホットスポットの上には火山ができますが、プレートの移動にともなって火山がホットスポットからずれると活動が停止し、ホットスポットの上に新しい火山が作られることになります。このようにしてかつて火山だった海山が列をなして並んでいるのです。ハワイ-天皇海山列はミッドウェー島付近で並ぶ方向が急角度で変わっています。これはプレートの移動方向が途中で変わったからだという説がありますが異論もあり、この原因はまだよくわかっていません。
 今回、スーパーコンピュータを用いて、過去2億年間のマントルの流れとホットスポットの動きがシミュレーションされました。この結果、約1億年前から約5000万年前の間はホットスポットの基部が南に動き、それにつられてマグマが噴出する位置も南に移動していたらしいということがわかったそうです。その後この動きは止まり、マグマも同じ位置で噴出し続けるようになったそうです。

5/12 University of SydneyA rapid burst in hotspot motion through the interaction of tectonics and deep mantle flow. Nature, 533(7602), 239-242

2016/5/15

オーストラリア大陸のどこで化石が発見されやすいかがモデリングによって求められました。

 化石を見つけようとするとき、大抵はこれまで発掘が行われて化石が見つかっている場所に採りに行きます。しかしこの方法では新たに化石が見つかる場所を発見することはなかなかできません。
 今回、生態学で広く使われているモデリング方法を用いて、オーストラリア大陸のどこで化石が見つかる可能性が高いかが計算されました。過去の種の分布、化石が保存されやすい場所、化石を見つけやすい場所のモデリングをもとに計算が行われました。そしてこの方法によって、約5万年前(新生代第四期更新世後期)の恐鳥類ゲニオルニス、サイと同じくらいのサイズのウォンバットの仲間ディプロトドン、肉食の有袋類ティラコレオなどの大型の動物が発見されるであろう場所が計算されました。南部のほうで見つかる可能性が高いようです。
 この方法はほかの大陸でも適用できると、研究者は考えています。

4/8 University of AdelaideWhere to Dig for Fossils: Combining Climate-Envelope, Taphonomy and Discovery Models. PLOS ONE, 11(3)

2016/4/10

プレートテクトニクスは約30億年前に始まったらしいという論文が発表されました。

 地球には太陽系のほかの惑星とは異なり、プレートテクトニクスが存在します。プレートテクトニクスがあることにより、大陸が移動し、火山ができ、地震が発生します。
 地球ができた当初はプレートテクトニクスはなかったと考えられています。プレートテクトニクスが始まった時期については、約45億年前から約8億年前までいくつかの説があり、いまだによくわかっていません。
 太陽系のほかの地球型惑星(水星、金星、火星)や月と比べて、地球の大陸地殻にはマグネシウムが少ししか含まれていません。しかし地球ができたばかりのころは、ほかの地球型惑星や月と同じようにマグネシウムが多く含まれていたと考えられています。プレートテクトニクスが始まると水も一緒に地殻の下に沈み込んで、マグネシウムに乏しい花崗岩が作られるようになります。花崗岩は現在の大陸地殻上部を構成する岩石です。地殻に含まれるマグネシウムの量が減少し始める時期がわかれば、プレートテクトニクスが始まった時期が推測できることになります。
 しかしマグネシウムは風化によって簡単に岩石から失われてしまうため、これまでは古い岩石ができた当初のマグネシウムの量を調べることはできませんでした。しかし今回、風化によって失われにくいニッケル、コバルト、クロム、亜鉛の量を調べることによって、岩石ができた当初のマグネシウムの量が推測できるということが発見されました。岩石ができた当初マグネシウムの量が多ければ、ニッケル/コバルトと、クロム/亜鉛の比も大きくなるそうです。
 様々な場所から採集された、約40億年前から約25億年前の岩石の、ニッケル/コバルトと、クロム/亜鉛の比が調べられました。この結果、約30億年前の岩石には約11%のマグネシウム(正確には酸化マグネシウム)が含まれていたのが、約25億年前には4%にまで減っていたらしいということがわかったそうです。このことからプレートテクトニクスは約30億年前に始まったと、研究者は考えています。

1/21 University of MarylandArchean upper crust transition from mafic to felsic marks the onset of plate tectonics. Science, 351(6271), 372

2016/1/31